ミラクルナイト☆第127話
ミラクルナイトとして水都の平和を守るために謎の敵と戦い続けてきた野宮奈理子は、遂に水都中学校卒業式の朝を迎えた。暖かな春の陽射しが差し込む窓辺で、奈理子は制服の襟を整えながら、これまでの戦いの日々を振り返っていた。
ミラクルナイトとしての任務は多忙を極め、学校生活との両立は困難だった。しかし、彼女はその使命感と仲間たちの支えにより、乗り越えてきた。セイクリッドウインドやドリームキャンディとの絆も、その戦いの中で深まっていた。
奈理子は、鏡の中の自分に微笑みかけた。戦士としての顔ではなく、一人の中学生としての顔だった。今日は特別な日。仲間や家族、友人たちと共に過ごす大切な一日だ。
「姉ちゃん、準備できたか?」
弟の隆が部屋のドアをノックしながら声をかける。奈理子は頷き、笑顔で答えた。
「うん、もうすぐ行くよ」
彼女は最後にもう一度、自分の姿を確認してから部屋を出た。家族と共に学校へ向かう道中、奈理子は改めて決意を新たにした。これからも、水都の平和を守るために戦い続けることを。
卒業式の会場に到着すると、既に多くの生徒たちが集まっていた。式が始まり、校長先生の挨拶や在校生代表の言葉が続く中、奈理子は静かにその場の雰囲気を感じ取っていた。これからの未来に向けた希望と、不安、そして期待が交錯する瞬間だった。
卒業証書を受け取り、壇上から降りるとき、奈理子はミラクルナイトとしての自分を誇りに思った。戦いの日々は続くかもしれないが、今日のこの瞬間は、彼女にとって特別な節目となる。
式が終わり、友人たちと写真を撮りながら、奈理子はふと思った。これからも、どんな困難が待ち受けていようとも、自分には仲間がいる。セイクリッドウインド、ドリームキャンディ、そして新たな仲間たちと共に、未来を切り拓いていくのだ。
奈理子が在学していたため、水都中学は敵の襲撃を受けることが何度かあった。見上げると、トンボ男との激闘で破損し、補修工事がなされた校舎が目に入る。グラウンドのバックネットには敵に破れて磔にされたこともある。それでも、水都中学の先生と生徒たちは常に奈理子を励まし、温かい声援を送ってくれた。戦いで負傷し修学旅行を欠席したときは、たくさんのお土産を病室まで持ってきてくれた。たくさんの思い出がこみ上げてきて、奈理子は涙ぐむ。
「奈理子のお陰でスリリングな中学生活が送れたよ」
「奈理子、卒業してもみんなでカラオケ行こうね!」
仲が良かった女子たちが奈理子に声を掛ける。
「実は俺、野宮のことが好きだったんだぜ」
と言ってくる男子もいた。
「別々の高校に行っても、私たちは友だちだよ」
と綾香が奈理子の手を握る。
「そんなの当たり前じゃないの」
と他の女子が言う。綾香は勉強が苦手な奈理子に放課後の勉強に付き合ってくれた。奈理子が水都女学院に合格できたのは綾香のお陰だ。綾香は進学校の水都高校に進学する。
「もう、綾香と一緒に学校から帰ることも無いんだね…」
奈理子も綾香を抱き締める。
「最近の奈理子は彼氏とずっと一緒で私と一緒に帰ってなかったじゃないの」
と冗談めかして綾香が笑う。
「綾香、みんな…本当にありがとう」
と奈理子が言った。
そのときだ。校門付近にクラゲカミキリが現れた。
「奈理子、卒業式というから迎えに来てやったぜ!」
クラゲカミキリが奈理子を見据える。卒業生、在校生、教師、そして卒業生の保護者たちでごった返していた校庭が騒然とする。
「許せない!」
奈理子はアイマスクを取り出した。それを見た
「おー!野宮が変身するぞ!」
クラスメイトの大判が叫ぶ。
「中学最後の野宮の変身だ!」
「野宮、頑張れー!」
大地を揺るがすような大声援が沸き起こる。
「変身中に襲ってこないでよ!!」
奈理子がクラゲカミキリを睨みつける。大声援の中、アイマスクを装着する奈理子。水色の光の中、水都中学の制服が消え、純白のブラとショーツだけの姿になる奈理子。その可憐な姿に
「今日も白だ!」
「野宮、可愛いぞ!」
とさらなる声援が飛ぶ。しかし、下着姿も一瞬だ。奈理子のミディアムボブの黒髪に、愛らしい白いリボンが現れる。そして、白いノースリーブのブラウス、胸の水色のリボン、手足に水色のグローブとブーツが次々と現れた。そして、最後に奈理子の清純の証である純白のショーツを白いプリーツスカートが優しく覆う。
ミラクルナイトに変身した奈理子。水色の光が消え、風がミラクルナイトのスカートをふわりと舞い上げた。
「野宮のパンチラ最高ー!」
「野宮と一緒の高校に行きたかったぞ!何で女子高に行くんだよー」
最後の水都中学での戦いに、男子たちの容赦のない声援が飛ぶ。それだけではない。
「奈理子、頑張って!」
「奈理子さん、綺麗ですよ!」
女子も、卒業生も、在校生も、水都中学でのミラクルナイトの最後の戦いに声を上げる。みんなの声援が、ミラクルナイトに勇気を与える。
「水都の平和を、私の水都中学を乱す者は、ミラクルナイトが許しません!」
水都の絶対ヒロイン、ミラクルナイトが高らかに宣言する。
水都中学に盛大な奈理子コールが沸き起こる。その中でミラクルナイトは
「奈理子、無理はしないで!」
と綾香の声を聞いた。
「綾香…」
ミラクルナイト、奈理子は一番の親友である綾香を見る。不安気な綾香の表情。
「心配しないで。私は戦うことでしか、みんなの役には立てないから」
綾香に微笑みかけるミラクルナイト。そして、
「水都中学は私が守る!」
クラゲカミキリを睨みつける。
「それでこそ水都の絶対ヒロイン奈理子だ。健気なヒロインに敬意を表して、皆の前で連続絶頂させてやろう」
クラゲカミキリがニヤリとする。そして、
「どこらでもかかってこい!」
とクラゲカミキリが身構える。ミラクルナイトとクラゲカミキリの闘気が激突する。奈理子コールは止み、皆が固唾を呑んでミラクルナイトの戦いを見守っていた。
「私は負けない!」
ミラクルナイトがクラゲカミキリに飛び掛かる。クラゲカミキリは無数の触手を伸ばし迎え撃つ。
「きゃぁ~!」
触手に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられたミラクルナイト。
「今のは…」
ミラクルナイト。信じられないことに、触手の一つ一つが電気を帯びた拳と化してミラクルナイトに襲ってきたのだ。
「触手は相手を捕まえたり、挿入したり、電撃を放つだけではない。殴ることも出来る。奈理子、お前はこの俺に触るどころか、近寄ることすら出来んのだ」
「そんな…」
クラゲカミキリの言葉に衝撃を受けるミラクルナイト。
「奈理子、パンチラしてるぞ」
クラゲカミキリはミラクルナイトを嘲笑う。片膝を付き項垂れるミラクルナイトにはパンチラを気にする余裕は無い。しかし、このまま負ける訳にはいかない。ミラクルナイトは目を閉じ、深呼吸した。そして、立ち上がる。
「たとえ、この身が砕けようとも、水都中学は私が守る!」
ミラクルナイトは悲痛な思いで宣言した。
再びクラゲカミキリに飛び掛かる。
「フェアリーシールド!」
水色に輝く防御壁がミラクルナイトを覆う。フェアリーシールドは触手の直撃のような物理的攻撃には効果は薄い。しかし、電撃は防ぐことは出来る。軽やかな動きで迫り来る触手を躱し続けるミラクルナイト。クラゲカミキリの懐に入りさえすれば何とかなる。ミラクルナイトの華麗な舞。触手を掻い潜り、クラゲカミキリの体が目の前に迫った。
「ミラクル…あぁぁッ!」
ミラクルヒップストライクを放とうとした瞬間、クラゲカミキリの鋭い牙がミラクルナイトのブラウスを斬り裂いた。その隙間から奈理子の白いブラが覗く。
「俺はクラゲだけでなく、カミキリの能力も持っていることを忘れるな!」
勝ち誇るクラゲカミキリ。更に、
「もう一つオマケだ!」
とミラクルナイトの股間に電撃を放った。
「ぐぅ!」
その衝撃で失禁してしまうミラクルナイト。クラゲカミキリは、ミラクルナイトに倒れることも許さず、触手でミラクルナイトの四肢を拘束してしまった。
「まだ終わらせないぞ、奈理子」
とクラゲカミキリが冷酷に笑う。その笑い声が校庭に響く中、ミラクルナイトは絶望の中で再び立ち上がる決意を固めた。
「私は…諦めない!」
涙が頬を伝う中、奈理子は心の中で強く叫んだ。
手足に絡みつく触手に身体を大の字に広げられたミラクルナイト。その触手は彼女のコスチュームの中にまで侵入し、無力感が押し寄せる。
「どんなに奈理子が頑張ろうと俺には勝てん。皆の前でイキ恥を晒すがいい」
クラゲカミキリは冷笑しながら、触手でミラクルナイトの身体を弄び続ける。
「野宮、頑張れ!」
ミラクルナイトが為す術なく倒される姿に、生徒たちは懸命に声援を送る。
「私は…負けられない…」
奈理子は必死に抵抗するが、
「パンツ丸出しで何を言ってんだ?」
とクラゲカミキリが嘲笑う。触手はミラクルナイトのスカートを捲り上げ、奈理子の白いショーツが白昼の下に晒されていた。しかし、ミラクルナイトは精神を集中させ、その身体が水色に輝きはじめる。
「ミラクルパワー!」
聖なる力で触手を弾き飛ばし、ついに触手から解放された。
しかし、ミラクルナイトのダメージは大きかった。クラゲカミキリはミラクルナイトの胸のリボンを掴み、
「チッ、無駄な悪足掻きしやがって!」
と彼女を投げつける。どんなに頑張ってもクラゲカミキリにダメージを与えることができない。ミラクルナイトは追い詰められていた。
「野宮、立ってくれ!」
「クラゲカミキリをやっつけてくれ!」
立ち上がれないミラクルナイトに激励の声が飛ぶ。それは、再び奈理子コールの大合唱となり、水都中学全体を揺るがすものとなる。
「お漏らしパンツ丸出しの奈理子が頑張っても無駄さ」
クラゲカミキリがさらなる恥辱をミラクルナイトに与えようと歩を進める。だが、クラゲカミキリの前に一人の男子生徒が立ち塞がる。それはライムだった。奈理子とライムは水都中学が誇る美男美女カップル。奈理子の彼氏、ライムの登場に生徒たちは盛り上がる。
「スライム男か…」
クラゲカミキリがライムを見て忌々し気に呟く。
「奈理子は人々の想いを力に変える。この声援がある限り、奈理子は負けない。お前は最悪の時に、最悪の場所で奈理子を襲ったことになるな」
ライムが不敵な笑みを浮かべクラゲカミキリに言う。
「フン、何言いやがる。奈理子は何度もここで声援を受けながら負けてるじゃないか」
クラゲカミキリが反論する。
ミラクルナイトは過去に水都中学でイソギンチャク男やカラクサ男とザリガニ男のコンビに敗れていた。
「負けたのは、戦う前から奈理子が怯えていたからさ。卒業氏を終えたばかりの、今の奈理子の気力は充実している」
とライムが応える。それに呼応するように、
「そうだ、野宮は負けないぞ!」
「俺たちの声援で野宮を勝たせるんだ!」
「奈理子、立って!」
生徒たちが声を上げる。
「奈理子は強い。お前なんかには負けないぜ。ここでカミキリ男も倒しているしな」
ライムがクラゲカミキリに言う。
「旧型のカミキリと俺を一緒にするな!」
クラゲカミキリが怒鳴ったその瞬間、ミラクルナイトが立ち上がった。
「水都中学を守るのは私」
ミラクルナイトの声が響き渡り、その決意が場に満ちる。生徒たちの声援に支えられ、彼女は再び戦いに挑むのだった。
「ライムの言う通り、みんなの声援がある限り私は負けないわ」
とミラクルナイトはライムに微笑んだ。
「あんな奴、サッサと片付けろ」
「分かったわ。その後、一緒に帰ろう」
ライムと一緒に学校から帰れる日は今日が最後なのだ。しかし、
「今日は親と帰れ」
とライムに冷たく言われて、奈理子はまだママと写真を撮っていないことに気付いた。卒業式に校門で親と写真を撮ることは定番だ。ミラクルナイトは心配そうに戦いを見守るママを見た。パパは仕事で卒業式には来ていない。
「今日は、奈理子を産んでここまで育ててくれた両親に感謝するんだな」
とライムは生徒たちの輪に戻ろうと歩き出そうとした。
「ライム、好きだよ」
とミラクルナイトはライムの背中に向かって言った。
「奈理子は香丸さんも好きなんだろ」
と振り向きライムが言う。
「うん。香丸さんはいつも私に優しいから好き。でも、たまにだけ優しいライムはもっと好きだよ」
見つめ合うミラクルナイトとライム。
「お前たち、いつまで二人の世界に浸ってるんだ!」
痺れを切らしたクラゲカミキリが吠える。
「卒業式に襲ってくるなんて最低ね。サッサと片付けさせてもらうわ」
とミラクルナイトはミラクルウイングを広げた。その白く美しい翼に生徒たちの感嘆の声が漏れる。
「奈理子の大好きな三箇所責めで堕としてやるぜ!奈理子自慢の貧乳も加えて五箇所責めだ!!」
触手を伸ばし迫るクラゲカミキリ。しかし、ミラクルナイトは空に舞い上がった。
白い翼で空を舞うミラクルナイト。その美しい姿を見上げる生徒たちの歓声が上がる。
「奈理子、頑張ってー!」
「待ってました!野宮のローアングルパンチラ!!」
クラゲカミキリは触手をさらに伸ばし、ミラクルナイトを捕まえようとするが、彼女の機敏な動きに翻弄される。
「そう簡単には捕まらないわ!」
とミラクルナイトは言い放ち、クラゲカミキリの触手を避けつつ、再び攻撃の体勢を整える。
「えい!」
上空から水色の光弾を連射するミラクルナイト。しかし、クラゲカミキリの胴体は甲虫のカミキリだ。カミキリの外骨格で守られたクラゲカミキリは光弾を受けてもびくともしない。
「俺も飛べることを忘れるな!」
クラゲカミキリは翅を広げて飛び上がった。
後方はカミキリの外骨格に守られ、前方はクラゲの触手に阻まれる。クラゲカミキリの攻めに防戦一方のミラクルナイト。触手がミラクルナイトの左足を捕らえた。さらに右足にも触手を絡ませ、ミラクルナイトを逆さ吊りにする。
「鳴け、奈理子!」
クラゲカミキリが触手に電気を流す。
「あぁッ!」
電撃に喘ぐミラクルナイト。
「奈理子はすぐ失神するから優しくジワジワと可愛がってやるぜ」
クラゲカミキリは敢えて強力な電気を流さず、ミラクルナイトの反応を楽しんでいた。
強弱織り交ぜた電撃を受け続けるミラクルナイトが、
「このままでは勝てない……」
と呟いたとき、
「奈理子、負けないで!」
綾香の声がミラクルナイトの耳に届く。
「野宮、諦めるな!」
「奈理子さん、頑張って!」
他の生徒たちも懸命に声援を送る。
「わたしは負けられない!」
ミラクルナイトの右手が水色に輝く。
「ミラクルチョップ!」
ミラクルナイトは手刀で両足を拘束する触手を切断した。
そして、右手を前に突き出し力を溜める。ミラクルナイトの掌の先に水色の光の玉が現れる。
「また光弾か。そんなもん、俺には効かんぞ」
とクラゲカミキリが笑う。
「シャインブラストは溜めれば溜めるほど威力が強大になるの。効かないのは、いつも溜める余裕が無くて連射するから……」
ミラクルナイトが言う間にも、光の玉は徐々に大きくなる。
「ならば、溜まりきる前に落すまでだ」
クラゲカミキリが触手でミラクルナイトを拘束する。それでもミラクルナイトは掌に力を溜め続ける。
「いつまで耐えられるか楽しみだな」
クラゲカミキリが触手に電気を流す。
「きゃぁ~!」
電撃がミラクルナイトを襲う。
「あぁ…、耐えて、頑張って、私……」
ミラクルナイトは意識が飛びそうになりながらも力を溜め続ける。
「野宮、頑張れ!」
生徒たちの声援も大きくなる。光の玉は、ミラクルナイトの身体を完全に隠すほどに大きくなっていった。
「奈理子がここまで耐えられるとは…」
触手に電気を流し続けるクラゲカミキリにも焦りが見え始めた。ミラクルナイトが巨大な光の玉に両手を添える。
「これが、本当のシャインブラストよ!ミラクルシャインブラスト!!」
ミラクルナイトは巨大な水色の光弾をクラゲカミキリに放った。
眩しい輝きを放つ光弾がクラゲカミキリに直撃し、その衝撃で彼は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ぐぅ…だが、こんなものでは俺は倒せんぞ!」
と呻きながらも、クラゲカミキリはふらつきながら立ち上がった。
ミラクルナイトは息を切らしながらも、両手を広げる。
「シャインブラストだけであなたを倒せるとは思っていないわ!」
彼女の周囲に水のオーラが輝き始めた。
「ミラクルアクアティックラプチャー!」
そのオーラから無数の水流が生まれ、激しい水の渦を形成してクラゲカミキリを包囲する。水のオーラはクラゲカミキリを取り込み、圧倒的な力で彼を押し包んだ。
さらに、ミラクルナイトの輝きが増す。水色の光に包まれた彼女は両掌で水色の光を集めるように舞う。その姿はまるで天使のごとく白い翼を広げて舞う美しいもので、水都中学にいる誰もが歓声を上げた。
「おー!」
「奈理子、綺麗よ!」
その舞は、ミラクルナイト最大の技の発動モーションであることを皆が知っていた。
「水棲生物のクラゲに水攻めなど効かん!」
クラゲカミキリは、ミラクルアクアティックラプチャーの水のオーラを弾き飛ばし、ミラクルナイトを見上げた。ミラクルナイトは両掌を天に掲げていた。両掌には眩いばかりの水色の光が集まっている。
「あの技は…」
クラゲカミキリは、ほんの僅かの間、ミラクルナイトの美しさに心を奪われてしまった。
「これが最後よ!リボンストライク!!」
ミラクルナイトの両掌から、水色に輝くリボンが放たれた。リボンはしなやかにクラゲカミキリを包み込む。そのまばゆい光の中で、クラゲカミキリは必死に声を振り絞った。
「俺を消すと三箇所電気責めは味わえなくなるぞ…それでもいいのか、奈理子……」
一瞬、ミラクルナイトの顔に躊躇の表情が浮かんだ。しかし、彼女は決然と目を閉じる。
クラゲカミキリは水色の光の中でゆっくりと形を失い、やがて完全に消滅した。最後まで呟かれた彼の言葉は、風に流されるように消えていった。
光が収まり、ミラクルナイトは静かに着地した。彼女の周りには歓声と拍手が渦巻いていた。
「奈理子、勝った!」
「さすがミラクルナイト!」
友だちや生徒たちが駆け寄り、ミラクルナイトを祝福する。彼女の顔には疲労の色が見えたが、その目は戦いを終えた達成感と誇りに満ちていた。
遠くで見守っていたライムが、満足げに微笑んで歩み寄ってくる。
「そんなに三箇所電気責めは良かったのか?」
彼の声はいつになく優しかった。
「ライムのスライムの方がずっといいよ」
ミラクルナイトは彼に向かって微笑み返し、今日の戦いを通して得た強さと絆を胸に刻みながら、新たな一歩を踏み出す決意を固めた。
水都中学のセーラ服姿に戻った奈理子は、仲間たちと共に笑顔で過ごし、ミラクルナイトとしての次の戦いに向けて心を新たにした。彼女は一人で校舎を見上げた。
「これからも頑張るよ」
と心の中でつぶやき、彼女は新たな一歩を踏み出した。ミラクルナイトとして、そして一人の女性としての未来が、彼女を待っているのだった。
(第128話へつづく)











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