ミラクルナイト☆第37話
水都第一小学校5年3組の教室では、ゲジゲジ男との戦いから一夜が明けました。その日、寧々は隆に昨日の奈理子のパンツの色を尋ねましたが、隆は知りませんでした。奈理子のパンツはほとんど白だと隆が話す中、寧々はなぜ奈理子のパンツにこだわっているのかと執拗に問われました。しかし、寧々はあいまいに誤魔化すことで応えました。
隆によれば、奈理子は以前、自分が彼女のパンツを手に持っているところを見られた後、彼女から無視されていると言います。寧々は自分が奈理子のパンツを調べるように頼んだことが原因であると感じ、隆に対して罪悪感を抱きました。
ハサミムシ男や昨日のゲジゲジ男との戦いの時、ピンクパンツブラックナイトが現れましたがミラクルナイトは現れなかったのです。昨日の奈理子のパンツの色は分かりませんでしたが、寧々はピンクパンツブラックナイトが奈理子であると確信していました。しかし、たとえピンクのパンツを履いた時に変身してしまうとしても、奈理子は普通の生活を送り、白いパンツの時はミラクルナイトとして敵と戦っているのです。
寧々は最初、隆に奈理子にピンクのパンツを履かないように伝えようと思いましたが、思いとどまりました。もし弟にパンツの色まで口うるさく言われたら、奈理子はさらに隆に冷たく接することになるだろうと寧々は考えました。どうすればいいのか分からない状況に立たされた寧々は、思案に暮れていました。
彼女は、この複雑な事態をどう収束させるべきか迷いながら、奈理子と隆の関係を修復する方法を見つけ出さねばならないと強く感じました。小さな誤解や勘違いが大切な人との関係を傷つけることを知り、寧々は心を痛めました。
路地裏の占師・鈴の屋敷には、淡い灯りが灯り、静かな雰囲気が漂っていた。奈理子は迷い戸惑いながら、小さな足音をたてて鈴の元へと足を運んでいた。
彼女は3歳年下の弟隆が自分のパンツを手にしている姿を見た後、どのように隆と接していいのか分からなくなっていた。親や友人には相談できない内容であり、深刻な悩みに苦しんでいた。
幼い頃から奈理子にとって、隆は可愛くて大好きな弟だった。二人で一緒に遊ぶ機会は減ってきたものの、家族としての絆は深まっていくと思っていた。しかし、隆が小学生になってからの彼女の気持ちは大きく揺れ動いていた。
弟から女性として見られていることに、奈理子はショックを受けていた。彼女は、自分がまだ幼さの残る弟に対して女の子のパンツに興味を持たれていることが理解できなかった。それによって彼らの姉弟関係にも変化が生じ、奈理子は戸惑いと心の葛藤に囚われていった。
鈴は占い師として、奈理子の専門外の相談に少し驚きながらも、彼女の話に耳を傾けていた。鈴の屋敷は穏やかな雰囲気に包まれ、奈理子の心の中にも少しだけ安らぎが訪れた。
奈理子は心の内を吐露し、自分が抱える悩みを率直に語った。鈴は静かに聞き、深い洞察力をもって奈理子の思いに寄り添っていた。
「奈理子さん、あなたの悩みはとても理解できます。幼い頃の弟との関係が変わってしまったと感じることは、誰にでもあることです。ただし、隆が興味を示すのはあくまで女の子のパンツ自体であり、あなた個人に対するものではないのよ」
と鈴は優しく語りかけた。
奈理子は鈴の言葉に少しずつ心を開き始める。
「そうですか、隆がただ興味を持っているだけなんですね」
と彼女は小さく呟いた。
鈴は微笑みながら続けた。
「あなたは姉として、弟の成長を見守る存在です。もしも再び隆がパンツに興味を示すような行動を見せたら、優しく注意することができるはずです。そして、あなた自身も自信を持って弟との関係を築いていくことができますよ」
部屋で恥ずかしい行為を隆に目撃されてしまったことは鈴には言えなかったが、奈理子は少しずつ心が軽くなり、鈴の言葉に救われたような気持ちになった。彼女は姉としての責任を再認識し、弟との絆を取り戻すための一歩を踏み出す覚悟を持った。
占師の鈴のもとを後にすると、奈理子は心に少しの希望を抱いて歩き出した。家族との絆を深め、弟との関係を修復するために、彼女は自分自身に向き合い、成長していく決意を固めたのでした。
鈴が奈理子を見送った後、静かな部屋にライムと糸井が入ってきた。鈴は二人の存在を感じつつも、彼らの言葉には反応しなかった。
糸井は笑いながら言った。
「奈理子はいつも白いパンツばかり穿いているから、弟がピンクのパンツを手に取ってしまったんだろうな。珍しいものに興味を持つのはよくあることさ」
と。鈴は彼の言葉を無視し、心の中で考え事をしていた。ミラクルナイトとして戦い、辱めを受け、恋に苦しみながらも、奈理子が抱える姉としての悩みを知ることで、彼女を愛おしく感じていた。これらは全て中学2年生にとっては重すぎる悩みだ。
来月から奈理子は中学3年生となり、受験勉強も始めなければならない。鈴は心配しながらも、彼女が将来の道を切り開いていくことを願っていた。
「ライム、奈理子のこと大切にしている?」
鈴は静かに問いかけた。ライムは微笑みながら答えた。
「ちゃんと可愛がってやっている」
鈴は彼の言葉にほっと胸を撫で下ろした。彼女は奈理子への術を解きたいと思うようになっていた。
静寂が部屋に広がる中、鈴は再び深い呼吸をし、奈理子の未来に思いを馳せた。彼女が受験勉強を頑張り、自分の道を切り開いていく姿を見ることができるのか、それは鈴自身にも分からない未来の物語となっていた。
騒がしい町内放送が商店街に鳴り響いた。その内容は、カエル男の出現を伝えるものだった。テントの中で鈴とライム、糸井はそれを耳にしていた。
「新型だな」
とライムが呟く。最近、カオリからカエルの変身薬が完成したと聞いていた。脊椎動物での変身薬は難しいものだそうだ。昨年の春、カエル男の薬を試した際には、ミラクルナイトによって倒されてしまった。
「新しいカエル男は誰?」
鈴が問いかける。糸井が答えた。
「市の職員だ。情報が入ってきたばかりだから、詳細はまだ分からんがな」
鈴はテントの一角に鏡張りの床を作っており、そこで奈理子のパンツの色を確認していた。今日の奈理子のパンツはピンクではないことを鈴は言った。
「奈理子のパンツは白よ」
と鈴は静かに言った。テントの中は少し緊張感が漂う。彼女は奈理子のパンツがピンクではないことを確認し、心の中でほっとした。
商店街ではカエル男による騒動が続いているが、鈴は今後の展開を見守るしかなかった。奈理子のパンツの色は一時の安堵をもたらしたが、新たな敵の出現は奈理子にとって新たな戦いを意味していた。奈理子の運命は、まだ分からない未来の物語となっている。
商店街はカエル男による混乱で騒然としていた。奈理子は、以前に倒したはずのカエル男が再び現れたことに戸惑っていた。なぜ彼が戻ってきたのか、その理由に奈理子は頭を抱えた。
商店街の人々は奈理子の姿を見つけると、彼女がミラクルナイトに変身してカエル男を撃退することを期待し、歓喜の声を上げた。しかし、奈理子はゲジゲジ男に体を汚された恐怖が再び蘇り、立ちすくんでしまった。ミラクルナイトに変身しても、再び犯されるのではないかという恐怖に怯えていたのだ。
そんな奈理子を見つけたカエル男は、長い舌を伸ばして彼女を捕まえた。奈理子は恐怖に震えながらも必死に抵抗したが、カエル男の力には及ばなかった。
その時、ドリームキャンディが現れたが、奈理子を人質にされているため、カエル男に手を出すことができなかった。彼女もまた奈理子の身を案じながら、無力感に苦しんでいた。
やがて、遅れて三馬鹿トリオも駆けつけた。隆はカエル男に抱えられながら、泣いている姉の奈理子の姿を見た。彼は姉を助けなければという強い思いに駆られた。
商店街は混沌としていたが、三馬鹿トリオとドリームキャンディは力を合わせ、奈理子を救うために奮闘し始めた。彼らは困難に立ち向かいながら、絆と勇気を胸に奈理子の救出を試みるのだった。
この激動の瞬間、未来はまだ予測できず、彼らの運命は試練に包まれていた。しかし、奈理子を守るために闘う意志は揺るがず、彼らの心に燃える勇気と希望が輝いていた。
ドリームキャンディは必死にカエル男に対抗しながら、奈理子に当たらないようにキャンディチェーンを放っていた。しかし、カエル男は身軽にビルの壁や電柱を飛び回り、攻撃を避けることができてしまう。ドリームキャンディは焦りを感じながらも、ピンクパンツブラックナイトとの戦い以来、奈理子のパンツが気になってしまっていた。
奈理子はカエル男に抱かれながら宙を舞っている。彼女の濃紺の制服スカートから覗く純白のパンツが、まるで輝いているかのように見えた。ドリームキャンディは奈理子のパンツを見ないように意識しようと思ったが、カエル男に抱かれた彼女の白いパンツは、どうしても目に入ってしまった。
そして、隆が勇気を振り絞ってカエル男に向かって角材を持って殴りかかった。
「姉ちゃんを返せ!」
という彼の声が響き渡る。奈理子は必死に隆に近寄らないように叫んだが、カエル男は彼を弾き飛ばしてしまった。
「隆!」
奈理子の声が叫ばれた瞬間、彼女の心には強い懸念と不安が広がった。彼女は弟を守りたいという強い思いで胸が痛んだ。しかし、彼女自身もカエル男に捕まっているため、どうすることもできない無力感に襲われた。
この危機的な状況の中、奈理子の心は揺れ動いていた。しかし、彼女の中には弟への深い愛と勇気が芽生えていた。奈理子は再び立ち上がり、カエル男に立ち向かう覚悟を固めたのだ。
商店街の人々は彼女の闘志に感銘を受け、奈理子の力強い姿を見て希望を抱いた。彼らは彼女が立ち上がることで、自らも勇気を持って戦う決意を固めた。
奈理子と隆、そしてドリームキャンディと三馬鹿トリオの絆が再び交わり、新たな戦いが始まろうとしていた。彼らの心には光が灯り、困難を乗り越えるための力が湧いていたのだった。
隆に気を取られている間に、ドリームキャンディのキャンディチェーンがカエル男のヌルヌルとした体に当たった。ドリームキャンディには手応えは感じられなかったが、カエル男は驚いたのか奈理子を放してしまった。奈理子は素早く隆の元へ駆け寄った。隆は軽い脳震盪を起こしているようだった。奈理子は弟にこんな目に合わせたカエル男を許せなかった。
奈理子は立ち上がり、勇気を取り戻した表情でアイマスクを掲げた。商店街の人々は興奮し、期待に胸を膨らませた。久しぶりの奈理子の変身シーンに、彼らは熱い期待を寄せていた。
奈理子がアイマスクを装着すると、突如として水色の光が彼女を包み込んだ。光の中で奈理子の制服が弾け、彼女の姿は純白のジュニアブラとショーツのみとなった。彼女の髪には白いリボンが飾られ、手足には水色のグローブとブーツが装着され、白いブラウスには胸に水色の大きなリボンが飾られていた。
次々と現れるアイテムに商店街は大歓声を上げた。最後に水色のラインが入った白いプリーツスカートが現れ、光の輝きが消えると、リボンの髪とプリーツスカートがフワリと舞い上がり、水都の守護神であるミラクルナイトが地に降り立った。
商店街の人々は大喜びし、歓声が響き渡った。ミラクルナイトは彼らの期待に応える存在であり、強化されたカエル男を倒すことができるのか、その瞬間を待ち望んでいた。
奈理子は心に強い決意を秘め、カエル男との戦いに臨む準備を整えた。彼女の勇姿は商店街の人々に勇気と希望を与え、彼らは彼女を支援するために一致団結した。
ミラクルナイトは商店街の人々の期待に応えるため、カエル男との壮絶な戦いに身を投じるのであった。
ラクルナイトはミラクルウイングを広げ、舞い上がりながら掌から水色の光弾を放った。地上からはドリームキャンディがキャンディチェーンを振り続けていたが、カエル男は縦横無尽に跳ね回り、当てることができなかった。カエル男の動きは前に戦った相手よりもはるかに俊敏で、その強さにミラクルナイトは圧倒された。
突然、カエル男はミラクルナイトに抱きついてきた。その体はヌルヌルとして不快感を覚えさせた。商店街の人々の中から、慎治がアマガエルには毒があるから離れるようにと叫ぶ声が上がったが、カエル男の手は吸盤で覆われており、ミラクルナイトをしっかりと捕まえていた。
ミラクルナイトは必死に抵抗しようとしたが、カエル男は容赦なくしがみつき続けた。彼の粘液に触れたミラクルナイトのコスチュームは溶け始め、苦悶の表情が彼女の顔に浮かび上がった。
カエル男は地面にミラクルナイトを激しく叩きつけると、彼女は失神してしまった。意識が薄れていく中で、彼女は隆に対して謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね、隆。お姉ちゃん、やっぱり勝てなかった…」
と。ミラクルナイトのブラウスとスカートは半分以上溶けてしまい、下着も一部が溶かされていた。そんな状態の彼女を見つめるドリームキャンディは、カエル男が動きを止めた隙を見逃さず、キャンディシャワーを放った。カエル男はダメージを受けて退散していった。
ドリームキャンディはミラクルナイトの方を見ると、失神して半裸の状態になっている彼女に商店街の人々がバスタオルをかけ、体を遮るようにしていた。隆は心配そうにミラクルナイトを見つめていた。
商店街の人々はミラクルナイトの勇気と奮闘をたたえ、彼女の救出に協力した。その姿に感動し、彼らはミラクルナイトに感謝の念を示した。
ミラクルナイトは失神したままだったが、隆の気遣いや商店街の人々の温かい心遣いに支えられながら、彼女の戦いは続いていくのであった。
商店街の雑居ビルの屋上では、ライム、糸井、そして鈴がカエル男との戦いを目撃していた。糸井はカエル男の能力を興味深く評価し、
「面白い能力を持っているやつだ」
と口にした。一方、鈴はカエル男の服を溶かす能力を不快に感じ、
「趣味が悪い」
とつぶやいた。鈴が能力を利用して金儲けをすることについて糸井が冗談めかして言うと、鈴は即座に反論した。
「私は薬の能力を占いに使っているだけで、金儲けのために使うつもりは無いわん」
と述べた。鈴は自分の能力を人々のために利用し、街の人々の幸せを願っているのだ。
ライムは糸井と鈴のやり取りには加わらず、心の中で考えていた。彼は奈理子が仲間の一員であることが安全であると感じていた。ライムはその考えを静かに呟いた。
鈴はライムの言葉に驚きつつも、黙っていた。彼女もまた、姉である奈理子が公衆の面前で辱められる姿を見せつけられた隆のことを心配していた。隆が奈理子に対して抱く心の傷は深く、それを癒すためには時間と思いやりが必要なのだと鈴は思った。
商店街の屋上での静かな時間の中、それぞれが心の中で思いを巡らせながら、次なる戦いへと備えるのであった。
(第38話につづく)
(あとがき)














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