ミラクルナイト☆第143話
水都で絶大な人気を誇る女子高生、奈理子。その弟である隆と彼女は、仲良し姉弟として市民に親しまれていた。しかし、ある日、隆が奈理子の部屋にノックもせずに入ってしまい、誰にも見られたくない彼女の姿を目撃してしまったことから、姉弟の関係は急速に険悪なものとなった。その出来事については、奈理子と隆以外の誰も知らない。
水都中学一年A組の教室で、寧々は奈理子と隆の様子がどことなくおかしいことを感じ取っていた。
「隆、奈理子さんと喧嘩でもしたの?」
と、寧々は心配そうに声を掛けた。
隆は寧々の言葉に少し驚いたようだったが、すぐに視線を外した。
「別に、喧嘩なんてしてないよ」
と、ぶっきらぼうに答えたが、その声にはどこかぎこちなさが漂っていた。
寧々は隆の態度にますます疑念を抱きながらも、あまり踏み込み過ぎないよう気をつけて言葉を続けた。
「なんだか元気がないみたいだから、ちょっと気になって…。奈理子さんのことが気になるのはわかるけど、喧嘩しちゃうと寂しいよね。」
隆はちらりと寧々を見て、少しだけ心を開いたように言った。
「姉ちゃんと喧嘩するのはいつものことだけど、今回は本気で姉ちゃんを怒らせたようだ…」
言い淀む隆に、寧々は優しく微笑んだ。
「姉弟だからこそ、気をつけないといけないこともあるよね。でも、奈理子さんもきっと隆のことを大事に思ってるから、ちゃんと話し合えば分かり合えるんじゃないかな。」
隆は寧々の言葉を聞きながら、心の中でうなずいていた。奈理子との関係を修復したいという気持ちはあったものの、どうやって接すればいいのか悩んでいたのだ。
寧々の存在が、隆にとって心の支えになっていることに気付いた彼は、
「そうだな、寧々。少し考えてみる」
と、少し明るい声で答えた。
それを聞いた寧々は、少しホッとしながらも、
「何かあったら、いつでも言ってね。私でよければ、話を聞くから」
と、優しく応じた。
こうして、隆は姉との関係を修復する一歩を踏み出す決意を固めたのだった。寧々の言葉が、彼の心に希望の光を灯したのだ。
その日の夕方、帰宅後、奈理子は部屋着に着替えてリビングでくつろいでいた。テレビの音が部屋に流れ、奈理子はそれをぼんやりと見つめている。
そのとき、隆が意を決したように近づいてきた。
「姉ちゃん」
と、少し緊張した声で奈理子に声をかけた。しかし、奈理子は顔を上げずに冷たく言い放った。
「変態の弟とは口を利かないことにしたから。」
隆を睨みつける奈理子の視線には、まだ怒りが残っている。隆は何か言おうと口を開きかけたが、奈理子はそれを無視するように立ち上がり、自分の部屋へと向かって行ってしまった。
ドアが閉まる音が静かに響き、隆はその場に立ち尽くした。何とか和解したいという気持ちとは裏腹に、再び距離を感じてしまった隆は、重い気持ちを抱えながらその場に立ち尽くすしかなかった。
翌日の水都中学校一年A組の教室で、寧々は隆に声をかけた。
「まだ奈理子さんと仲直りしていないの?」
隆は忌々しそうに答えた。
「ああ、姉ちゃんは俺のこと無視してる。」
一人っ子の寧々は、姉弟喧嘩を羨ましく思いつつ、隆のために何とか力になってあげたいと考えていた。
「ライムに相談してみたらどう?奈理子さんはライムのことが大好きだから、ライムの言うことなら絶対に聞くよ」
と寧々は明るく提案したが、
「アイツの世話にはなりたくねぇ」
と隆は、奈理子の彼氏であるライムに頼ることを良しとしなかった。
寧々は少し考えてから提案を変えた。
「なら、隆が奈理子さんを助けるっていうのはどう?」
奈理子が可愛いからこそ、敵に襲われることが多いことを寧々は知っていた。ミラクルナイトに変身して戦う奈理子だが、彼女はしばしば敗北してしまう。そこで、隆が颯爽と現れてミラクルナイトを救出するという案を考えたのだ。
「俺が怪人や魔物と戦えるはずないだろ」
と隆は呆れたように言った。
「大丈夫、私がすぐにフォローに入るから。敵は私に任せて、隆は敵に負けて傷心の奈理子さんをたっぷり慰めてあげるといいわ」
と寧々は得意げに言った。
「姉ちゃんは負けると決まってないだろ」
「かなりの確率で奈理子さんはスカートを脱がされて負けるわ」
と寧々は笑いながら返した。
「お前、姉ちゃんのことをバカにしてないか?」
隆がムッとした様子で言う。
「そんなことないわ。私は奈理子さんが大好きだし、尊敬してるよ」
と寧々は真剣な表情で答えた。その言葉に、隆は少しだけ心が軽くなった気がした。
放課後の水都公園。アスパラ男に破壊された噴水広場では、急ピッチで復旧工事が進められていた。他の自治体に比べて圧倒的な財力を持つ水都市の反応は早い。先日、ムカデドリルとヘビサンダーに荒らされた水都タワー前広場も、すでに工事業者が決まっていた。
芝生広場のベンチで、敵の出現を待つ寧々と隆。そんな二人の前にライムが現れた。
「お前たち、いつも一緒にいるな」
とライムが二人に声をかけた。
「そんなことないけど…」
寧々が恥ずかしげに答える。隆はそっぽを向いていた。
「去年も二人で仲良くプールに来てたよな」
とライムが言うと、寧々は口ごもる。奈理子とライムのデートを偵察するために、隆と寧々は二人でプールに行ったのだ。
「奈理子さんと待ち合わせ?」
寧々が話題を変えた。
「待ち合わせ場所はここじゃないけどな」
とライムは答える。奈理子との待ち合わせ場所は、少し離れた多目的トイレ前のベンチだった。
「隆、奈理子に何したんだ?奈理子はカンカンに怒ってるぞ」
とライムが隆に声をかけた。
「姉ちゃん、何か言ってたのか?」
隆は奈理子の彼氏であるライムに理由を知られたくなかった。
「姉弟の間のことは俺は知らん」
とライムは言い残して行ってしまった。
「隆、どうする?私たちが水都公園にいることを知られちゃったよ」
と寧々が不安げに言う。彼らの計画は、水都公園に現れた敵とまずミラクルナイトが戦い、スカートを脱がされて負ける。敵が強ければ、パンツも脱がされるかもしれない。その後、ドリームキャンディと隆が現れ、ミラクルナイトを助けるというものだった。寧々が水都公園にいることを知られたら、早々にドリームキャンディは登場しなければならない。
「別にいいんじゃないか。敵が水都公園に現れると決まった訳じゃないし」
と隆は答えた。
「じゃ、このままここで待とうか」
と、寧々と隆は水都公園で敵が現れるのを待つことにした。二人は、静かに夕暮れの訪れを待ちながら、その時が来るのを待ち構えていた。
芝生広場で、敵の出現を待つ寧々と隆。遊歩道の方が騒がしい。逃げてきた市民に
「どうしたんですか?」
と寧々は尋ねると、ウズムシ男たちが奈理子を襲ってきたという。
「寧々、行くぞ!」
と隆が声をかけ、寧々はうなずいた。
遊歩道では、五人のウズムシ男が水都女学院の制服姿の奈理子と対峙していた。奈理子のそばにはライムもいる。その周囲を市民が遠巻きに見守っていた。
「彼氏と一緒にいるところを襲ってくるなんて、貴方たち一体何なのよ!」
と奈理子が怒りを露わにする。
「フフフ、ウズムシどもが奈理子と遊ばせろと煩くてな。今日はウズムシどもの相手をしてもらうぜ」
とワサビ男が現れた。
「うぅ…変身中は攻撃してこないでよ!」
奈理子がアイマスクを取り出す。しかし、
「水女の制服奈理子も可愛いから、このままがいいな」
「喋らなければ清楚なお嬢様って感じだ」
とウズムシ男たちは、奈理子に変身させるつもりはないようだ。ウズムシ男たちの下衆な視線に後退りする奈理子。
「安心しろ、奈理子。寧々が芝生広場にいたから、すぐに助けに来てくれるぞ」
「寧々ちゃんが水都公園にいるの?」
とライムの言葉に希望を見出した奈理子。
「でも、変身しないと危ないからトイレにでも駆け込んで変身しろ」
ライムがそう言うと、奈理子は頷き、多目的トイレに向かって駆け出した。
「待て!逃げるな、奈理子!!」
ウズムシ男たちが奈理子を追う。
木陰に隠れて様子を窺っていたドリームキャンディと隆。寧々はいつでも奈理子を助けに行けるように既に変身していた。
「ワサビ男がいるなんて聞いてない…」
と、天敵のワサビ男がいることに意気消沈のドリームキャンディ。
「姉ちゃんも逃げたし、俺たちも帰るか」
隆が言ったそのとき、
「お前たち、何してんだ?」
とライムに見つかってしまった。
それを見てドリームキャンディの存在に気付いた市民が
「キャンディだ!」
「奈理子を苛めるワサビ男をやっつけてくれ!」
と騒ぎ始める。
「うぅ…」
市民の期待を背負ってしまったドリームキャンディは、天敵ワサビ男と戦うしかなかった。
「奈理子さんを苛める者は、中学生戦士ドリームキャンディが許しません!」
ドリームキャンディは自棄になってワサビ男の前に飛び出した。ワサビ男の山葵の前ではドリームキャンディのキャンディの甘さは無力だ。それでも、ドリームキャンディはキャンディチェーンを手に、ワサビ男に立ち向かう。
「飴玉ごときに何ができる。これでも喰らえ!」
ワサビ男が山葵の粘液を放つ。
「キャンディディフェンス!」
ドリームキャンディはキャンディチェーンを螺旋状に回転させ全身を覆い、山葵の粘液から身を守る。
「そんなもんで山葵を防げるか!」
さらに山葵の粘液を放ち続けるワサビ男。山葵の粘液はキャンディチェーンを構成するキャンディを徐々に溶かしていった。
「頑張って、私の飴ちゃん!」
ドリームキャンディは祈るが、ついに山葵の粘液がキャンディディフェンスを突破した。
「きゃ〜ぁ!」
山葵の粘液を浴びて倒れるドリームキャンディ。
「あぁ…目が、鼻が…」
目がヒリヒリ、鼻がツーンとするドリームキャンディは戦うどころではなくなった。隆がドリームキャンディに駆け寄り、
「姉ちゃんじゃなくて寧々が負けてどうすんだ!」
と叱咤するが、
「そんなこと言われても、もうダメ…」
ドリームキャンディはすでに戦意を喪失していた。
そこに、五人のウズムシ男を一蹴したミラクルナイトが戻って来た。
「水都の平和を乱す者はミラクルナイトが許しません」
と高らかにミラクルナイトが宣言する。
「奈理子だ!」
「やはり、奈理子でないとダメだ!」
「奈理子、今日も可愛いぞ!」
水都の守護神の登場に市民の歓声が沸き起こる。
白い翼、ミラクルウイングを広げ華麗に空を舞うミラクルナイト。その美しい姿はその場にいる市民を魅了していた。特に市民の視線を集めるのは地上から丸見えのスカートの中、奈理子の可憐な太股と白いコットンパンツだ。
「奈理子の純白パンティ最高!」
「今日のパンツも可愛いぞ、奈理子!」
と声援が飛び交う。
泣きじゃくるドリームキャンディを抱き締め、大声援を浴びるミラクルナイトを見上げながら、隆は
「パンチラの効果は絶大だな」
と呟く。
「いや、あれはパンモロだ」
とライムも奈理子の魅惑の純白パンティを見上げて呟いた。人気の面ではドリームキャンディはミラクルナイトの足元にも及ばない。ドリームキャンディもミラクルナイトのようにミニスカ生パンになれば人気が上がるのではないか、と隆は思った。
「キャンディを泣かす者は許さないわ!」
ワサビ男を見下ろすミラクルナイト。
「お前も泣かしてやる。喰らえ!」
ワサビ男は山葵の粘液を上空のミラクルナイトに放つ。
「同じ技は二度と通じないわ!フェアリーシールド!」
ミラクルナイトの左掌から現れた半球体の防御壁が山葵の粘液を弾く。そして、粘液を防いだミラクルナイトの両掌が水色に輝き始めた。たっぷりと水色の光を溜めたミラクルナイト。
「ミラクルシャインブラストシャワー!」
両手から、次々と強力な水色の光弾が地上に降り注ぐ。
「うわー!」
ワサビ男の叫びが、水都公園にこだまする。
「馬鹿な!姉ちゃんがあんなに強いはずがない…」
いつもと違うミラクルナイトの強さに驚愕する隆。
「空を飛べない相手を冷静に空から攻める。これができたら奈理子が負けるはずがない」
とライムは言うと、鼻を摘んで逃げて行った。水色の光弾に削られた山葵の苦味が周辺に漂っている。隆の目からも涙が流れてきた。
「寧々、俺たちも逃げるぞ」
隆はドリームキャンディを背負ってその場を離れる。
「空から攻撃するとは卑怯だぞ!降りて来い!!」
ワサビ男が吠える。
「分かったわ」
と答えるミラクルナイトの右足が水色に輝き始め、ワサビ男に向かって急降下する。
「ミラクルキィ〜ック!」
渾身のミラクルキックがワサビ男に炸裂する。
「この俺が奈理子ごときに敗れるとは…」
ワサビ男はよろめきながら悔しそうに言った。
「だが、タダでは死なんぞ。見ろ!」
彼は右手を高々と掲げ、その手にはミラクルナイトのスカートが握られていた。ミラクルキックを喰らった瞬間、ワサビ男は素早くミラクルナイトのスカートを掴み、脱がしてしまったのだ。
皆がミラクルナイトを見ると、彼女はスカートを穿いておらず、下半身は白いコットンパンツと水色のブーツだけという姿だった。消滅していくワサビ男を見つめながら、
「最後までエッチなんだから…」
とミラクルナイトは恥じらいながら呟いた。
ミラクルナイトが周囲を見渡すと、隆にすがりついて泣いているドリームキャンディの姿が目に入った。
「スカートを脱がされてパンツ丸出しにされたけど、姉ちゃんが勝ったぞ」
と隆はドリームキャンディの耳元で囁いた。
「私がスカート脱がされてパンツ丸出しにされた奈理子さんを助けるはずだったのに…」
ドリームキャンディの涙は止まらない。ミラクルナイトが歩み寄り、
「キャンディ、大丈夫?」
と声を掛けた。
遠くからは汚れのない純白に見えた奈理子のパンツも、近くでよく見ると奈理子の体液と埃で少し汚れている、と隆は思った。
「大丈夫です」
と答えるドリームキャンディだが、山葵地獄からはまだ抜け出していない。
ミラクルナイトは、隆の視線が自分のパンツに注がれていることに気付いた。
「お姉ちゃんのパンツがそんなに気になるの?」
と彼女は呆れて隆に冷めた視線を向けた。
「うぅ」
と怯む隆。しかし、
「隆は悪くありません!そんな格好で前にいたら、誰でも奈理子さんのパンツを見てしまいます!」
とドリームキャンディが隆を庇った。
ドリームキャンディに言われ、強烈な恥ずかしさが込み上げてきたミラクルナイトは、慌てて変身を解いて水都女学院の制服姿の奈理子に戻った。そして、
「隆、キャンディをちゃんと家まで送って行きなさいよ」
と告げると、ライムの元へ駆けて行った。
(第144話へつづく)











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