ミラクルナイト☆第144話
穢川研究所の社長室では、ワサビ男の敗北が多実から勅使河原に報告された。
「まさか、ワサビ男が奈理子に敗れるとは…」
と、勅使河原の側近である渦巻が溜息をついた。
「奈理子に空から攻められ、一方的に倒されていました。最後に奈理子のスカートを脱がし、意地を見せましたが…」
と多実が状況を説明した。
「やはり、奈理子の相手はウデムシ男に任せるしかないな」
と勅使河原が呟いた。ウデムシ男は空を飛ぶことはできないが、異様に長い手足で空中の敵をも攻撃することができ、実際に何度もミラクルナイトを捕らえ、凌辱してきた実績がある。
「お待ちください。奈理子と戦いたがる者は多くいます」
と渦巻が、他の者にも奈理子と戦うチャンスを与えるべきだという意見を述べた。
「それでは、テントウムシ女に指揮を任せてはいかがですか?」
と多実が進言した。
「テントウムシ女か…」
勅使河原は彼女を思い出した。負けず嫌いで自己主張が強い女だが、戦闘力は大したことがない。
「九頭先生がテントウムシの薬を改良し、テントウムシ女に電波を操る能力を付与しました。彼女を試す良い機会だと思います」
と多実は続けた。
勅使河原も九頭から直接テントウムシの薬が改良されたことは聞いていた。
「よかろう。しかし、テントウムシ女だけでは心許ない。イソギンハンミョウと組ませろ。ウズムシも適当に付けてやれ」
と彼は多実に命じた。
ワサビ男を倒したミラクルナイト、奈理子にさらなる刺客が送り込まれようとしていた。
昼休みの水都中学一年A組の教室で、寧々は窓の外をぼんやりと眺める隆に声をかけた。
「まだ奈理子さんと仲直りしていないの?」
隆は重い口を開いた。
「口を利くどころか、見向きもしねぇ。完全に無視されてるんだ」
と、まだ奈理子の機嫌が直っていないことを不満そうに話す。
「奈理子さんも素直じゃないな…」
寧々はため息をついた。彼女が嫉妬するほど、奈理子の弟・隆に対する愛情は強い。何があったかは知らないが、寧々は奈理子が本当は隆と仲直りしたいはずだと考えた。
「私に任せて」
と寧々は胸を張った。それを見て、隆は姉の奈理子よりも寧々の胸が大きくなりそうだと思った。
「ライムのところに行ってくる」
と寧々が言うと、
「アイツに頼るな」
と隆は不満をあらわにした。
「奈理子さんが口を利いてくれないのなら、ライムに伝言を頼むしかないでしょ」
と寧々は言い、二年生の教室に向かおうとした。隆はライムに頼るのが気に入らないが、寧々に任せることにした。
「アイツ、昼休みは屋上にいるって、前に姉ちゃんが言ってたぜ」
「屋上は立ち入り禁止じゃないの?」
寧々は少し驚いた。
「アイツは屋上の鍵を開けられるらしい」
「ライムはスライム男だもんね」
と冗談を言って寧々は教室を出ていった。
と、寧々は呟きながら屋上に向かう階段を駆け上がった。
寧々は屋上へ続くドアのノブを回した。鍵はかかっていなかった。屋上は立入禁止のはずなのに、開いていることに少しドキドキしながら屋上へと出る。そこには、いつもいる学校とは違った景色が広がっていた。手すりに近づいて思わず
「わぁ~」
と声を漏らす寧々。
「おい、そこに立つな。屋上にいることがバレるだろ」
と背後からライムの声がした。振り返るが、誰もいない。手すりの側では教室から見えてしまうことに気づき、寧々はそこから離れた。
「どこ?」
と周りを見渡してライムを探すが、その姿はない。
「ココだ」
と塔屋の上からライムが顔を覗かせると、軽やかに屋上に飛び降りた。
他には誰もいない屋上に、女子たちの間で人気の美少年ライムと二人きり。そんなシチュエーションに寧々は不覚にも少しときめいてしまった。
「ここに俺がいると奈理子に聞いたのか?」
とライムがぶっきらぼうに言う。寧々は歓迎されていないと感じた。
「隆から。隆は奈理子さんに聞いたって」
と答えると、
「で、俺に何の用だ?」
とライムが訊ねる。寧々は奈理子と隆を仲直りさせる計画を告げた。
「分かった。奈理子には伝えておく」
とライムが協力してくれることに寧々はホッとした。
ふと、さっきまでライムがいた塔屋の上に目を向けた。学校の一番高い場所であるそこは、どこからも見ることができないため、誰にも邪魔されない二人だけの空間になる。
「奈理子さんがいるときは、あそこで、二人で何をしていたの?」
と寧々がライムに聞いた。今年の三月まで奈理子は水都中学の生徒で、今では奈理子とライムは水都中学のラブラブカップルとして伝説となっている。
「お前の想像通りのことだ」
とライムはニヤリとして答えた。
放課後の水都タワー前広場。そこに立つのは、中学生戦士ドリームキャンディだった。広場を取り囲む市民たちは、静かに見守りながらも、何かが起こるのを待ち構えていた。
その中に、人間の姿をした二人の男女がいた。
「奈理子を襲う予定だったが、面白いことになってきたな」
と男が言う。
「仲間割れかしら?ミラクルナイトがドリームキャンディに勝てるはずないのに」
と女が答える。彼らはイソギンハンミョウとテントウムシ女だった。ドリームキャンディとミラクルナイトの決闘が行われると噂を聞きつけて、奈理子を襲うのを止め、ここに来たのだ。
市民たちも皆、ミラクルナイトがドリームキャンディに勝てるとは思っていないようだった。
「ビンタ一発で奈理子失神。失神した奈理子はスカートを脱がされて…」
「キャンデイは容赦ないから、奈理子はパンツも脱がされるかもしれないぜ」
「奈理子がどんな姿にされるか楽しみだ」
どうやって奈理子が負けるのか、口々に予想を語り合っていた。
「あっ!奈理子だ!」
一人が叫ぶと、清楚可憐な水都女学院の制服を着た奈理子が姿を現した。彼女の登場に、奈理子コールが沸き起こる。たとえ弱くても、ミラクルナイトとしての奈理子の人気は絶大だ。
「キャンディ、どういうつもり?どうして私がキャンディと戦わなければならないの?」
奈理子はドリームキャンディに問う。
「奈理子さんが頑固だからですよ。私が勝ったら、奈理子さんは隆と仲直りしてください」
とキャンディは答える。
「どうしてそうなるの?!私と隆のことはキャンディには関係ないでしょ!」
奈理子がキャンディを睨む。
「奈理子、弟と喧嘩してるのか!」
「姉弟は仲良くしなきゃダメだぞー!」
市民から声が飛ぶ。
「あんなエッチな弟のことなんか知らないわ!」
奈理子が叫ぶ。
「奈理子、弟にエッチなことされたのか?」
「風呂でも覗かれたのか?!」
市民の間にどよめきが走る。
「奈理子さん、どうして隆の気持ちを分かってあげないんですか?」
ドリームキャンディが問いかける。
「姉弟のことにキャンディは口を出さないで!」
と奈理子が抗議する。しかし、ドリームキャンディは
「分からず屋の奈理子さんには、お仕置きが必要ですね」
と言い放ち、キャンディチェーンを石畳に叩きつけた。戦いは避けられないと悟った奈理子はアイマスクを取り出す。
「おー!変身だ!!」
「今日の奈理子のパンツは何色だー?!」
「奈理子のパンツは白に決まってる!」
市民の期待が膨らむ。
アイマスクを装着し、ミラクルナイトに変身する奈理子。市民の期待通り、今日の奈理子の下着も白だった。
「大勢のファンの前で泣かせてあげますよ、奈理子さん」
とドリームキャンディの瞳が挑戦的に輝いた。
隆はタワー前広場で、ミラクルナイトとドリームキャンディが向かい合う様子を見ていた。寧々は「私に任せて」と言っていたが、こんな事態になるとは思ってもみなかった。
「さすが、優等生の学級委員だな」
と後ろから声がした。振り向くとライムだった。
「どこが、さすが、だ。姉ちゃんが寧々に勝てるはずがない。姉ちゃんを痛め付けて、無理やり仲直りさせようとしてるだけだろ」
と隆は不満を口にした。寧々は偏差値は高いが、実はバカなのではないか、とも思った。
「奈理子は仲直りする口実が欲しかったから、丁度いい機会になったんだよ」
とライムは隆に告げる。
ミラクルナイトは過去に何度かドリームキャンディと戦ったことがあるが、いつも惨敗していた。
「今日は負けないわ!」
とミラクルナイトはミラクルウイングを広げた。ドリームキャンディは空を飛べない。キャンディチェーンの射程外の空から攻めれば勝てると判断した。しかし、跳び上がろうとした瞬間、キャンディチェーンがミラクルナイトに巻き付いた。
「きゃ~ぁ!」
と悲鳴を上げながら地面に叩きつけられたミラクルナイト。
「うぅ…やっぱり、私じゃキャンディには勝てない……」
と地に伏したまま項垂れる。
「空を飛べない私を空から攻めるのは卑怯ですよ」
とドリームキャンディはミラクルナイトを見下ろしながら言った。
「それならば、武器を持ってない私にキャンディチェーンを使うのは卑怯よ!」
とミラクルナイトは言い返す。
「確かに、奈理子さん相手にキャンディチェーンは使うまでもないですね」
と言いながら、ドリームキャンディはキャンディチェーンをキャンディベルトに変形させて腰に巻いた。そして、
「いつまで横になっているつもりですか?パンツが丸見えですよ、奈理子さん」
と挑発する。
「くッ…」
悔しそうに立ち上がるミラクルナイト。ミニスカートで戦う以上、パンツが見えるのは仕方がない。パンツを気にしていてはドリームキャンディには勝てない。
「勝負はこれからよ!」
とミラクルナイトは気合を入れ直し叫ぶ。
「えい!」
ミラクルナイトは得意のハイキックを繰り出した。しかし、ドリームキャンディは
「ふ~ん」
と余裕の表情でしゃがみ込み、
「奈理子さん、パンツに染みが付いてますよ」
と奈理子のパンツの汚れを確認する余裕さえあった。
「くッ!」
悔しさをにじませるミラクルナイト。そして、ハイキックを躱されたミラクルナイトの頬に、ドリームキャンディの強烈な平手打ちがバシーンと響いた。一瞬、意識が飛びかけたミラクルナイト。二発目が来ると身構えたが、ドリームキャンディは不意にミラクルナイトのスカートを掴むと、
「それッ!」
と脱がしてしまった。
露わになった奈理子の白いパンツと生脚に市民から歓声が上がる。ドリームキャンディはそのスカートをポイッと投げ捨て、
「奈理子さんにはその格好がお似合いです」
と笑った。
「キャンディ、酷い……」
座り込み、パンツを隠すミラクルナイトのアイマスクからは涙がこぼれ落ちそうだった。
「みんなの視線をパンツに感じるでしょ。そんな格好をしていると、みんな奈理子さんのパンツを見てしまうんです。どうして、隆だけが奈理子さんのパンツを見ちゃダメなんですか?」
ドリームキャンディがミラクルナイトを責める。
「パンツを見たから隆を怒っているんじゃないわ!」
ミラクルナイトは叫ぶ。
「じゃあ、何故、隆のことを許してあげないんですか!」
「それは…」
隆に何を見られたかは口が裂けても言えないミラクルナイトは口を噤む。
「やっぱり、奈理子さんにはお仕置きが必要ですね」
ドリームキャンディはミラクルナイトの髪の毛を掴んで立ち上がらせ、アイマスクを剥ぎ取った。さらに素顔の奈理子に往復ビンタを喰らわせる。ドリームナイトは徹底的にミラクルナイトを痛みつける。
「奈理子さん、隆に謝ってください」
「嫌よ!どうして覗かれた私が謝らなきゃならないの!」
ミラクルナイトは痛みと悔しさに耐えながらドリームキャンディを睨みつける。
「やっぱり弟に覗かれたのか!」
「悪いのは奈理子じゃなくて弟じゃないか!」
「謝るのは奈理子じゃなくて隆だ!」
姉弟喧嘩の真相を知った市民にどよめきが起こる。
「寧々の奴、余計なことしやがって…」
一転して自分が悪者にされ、怒りに震える隆。
「隆、早く行って奈理子に謝った方がいいぞ」
とライムが隆の背を押した。
「あっ!弟の隆だ!!」
「お前のせいで、奈理子が酷い目に逢ってるんだぞ!」
諸悪の根元である隆の存在に気付いた市民が隆に罵声を浴びせる。
「うぅ…」
広場に出てきたものの、その熱気に隆は圧倒されてしまった。
隆の存在に気付いたミラクルナイトは、
「止めて!私の弟に酷いこと言わないで!」
とドリームキャンディを振り切り、隆に駆け寄るとギュッと抱き締めた。
「姉ちゃん…」
「私が怒ったせいで辛い思いをさせて、ごめんね、隆」
抱き合う姉弟の姿にタワー前広場は温かい空気に包まれた。
「奈理子さん、髪を掴んだりビンタしたりしてごめんなさい。」
ドリームキャンディが神妙な顔つきでミラクルナイトに謝った。
「お前、やり過ぎだ。よくも姉ちゃんに酷いことしてくれたな!」
と、隆はドリームキャンディを怒鳴りつけた。
「私はただ、隆と奈理子さんに仲直りしてもらいたくて…」
「うるせぇ!何が『私に任せて』だ。大勢の市民の前で姉ちゃんのスカートを脱がしてパンツ丸出しにしやがって。」
隆の激しい怒りに、ドリームキャンディは怯んだ。
「隆、やめて。キャンディが私と隆を仲直りさせるためにやったのは分かったから。」
ミラクルナイトが隆を宥めようとした。
そのとき、ドリームキャンディは奈理子の白パンツの股間で何かが蠢いていることに気づいた。
「奈理子さん、危ない!」
ドリームキャンディが叫んだときには、すでにミラクルナイトは触手に捕らえられていた。
「きゃ~ぁ!」
ミラクルナイトは触手に引き寄せられ、身動きが取れなくなった。その場にはイソギンハンミョウとテントウムシ女が立っていた。
「面白いものを見せてもらったぜ、ドリームキャンディ。奈理子はもらって行くぜ。」
イソギンハンミョウが不敵に笑い、ミラクルナイトを抱きしめた。
「離して!」
とミラクルナイトは必死に藻掻くが、触手に絡め取られてしまい、自由を奪われていた。
「奈理子さんを返しなさい!」
ドリームキャンディがミラクルナイトの救出に駆け出したが、突然、彼女の身体が宙に浮いた。
「何これ?」
ドリームキャンディは何が起こったのかわからないまま、石畳に叩きつけられた。
「私はテントウムシ女。覚えておきなさい。」
テントウムシ女が悠然と前に出た。
「私に何をしたの?」
地に伏せるドリームキャンディが問いかける。
「電波エネルギーを衝撃波に変換して、あなたを投げ飛ばしたのよ。」
とテントウムシ女が答える。
新たな敵の出現に騒然とするタワー前広場。そんな中、緑色の光とともにセイクリッドウインドが降臨した。
イソギンハンミョウの触手に弄ばれるミラクルナイト。テントウムシ女と対峙するセイクリッドウインドとドリームキャンディ。タワー前広場の戦いは新たな局面を迎えていた。
「アンタたち、一体何してたのよ?」
セイクリッドウインドはドリームキャンディに問いかけた。
「隆と奈理子さんを仲直りさせようとしてたら、イソギンハンミョウとテントウムシ女がやってきて…」
ドリームキャンディは二人の怪人を指差した。
「ぷっ。テントウムシって弱そう。」
セイクリッドウインドはテントウムシ女を見て思わず笑ってしまった。
「私を笑うな!ウェーブスイング!!」
テントウムシ女が両手を交互に上げ下げすると、セイクリッドウインドは突然宙に舞い、石畳に叩きつけられた。
「ぐはっ!」
と苦悶の声を漏らす。
「ププッ。凜さん、見ました?ウェーブスイング!だって。」
ドリームキャンディはウェーブスイングのポーズを真似しながら、その可笑しさにくすくすと笑っていた。しかし、不意に投げ飛ばされたセイクリッドウインドは
「うぅ…一体何が……」
と戸惑いを隠せない。
「お前たち、私を馬鹿にしたことを後悔させてやる!」
怒りに満ちたテントウムシ女の声が響く。そして、
「イソギンハンミョウ、お前もいつまで奈理子と遊んでいるのだ!奈理子などウズムシどもに遊ばせておけ。」
と、イソギンハンミョウにまで怒りをぶつけた。
「そうだぜ、テントウムシの姉さんの仰るとおり、奈理子を渡しなよ。」
ウズムシ男たちが次々に現れ、ニヤニヤと笑いながら口々に言う。
「仕方ねぇなぁ。」
と言いながらも、イソギンハンミョウは奈理子の身体を弄び続ける。
「アンタたち…人を玩具みたいに扱って……いい加減にしなさいよ。」
ミラクルナイトがか細い声で呟く。
「ほう、こんなに濡らして、まだ逆らう元気があるのか?」
イソギンハンミョウがミラクルナイトの顔を覗き込む。
「当たり前よ!ミラクルパワー!!」
ミラクルナイトの身体が水色に輝き、イソギンハンミョウの触手を弾き飛ばした。
「奈理子さん、やったぁ!」
ドリームキャンディが歓喜の声を上げる。
「奈理子、まだ戦える?」
セイクリッドウインドが触手から解放されたミラクルナイトを支える。
「キャンディに負けて、敵にも負けるわけにはいかないわ。」
ミラクルナイトは力強く答え、再び戦いの意志を燃やした。
「イソギンハンミョウは手強いから、まずは弱そうなテントウムシ女からやりましょう」
とドリームキャンディが提案した。
「三人で一人を狙うのは卑怯じゃない?」
とミラクルナイトが疑問を投げかける。
「でも、あっちはウズムシ男が五人もいるし、卑怯なのはあっちだよ」
とセイクリッドウインドが言い返した。
狙いをテントウムシ女に定めた三人のヒロインは、一斉に彼女に向かって駆け出した。
「私を舐めるなよ。それッ、ウェーブスイング!」
テントウムシ女が例のポーズを取ると、三人のヒロインは宙に舞い上がり、無惨にも石畳に叩きつけられた。
「痛ぁ〜い!」
「きゃあ!」
「ぐはぁ!」
と悲鳴が広場に響く。
「これじゃ、近づくことすらできない…」
ミラクルナイトは苦しげに呟いた。
「ウェーブスイングはロックオンしてしまえば複数の相手を同時に投げ飛ばすことができる。貴方たちは私の身体に触ることすらできないわ。」
テントウムシ女は誇らしげに三人を見下した。
「さすがテントウムシの姉さんだ!」
「エッチな責めに咽び泣く奈理子も可愛いが、苦痛に歪む奈理子も可愛いねぇ」
とウズムシ男たちは大喜びしている。
しかし、
「奈理子は俺にやらせてもらうぜ」
とイソギンハンミョウがテントウムシ女の前に進み出た。
「貴方は前回奈理子に負けたのよね。いいわ、奈理子は貴方に任せる」
とテントウムシ女は笑いながら彼に譲った。
「奈理子さんを守ることが私たちの使命!」
「奈理子じゃなくて私たちが相手をしてあげるわ!」
とドリームキャンディとセイクリッドウインドがミラクルナイトの前に立ちはだかり、イソギンハンミョウを睨みつけた。
しかし、ミラクルナイトは彼女たちを制した。
「イソギンハンミョウのご指名は私。私がイソギンハンミョウと戦うわ。」
「さすが、水都の守護神ミラクルナイトだ。今日は手加減しねぇぞ!」
「今日こそ、貴方との戦いに決着を付けるわ!」
混乱するタワー前広場は、ミラクルナイトとイソギンハンミョウの一騎打ちへと様相を変えていった。
ドリームキャンディにアイマスクとスカートを剥ぎ取られたミラクルナイトは、奈理子の素顔と純白パンティを晒したままである。それでも果敢にイソギンハンミョウに挑むミラクルナイトに市民は熱い視線と声援を送っていた。
「えい!」
ミラクルナイトが水色の光弾をイソギンハンミョウに放つ。しかし、イソギンハンミョウが瞬間的に消えた。焦るミラクルナイト。気が付くと、ハンミョウの牙に細い腰を挟まれていた。
「あぁッ!」
イソギンハンミョウの素早い動きをミラクルナイトは全く追うことができない。ハンミョウの牙が光る。
「あッ!ああぁぁぁ〜ッ!!」
鋭い痛みがミラクルナイトの全身を襲う。意識が飛んでも痛みで直ぐに意識が戻る。失神することも許されないミラクルナイトはブラウスを裂かれながらも、何とかハンミョウの牙を振り解いた。しかし、イソギンハンミョウはミラクルナイトに息を付く間も与えない。ミラクルナイトに毒液を放つ。
「くッ!」
ジャンプして毒液を交わしたミラクルナイト。そのままミラクルウイングを広げ空中戦に持ち込もうとしたが、イソギンハンミョウの触手が素早くミラクルナイトの左足を掴んだ。
「きゃぁ~!」
石畳に引き倒されてしまったミラクルナイト。更に、触手に鞭打たれ、石畳をのたうち回る。何とか立ち上がったところで触手に首を絞められ、再び石畳に転がされて引きずり回される。
「奈理子、頑張れー!」
ミラクルナイトの見事なやられっぷりに市民の声援も熱が入る。
「姉ちゃん、しっかりしろ!立て!!」
隆も必死の声援を送る。
「もう、見ちゃいられない」
とドリームキャンディが助けに入ろうとキャンディチェーンを構える。しかし、
「やめろ。奈理子を信じろ」
とライムがドリームキャンディを止めた。
「ライムの言う通り、奈理子を信じよう。奈理子は水都の守護神。本当は私たちよりも強いはずなんだから」
セイクリッドウインドはドリームキャンディの手を握り、二人で奈理子を見守った。
ミラクルナイトの視界は揺れ、全身の痛みに震えながらも、彼女は立ち上がる決意を固めた。
「みんなの声援を無駄にしないわ…」
と心の中で呟き、再び戦う姿勢を取る。
「これ以上、やられっぱなしでいるものですか!」
ミラクルナイトの身体が再び水色に輝き始める。
「ミラクルパワー!」
水色の光が触手を弾き飛ばし、ミラクルナイトの周囲に水のオーラが輝き始めた。
「ミラクルアクアティックラプチャー!」
そのオーラから無数の水流が生まれ、激しい水の渦を形成してイソギンハンミョウを包み込む。
「奈理子、飛べ!」
ライムが叫ぶ。ミラクルナイトは白い翼、ミラクルウイングを広げ舞い上がった。白いリボンで飾られた髪は乱れ、白いブラウスは所々が引き裂かれ、純白だった木綿のパンツは汚れてしまっている。満身創痍のミラクルナイトだが、その美しい姿に市民の歓声が湧き上がる。
「奈理子!」
「ミラクルナイト!」
と歓声が続く。
「イソギンチャクに水など効かん!」
イソギンハンミョウはミラクルアクアティックラプチャーを弾き飛ばし、
「俺も飛べることを忘れるな!」
とハンミョウの羽を広げて飛び上がった。
無数の触手がミラクルナイトに迫る。
「みんなの思いは無駄にはしないわ!」
ミラクルナイトは果敢に飛び込み、巧みに触手を交わしイソギンハンミョウに迫る。
「来るなら来い!」
イソギンハンミョウが牙を構え迎え撃つ。迫り来る牙を避けたミラクルナイトは翼を羽ばたかせ、
「ミラクルヒップストライク!」
と強烈なヒップアタックをイソギンハンミョウの側頭部にヒットさせた。その衝撃に墜落していくイソギンハンミョウ。
空中のミラクルナイトの輝きが増す。ミラクルナイトは舞うように、身に纏う水色の光を両手に集め始めた。
「おのれ…奈理子め……」
石畳に叩きつけられたイソギンハンミョウが立ち上がる。
「これで最後よ!」
両手に集めた水色の光を天に掲げるミラクルナイト。
「リボンストライク!」
ミラクルナイトの両手から放たれた水色の光がリボンの形に変わりイソギンハンミョウを包み込む。イソギンハンミョウは
「この俺が奈理子ごときに殺られるはずは…」
と叫びながら消滅していった。
「これはまずい。逃げなきゃ」
と去っていくテントウムシ女。
隆は涙を流しながら、
「さすが姉ちゃん!」
と叫んだ。ドリームキャンディとセイクリッドウインドも、奈理子の勝利を喜びながら駆け寄った。
「奈理子さん、本当にすごい!」
とドリームキャンディが称賛する。
「ありがとう、みんな。これからも水都の平和を守り続けるわ」
とミラクルナイトは微笑みながら答えた。
(第145話へつづく)













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