ミラクルナイト☆第120話
二月のある日、水都中学校の最終学年に通う野宮奈理子は、ひときわ重厚感を放つ水都女学院の大きな校門をくぐった。彼女の目に飛び込んできたのは、自然に恵まれ、広々とした敷地内に配された、ある有名建築家の手によるスパニッシュミッション様式の校舎とその周りを飾る見事な庭園だった。以前、オープンスクールの機会にこの学院を訪れたことはあったが、奈理子が生まれ育った水都の街の一角に、このような異空間が広がっていたとは、改めて彼女を驚かせた。
春からはこの水都女学院高等部に通うことになる奈理子。そのためには、今日ここで行われる入学試験にて、彼女自身の能力を証明しなければならない。水都の守護神であり、この街が誇るナンバーワン美少女ヒロイン、ミラクルナイトとして、奈理子はこれまで街の平和を守る戦いを続けてきた。その多忙な中でも、受験勉強を怠ることなく続けてきた彼女にとって、今日はその努力の成果が問われる日だ。
「よし!」
奈理子は自分自身に気合を入れながら、試験会場となる校舎へと足を踏み入れた。
水都大学の片隅にある研究室。この日、その研究室では、特別な訪問者がいた。九頭は、新たな冒険へと旅立つ前に、教授に最後の挨拶をするために来ていた。その間に、奈理子から作られたスライムクローンであるブラックナイトが、お茶を差し出す。
「九頭君、君が大学を去るのは残念だが、新たな場所での君の活躍を期待している」
と教授は言い、隣にいたブラックナイトを引き寄せた。その瞬間、戯れるブラックナイトのスカートがめくれ、黄色のパンツが見えてしまう。これが、最近の奈理子から作られたブラックナイトである証拠だった。
「で、例の薬は誰が使うんですか?」
九頭が尋ねると、教授は彼と共に開発した虻の能力を持つ強力な薬のことを指している。それは二人の最後の共同作業だった。
「まだ、決まってはおらん。カオリ君がいれば適当な者を探してもらうのだが…」
と教授は言い、黄色パンツのブラックナイトを尻を撫でながら考え込む。カオリは医学部四年生で、現在は臨床実習で忙しい。
「適当な者がいたとして、やはり、ミラクルナイトにぶつけるんですよね?」
九頭が再び問いかける。この薬はあまりにも強力で、ミラクルナイトに使えば、彼女を瞬時に打ち負かすだろう。
「もちろんだ。ミラクルナイトの試練は、水都市民にとって最大の楽しみなのだからな」
と教授はご満悦で答える。しかし、九頭の心には、ミラクルナイト、すなわち奈理子が苦しむ姿が浮かんで、気の毒に思えた。
「九頭君、この街ではもうすぐとんでもなく面白いことが起こるよ」
と教授はニヤリとしながら告げる。
「それのためには、ミラクルナイトももっと強くなる必要があるのだ」
と、彼の目は何かを語るように輝いていた。九頭には教授が何を計画しているのか詳しくはわからなかったが、どんな困難が待ち受けても、奈理子は市民のために戦い続けるだろうと信じていた。そんな思いを胸に、彼は水都大学を後にした。
放課後の静寂が水都神社を包んでいた。水都第一小学校六年生の寧々は、その神聖な境内を小走りに進み、社務所へと向かった。巫女さんが彼女の姿を見つけると、
「凜は今日はお休みよ」
と告げたが、寧々が求めていたのは別の人物だった。彼女は、噂の美少女巫女であり戦友でもある凜ではなく、大谷に会いに来たのだ。
社務所にいた別の巫女さんに大谷を呼んでもらうと、すぐに姿を現した彼は、小学生の寧々と世間話を始めた。
「どうした、寧々?そういえば、奈理子は今日が受験だったよな」
と大谷が話を振る。彼は凜とは異なる大学に通う四年生で、寧々とはまた別の関係性を築いていた。
しかし、寧々は世間話をする気分になれなかった。ドリームキャンディとして、ミラクルナイトと共に戦う彼女は、先日のセンブリ男との戦いでの敗北に焦りを感じていた。そのセンブリ男はミラクルナイトによって倒されたが、寧々自身はその戦いで何もできずにいた。
「私、もっと強くなりたいんです!」
と、彼女は大谷に強い意志を込めて訴えた。寧々を戦士として育てたのは大谷なのだ。
「寧々は十分に強い」
と大谷は慰めたが、寧々は納得がいかない。
「センブリ男に負けました」
と反論し、
「それは相性の問題だ。甘さが魅力のドリームキャンディには、苦さを武器とするセンブリ男は厄介だった。凜もセンブリ男には苦戦したじゃないか。センブリ男はそれほどの強敵だったんだよ」
と大谷が説明する。しかし、寧々の不満は消えず、
「センブリ男だけじゃなく、ハッサク男の酸っぱさにも苦戦しました。私はもっと強くならなきゃ…」
と彼女は思い詰める。
大谷は寧々の悩みを受け止め、
「寧々も春から中学生だ。そろそろ次の段階に進む時期かもしれないな」
と提案する。
「次の段階?」
寧々が疑問を投げかけると、
「ミラクルナイトにより近い存在になることだ」
と大谷は答えた。しかし、寧々にとっては、それは現在よりも弱くなることを意味しているように感じられ、ガッカリしてしまう。確かに、ミラクルナイトは前回センブリ男を倒したが、普段のミラクルナイトはやっぱり弱い。
大谷は寧々の表情を見て、
「ミラクルナイトはこの街の守護神だ。ドリームキャンディよりも強い。ミラクルナイトが弱いように見えるのは、奈理子がその力を十分に発揮できていないだけだ」
と語り、そして深刻な表情で、
「ミラクルナイトにより近い存在になること、その覚悟はあるか?水都の絶対ヒロイン奈理子に近い立場に耐えられるか?」
と寧々に問いかける。
寧々は一瞬躊躇したが、やがて大谷の目を真っ直ぐに見返して、
「はい!」
と力強く答えた。その決意のこもった一言は、彼女の心の中で新たな覚悟が固まった瞬間を示していた。
大谷は寧々の返答を聞き、微笑みを浮かべた。
「よし、それならば。我々は寧々をより強く、そして真の守護者へと成長させるために、必要な特訓を施そう。ドリームキャンディとしての力をより引き出し、さらにそれを超える存在へと進化するためには、多くの試練と学びが待っている。寧々、君がそれに耐えられるなら、この水都の街はより一層、強力なヒロインを得ることになるだろう」
と彼は言葉を続けた。
その後、大谷は寧々に向けて具体的な訓練プランと精神的な成長を促す方法を説明し始めた。これからの彼女の旅は容易ではないが、ドリームキャンディになることの本質的な意味を理解し、それを自らの力に変えることが求められた。
放課後の水都神社でのその日から、寧々の新たな挑戦が始まった。彼女は大谷の下での厳しい訓練に臨むことになる。時には挫折や苦悩に直面するかもしれないが、それらを乗り越える度に、寧々はドリームキャンディとして、そして自分自身としての強さを確固たるものにしていく。
寧々にとって、これはただ強くなるための旅ではなかった。彼女が本当に目指すべきは、水都の街を守るために自らの全てを捧げる覚悟を持つこと、そしてその力を最大限に発揮することだった。そして彼女の成長と共に、水都の街に新たな伝説が生まれようとしていた。
水都大学を後にした九頭は、新たな未来に足を踏み出した。その目的地は、穢川研究所。この施設は、大企業・水都製薬の最新鋭の研究施設であり、彼の新たな戦場だった。敷地内へと足を踏み入れると、九頭は御祖紗理奈と名乗る女性職員に迎えられた。彼女は蠍の薬を扱う者であり、九頭に対して研究所内を案内してくれた。蠍の薬は教授と九頭が二人で作り出した教授の趣味が強く出た女性用の初期型の薬だった。九頭は、紗理奈のパンツスーツの尻を見ながら、人の素肌の露出が多いビキニアーマーのサソリ女の姿を思い出していた。
研究所内は水都大学の設備とは比べものにならないほど充実しており、九頭の心はこの新天地での活躍に躍動していた。
「では所長、私はここで失礼します」
紗理奈は社長室の前で頭を下げて別れを告げ、九頭を一人にした。彼女は明るくてテキパキとした女性だったが、研究員ではないため、九頭の直接の部下ではないとのことに彼は少し残念に思いながらも、大きな期待を胸に社長室のドアを開けた。
「ようこそ、我が研究所へ」
迎えてくれたのは、この研究所の実質的なオーナーであり、社長である勅使河原だった。彼の両脇には、その腹心の部下たちが整然と並んでいる。
「九頭先生に皆を紹介しよう。渦巻」
勅使河原の紹介により、九頭は一人ひとりと対面した。
「改めまして、渦巻です。蝸牛の薬を使います。そして、こちらが藤津。藤津はフジツボの薬です」
渦巻が藤津を九頭に紹介する。頭を下げる藤津。
「そして、手黒。彼は仙人掌の薬の使い手です。その隣が牛島。牛島は海牛の薬を使います」
渦巻に紹介された藤津と牛島がそれぞれ頭を下げる。二人ともまだ若い。若くしてそれぞれが特異な才能を持つ彼らに、九頭は新たな可能性を感じた。
牛島が九頭に手を差し伸べた。それに応える九頭。
「こちらが氷川と赤岩。唐草とザリガニの薬です」
その後、渦巻はスキンヘッドの氷川と巨漢の赤岩を紹介した。
「氷川と赤岩には裏の仕事をやってもらっている」
勅使河原が九頭に告げる。それを聞き九頭は水都製薬に相応しくない氷川と赤岩の風貌に納得した。彼らの存在が、この研究所の複雑な役割を物語っていた。
「勅使河原…いや、これからは社長と呼ぶべきか?」
九頭が尋ねると、
「勅使河原で結構です。この者たちの前では」
との答えが返ってきた。その言葉には、他の職員の前では「社長」と呼べという意味が込められているのだろうと九頭は理解した。
「九頭先生の所長就任を祝して祝杯です」
九頭は勅使河原から祝杯を受け取り、
「その前に手土産を。二番目の新薬、蠍と螻蛄の合成薬だ」
と小瓶を差し出した。
「ほう」
これを受け取った勅使河原は興味深そうに小瓶を眺めた。
「早速試させてもらいましょう」
と勅使河原。九頭は酒杯の酒を飲み干すと、早くもやるべき仕事のことを考えていた。
「先ずは旧薬の量産に着手したい。大量の薬が必要なのだろ?」
「何の薬ですか?」
と勅使河原が興味深げに尋ねると、九頭は
「蛙だ。量産に適している」
と答えた。その新薬の可能性を探る彼らの姿は、未来への大きな一歩を踏み出す準備ができているかのようだった。
勅使河原は九頭の提案に頷き、
「九頭先生に来ていただいて本当に良かった。我々は素晴らしい同士を迎え入れた」と満足げに言った。その言葉に、九頭は自身がこの研究所における重要な役割を担っていることを改めて感じ、勅使河原への敬意と信頼を深めた。
そして、九頭は
「次に顔を合わせる時は、社長と呼びますよ。今から、私は社長の部下です」
と宣言した。これは彼にとって、新たな章の始まりを意味していた。勅使河原はその宣言に満足気な笑みを浮かべ、九頭の所長就任を祝して祝杯を挙げた。
この日、九頭は水都大学を離れ、穢川研究所での新しい道を歩み始めた。彼の目の前には未知の挑戦が待ち受けているが、そのすべてに九頭は勇敢に立ち向かっていく覚悟を決めていた。勅使河原をはじめとする研究所のメンバーたちと共に、彼はこの街とその先に広がる世界を驚かせる新薬の開発に尽力していくのだった。
受験という長いトンネルを抜けた奈理子は、水都公園の運河のほとりで、ほっと一息ついていた。合格発表はまだ先だが、万一水都女学院に落ちたら二次募集でどこかを受ければいいと奈理子は開き直っていた。隣には、いつも彼女を支えてくれるライムの姿。彼らの間には、これから訪れる春の別れが既に漂っていた。
「卒業まで、思い出を一杯作ろうね」
と奈理子は柔らかな声で語りかけ、ライムの肩に頭を寄せた。二人が春から別々の道を歩むという現実は、学校での毎日の再会を不可能にしていた。
「奈理子のパンツを毎日チェックできなくなるのは残念だな」
とライムが冗談を交えながら、奈理子の頭を優しく撫でた。その言葉に
「バカ」
と返しつつも、奈理子の顔には幸せそうな笑顔が浮かんでいた。二人だけの小さな世界には、ほんの束の間、時間が止まったかのような平和が訪れていた。
しかし、その穏やかな時間は長く続かなかった。遠くの芝生広場から突然の悲鳴が、二人の耳に届いた。
「敵?」
奈理子が素早く反応し、身を起こしてアイマスクを手に取る。そんな奈理子を、ライムは
「せっかく受験が終わったんだから、今日くらいは休んでろよ」
と座ったまま奈理子のスカートを掴み、変身しようとする彼女を引き止めようとする。しかし、奈理子の心はすでに芝生広場に飛んでいた。
「でも、行かなきゃ」
去年、オケラ男、ミミズ男との戦いで荒れたあの場所は、もう二度と荒らされるわけにはいかないと、彼女は決意を新たにしていた。
その時、ライムが
「面白いものを出してやる。ミラクル戦隊だ!」
と宣言し、掌からスライムを四つ放った。ライムの真の正体、スライムを操るスライム男の能力だ。四つのスライムは、それぞれブラックナイトに形を変えた。
「時期はそれぞれ違うみたいだけど、みんなブラックナイトじゃないの。これのどこが戦隊?」
奈理子が戸惑う声をあげると、ライムは得意げに、
「中二の春の奈理子で作ったブラックナイトは白、中三の春の奈理子で作ったブラックナイトはピンク、中三の夏の奈理子で作ったブラックナイトは青、そして中三の冬の奈理子で作ったブラックナイトは黄色だ」
と説明した。色の違いは、それぞれのパンツの色に由来している。これらのブラックナイトは、スライムで作られた奈理子のクローンである。奈理子は顔を赤らめ、言葉を失った。
「ミラクル戦隊、行け!」
ライムの一声で、四人のブラックナイトは
芝生広場へと駆け出した。彼女たちは、各々が持つ色と特性を活かしながら、水都公園を脅かす未知の敵に立ち向かう準備を整えていた。奈理子もまた、心配事を胸に秘めつつも、彼女たちの後を追った。ライムの創り出したミラクル戦隊、それはまさに奈理子の異なる時期を映し出す、彼女自身の分身たちだった。
芝生広場に突如現れた謎の怪人によって、平穏な午後が恐怖に包まれた。市民たちは慌てて逃げ惑い、その混乱の最中に、予期せぬ救世主たちが姿を現した。四人のブラックナイトが、堂々とサソリケラの前に立ちはだかる。風に翻る彼女たちのスカートの中は、ピンク、イエロー、ブルー、ホワイトと、彼女たちの個性を象徴する色のパンツが輝いていた。
「そこまでよ!……何の怪人??」
真ん中の黄パンツブラックナイトは一瞬言葉に詰まるものの、すぐに気を取り直して宣言した。
「私たちはミラクル戦隊ブラックナイツ。水都の平和を乱す者は、私たちが許しません!」
その言葉と共に、彼女たちは迫力あるポーズを決め、周囲の空気を一変させた。市民たちからは、戸惑いながらも期待に満ちた声が上がる。
「ブラックナイトは敵じゃなかったのか?」
「何故ブラックナイトが水都の平和を守るんだ?」
「でも、みんな奈理子だから、みんな可愛いぞ!」
「白パンツの奈理子が幼くて一番可愛い!」
「いや、ピンクの奈理子がいい!」
「頑張れ、ブラックナイツ!」
市民の歓喜の声が渦巻く中、謎の怪人は
「俺はサソリケラだ。四人の奈理子と同時に遊べるとは、俺はツイてるぜ!」
とブラックナイツを迎え撃つ構えを見せる。
「行きます!」
黄パンツブラックナイトをリーダーとするブラックナイツが、一斉にサソリケラに攻撃を仕掛ける。黄パンツと青パンツのブラックナイトが放つ黄色と青色の光弾は、サソリケラの堅い甲殻に弾かれてしまう。しかし、彼女たちは諦めず、ピンクパンツブラックナイトが繰り出すハイキックがサソリケラに炸裂する。
「おお!」
と愛らしいピンクパンツに市民たちは歓喜するが、サソリケラは両手の鋏で反撃し、戦いはさらに激しくなる。
そこに、白パンツブラックナイトが勇敢にも飛び込んでいくが、
「弱っちいくせに鬱陶しい!」
とサソリケラの長い尾に打ち付けられてしまった。
「きゃぁ~」
という悲鳴を上げながら吹き飛ばされる白パンツブラックナイト。地面に叩きつけられた彼女は、スライムに形を変えて消滅してしまった。一瞬の沈黙の後、ブラックナイツと市民たちには、決して諦めてはいけないという強い決意が生まれる。水都を守るため、彼女たちは最後まで戦い抜く覚悟を固めたのだった。
芝生広場での戦いは、予想外の展開を迎えていた。奈理子とライムは少し離れた場所から、サソリケラとミラクル戦隊ブラックナイツの戦いを見守っている。サソリケラと対峙する四人のブラックナイト。彼女たちは、奈理子の過去の姿を模したスライムから生まれた存在だった。まずは白パンツブラックナイトがサソリケラに敗れて消滅してしまった。
「あの頃の奈理子は悲しくなるくらい弱かった。始めから白パンツには期待していない」
とライムは言うが、奈理子はその言葉に怒りを感じていた。
「じゃ、何で出すのよ!」
彼女にとって、自分と同じ顔をしたブラックナイトの敗北は、ただの戦いの結果以上の意味があったのだ。しかし、ライムは白パンツブラックナイトの敗北にも動じず、
「しかし、ピンクパンツは違うぞ。あの頃の奈理子は…」
と言いかけたところで、サソリケラが攻撃を仕掛ける。
ピンクパンツブラックナイトはミラクルウイングを広げて空に舞い上がり、サソリケラの鋏を巧みに躱した。その姿はまるで舞台上のプリマドンナのように優雅で、市民たちからは歓喜の声が上がる。
「飛んだぞ!」
「おお!ピンクパンツが眩しいっ!」
漆黒の翼を広げ空を舞うピンクパンツブラックナイト。
「奈理子、可愛ぞー!」
「奈理子のピンクパンツサイコー!」
黒とピンクを基調としたブラックナイトのコスチュームには、ピンクパンツがよく似合う。市民の人気もピンクパンツブラックナイトが一番のようだ。しかし、
「逃さないぜ!」
サソリケラが翅を羽ばたかせ飛び上がる。
「うそ?」
サソリケラが飛べるとは思ってもいなかったピンクパンツブラックナイトもサソリケラの追撃には耐えきれず、鋏を喰らいスライムに姿を変えて消滅してしまった。
「あぁー、ピンクパンツ奈理子が…」
美しかったピンクパンツブラックナイトが消えてしまい、落胆する市民たち。
「ちっ、ピンクパンツはオケラ男と戦う前の奈理子だから、オケラが飛べることを知らなかったか…」
ライムが舌打ちする。奈理子はもう見ていられないといった感じでアイマスクを手にする。
「待て奈理子。まだ青パンツと黄パンツがいる」ライムが変身しようとする奈理子を止める。
奈理子は、自身の過去の弱さを痛感しながらも、残された青パンツブラックナイトに期待を寄せる。
「青パンツはいつの私?」
と尋ねると、ライムからの答えは思わぬものだった。
「香丸さんに寝取られたときの奈理子だ」
その言葉を聞いて、
「寝取られたなんて…」
奈理子は過去の苦い記憶に触れるが、
「頑張れ、あのときの私」
と青パンツブラックナイトにエールを送る。
しかし、白パンツとピンクパンツのブラックナイトを倒したサソリケラが青パンツブラックナイトに迫る。
「うりゃー!」
唸る鋏。
「フェアリーシールド!」
青パンツブラックナイトは掌から防御壁を展開する。
「あぁ…フェアリーシールドではあの鋏は防げないのに…」
奈理子が呟くと同時に、サソリケラの鋏はフェアリーシールドを突き破り、青パンツブラックナイトに直撃した。
サソリケラの容赦ない攻撃は青パンツブラックナイトも打ち破り、彼女もまたスライムへと戻り消滅してしまう。残るは最後の一人、黄パンツブラックナイトだけだった。ライムは黄パンツブラックナイトに期待を寄せ、
「白パンツ、ピンクパンツ、青パンツの弱い奈理子で勝てるとは思っていない。真打ちは黄色パンツ奈理子だ」
と期待を寄せる。
「あとはお前だけだな、黄色パンツ」
サソリケラが黄パンツブラックナイトに舐めるような視線を浴びせる。
「そうね。でも、私は過去の弱い奈理子とは違うわ」
と黄パンツブラックナイトは冷静に応じる。その姿には、過去を乗り越えた奈理子の成長が垣間見える。サソリケラに対しても、黄パンツブラックナイトは毅然と立ち向かっていく。彼女の戦いは、ただの模倣ではなく、水都の守護神ミラクルナイトとしての強さと威厳を持っていた。
サソリケラは黄パンツブラックナイトに向かって舐めるような視線を送りつつ、高く羽ばたく。しかし、黄パンツブラックナイトは過去の自分たちが示した敗北から学び、冷静かつ慎重に戦う準備をしていた。
「私は過去の弱い奈理子じゃない。今ここに立っている私は、全ての経験を経て成長した奈理子だから」
と、彼女は内心で強く思い、サソリケラに対峙した。
芝生広場は今、緊張と興奮に包まれていた。黄パンツを纏ったブラックナイトと、不敵な笑みを浮かべるサソリケラが対峙している。
「可愛いだけが取り柄の弱小ヒロイン奈理子のくせに自信だけは満々というのは噂通りだな」
サソリケラの挑発に、市民たちは一様に黄パンツブラックナイトに声援を送る。
「可愛いは絶対正義だ!」
「今日の奈理子も可愛いぞー!」
「黄色パンツ似合ってるぞー!」
彼らの声援は、黄パンツブラックナイトに勇気を与える。
その時、芝生広場の空気を一変させるように、黄色い光と緑色の光が現れ、そこから小学生戦士ドリームキャンディと風の戦士セイクリッドウインドが登場する。しかし、市民たちの熱狂的な声援は黄パンツブラックナイトに向けられていることに戸惑っていた。
「何でブラックナイト?奈理子は?」
と状況がよく分からないセイクリッドウインドウは周囲を見渡す。
「お~い!」
遠くで、奈理子がセイクリッドウインドウとドリームキャンディに手を振っている。市民たちの目が彼女に留まる。
「あっ、本物の奈理子だ!」
「やっぱり奈理子は可愛いなぁ」
「何で奈理子は戦わないんだ?」
と、彼らは奈理子の存在に気づき、さまざまな声が上がる。ドリームキャンディも
「奈理子さん、何してんですか?」
と問いかける。
「あと一人だ。邪魔をするな!」
サソリケラが、芝生広場を支配する混乱を静め、
「そうよ、これは私とサソリケラの戦いよ」
と黄パンツブラックナイトもセイクリッドウインドとドリームキャンディに宣言する。セイクリッドウインドとドリームキャンディは顔を見合わせ、この戦いをただ見守るしかないと決める。
ライムは、黄パンツブラックナイトの勝利を半信半疑で見守りながら、
「黄色パンツは最近の奈理子だ。今までの弱い奈理子とは違う。しかし、サソリケラは九頭先生が開発した新型の薬だ。黄パンツは負けるだろう」
と呟く。奈理子はその言葉に反発し、
「黄パンツブラックナイトは今の私と同じ力でしょ。そんなこと言わないで」
とライムの腕にしがみつく。
「今の奈理子がサソリケラと戦ったらどうなるか見ておくんだ」
とライムが奈理子の肩を抱く。
黄パンツブラックナイトは、サソリケラとの戦いに臨む。彼女はミラクルウイングを広げ、空に舞い上がる。しかし、彼女の華麗な避け方にもかかわらず、サソリケラの尾から放たれた毒針が黄パンツブラックナイトの胸を突き刺し、彼女の運命を左右する一撃となった。
芝生広場の空気は緊張で張り詰めていた。黄パンツブラックナイトの悲劇的な結末に、奈理子は思わず
「きゃぁ~!」
と悲鳴を上げてしまう。サソリケラは、自信満々に黄パンツブラックナイトのコスチュームを両腕の鋏で容赦なく切り裂いた。彼女の黄色い下着だけが残り、力無く胸を貫いた毒針にぶら下がっている姿は、市民にとってあまりにも無残であった。そして、サソリケラが彼女を高く掲げた瞬間、黄パンツブラックナイトはスライムに変わり、消滅してしまった。
この光景は奈理子にとって衝撃的で、自分自身が敗北を味わったかのように感じられた。彼女は恐怖でライムにしがみつき、顔を彼の胸に埋めて震えた。
「奈理子、出て来い。ミラクルナイトに変身して俺と戦え!」
というサソリケラの挑発が奈理子をさらに怯えさせた。
しかし、その時、セイクリッドウインドとドリームキャンディが前に踏み出し、
「奈理子は怖がってるでしょ!私たちが相手をするわ」
「そうよ、水都の守護神ミラクルナイトを守るのが私達の使命!」
と宣言。しかし、サソリケラはセイクリッドウインドとドリームキャンディを無視し、
「守護神のクセに守られるとは情けない奴だな、奈理子」
と更に奈理子を挑発する。
「いやぁ…」
ライムの腕にしがみつく戦意を喪失している奈理子。市民は震える彼女を励ますように声を上げた。
「奈理子頑張れ!」
「水都の守護神の力を見せてやれ!」
「奈理子、ブラックナイツの仇を取ってくれ!」
湧き上がる盛大な奈理子コール。その声援が奈理子の心に火をつけ、
「私は水都の守護神ミラクルナイト。市民の期待に応えなきゃ」
という決意を新たにする。ライムの腕の中で、彼女はアイマスクを掲げ、ミラクルナイトに変身した。
「サソリケラ!水都の平和を乱す者は、ミラクルナイトが許しません!」
と宣言する彼女の姿に、市民は更に熱狂し、芝生広場のボルテージは最高潮に達した。
奈理子の変身と共に、新たな希望が芝生広場に満ち溢れる。ミラクルナイトの美しい姿と断固たる意志が、市民に勇気を与えるのだった。
市民の熱狂的な声援を浴びて、すっかりその気になってしまったミラクルナイトこと奈理子は戦意満々であった。しかし、その自信満々の様子を見てライムは呆れていた。
「奴は水陸空地中で活動できる螻蛄の万能性に蠍の攻撃力を加えた強敵だ。調子に乗って油断するなよ」
と、ライムは厳しい口調で忠告する。しかし、奈理子は笑顔で返す。
「分かってる。でも、市民の期待は絶対に裏切らないのがミラクルナイトなの」
と、彼女はミラクルウイングを広げた。
セイクリッドウインドはドリームキャンディに向かって
「キャンディ、三人力を合わせれば、絶対にサソリケラは倒せる」
と言い、ドリームキャンディは
「はい。今日の私は昨日までの私と一味違いますよ」
と自信満々に答える。その返答にセイクリッドウインドは疑問を隠せない。
「見た感じ、いつものキャンディと変わらないけど…」
とつぶやくが、ドリームキャンディは気にせず、戦いに臨む準備を整えた。
「行くよ!」
セイクリッドウインドが扇型の武器ガストファングを構えた。そのときに微かな風が、ドリームキャンディのドレスの裾を揺らした。
「きゃぁ!」
慌ててドレスを抑えるドリームキャンディ。
「何してんの?」
セイクリッドウインドは何故ドリームキャンディが慌てているのか分からない。
「大丈夫です」
ドリームキャンディは鞭状の武器キャンディチェーンを構えた。膝下丈のドレスの下にはペチコートを何重にも重ね履きしている。激しく動いても中が見えることはないはず、とドリームキャンディは戦いに集中しようとした。
ミラクルナイトが先陣を切り、
「えい!」
と声を上げながら空中から水色の光弾を放つ。市民たちの歓声に後押しされ、
「えい!えい!えい!」
と光弾を連射する彼女の攻撃は、サソリケラの周囲に次々と着弾する。
一方、地上ではセイクリッドウインドが扇型の武器ガストファングを構え、ドリームキャンディも微かな風にドレスの裾が揺れる中で、鞭状の武器キャンディチェーンを手に取る。緊張する彼女がドレスを抑える仕草にセイクリッドウインドは首を傾げるが、ドリームキャンディは
「大丈夫です」
と言って、戦いへの集中を取り戻す。
サソリケラに対して、空からはミラクルナイトが、地上からはセイクリッドウインドとドリームキャンディが攻め立てる。芝生広場は彼らの活躍によって戦場と化していたが、そこには絶対に負けないという三人の強い意志があった。この戦いにおいて、彼らはただ一つ、水都の平和を守るという共通の目的のために力を合わせていたのである。
芝生広場の戦いは激しさを増していた。ミラクルナイトが空から繰り出す光弾の雨をサソリケラは意に介さず、その巨大な右腕の鋏でセイクリッドウインドを攻撃した。セイクリッドウインドはガストファングを駆使して応戦するが、サソリケラの力は圧倒的であった。その隙をついて攻撃しようとしたドリームキャンディも、左腕の鋏で一蹴され、
「きゃぁ~!」
と叫びながら地面に叩きつけられた。ドレスの裾を必死に抑える彼女に、セイクリッドウインドは苛立ちを隠せず、
「どこがいつもと違うのよ!いつもより弱いじゃないの!」
と叱責した。
サソリケラは戦場を支配するかのように、翅を羽ばたかせてミラクルナイトに襲いかかる。
「お前たちなど何人来ようが、俺様の敵ではないわ!まずは奈理子、お前からだ!」
と嘲笑う。
地上ではセイクリッドウインドがドリームキャンディを奮い立たせていた。
「しっかりしなさい、キャンディ!」
と。ドリームキャンディは、
「大谷さんに新しい力を開放してもらったんです。それと引き換えに…」
新しい力を手に入れたことを語り始めるが、セイクリッドウインドは
「話は後!奈理子を助けるよ!」
と彼女を戦いに駆り立てる。
一方、空中ではミラクルナイトがサソリケラの尻尾の射程距離を計算しつつ、光弾を放つ。しかし、サソリケラは巧みにそれを避け、
「奈理子、たっぷり可愛がってやるぜ、そら!」
ついにはミラクルナイトのブラウスを切り裂いた。
「今日は白いブラか。ならば、パンツも白だな」
と、サソリケラがミラクルナイトの太股に熱い視線を送り挑発する。
空中戦では一対一の戦いを強いられてしまう。ミラクルナイトは、右手で胸を、左手でスカートを抑えつつ、地上戦に持ち込もうと決意する。セイクリッドウインドと目を合わせ、戦略を立てる。セイクリッドウインドがガストファングを構えているのを確認したミラクルナイト。セイクリッドウインドが頷いた。光弾をサソリケラに当てた後、ミラクルナイトは一気に距離を取る。セイクリッドウインドがその瞬間を見逃さず、ガストファングを振るい、竜巻を発生させる。その竜巻がサソリケラを捉え、風の刃が彼に襲い掛かる。この連携攻撃は、サソリケラに初めて大きなダメージを与えることができた。芝生広場の戦いは、まだ決着がついていないが、ミラクルナイトたちに少しの希望の光が見え始めていた。
地上に優雅に着地したミラクルナイトは、緊張の一瞬を解放するかのように、ふわりとスカートが舞い上がり、その下の白い太股とパンツが見えてしまった。その瞬間、美少女奈理子のパンチラに、市民たちは歓喜の声を上げた。一方で、ドリームキャンディは、そんな状況に奈理子がどうして平然としていられるのか、不思議でならなかった。
「やったね、ナメコ姫」
とミラクルナイトがセイクリッドウインドに声をかけると、
「さすがに新型は手強かったね」
とセイクリッドウインドが答えた。サソリケラは、かつてのカニカゲロウに続く二番目の新型怪人だったのだ。芝生広場に集まった人々は、一時はミラクルナイトたちの勝利を確信していた。
しかし、竜巻が去った後の静寂を破って、
「これがセイクリッドウインドの竜巻か。噂ほどでもないな」
とサソリケラが平然と立っていた。無数の風の刃を受けながらも、彼はまるで何事もなかったかのように挑発してくる。
「うそでしょ!」
とセイクリッドウインドは声を上げ、サソリケラは
「旧型と違うのだよ、旧型とは!」
と豪語した。サソリケラの圧倒的な圧力に、ミラクルナイトとセイクリッドウインドは重苦しい空気を感じ取った。
その緊迫した状況の中、
「ここは、新しい力を手に入れた私がやるしか無い」
とドリームキャンディが静かに覚悟を決める。彼女が大谷さんから受け取った新たな力、それはこの瞬間のためにあったのかもしれない。戦いはまだ終わっていない。ミラクルナイトたちにとって、今が真の試練の時だった。
「うわっ!」
セイクリッドウインドがサソリケラの振るう鋏の一撃によって吹き飛ばされるという窮地に陥った瞬間、ミラクルナイトは彼女の名を呼んで気遣った。
「ナメコ姫!」
という叫び声が芝生広場に響き渡る。しかし、その心配が仇となり、サソリケラは狙いを定めたようにミラクルナイトへと襲い掛かる。
「他人の心配よりも、自分の心配をしな!」
と冷酷に言い放ち、彼の鋏はミラクルナイトの両足首を捕らえた。
高々と逆さ吊りにされ、恐怖に怯えながらも、ミラクルナイトは
「きゃぁ~!止めて!」
と叫びながら、逆さまにされたまま必死にスカートを抑えていた。しかし、サソリケラの
「痛い目にあいたくなければ手をどけろ」
という脅しに屈し、彼女は渋々手を下ろす。逆さにされた彼女の美しい姿に、市民たちは溜息を漏らし、サソリケラは彼女の苦痛を愉快に思いながら、
「どうやって奈理子を可愛がって上げようかな?」
と尾を伸ばし、クロッチ越しに敏感な箇所を尾尾の毒針でいたずらする。
窮地に陥ったミラクルナイトは、恐怖のあまり
「止めて…」
と小さな声で懇願するが、サソリケラの冷酷な行為は続き、絶望の中で彼女は自らを制御できずに失禁しまった。
「ワハハ!こっちは噂通りのお漏らしナイトだな」
とサソリケラは嘲笑う。
しかし、その時、キャンディチェーンがサソリケラの尾に巻き付き、小学生戦士ドリームキャンディが颯爽と登場する。
「奈理子さんを苛める者は私が許さない!」
と彼女は力強く宣言した。
「何だ、ガキンチョか」
サソリケラは彼女を一笑に付すが、
「奈理子さんを離しなさい!キャンディパワー!」
と叫びながら、ドリームキャンディはキャンディチェーンを力一杯引き、ミラクルナイトを解放させた。
サソリケラは、ミラクルナイトを投げ捨てると、ドリームキャンディに向き直り、
「可愛いだけが取り柄の奈理子よりは強そうだな」
と、新たな挑戦者を前にして、戦いの準備を整えた。
ドリームキャンディは、状況を一変させるべく、キャンディチェーンを巧みに操る。彼女の意志と共にキャンディチェーンは輝きを増し、一瞬にして巨大なチュッパチャプス、すなわちロリポップハンマーへと形を変えた。この奇想天外な武器を手に、彼女はサソリケラに立ち向かう。
ロリポップハンマーを振り回すドリームキャンディの姿は、まるでおとぎ話から飛び出してきた勇者のようだ。しかし、その前に立ちはだかるのは、蠍と螻蛄の能力を併せ持つ強敵、サソリケラであった。彼の鋭い鋏と毒針は、地上と空中、あらゆる場所で無慈悲に獲物を狩る。
ドリームキャンディは、ロリポップハンマーを巧みに操り、サソリケラの攻撃を回避しながら反撃のチャンスを伺う。一方、サソリケラも彼女の動きを読み、鋏と毒針で応戦する。彼の攻撃は緻密で、一瞬の隙も見逃さない。
芝生広場は、この二人の戦いに息をのんで見守っていた。ロリポップハンマーが空を切るたびに、甘い香りが風に乗って広がり、一瞬、戦いの緊張が和らぐ。しかし、サソリケラの鋏がロリポップハンマーに触れるたび、甘美な破壊の音が響き渡る。
ドリームキャンディは、サソリケラに大きなダメージを与えることはできなかったものの、彼の攻撃を効果的に避け続ける。サソリケラもまた、彼女の攻撃に対して巧みに対応し、決定的な一撃を放つことができないでいた。
両者の戦いは、互いに一歩も譲らず、息詰まるような攻防が続いた。それぞれが持ちうる力と技術を駆使し合いながらも、決着はつかず、戦いは膠着状態に陥った。芝生広場に集まった市民たちは、その激しい戦いに釘付けになり、次なる展開を見守っていた。
ドリームキャンディは、戦況を一変させるべく、ロリポップハンマーを振り回し
「ロリポップ三段突き!」
と高らかに宣言した。その名の通り、彼女が放った高速の三連突きはサソリケラを見事に打ち、彼を後方に弾き飛ばした。一時的ながらも、勝利の希望が見えた瞬間であった。
その一方、失禁してしまったミラクルナイトは、セイクリッドウインドに優しく抱きしめられながら戦況を見つめていた。
「今のキャンディ、いつもよりちょっと強くない?」
とセイクリッドウインドが呟くと、
「キャンディはいつも強いけど、今日は特別強い気がする」
とミラクルナイトも同意した。
しかし、戦いの中で、サソリケラの鋏がドリームキャンディのドレスとペチコートを切り裂き、一瞬、黄色いものが覗いた。
「キャンディのドレスの下はスパッツじゃなかったっけ?あれ、生パン?」
とセイクリッドウインドが疑問を投げかける。その疑問が芝生広場の市民の間でもざわめきを生む。ドレス、ペチコート、スパッツの鉄壁の守りを誇るドリームキャンディが、今日はスパッツではなく、黄色いパンツのようなものを身に着けていたのだ。
その騒動に苛立ったかのように、ドリームキャンディは
「パンツではありません!ブルマーです!黄色いブルマーです!」
と、市民に向かって大声で叫んだ。しかし、戦いは続き、サソリケラの
「戦い中に余所見するな!」
という声と共に、再び鋏が振るわれた。慌てたドリームキャンディはロリポップハンマーで受け止めようとするものの、その衝撃によって武器を手から離してしまう。
その時、セイクリッドウインドがミラクルナイトに向かって
「奈理子、まだ戦える?」
と尋ねる。ミラクルナイトは力強く頷き、
「三人で力を合わせてサソリケラを倒そう」
とセイクリッドウインドが提案する。
「パンツが気持ち悪いけど…キャンディだけに戦わせるわけにはいかない」
とミラクルナイトも戦う決意を新たにし、三人は再び力を合わせて立ち向かう準備をするのであった。
セイクリッドウインドは、不屈の闘志を燃やしながらガストファングを手に、再びサソリケラへと挑んだ。その隙をついて、ドリームキャンディは広場の地を這ってロリポップハンマーを拾い上げる。一方、市民の前で恥ずかしい失態を晒したミラクルナイトも、屈辱を胸に秘めつつ、果敢にサソリケラに立ち向かった。
しかし、サソリケラは両腕の鋏と毒針のある長い尾を巧みに操り、三人のヒロインに対して一歩も引かない。圧倒的な力でセイクリッドウインドのガストファングを弾き飛ばし、ミラクルナイトのスカートを剥ぎ取るという屈辱的な攻撃を仕掛けた。尻餅をついたミラクルナイトは、絶体絶命のピンチに立たされた。
「奈理子に毒針を挿入してやる!」
というサソリケラの脅威に、空気が凍りつく。
「あぁ…」
絶望的な呻きを上げるミラクルナイトの濡れたクロッチにサソリケラの毒針が迫る。
だがその瞬間、
「ロリポップ凄い突き!」
と技名が思いつかないまま、ドリームキャンディが咄嗟に突き出したロリポップハンマーが、サソリケラの尾尻の毒針を粉砕した。
「うぎゃ!」
と呻くサソリケラの姿に、一筋の希望が見えた。
「もう、毒針は使えませんよ。安心してください、奈理子さん」
とドリームキャンディが声をかけると、ミラクルナイトは立ち上がり、
「ありがとう、キャンディ」
と感謝の言葉を返した。
「今日も白いパンツが似合ってますよ、奈理子さん」
とドリームキャンディは、パンツ丸出しになったミラクルナイトを見て言った。自分がブルマーで恥ずかしいと感じていたドリームキャンディは、その瞬間、ミラクルナイトの姿を見て、自分の恥ずかしさなど取るに足らないと感じたのだった。
「毒針は潰しても、サソリケラの鋏は厄介です。奈理子さん、油断しないでください」
と、ドリームキャンディは気を引き締めてミラクルナイトに告げた。
しかし、サソリケラは
「お前ら、もう許さんぞ!」
と怒りに満ちた声で、ミラクルナイトとドリームキャンディに襲い掛かった。二人は再び立ち向かう決意を固め、芝生広場は再び戦いの渦中に巻き込まれていった。
芝生広場の戦いは、その熱量をさらに増していた。サソリケラの両腕の鋏が恐ろしく唸り、ドリームキャンディはロリポップハンマーを振り回して懸命に撃ち合う。一方、ミラクルナイトは、いつの間にかサソリケラの長い尾に身体を巻き付けられ、動きを封じられてしまっていた。水都市民が誇る美少女、奈理子――ミラクルナイトの苦悶の姿に、市民たちは熱狂的な声援を送る。しかし、サソリケラの圧倒的なパワーに、ドリームキャンディは防戦一方で、華奢な身体を締め付けられるミラクルナイトの意識は徐々に遠退いていくようだった。
その時、芝生広場の激闘の最中に一人、冷静に戦況を見守る者がいた。それは風の戦士、セイクリッドウインドだった。
「私がいることみんな忘れちゃってるよ…」
と、彼女はつぶやく。毒針を潰されたサソリケラは、ドリームキャンディへの攻撃に集中している様子。
「これは、チャンスじゃない?」
とセイクリッドウインドは心の中で思い、ガストファングの扇を広げた。
ミラクルナイトがサソリケラの尾に捕らえられている状況を見て、セイクリッドウインドは、ミラクルナイト――奈理子なら自力で何とかするだろうと信じていた。水都の守護神だ、彼女ならきっと乗り越えられる。そう考えたセイクリッドウインドは、奥義「エアリアルダンスブレード」を繰り出す決意を固める。
突如として風が強まり、セイクリッドウインドはその瞬間、空中を舞うように動きながら、ガストファングを振り下ろした。無数の風の刃がサソリケラに向かって飛び、その一撃が戦況を変えるかもしれないという期待が、芝生広場に満ち溢れた。セイクリッドウインドの勇敢な行動が、戦いに新たな希望の光をもたらすのだった。
無数の風の刃に襲われ、サソリケラは思わずミラクルナイトを束縛する尾の力を弱めた。
「まだ終わらない!」
セイクリッドウインドが叫びながら、さらなる奥義「テンペストバインドツイスター」を解放する。彼女のガストファングから繰り出された猛烈な風が、二人を天へと巻き上げた。
風の中、ミラクルナイトとサソリケラは渦のように回転し始める。ミラクルナイトは機を見て、ミラクルウイングを広げ、風に身を任せる。そして、その瞬間を逃さず、サソリケラの頭部を自らの太股で強く挟み込んだ。お漏らして濡れたパンツと太股をサソリケラの顔面にて密着させるのは恥ずかしいが、空中での戦い、これ以上の技はない。息絶え絶えのサソリケラが苦闘する一方、ミラクルナイトはサソリケラの逃走を阻止しようと彼の頭部を掴んで太股で締め上げた。力の差は明らかで、ミラクルナイトは徐々に力を失いかけていたが、
「絶対に諦めないわ!」
と水色の光を放つミラクルパワーを発動させる。
テンペストバインドツイスターによる急速な落下の中、
「ミラクルハピネスホイップ!」
の叫びと共に、ミラクルナイトはサソリケラの頭部を地に叩きつけ、見事に着地する。
サソリケラは芝生広場に頭から突き刺さり、そこに立ちはだかるはロリポップハンマーを構えたドリームキャンディ。彼女はエネルギーをハンマーに集中させ、
「キャンディスターバースト!」
ロリホップハンマーで色とりどりの光を放つ。光に包まれながら、サソリケラは
「奈理子の匂いを十分楽しめたので悔いはない…」
と呟き、消え去った。
長く苛烈な戦いが終わり、芝生広場には平和が戻った。ミラクルナイトたちの勇敢な戦いが、再び街に安寧をもたらしたのだった。
芝生広場は、勝利の余韻に浸りながらも、歓声で満ち溢れていた。
「奈理子、今日も可愛かったぞー!」
市民からの声援が飛び交う。その中で、三人のヒロインは勝利を称え合っていた。
「スパッツからブルマに変えただけで、能力アップしたの?」
セイクリッドウインドが興味深そうにドリームキャンディに尋ねる。
「うん、初めはね、まんまパンツじゃんって思ったけど…」
ドリームキャンディは微笑みながら答えた。スパッツからブルマに変えたことで感じた初めての不安も、今ではミラクルナイトの健闘を目の当たりにして、なんてことはないと思えるようになっていた。
「いいなぁ、ブルマ。」
ミラクルナイトが羨ましそうにドリームキャンディを見つめた。
「奈理子さんにはそれが一番似合ってますよ。」
ドリームキャンディが悪戯っぽく言うと、ミラクルナイトは恥ずかしそうに顔を背けた。しかし、少し股を開いて手を後ろに回したその仕草が、誇らしげにお漏らしした白いパンツを見せつけるように見えると、ドリームキャンディは内心で思った。
「奈理子さん、そのポーズ、可愛いですよ」
とドリームキャンディが微笑んだ。
「で、奈理子、試験はどうだったの?」
とセイクリッドウインドが入学試験の結果を尋ねる。
「まぁまぁかな…」
と奈理子が控えめに答える。
「奈理子さんが水女の制服を着たら、もっとファンが増えますよ」
とドリームキャンディが水都女学院の水色セーラー服を想像して言った。奈理子はただ微笑んだ。
「合格発表はまだ先だから…」
と奈理子が言ったその時、セイクリッドウインドは
「奈理子はデートの途中だったんだよね。キャンディ、あまり引き止めちゃ悪いから、そろそろお暇しよう」
と提案した。
三人はお互いに頷き合い、光となって飛んでいくセイクリッドウインドとドリームキャンディ。市民は二人を見送りながらも、ミラクルナイト、奈理子の姿に歓声を上げた。変身を解いた奈理子は、水都中学の制服に戻り、ライムを探し始めた。しかし、今の奈理子の心は、ライムとのデートの続きよりも、早くシャワーを浴びて着替えたいという願望で溢れていた。逆さまでパンツを履いたままお漏らししてしまったので、セーラー服の下の上半身が大変なことになっている奈理子であった。
(第121話へつづく)














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