DUGA

ミラクルナイト☆第113話

冬の訪れと共に水都市はクリスマスの光に包まれていた。街中の至る所に設置されたイルミネーションが輝き、暖かな雰囲気を演出していた。そんな中、商店街では毎年恒例となっているクリスマスツリーの準備が着々と進められており、その点灯式の主役に選ばれたのは水都第一小学校の六年三組学級委員長、寧々だった。彼女はこの大役を仰せつかったことに心からの喜びよりも、どこか不安を感じていた。

去年のクリスマスツリー点灯式では、水都市のアイドルである奈理子がミラクルナイトとしてサプライズ登場し、クリスマスツリーの飾りの一部となるという驚きの展開があった。そのため、奈理子と比べてしまうと、寧々自身がいかに地味な選択であるかということに、不安を隠せなかったのだ。

「私なんかでいいのかな…」

と不安になる寧々。

しかし、奈理子の弟、隆はそんな寧々に

「心配するな。寧々でもサプライズは演出できる。」

と背中を押した。隆によると、点灯式当日に寧々が突然体調を崩して出席できなくなり、代わりに隆がスイッチを押すことになるが、その直前にドリームキャンディが現れ、クリスマスツリーの点灯を宣言するという計画だった。

隆は自信満々に

「去年の姉ちゃんには負けねぇぞ」

と豪語し、去年の奈理子以上の盛り上がりを予感していた。だが、商店街の人々の奈理子への深い愛情とミラクルナイトへの尊敬は計り知れないものがあった。ドリームキャンディによるサプライズが奈理子のものを超えることができるのか、寧々にとって点灯式までの日々は緊張に満ちたものとなる。

寧々はこの重責を背負い、クリスマスシーズンの水都市でどのような輝きを放つのか、その足取りは重くもあったが、期待に胸を膨らませていたのであった。


水都大学医学部附属病院の休憩室にて、香丸はカオリからの呼び出しを受けていた。

「今年も奈理子をツリーに飾るのよ」

とカオリは白衣を翻しながら急ぎ足で話し始めた。彼女は現在、医学部四回生として病院での臨床実習に励んでおり、ちょうど休憩時間にこの計画を打ち明けることにしたのだ。

「一年前と今では状況が違います」

と香丸は渋った。既に彼もカオリも、奈理子とは顔見知りになっている。現在の奈理子は、彼らを敵とは考えておらず、友人として接している。そんな彼女を再びクリスマスツリーに吊るすなどというのは、香丸にとっては奈理子に対する裏切り行為に等しかった。

しかし、カオリは言った。

「私じゃないわ。香丸、貴方が奈理子をツリーに吊るすのよ」

と。カオリは今年の実習が終わっても、年明け早々にまた実習が始まる。年末年始はカオリにとって束の間の休息だ。彼女には何かサプライズが欲しかった。そうして、カオリは香丸にその役割を託したのだ。

「香丸、私にサプライズしてよ。貴方は暇でしょ」

と彼女は少し甘えた声で頼む。文学部二回生である香丸には確かに暇があった。カオリは実習中なので薔薇の香りは消しているが、何となくいい匂いがする。カオリのいつもとは違う香りに、香丸は心を動かされる。

「考えておきましょう」

と香丸は渋々ながらも承諾した。

「任せたわ。奈理子は可愛いから、みんな喜ぶわ」

とカオリは足早にその場を去っていった。

奈理子を傷つけず、かつ皆を喜ばせる方法を考える香丸。奈理子をクリスマスツリーに飾るという計画をどう実現させるか、彼の頭の中はあれこれと案を巡らせていた。


勅使河原の執務室への道中、渦巻は背後から軽快な声で

「うっず、まっき、さん♪」

と呼び止められた。振り返ると、そこにはいつも笑顔を絶やさない若い女性、赤戸緑が立っていた。

「赤戸さんですか」

と渦巻が問い掛けると、緑はニコニコしながら答えた。

「街はクリスマス一色。そろそろ私の出番でしょ」

と彼女は言い、ミラクルナイトとの戦いを心待ちにしているようだった。渦巻は緑の意気込みを受け、

「勅使河原さんに推薦しておきますよ」

と応えると、緑は

「奈理子をたっぷり可愛がってあげるから、よろしくね」

と言い残して渦巻が向かう勅使河原の執務室へと続く道を眺めた。

執務室に入った渦巻は緑の推薦を勅使河原に伝えると、勅使河原は

「よかろう。クリスマスしか使い所がない女だからな」

と快く受け入れた。しかし、勅使河原は一抹の不安を抱えており、

「赤戸一人では心許ない。アブラムシ男に見張らせろ」

と渦巻に命じた。さらに、

「手を出すのはミラクルナイトだけだ。ドリームキャンディには手を出すな」

という重要な注文を付け加えた。新たに手に入れたロリポップハンマーを武器とするドリームキャンディは、緑にとって手に負えない相手だと勅使河原は判断していたからだ。渦巻は

「赤戸にはキツく言い聞かせます」

と応え、勅使河原の命令を忠実に実行することを誓った。


水都公園の並木道は、夕闇が訪れると電飾で彩られ、幻想的な光景を創り出していた。この光り輝く公園を、緑はウキウキした気持ちで歩んでいた。彼女にとって、この日、この場所は特別な意味を持っていた。なぜなら、ここは水都の絶対ヒロイン、ミラクルナイトこと奈理子の帰宅路だったからだ。緑は心の中で、

「クリスマスは私の季節。この日を待っていたわ!」

と呟きながら、奈理子が現れるのを待ち構えていた。

そんな彼女の前に、水都中学のセーラー服を身にまとった奈理子が姿を現した。奈理子の現れるのを待ち望んでいた緑は、その瞬間を逃さず、赤と緑の鮮やかな植物の怪人、ポインセチア女に変身して奈理子の前に躍り出た。

一方、香丸も同じく水都公園で奈理子の到着を待っていた。彼に課せられた使命は、奈理子を商店街のクリスマスツリーの飾りとして引き立てることだった。しかし、奈理子にどのようにしてこの提案を受け入れてもらうか、香丸はまだ決心がついていなかった。

その時、奈理子が彼の方向に歩いてくるのが見えた。奈理子に声をかけようと前に出ようとした瞬間、彼の目の前でポインセチア女が奈理子の行く手を遮った。奈理子とポインセチア女が何かを巡って言い争っている様子を、香丸は木の陰から静かに見守ることにした。


ポインセチア女は、赤と緑の鮮やかな色彩を纏い、冬の冷たい空気を一切感じさせない暖かみのある笑顔で奈理子に近づいた。

「奈理子ちゃん、可愛いねー。今日は私が可愛がってあげる。」

その声は、まるでクリスマスの贈り物を運ぶサンタクロースのように陽気であった。

しかし、奈理子は混乱を隠せずに立ち尽くす。

「わっ!貴方、誰?」

と警戒の色を隠せない。

「クリスマスを彩るクリスマスフラワー、ポインセチア女だよ〜」

と、ポインセチア女は自己紹介する。その姿は、まさにクリスマスの象徴のような美しさを放っていた。

しかし奈理子の返答は冷静であった。

「私は受験生だから、クリスマスとか関係ないです。通して下さい。」

と、彼女はポインセチア女の前を通り過ぎようとする。

「クリスマスだよ。中学三年生のクリスマスは一生で一度しかないんだよ。一緒に楽しもうよ!」

ポインセチア女は、奈理子を引き留めようとするが、奈理子の意志は固い。

「大きなお世話です。通してくれないのなら、変身しますので手を出さないで下さい。」

「そうこなくっちゃ!ミラクルナイト変身キター!」

その瞬間、奈理子はアイマスクを装着し、水色の光に包まれる。水都中学のセーラー服が消え、純白のブラとショーツ姿になる奈理子。頭に白いリボン、白いブラウス、胸に水色のリボン、手足に水色のグローブとブーツが次々と現れ、最後に純白のショーツを白いプリーツスカートが覆い、奈理子はミラクルナイトに変身した。

「水都の平和を乱す者は、水都の守護神ミラクルナイトが許しません!」

と鋭い視線でポインセチア女に宣言する。

「平和を乱すなんて大袈裟な…。私は奈理子ちゃんと遊びたいだけだよ」

とポインセチア女はにこやかに応えたが、ミラクルナイトは受け入れない。

「私は貴方と遊びたくはありません!」

と断固たる態度で拒否するミラクルナイト。

「そう言っていられるのも最初だけだよ。奈理子ちゃんが狂っちゃうくらい気持ち良くしてあげるね」

とポインセチア女は言い、ミラクルナイトとの戦いが始まった。ポインセチア女の能力がどのようにミラクルナイトを試すのか、その戦いは水都市のクリスマスシーズンに新たな伝説を刻むことになるだろう。



「これでも喰らいなさいっ!」

と力強く叫びながら、ミラクルナイトは掌から水色の光弾を放った。しかし、ポインセチア女はそれを軽々と交わし、逆にミラクルナイトに迫る。

「奈理子ちゃんは可愛いから、アイマスクで顔を隠すと勿体ないよ~」

と言いながら、彼女はミラクルナイトのアイマスクを剥ぎ取った。

素顔が露わになったミラクルナイトは、瞬間的に動揺を隠せずに立ち尽くした。ポインセチア女はその隙に、彼女の特技である赤く鮮やかな花弁を操り、ミラクルナイトを一層追い詰める。

「さあ、奈理子ちゃん、もっと素敵なクリスマスプレゼントをあげるわ!」

ポインセチア女は、その花弁を巧みに操り、ミラクルナイトを囲むようにして攻撃を加えた。ミラクルナイトは、必死にそれらを避けようとするが、次第に追い込まれていく。

赤い花弁がミラクルナイトのコスチュームを切り裂き、純白ブラショーツが見え隠れする。ポインセチア女はさらに攻撃を強め、

「クリスマスの夜は、寒いから暖かくしてあげないとね」

と、魔法のような花弁でミラクルナイトを完全に包み込んだ。

圧倒的な力の前に、火照ったミラクルナイトはとうとう地に膝をつき、力尽きる。ポインセチア女は勝ち誇ったように笑い、

「見ての通り、クリスマスにはポインセチアの力が最も強いのよ」

と宣言した。

敗北したミラクルナイトは、無力感と共に地面に崩れ落ちた。水都市の人々が見守る中、クリスマスの奇跡を願ったミラクルナイトの戦いは、ポインセチア女の手によって幕を閉じた。その夜、水都市はポインセチア女の圧倒的な力によってクリスマスの意味を新たに感じさせられることになった。


クリスマスシーズンの水都公園での一幕。ミラクルナイト、すなわち奈理子の完全敗北の光景を目の当たりにした香丸は、決断を迫られていた。

「みんなに奈理子ちゃんの可愛い姿を見てもらいましょうね〜」

ポインセチア女が鼻歌交じりで奈理子のブラとショーツを脱がしていく。市民たちの前で、ポインセチア女によって抱え上げられたミラクルナイトは、その美しい姿を見せつけられていた。いつも通りの撮影会が始まる中、香丸はポインセチア女以外にも別の敵の気配を感じ取っていた。

「仕方がない、奈理子を助けるか」

と決意した香丸はメロン男へと変身し、ポインセチア女に向けて甘美なメロンの香りを放った。

「何これ?いい匂い」

と反応したポインセチア女に、メロン男は

「奈理子は私が狙っていたのだ。返してもらおう」

と迫った。市民たちの視線に心を乱されながらも、

「香丸さん…」

と香丸の名を呼ぶミラクルナイト。ポインセチア女が

「奈理子ちゃんは私が捕らえたんだから返さないよ。返し欲しけりゃ…」

といい終わらぬうちに、メロン男が

「早くしろ。ツリーの点灯式まで時間がない」

と言う。すると、ポインセチア女は抵抗しようとする間もなく、

「はい!メロン男様」

とミラクルナイトを差し出した。

ポインセチア女がメロン男の要求に応じてしまったのは、彼女がメロンの香りに魅了されてしまったからだ。

「香丸さん、私、また負けてしまった…。弱い私には市民を守る力がありません…」

とメロン男の腕の中で涙を流すミラクルナイトに、彼は言った。

「弱くても、奈理子の存在は市民に幸せをもたらす特別な力があるんだ。クリスマスツリーの飾りとして、市民を喜ばせるんだ」

戸惑うミラクルナイト。メロン男はポインセチア女に向かって

「私がミラクルナイトを商店街のツリーに吊るす。その間、君は適当に暴れて商店街の人達の注意を引くんだ」

と命じる。ポインセチア女はすでにメロン男の魅力に取り憑かれていた。

「メロン男様の命令なら、喜んで!」

と彼女は笑顔で応える。

その瞬間、ポインセチア女の作戦に反対するアブラムシ男が現れ、

「メロン男の言いなりになってはいけない。ポインセチア女よ」

と警告する。

「げっ!植物の天敵、アブラムシ男!」

怯むポインセチア女。メロン男はポインセチア女に

「君は下がっていろ」

と下がらせると、メロン男はアブラムシ男に対峙し、

「君たちはただ奈理子を苛めて楽しんでいるだけだ。私の邪魔をするなら、容赦はしない」

と宣言する。水都公園は、クリスマスシーズンにふさわしくない戦いの舞台となったが、香丸、すなわちメロン男の強い意志が奈理子を守るために立ちはだかったのであった。


水都公園内での異例の一戦が、市民たちの目を釘付けにしていた。ポインセチア女の元気な声援が響き渡る中、

「メロン男様、頑張って〜!」

という彼女の声が、戦場に花を添えた。

アブラムシ男は、自信満々に

「甘い蜜なら俺も出すことができるぜ」

と宣言し、液体をメロン男に向けて放射した。しかし、メロン男はそれを軽々と避け、

「害虫如きにメロンの香りは勿体ない」

と静かに呟いた。その瞬間、彼の手にはまばゆいばかりの剣と盾が現れる。

「メロンソードとメロンシールドだ」

とメロン男が宣言すると、ポインセチア女からは

「メロン男様、カッコいい!」

という声援が飛んだ。

通常とは異なる怪人同士の戦いに、水都公園に集まった市民たちも異様な盛り上がりを見せていた。メロン男は戦いを締めくくるかのように、

「時間が無いのでさっさと終わらせてもらう」

と宣言。その言葉の通り、彼のメロンソードが閃光のように一閃し、アブラムシ男はその場で消滅してしまった。

勝利を手にしたメロン男への市民からの歓声が、水都公園に鳴り響く。しかし、メロン男の心中には、奈理子をクリスマスツリーの飾りにするという使命が重くのしかかっていた。


商店街には、一年で最も華やかな夜、クリスマスツリーの点灯式を観に多くの人々が集まっていた。しかし、この大切な瞬間に、本来スイッチを押すはずだった寧々の姿はなく、その大役を任されたのは隆だった。

「隆、大丈夫か?今からでも奈理子ちゃんにお願いできないか?」

蕎麦屋の店主が不安げに尋ねると、

「心配するな、去年の姉ちゃんを超える盛り上がりを見せてやるから」

と隆は余裕の表情を見せた。彼の心中では、今日の主役は奈理子ではなく、ドリームキャンディ、つまり寧々だった。

しかし、期待されたドリームキャンディの代わりに現れたのは、鮮やかな赤と緑の衣装をまとったポインセチア女だった。

「私はクリスマスの申し子、クリスマスフラワー、ポインセチア女よ。今日は私のために用意された素敵なステージに感謝するわ!」

彼女は巨大なクリスマスツリーの前で興奮を隠せずにいた。商店街は彼女の登場で一層の騒ぎとなったが、隆は動じることなく

「引立て役の怪人まで出てくれたか。寧々、お前の出番だ」

と心中で寧々にエールを送った。

隆の思いが通じたのか、黄色い光とともにポインセチア女の前にドリームキャンディが華麗に降臨した。

「商店街のクリスマスイベントを邪魔する者は、私が許さないわ」

と堂々と宣言するドリームキャンディ。しかし、ポインセチア女は

「邪魔するつもりはないの。むしろ一緒に楽しむつもりだったけど…。でもね、私にドリームキャンディを引き付けておくようにと、ある御方から頼まれたの」

とニコリと微笑んだ。

「また良からぬことを企んでいるのね!」

とドリームキャンディはキャンディチェーンを手に戦いの構えを取った。

そうして、商店街のクリスマスイベントは、ドリームキャンディとポインセチア女の戦いの場となり、その結末に人々の目は釘付けにされていた。


商店街のクリスマスイベントは、ドリームキャンディとポインセチア女の戦いによって、一層の熱気に包まれていた。キャンディチェーンを手にしたドリームキャンディは、ポインセチア女の鮮やかな赤と緑の花弁が放つ鋭い棘に警戒しながら立ち向かう。

「ポインセチアブラスト!」

と叫ぶポインセチア女は、火花のように煌めく赤い花弁をドリームキャンディに向かって放った。ドリームキャンディは身軽にそれを避けながら、

「そんな攻撃、当たるわけないじゃない!」

と反撃に出る。キャンディチェーンを振り回し、ポインセチア女の隙を突こうと試みた。

しかし、ポインセチア女はただの花の怪人ではなかった。彼女は巧みに動き、ドリームキャンディの攻撃を華麗にかわすと、突如として地面から巨大なポインセチアの茂みを生やし、ドリームキャンディを捕らえようとした。

「見てなさい、私のポインセチアガーデン!」

と彼女は高らかに宣言した。

一瞬、ドリームキャンディはポインセチアの茂みに囲まれる危機に瀕したが、彼女は冷静さを失わず、キャンディチェーンを地面に叩きつけると、周囲のポインセチアを一掃した。

「こんなもの、私には効かないわ!」

とドリームキャンディは闘志を燃やす。

戦いは激しさを増していったが、ドリームキャンディの機敏な動きとキャンディチェーンの扱いの上手さが徐々にポインセチア女を圧倒していく。ポインセチア女が放つ花弁の一つ一つをキャンディチェーンで払いのけながら、ドリームキャンディは少しずつ距離を詰めていった。

「こんなはずじゃ…!」

とポインセチア女が焦り始めたその時、ドリームキャンディはついにポインセチア女に迫り、キャンディチェーンで決定打を放とうとする瞬間が訪れた。しかし、その直前でドリームキャンディは攻撃を止め、

「最後までやる必要はないわ。クリスマスはみんなで楽しく過ごすべきよ」

と、ポインセチア女に対して戦いをやめる意思を見せた。

戦いは僅かにドリームキャンディの優勢で終わりを迎え、商店街の人々はドリームキャンディの勇姿に大きな拍手を送った。ポインセチア女も周りの空気に飲まれ、ドリームキャンディの強さと心の優しさを認めざるを得なくなり、二人の間には微妙な友情のようなものが芽生え始めていた。


ポインセチア女の意識は、群衆の中から漂ってくるメロンの香りに引かれた。準備はもう整っている。それはメロン男からのサインだった。戦いの終わり、そして新たな始まりへの時が来ている。

「さすが小学生戦士ドリームキャンディ。中学生の奈理子よりもずっと強いわね」

とポインセチア女は感嘆の声を上げた。彼女がミラクルナイトを陥れたポインセチアガーデンが、ドリームキャンディによって容易く破られるとは予想もしていなかったのだ。

ドリームキャンディは勝利の後も優しく、

「あなたも心を入れ替えて、一緒にクリスマスを楽しみましょう!」

と、和解を求める手を差し伸べた。商店街に集まった人々はこの小学生戦士の勇敢さと心の広さに拍手を送っていた。

しかし、ポインセチア女は自分に課された使命を思い出した。メロン男からの指示は明確だった。ドリームキャンディの前で彼女の勝利を彩り、その後静かに退場すること。ドリームキャンディの輝かしい勝利に水を差すことなく、自らの役目を完遂することだった。

「今日はここまでね。次に会った時は、容赦しないから覚悟しておいて」

とポインセチア女は捨て台詞を残し、人々の視線から離れていった。彼女の去った後、商店街はドリームキャンディに対する歓声でいっぱいになった。ポインセチア女の心の奥底では、次にこの小学生戦士と対峙する時があるならば、もしかすると友としてではなく敵として立ち向かうことになるかもしれないという予感があった。それでも彼女は、今はただメロン男との約束を果たしたことに安堵し、このクリスマスの夜を静かに過ごすことを願っていた。


隆にとって計画外の事態であったポインセチア女の乱入だったが、ドリームキャンディがその場を見事に収めた。市民たちを魅了するドリームキャンディの活躍に、隆は信号を送る。

「いくぞ」

と目で合図を送り、ドリームキャンディもこれに頷きを返す。キャンディチェーンが輝きを増し、巨大なチュッパチャプス、ロリポップハンマーに姿を変えたのだ。

ドリームキャンディは壮大な声で宣言する。

「商店街に来てくれたみなさ~ん、これが私からのクリスマスプレゼントです!」

と言い、ロリポップハンマーを華麗に回転させ、クリスマスツリーに向ける。隆はその勇気ある行動に応え、

「今日から商店街のヒロインは姉ちゃんじゃなくて、寧々だ!」

と心の中でつぶやきながら、ツリーの点灯スイッチを押した。一瞬にして商店街は眩い光に包まれ、クリスマスツリーが輝き始めた。

「おぉぉ…」

と人々からは驚嘆の声が上がる。隆が

「寧々、これが俺からのクリスマスプレゼントだ」

と呟いたその瞬間、周囲の人々が

「奈理子ちゃんだ!」

「奈理子ちゃんがツリーにいるぞ!」と声を上げ始めた。

ドリームキャンディは驚きを隠せず、

「奈理子さん…。どうして??」

と呟く。クリスマスツリーには、純白下着姿のミラクルナイトが吊るされていたのだ。

「奈理子ちゃん、可愛いぞー!」

商店街には盛大な奈理子コールが鳴り響く。

「姉ちゃん…」

と隆は呆然と呟き、ドリームキャンディは肩を落とす。

「やっぱり、奈理子さんには叶わない…」

と内心で嘆く。

しかし、ミラクルナイトは得意げに笑い、

「ミラクルパワー!」

と叫び、光り輝きながらツリーの拘束から解放され、地上に舞い降りる。

「大好きな商店街のみなさん、ちょっと早いけどメリークリスマス!」

と両手を広げて観衆にアピールするミラクルナイト。その瞬間、商店街は更なる歓声に包まれた。


商店街はミラクルナイトの登場で一気に沸騰した。

「奈理子〜!」

と叫ぶ占い師のお姉さんがミラクルナイトに飛びつく姿が目立つ。

「今年も奈理子ちゃんがクリスマスツリーに吊るされてくれるとはね!」

と蕎麦屋の店主が言い、果物屋のおじさんを含む商店街の人々がミラクルナイトに群がる。

隆は苦笑いを浮かべつつ、

「美味しいところをだけを持っていきやがって…」

と姉の奈理子、ミラクルナイトに対する複雑な感情を露わにする。一方で、ドリームキャンディは隆に向かって優しく微笑み、

「奈理子さんってすごいよね。みんなを喜ばせるために自分からクリスマスツリーに吊るされるなんて、私にはできないよ」

と言う。隆が

「寧々が主役のはずだったのにな」

と残念がると、ドリームキャンディは

「でも、すごく楽しかったよ。隆、ありがとう」

と感謝を表し、隆の手を握る。

その頃、雑居ビルの屋上では香丸と緑がクリスマスツリーの様子を眺めていた。

「なんで下着を穿かせたの?」

と緑が疑問を投げかけると、香丸は

「清純の証だからさ」と答える。

「でも、処女じゃないのに」

と緑は不満げに呟く。しかし、香丸は遠くを見つめながら

「奈理子はいつでも清純可憐な女の子だよ」

とミラクルナイトの姿を見守るのだった。

第114話へつづく)

あとがき