DUGA

ミラクルナイト☆第158話

学校帰り、寧々と隆は水都公園の芝生広場にやって来た。ここは何度も戦場となった場所だが、今日は平和な光景が広がっている。子供たちが元気に走り回り、家族連れがピクニックを楽しんでいるのを見て、寧々は自然と微笑んだ。

「やっと期末テスト終わったね〜」

寧々は芝生に座り、心地よさそうに腕を伸ばした。

「中学はテストばっかで忙しいよな。でも、あとは夏休みを待つだけだ」

隆は芝生にゴロンと横になりながら、ちらりと寧々のスカートの中を確認しようとした。

「残念でした〜」

寧々が笑って言う。彼女のスカートの下には体操服のハーフパンツが隠れていた。

「寧々は中学生になっても、全然色気が無いな」

と隆は、予想通りの結果だが、少しがっかりしながらぼやいた。

「パンツ見たかったら、奈理子さんにでも見せてもらいなよ」

と寧々がさらりと言い返す。

「何でわざわざ姉ちゃんのパンツを見なきゃならないんだ?」

と隆は呆れた様子で言った。

「私がどうしたって?」

上から声がして、二人が見上げると、そこには奈理子が立っていた。芝生に寝転がっていた隆には、彼女の水色のスカーの中から白いパンツよく見えてしまっていた。家で見慣れた姉のパンツも、外で見るとまた違った趣があるなと隆は考えていた。

「お前たち、学校でもいつも一緒にいるし、本当に仲が良いんだな」

と奈理子の後ろに立つライムが言った。

「いいな〜、好きな人と同じ学校で過ごせるなんて」

と奈理子は振り返って、ライムに笑顔を向けた。

「期末テストが終わったから、ちょっと芝生でゆっくりしようと思ったんです」

と寧々が説明すると、

「寧々ちゃん、成績良いもんね。すごいなぁ」

と奈理子は感心した様子で言った。

しかし、寧々は少し苦笑いを浮かべた。実は、戦いの連続で勉強が疎かになり、成績が思ったほど良くなかったのだ。今日も家に帰ったら早速復習しようと決めている。

「ここで何度も敵と戦ってきたけど、こうやって敵がいないと、芝生広場はこんなに長閑なのに…」

奈理子が感慨深げに呟いた。

「この光景を守っていかなければなりませんね」

と寧々はしっかりと答えた。

「敵がいないときは戦いのことは忘れろよ」

隆が言った。

「そうだね、隆。でも、こうやって四人でゆっくり会うのは久しぶりだよね。去年の夏休みに市民プールで会った以来かな?」

と奈理子が思い出すように言った。

「ゆっくりと四人で過ごすのは、そうかもしれませんね」

と寧々も頷いた。

「今年も四人でプールに行こう!ね、ライム」

奈理子が嬉しそうにライムに呼びかける。

「ああ、俺も隆と寧々には興味がある」

とライムは静かに答えた。

「何で俺が姉ちゃんとプールに行かなきゃいけないんだ?」

と隆は少し照れたように言ったが、寧々はすかさず

「夏休みになったら四人でプールに行きましょう!」

と元気よく応えた。

「隆も寧々ちゃんの水着姿を見たいでしょ」

奈理子は、寧々にプレッシャーをかけるように微笑んだ。

去年、寧々はスパッツ型のスクール水着だった。今年は、隆に相応しい可愛らしい水着を買わなければならないと密かに決心した寧々だった。

四人は笑い合いながら、また一緒に過ごす楽しい夏の計画を立て始めた。


その頃、トロピカルな雰囲気が漂うパイナップル男のアジトでは、独特の甘い香りが漂う中、パインジュースがウズムシ男たちに振る舞われていた。

「ドリアン男に続いてマンゴー男までも倒されるとは…ミラクルナイトたちも侮れないな…」

パイナップル男は呟きながら、考えを巡らせていた。彼の思惑通りには進んでいない。

その時、アジトのドアがゆっくりと開かれ、一人の怪人が姿を現した。

「お困りのようだね、パイナップル男」

「おお!君は…ココナッツ男!」

パイナップル男は顔を明るくして、その怪人を迎えた。体中が硬いココナッツの殻で覆われた彼は、南国の温かい風のような存在感を放つ。

「水臭いな、パイナップル男。何故、最初に俺に声をかけなかったのさ?」

ココナッツ男はパイナップル男にピニャコラーダのグラスを差し出した。

「君の手を煩わせるほどのことではないと思ったんだ。だが、どうやら奴らも簡単な相手ではなかった…」

ココナッツ男はニヤリと笑い、

「ミラクルナイトは弱そうに見えても、これまでに多くの強者を倒してきている。だが、俺たちが揃えば、奴らもどうしようもないだろう。このピニャコラーダのように、最高のコンビで行くべきだったのさ」とグラスを掲げた。

「君と一緒だと、心強い。よろしく頼むよ」

と、パイナップル男は右手を差し出す。

ココナッツ男はその手を力強く握り、

「早速、奈理子ちゃんを捕獲に行こうか。彼女を手にすれば、我々の勝利は間違いない。奈理子ちゃんを肴に、勝利の美酒を味わおうじゃないか」

と言い放つ。

ウズムシ男たちはその言葉に歓声を上げ、士気を高める。今日もまた、水都の絶対ヒロイン・野宮奈理子、ミラクルナイトに新たな危機が迫ろうとしていた。


市民の憩いの場である芝生広場に、突然響いた悲鳴。その原因は五人のウズムシ男が姿を現したことだった。

「ウズムシ男は私に任せて!寧々ちゃん、子供たちをお願い!」

奈理子が毅然と立ち上がる。

「姉ちゃん一人で大丈夫か?」

隆が不安そうに尋ねる。

「ウズムシ男だけなら何とかなるわ。ライムと隆は寧々ちゃんに協力して子供たちを!」

そう言うと、奈理子はアイマスクを取り出した。

「子供たちを安全な場所に避難させたらすぐ戻って来ます!」

寧々が力強く応え、

「急ごう」

とライムに促されながら駆け出す。彼らを見送りつつ、奈理子は冷静にアイマスクを装着する。

「水都の平和を乱す者はミラクルナイトが許しません!」

水都の守護神、ミラクルナイトの凜々しい姿に、市民から歓声が上がった。

「来たな、奈理子!固まるな、散れ!」

ウズムシ男の一人が指示を出すと、五人は一斉に動き出し、ミラクルナイトを取り囲んだ。固まっていると、ミラクルナイトの強力な「ミラクルアクアティックラプチャー」で一網打尽にされてしまう。それを避けるため、彼らも過去の戦いから学んでいたのだ。ウズムシ男たちはじりじりとミラクルナイトとの距離を詰めていく。

「うぅ…」

奈理子の心に焦りが走る。ウズムシ男たちが巧みに間合いを詰める中、ミラクルアクアティックラプチャーを使うタイミングを失っていた。

「かかれ!」

ウズムシ男の一人の掛け声で、五人が一斉にミラクルナイトに襲いかかる。ミラクルナイトは正面から迫る一体に右ハイキックを放ち、右側から迫る別の一体には素早い左回し蹴りで応戦。連続して繰り出される華麗な蹴り。しかし、その威力は抑えられていた。全力を出せば、ウズムシ男はその衝撃で分裂してしまうからだ。ミラクルナイトは自らの力を封じながら戦うしかなかった。

ミラクルナイトの蹴りが繰り出されるたびに、スカートが舞い、白いパンツちらりと見える。彼女の華麗なパンチラアクションはウズムシ男たちを喜ばせるだけだった。

「はぁ…はぁ…」

攻撃を抑えつつも翻弄されるミラクルナイト。だが、敵の包囲は縮まり、彼女の体力も限界に近づいていた。


「それっ!」

ミラクルナイトの背後から忍び寄ったウズムシ男が、油断した隙をついて彼女のスカートを捲り上げた

「くッ!」


怒りに燃えたミラクルナイトは反射的に水色の光弾を放ち、ウズムシ男を貫く。しかし、光弾を受けたウズムシ男は笑みを浮かべながら二人に分裂した。

「増やしてくれてありがとよ」

ウズムシ男が得意げに言い放つ。こうして数が六人に増えた。

怒りに震えたミラクルナイトは、白い翼「ミラクルウイング」を広げ、大空へと舞い上がった。

「ミラクルアクアティックラプチャー!」

ミラクルナイトが素早く地上のウズムシ男たちに向けて、水のオーラを放つ。焦ったウズムシ男たちは慌てて逃げ出すが、三人が水のオーラに捉えられ、そのまま消滅していった。

これで残るウズムシ男は三人。どう攻めるかを考えるミラクルナイト。だが、その瞬間、背中に強い衝撃を受けた。

「きゃあ!」

彼女は悲鳴を上げながら墜落し、芝生に叩きつけられた。

「うぅ…」

痛みで顔を歪めながら頭を上げたミラクルナイトの視界には、パインスライスを手にしたパイナップル男。そして、その隣には見たことのない怪人、ココナッツ男が立っていた。

左右から腕を掴まれ、ウズムシ男たちに無理矢理立たされるミラクルナイト。

「お楽しみはこれからだぜ、奈理子ちゃん」

正面に迫ってきたウズムシ男が、彼女の頬を撫でた。

「いや…!寧々ちゃん、助けて…」

恐怖に怯えるミラクルナイト。

「少し眠ってもらうぜ」

次の瞬間、強烈なパンチが彼女の腹に叩き込まれ、ミラクルナイトは気を失ってしまった。

「思ったよりも弱かったな」

ココナッツ男が、意識を失ったミラクルナイトの顎を掴み、その顔を覗き込む。

「一人じゃ可哀想なくらい弱いさ。仲間と一緒だと少しはやるが」

パイナップル男が嘲笑するように言う。

「ドリームキャンディとセイクリッドウインドか?」

ココナッツ男が興味を持ったように尋ねると、パイナップル男は頷く。

「ウズムシたちは奈理子を持ち帰ってパーティの準備だ。俺とパイナップル男は少し遊んでから戻るよ」

ココナッツ男が指示を出すと、ウズムシ男たちは喜々として失神したミラクルナイトを連れて行った。

「他の二人は少しは手応えがあるのか?」

ココナッツ男が問う。

「ドリームキャンディは飴で俺たちの香りを無効にできる。セイクリッドウインドは風を操る少々厄介な奴だな」

パイナップル男が答える。

「まあ、お手並み拝見といこうか」

ココナッツ男が楽しげに言う。

「俺たちの敵じゃないけどな」

パイナップル男が不敵な笑みを浮かべた瞬間、黄色い光が芝生広場に降り立った。

「奈理子さんを虐める者は、中学生戦士ドリームキャンディが許さない!」

ドリームキャンディが高らかに宣言する。

「一人だけか?セイクリッドウインドが来るまで待ってやるよ」

ココナッツ男が余裕たっぷりに告げた。


ミラクルナイトの姿が見当たらない。

「奈理子さんはどうしたの?」

ドリームキャンディが鋭く問いかける。

パイナップル男が薄笑いを浮かべ、答えた。

「奈理子はウズムシ男が持ち帰ったさ。今夜は特別ゲストとして、楽しいパーティが待ってる」

続いてココナッツ男も口を開く。

「パーティが終わったらちゃんと返してやるよ。心配するなって」

「何のパーティーよ?!」

怒りを込めたドリームキャンディの叫びが響く。

「奈理子に快楽を与えて可愛がってやるパーティさ」

パイナップル男が愉快そうに答えた。

「また奈理子さんにエッチなことをするつもりでしょ!」

ドリームキャンディの目が怒りで燃え上がる。

ココナッツ男はふざけた調子で言い返す。

「興味があるなら、キャンディちゃんも招待してやるよ。もっとも、君には少し刺激が強すぎるかもしれないけどな」

「行ってあげるから、場所を教えなさい!」

ドリームキャンディは叫ぶ。

「場所は教えられないな」

パイナップル男が余裕たっぷりに言い放つ。

「まあ、キャンディちゃんが奈理子ちゃんのように大人しく眠ってくれるなら、連れて行ってやるよ」

ココナッツ男が不気味に笑う。

「ならば、力尽くで言わせてやるわ!」

ドリームキャンディがキャンディチェーンを構えて戦いの構えを取った。

パイナップル男は薄笑いを浮かべたまま、挑発的に言う。

「この前、俺に負けて眠ってたのは誰だったかな?」

「じゃあ、今度は俺がキャンディちゃんを力尽くで眠らせてやる。痛いけど、我慢してね」

ココナッツ男が笑みを浮かべ、戦いの気配が濃厚になる。

その瞬間、緑色の光が芝生広場に降り注いだ。風が渦を巻く。

「パイナップル男、今日こそ決着をつけてやる!」

風の戦士、セイクリッドウインドがガストファングを構え、力強く現れた。

「奈理子さんはウズムシ男に拐われました」

ドリームキャンディが、セイクリッドウインドに状況を告げる。

セイクリッドウインドの目に怒りの色が宿る。

「奈理子は必ず助ける!」

パイナップル男とココナッツ男を睨みつけ、覚悟を決めたように構えるセイクリッドウインド。

ココナッツ男は不敵な笑みを浮かべながら言った。

「やっと二人揃ったな。君たちの力、楽しませてもらおうか」

こうして、ドリームキャンディ、セイクリッドウインドとパイナップル男、ココナッツ男との激戦の幕が切って落とされた。


森の中、ウズムシ男に肩に担がれ運ばれているミラクルナイト。彼女は気を失っているように見えるが、実は運ばれる途中で意識が戻っていた。

(このままパイナップル男のアジトに連れて行かれれば、アジトを潰せるかもしれない…)

そう思い、ミラクルナイトは眠ったふりを続けることにした。

「このヒラヒラスカート、捲りたくなっちゃうよな」

後ろを歩くウズムシ男がミラクルナイトのスカートを捲り上げ、奈理子の白いパンツが露わになる。

(ちょっと、何してるのよ!)

心の中で叫ぶミラクルナイトだが、目的を果たすため、耐えるしかない。

「パンツが濡れてるぜ」

ウズムシ男が奈理子の匂いを放つクロッチツンツンと刺激する。

(んッ…触らないで…!)

ビクンと身体が反応するが、声を出すことはできない。

「気を失っているのに感度抜群だな。さすがミラクルナイト、染みが広がってきたぜ」

がどうなってるか、見てみようじゃないか」

楽しそうに話すウズムシ男たちが、ミラクルナイトのパンツに手を掛けた。

(いやぁ…パンツを脱がさないで…)

必死に心の中で訴えるミラクルナイト。

その瞬間、彼女を担いでいるウズムシ男が

「やめろ!」

と二人を制止した。だが、パンツは既に太ももまで下げられ、奈理子のスベスベの尻が露わになっている。

(ありがとう…私を担ぐウズムシ男…)

一瞬の安堵を感じたミラクルナイト。しかし、続く言葉でその安堵は砕かれる。

「お前たちだけ楽しむのは不公平だ。ここで三人で奈理子を存分に可愛がってやろう」

ミラクルナイトを木の幹に優しく降ろすウズムシ男。

(そんな…!)

感謝した自分を恥じたミラクルナイト。彼らがこの状況で黙っているはずがなかった。

「可愛い寝顔だな」

純白パンツ漆黒のお毛々が堪らん♪」

迫りくるウズムシ男たち。

(もう、パイナップル男のアジトを突き止めるのはやめた!ここでウズムシ男たちを倒す…)

決意を固めたミラクルナイトは、目を開くと素早く跳躍し、木の枝に立った。そして、羞恥に震えながら下ろされたパンツを引き上げる。

「うわっ!奈理子が!」

「起きていたのか!」

「パンツ丸見えだ!」

驚愕するウズムシ男たちを見下ろし、ミラクルナイトは凜とした声で言った。

「貴方たちは、ここで消えてもらうわ。ミラクルアクアティックラプチャー!」

水のオーラが三人のウズムシ男を包み込む。

「俺たちを倒しても、ドリームキャンディとセイクリッドウインドは今頃、パイナップル男とココナッツ男に…」

そう呟きながらウズムシ男たちは消滅していった。

「寧々ちゃんと凜さんが危ない…」

ミラクルナイトは焦りの中、ミラクルウイングを広げ、芝生広場へと舞い上がった。


水都公園の芝生広場で、ドリームキャンディとセイクリッドウインドがパイナップル男とココナッツ男に対峙していた。ミラクルナイトがウズムシ男たちに連れ去られた今、二人で何とか敵を食い止めなければならない。

「奈理子さんは必ず取り戻します!」

ドリームキャンディが叫び、キャンディチェーンを構える。

「奈理子は私たちが守る!」

セイクリッドウインドもガストファングを手に気を引き締めた。

「主役の奈理子がいない今、果たして二人でどこまで持ちこたえられるかな?」

パイナップル男が挑発的に笑う。

「さぁ、楽しませてくれよ」

とココナッツ男が続け、二人の怪人は一歩前に出た。

「行くわよ、寧々!」

セイクリッドウインドが風の刃を繰り出すべくガストファングを振るう。

「ガストファング、竜巻!」

突如、芝生広場に三つの竜巻が巻き起こり、パイナップル男とココナッツ男を飲み込もうと渦巻く。

「甘いな…!」

パイナップル男は竜巻の中で一瞬動きを止め、両手に巨大なパインスライスを構えた。

「パイナップルスピンチャージ!」

パインスライスを高速回転させながら竜巻を突破し、セイクリッドウインドに向かって猛突進する。

「くっ…!」

セイクリッドウインドは回避しようとしたが、パインスライスの回転があまりにも速い。

「あぁッ!」

強烈な衝撃を受け、彼女は空中でバランスを崩し、芝生に叩きつけられた。

「凜さん!」

ドリームキャンディが叫ぶが、すぐにココナッツ男が彼女の前に立ちはだかった。

「さて、キャンディちゃんはどうかな?ココナッツクラッシュ!」

ココナッツ男が両手に持った硬いココナッツを叩きつけるように振り下ろしてきた。

「ロリポップハンマー!」

ドリームキャンディは即座にキャンディチェーンを変形させ、ロリポップハンマーで応戦する。しかし、ココナッツの硬い外殻にロリポップハンマーが叩きつけられても、その威力を打ち消すことができなかった。

「効かない?!」

「ココナッツの殻を舐めるなよ!」

ココナッツ男が再び振りかぶったココナッツで、ドリームキャンディに強烈な一撃を加える。

「あぁッ!」

彼女は吹き飛ばされ、地面に転がった。

「もっと楽しもうか?」

パイナップル男がセイクリッドウインドに向かい、再びパインスライスを投げつけた。

「パイナップルブーメラン、二重アタックだ!」

二枚のパインスライスが同時に彼女に向かって飛んでくる。

「サイクロンガード!」

セイクリッドウインドは再びガストファングを使って風の壁を作るが、パインスライスの勢いに押され、その防御を突破されてしまった。

「きゃあっ!」

彼女も再び地面に叩きつけられる。

「凜さん…!」

ドリームキャンディが立ち上がろうとするが、ココナッツ男がすかさず彼女を押さえつけた。

「もう終わりだよ、キャンディちゃん。大人しく眠りなよ」

ココナッツ男は強烈な打撃を彼女に加えた。

「うぅ…奈理子さん…ごめん…」

ドリームキャンディは力を失い、地面に倒れ込んだ。

「さぁ、これで終わりだ」

パイナップル男とココナッツ男は、倒れたセイクリッドウインドとドリームキャンディを見下ろし、勝ち誇った笑みを浮かべていた。

「ミラクルナイトがいなくても、この程度の力か。やはり三人揃わないと弱いな」


芝生広場の上空までやって来たミラクルナイトが見たものは、無残に倒れたドリームキャンディとセイクリッドウインドの姿だった。

「キャンディ!凜さん!」

と叫びながら地上に舞い降り、倒れた二人のヒロインの元に駆け寄るミラクルナイト。スカートが舞い上がり白いパンツがチラチラと見えるが、それを気にする余裕もなかった。

「ウズムシの奴ら、奈理子に逃げられたか」

「もう一度奈理子を捕まえてやろうぜ」

パイナップル男とココナッツ男は、ミラクルナイトのミニスカートから伸びる美しい生脚をじろじろと眺め、ニヤリと笑った。彼らの視線はあからさまで、不気味なものだった。

「貴方たち、絶対に許さないわ!」

ミラクルナイトは、怒りで震える華奢な身体を二人の怪人に向け、鋭く睨みつける。

地に伏せるドリームキャンディが、弱々しくミラクルナイトの右足首を掴んだ。

「奈理子さん、ダメ…」

その声は、かすかながらも必死だった。

「この二人は、奈理子さんが勝てる相手ではありません」

と彼女は告げた。近くで倒れていたセイクリッドウインドも、

「奈理子、キャンディを連れて逃げて!私が何とかするから…」

と、辛そうに声を絞り出したが、立ち上がる力すら残っていない様子だった。

「凜さん…」

ミラクルナイトは、彼女の力ない姿を見つめ、呟いた。確かに、ドリームキャンディとセイクリッドウインドをここまで痛めつけた相手に、自分が勝てるとは思えない。しかし、仲間が傷付けられた現実に、逃げる選択肢は彼女の中にはなかった。

「ほら、飴玉娘も風間凜も、奈理子じゃ俺たちには勝てないって言ってるぜ」

「逃げるなら、見逃してやるよ。だけど、その代わりに風間凜をお持ち帰りさせてもらうけどな」

パイナップル男とココナッツ男が下卑た笑いを浮かべる。

その言葉を聞いて、ミラクルナイトの怒りは頂点に達した。

「私は水都の守護神、ミラクルナイト!逃げたりはしないわ!」

彼女は決意を込めて宣言した。仲間を見捨てることなど、決してできない。

「奈理子さん、これを…」

ミラクルナイトはドリームキャンディから差し出されたパイン飴を受け取り、静かに口に含んだ。

「ありがとう、寧々ちゃん」

と囁くように言い、ミラクルナイトは視線を敵に戻した。二人の怪人に対する怒りが渦巻き、心は激しく揺れていた。だが、それでも彼女は、決して引くことなく、戦いに挑む覚悟を固めていた。

「さぁ、始めようか。奈理子ちゃん」

とココナッツ男が冷たく笑った。

戦いの火蓋が切られ、ミラクルナイトと二人の怪人との激闘が始まった。しかし、その胸に渦巻く怒りと焦りが、彼女の動きを鈍らせる。果たして、彼女はこの戦いに勝つことができるのだろうか――


噴水広場を包む生ぬるい風が吹き抜ける中、ミラクルナイトは目の前のパイナップル男とココナッツ男に挑み続けていた。だが、その動きは荒く、心の乱れが如実に表れていた。簡単にココナッツ男に飛びかかってはあっさり弾き飛ばされ、芝生に背中を打ち付けてしまう。

「くっ…!」

呻きながら立ち上がるミラクルナイト。しかし、そのスカートは不自然に舞い上がり、彼女の白いパンツが無防備に露わになってしまっていた。

「ココナッツミルクのような清々しい純白のパンティだな」

「しかも、濡れてるぜ。さては、ウズムシどもに悪戯されて感じたんじゃないか?」

パイナップル男とココナッツ男が口々に笑いながら、ミラクルナイトのパンツを揶揄する。彼女の顔が一瞬歪むが、すぐにその表情を引き締めた。

「負けない!えいッ!」

と、ミラクルナイトは力強く水色の光弾を放つ。しかし、その光弾はココナッツ男の硬い外殻に簡単に弾かれ、まったく効果がない。焦るミラクルナイトは、それでも果敢にキックやチョップを繰り出すが、パイナップル男とココナッツ男の外殻は硬く、その攻撃は何の意味も持たなかった。逆に彼女のスカートが舞い上がる度に、白いパンツが目立ち、二人の怪人はその光景を楽しんでいるかのようだった。

「うぅ…」

何度も地面に叩きつけられるたびに、ミラクルナイトの息は荒くなっていく。それでも立ち上がる彼女の心は、焦燥と共に、仲間たちのために戦わねばという決意で燃えていた。

(やっぱり、私の力じゃ敵わない…でも、負けない…寧々ちゃんと凜さんの仇を取らなきゃ…)

彼女は心の中で自分を鼓舞するように叫び、ココナッツ男の隙を見つけ、跳び上がった。

「ミラクルハピネスシザース!」

ミラクルナイトは太股でココナッツ男の頭部を挟み込み股間をその顔面に押し付けた。彼女の香しい匂いがココナッツ男の意識を惑わし、締め付ける力が強まる。

「くんかくんか…さすが、水都が誇る美少女野宮奈理子の香り…さすがの俺も匂いだけで逝ってしまいそうだよ…」

ココナッツ男が弱々しく呟く。

「このまま堕ちなさい!」

ミラクルナイトは更に太股に力を込める。だが、ココナッツ男は余裕の笑みを浮かべ、

「だが、俺が一人じゃないことを忘れちゃいないかい?」

と言うや否や、

「パイナップル男、いくぞ!」

と叫んだ。

「おう!パイナップルスピンチャージ!」

パイナップル男が叫ぶと同時に、無数のパインスライスが高速回転しながらミラクルナイトに向かって飛んできた。

「きゃああぁ!」

とミラクルナイトは叫びながら、そのスライスが彼女のコスチュームを次々と切り裂いていく。鋭いパインスライスの恐怖に、ミラクルナイトの力は次第に抜けていった。

「あぁぁ…」

彼女の太股は徐々に緩み、ココナッツ男の頭部から離れてしまう。

「お楽しみはこれからだよ。ココナッツバースト!」

ココナッツ男が叫び、ココナッツグレネードをミラクルナイトにぶつけた。その衝撃で彼女の身体は宙に浮き、周囲で連続して爆発が巻き起こった。パイナップルとココナッツの破片が四方に飛び散り、ミラクルナイトは無力に空中を舞い、芝生に叩きつけられた。

ミラクルナイトのコスチュームは至る所が裂け、所々が焦げていた。息も絶え絶えで動けない彼女の上から、パイナップル男とココナッツ男が見下ろす。

「どうだ?これが俺たちの究極奥義、トロピカルデストラクションだ」

「奈理子が何人かかってこようと、俺たちには勝てないよ」

そして、

「ミラクルハピネスシザースが効かないなんて…」

「もう、お終いだ…」

戦いを見守る市民たちの間から絶望の声が上がった。

ミラクルナイトは意識が薄れていく中で、まだ心の中で抗っていた。絶対に、ここで諦めてはならない――そう自分に言い聞かせながら。


「究極奥義と言う割には、大したことないわね…私は…まだ動けるわ…」

ボロボロになりながらも、ミラクルナイトはふらつきながら立ち上がった。その身体は傷つき、コスチュームも至る所が裂けていたが、彼女の闘志だけは消えることがない。しかし、必殺技も通じず、焦燥感だけが胸を支配していた。

「当たり前だろう。奈理子を持ち帰って、これから楽しませてもらうんだからな。倒してしまったら、それじゃ元も子もないだろう?」

パイナップル男がニヤリと笑う。

「そうさ。奈理子の綺麗な肌に傷一つ付けないように、俺たちは気を遣って戦っているんだ。感謝して欲しいくらいだぜ」

ココナッツ男も余裕の笑みを浮かべながらそう告げる。

「うるさい!私は、貴方たちなんかに絶対に負けない!必ず、貴方たちを倒す!」

ミラクルナイトは気丈に叫び、敵を鋭く睨みつけた。彼女の心はどんなに不利な状況であっても屈してはいなかった。

「カッコいいね、奈理子ちゃん。でも、それがどこまで続くかな?」

ココナッツ男が軽い身のこなしでミラクルナイトに飛びかかる。しかし、ミラクルナイトはそれを軽く躱し、素早くハイキックを放つ。

「えいっ!」

だが、そのキックも効果がない。

「そんなへなちょこキック、効くわけないだろ。さぁ、可愛い奈理子ちゃんの素顔を見せてくれよ」

ココナッツ男はミラクルナイトのアイマスクを素早く剥ぎ取った。そこに現れたのは、今にも泣き出しそうな奈理子の素顔だったが、その目にはまだ決して諦めない強い意志が宿っていた。

「ぐぅ…」

ミラクルナイトは歯を食いしばり、ココナッツ男を睨みつけた。しかし、その隙をついたのはパイナップル男だった。背後から忍び寄り、ミラクルナイトの上半身を押さえ込もうとする。彼の両手がミラクルナイトの脇の下から回され、彼女の小さな胸強く掴んだ

「くぅ…や、やめて!」

ミラクルナイトは羞恥と痛みで顔を真っ赤にし、必死にもがくが、振り解くことはできない。

「悶える奈理子ちゃんも可愛いねー」

とココナッツ男が、余裕たっぷりに笑みを浮かべながら近づいてきた。

「馬鹿なこと言わないで!」

怒りと恥ずかしさが混じった表情でミラクルナイトは叫ぶが、ココナッツ男は容赦しなかった。“ドスゥッ!”無防備なミラクルナイトの腹に、ココナッツ男の強烈な蹴りが深くめり込む。

「うぅ…」

その一撃でミラクルナイトの視界が暗転し、意識が遠のいていく。しかし、ココナッツ男はまだ満足しなかった。彼は気を失ったミラクルナイトの髪を掴み、無理やり顔を引き上げると、冷たく

「まだ寝るには早すぎるよ」

と言い放ち、彼女の頬に強烈な平手を打ち付けた。

「…あぁ…」

強制的に意識を引き戻されたミラクルナイトは、痛みと混乱の中で必死に抵抗しようとする。

「負けない…ミラクルパワー!」

水色の光が彼女の身体を包み込み、力が再びみなぎる。そして、その力でパイナップル男とココナッツ男を一気に吹き飛ばした。

その瞬間、ミラクルナイトはすぐに白い翼を広げ、空へと舞い上がった。

「戦いはこれからよ!」

彼女の掌から水色の光弾が次々と放たれ、敵に向かっていく。

ミラクルナイトの再び燃え上がる決意と共に、今度こそ二人の怪人を倒すための戦いが始まった。彼女の身体は傷ついていたが、心は折れていない。


「えいっ!」

水色の光弾を撃ち下ろすミラクルナイト。しかし、パイナップル男とココナッツ男の硬い外殻には、彼女の攻撃はまるで効果がなかった。

「撃ち落としてやる!」

ココナッツ男がココナッツミルクを体内から放出する。

「フェアリーシールド!」

ミラクルナイトは水色に輝く防御壁を展開し、ココナッツミルクを弾いた。

「パイナップルブーメラン!」

今度はパイナップル男がパインスライスを投げつける。ミラクルナイトはかろうじてそれを躱したが、ブーメランのように戻ってくるパインスライスに気を取られてしまう。その間にも、ココナッツ男のココナッツミルクが止むことなく放たれていた。

「くっ!」

フェアリーシールドで必死に攻撃を防ぎながら、ミラクルナイトはパインスライスの軌道にも注意を払う。しかし、パイナップル男はさらなる追撃を繰り出した。

「もう一つ喰らえ!」

二つ目のパインスライスがミラクルナイトに向かって放たれる。

上から一つ目、下から二つ目のパインスライスが迫る。さらにココナッツミルクも浴びせられ、回避する余裕はほとんど残されていなかった。

「ぐふぅ…!」

下からのパインスライスが彼女の引き締まった腹に直撃した。

「あぁッ!」

さらに上からのパインスライスが背中に命中し、ミラクルナイトは錐揉み状に回転しながら墜落していった。

(寧々ちゃんと凜さんの仇を討たなければならないのに…)

その思いとは裏腹に、彼女は二人の怪人に翻弄され続け、痛めつけられている。悔しさが彼女の頬に涙を流させた。

「はっ!」

墜落する中で、ミラクルナイトは一つの閃きを得た。

(このまま回転しながらクロスチョップをぶつければ…)

顔の前で両腕を交差させ、落下の勢いを利用してパイナップル男に向かっていく。

「ん?何だ?」

パイナップル男はミラクルナイトが自分に向かって落ちてくるのに気付いた。しかし、避ける余裕はない。

「ミラクルミキサークロスチョップ!」

ミラクルナイトが回転しながら水色に輝く手刀を叩き込んだ。

「ぐわっ!」

パイナップル男が苦悶の声を上げ、彼の硬い外殻にはヒビが入った。しかし、ミラクルナイト自身もその衝撃で弾き飛ばされ、芝生に叩きつけられてしまう。

「回転が…足りなかった…」

地面に両手をつけ、項垂れるミラクルナイト。彼女にはもはや戦う力は残されていなかった。

「残念だったね」

ココナッツ男がニヤリと笑い、ミラクルナイトの首を掴むと、無造作に彼女を投げ飛ばす。

「ココナッツパームクラッシュ!」

両手を使った強烈な攻撃がミラクルナイトに叩きつけられた。

「…あぁ…」

ミラクルナイトの身体は衝撃に耐え切れず、完全に意識を失ってしまった

「持ち帰って、楽しませてもらおうか」

ココナッツ男とパイナップル男は、意識を失ったミラクルナイトを再び連れ去って行った。芝生広場には、無力に倒れたままのドリームキャンディとセイクリッドウインド、そして夕日に照らされる三人の無残な姿が残るだけだった。


水都一の繁華街、水極町のアーケードにざわめきが広がった。

「え…あれは…?」

「ミラクルナイトだ!」

「奈理子、しっかりしろ!」

市民たちが驚きと動揺を隠せない。アーケードの天井から四本の鎖に吊り下げられ、両手両足をX字に広げられた状態で逆さにされたミラクルナイトの姿がそこにあった。彼女のコスチュームはボロボロにされ、身体はぐったりとして動かない。パイナップル男とココナッツ男は、無惨にも敗北したミラクルナイトを市民に晒し者にしていたのだ。

「うぅ…ここは…?」

ゆっくりと目を開けたミラクルナイトは、自分が逆さ吊りにされていることを認識した。朧げな記憶の中で、夕方の水都公園での戦いを思い出す。パイナップル男とココナッツ男に敗北し、凌辱された記憶が甦る。

「私…敗れて…犯されちゃったんだ…」

悔しさと羞恥に涙がこぼれ落ちる。

その瞬間、救命隊が駆けつけ、ミラクルナイトを吊り下げている鎖を丁寧に解いていった。救出された彼女は、体を隠すために毛布でくるまれた。救命隊の温かい手当を受けながらも、ミラクルナイトは変身を解除し、水都女学院の制服姿に戻った野宮奈理子の顔には、まだ涙が浮かんでいた。

「負けたままじゃいけない…」

奈理子の声は弱々しいものの、その瞳の奥には強い決意が宿っていた。確かに、今回の戦いでは敗北し、あまりにも屈辱的な仕打ちを受けた。しかし、彼女は思い出す。パイナップル男の硬い外殻にヒビを入れた瞬間を。強敵ではあるが、勝てない相手ではないはずだ。

「次こそ…必ず…」

涙を流しながらも、不屈の闘志が奈理子の瞳に灯り始めていた。市民が見守る中、彼女は静かに決意を固めた。

第159話へつづく)

あとがき