DUGA

ミラクルナイト☆第219話

ミコール本社・会議室

放課後、奈理子は呼び出されて凜と並んで椅子に座っていた。

「凜さん……?」

ミコール社員の一人が思わず声を上げる。

「私は、奈理子の保護者です」

凜は堂々と答えた。

「両親も凜さんのことは信頼していますから」

奈理子が補足すると、社員は

「そうですか」

と頷き、本題に移った。

「さて、下着メーカーである我がミコールですが、次なる挑戦としてアクセサリー部門を立ち上げようと思っています」

「アクセサリー……ですか?」

奈理子が首をかしげる。

「そこで、奈理子さん、凜さん。質問です。女性が身につけるもので、一番“可愛い”ものは何だと思いますか?」

「えっと……リボンとか?」

「髪飾りじゃない?」

奈理子と凜が顔を見合わせる。

「違います。正解はショーツです!」

自信満々に答える社員。

「……そうですね……」

「……確かに……」

なぜか妙に納得してしまう二人。

「そこで私が提案するのは――ショーツのヘアアクセサリーです!」

「!?」

奈理子が声を失う。

「……正気ですか……?」

凜は額を押さえた。

「見てください!」

社員はテーブルに試作品を置いた。

「これは……私の……」

奈理子が小さく声を漏らす。

そこには、白いコットン地に水色のレースとリボンがあしらわれた、小ぶりなショーツ型のヘアクリップが鎮座していた。

「そうです。“奈理子のショーツ”をそのままヘアクリップにしてみました!長めのリボンが可愛いでしょう?」

「……確かに可愛いけど……」

凜が言葉を濁す。

「でしょう!凜さん、ぜひ頭につけてみてください!」

社員は試作品を凜に差し出す。

「奈理子のパンツを頭につけるの?!」

「そうです!」

「……遠慮します」

凜はやんわりと拒否した。

「奈理子さんと凜さん、二人で推していただければ、この企画は必ず通ります!」

「わ、私もですか?!」

奈理子が慌てる。

「ベースは“奈理子のショーツ”ですから!」

社員はキラキラした目で言い切った。

「……パンツにピンをつけただけじゃないですか……」

なんとか逃げ道を探そうとする奈理子と凜。

会議室に、呆れと笑いが入り混じった空気が流れていた。


「凜さんがつけるなら……わ、私も……」

結局、社員の勢いに押されて、奈理子もヘアクリップを手に取った。

「やっぱり奈理子さんがつけると映えますね!」

社員が大喜びする。

鏡に映る自分の姿を見た奈理子は、真っ赤になった顔を両手で隠した。

「パンツを……頭に……あぁ……」

「でも奈理子、似合ってるわよ」

凜が意外にも冷静に褒める。

「凜さんまでそんなこと言うなんて……!」

奈理子は羞恥に震えた。

数日後・水都の街

「見て!奈理子ちゃんが着けてたやつ!」
「え、これ“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”って言うんだって!」
「カワイイ〜!」

街中の女子高生や女子中学生たちがこぞって白地に水色レースの“ショーツ型ヘアクリップ”を髪に差していた。

「えぇぇぇ!?なんで流行ってるの!?」

奈理子は街角の女子高生グループを見て悲鳴を上げる。

「だって、奈理子ちゃんがつけてたんでしょ?可愛いに決まってるじゃん!」
「しかも水都の守護神ミラクルナイトと同じ奈理子ちゃんが!」

女子たちの間では「奈理子とお揃い♡」という感覚で人気爆発。

水都女学院高校・教室

「奈理子さん、そのヘアクリップすごく可愛いですわね」

お嬢様口調のクラスメイト菜々美まで、当然のように同じものを髪につけていた。

「な、菜々美さんまで……!」

奈理子は椅子から崩れ落ちそうになる。

「流行を作るのも、トップアイドルの宿命ですわよ」

涼しい顔で微笑む菜々美。

水都神社

「……結局流行っちゃったわね」

凜は溜息をつきながら、頭に奈理子のショーツ・ヘアクリップを差していた。

「凜さんまで……」

奈理子は顔を真っ赤にしながら項垂れる。

「まあ、白は清楚で縁起もいいし、神社的にもアリかもな」

大谷が冷静に頷いていた。

こうして――「奈理子のショーツ・ヘアクリップ」は、ミコール史上空前の大ヒット商品となったのであった。


穢川研究所・会議室

篠宮=ブナシメジ男は、モニターに映る水都の街の映像を見つめていた。
女子高生から主婦まで、こぞって“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”を髪につけて歩いている。

「……馬鹿げた流行だな」

そう呟いたが、篠宮の目は冷たくも光っていた。

そこに九頭が現れる。

「篠宮くん、街の様子はどうだね?」

「見ての通りです。奈理子=ミラクルナイトは、自分の羞恥が市民の笑いと熱狂に変わることを証明してしまった。……これは利用できます」

九頭は満足げに笑う。

「心理的に揺さぶるには格好の材料だな。で、君の作戦は?」

篠宮は資料を広げた。

「“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”を逆手に取ります。

  1. トウモロコシ男に人々のヘアクリップを操らせ、奈理子そっくりの姿を群衆に投影する。
  2. 市民が皆、奈理子のショーツ姿を真似し、笑いながら彼女を消費するように見せる。
  3. それを見せつけられた奈理子の心を折る。

彼女は羞恥を誇りに変える強さを持ちません。笑い者にされることこそが、最大の弱点です」

九頭は深く頷く。

「なるほど……篠宮くん。やはり君は地味だが頭が切れる。心理戦にはうってつけだ」

その横で、トウモロコシ男がポップコーンを頬張っていた。

「みんな奈理子のショーツを頭につけてるんだろ?だったら、俺の“ポップコーン幻術”で、街中を奈理子のパンツ女に変えてやるぜ!ガハハ!」

篠宮は冷静に答える。

「笑いは敵を崩壊させる最強の毒だ。……今度こそ、奈理子を絶望させます」


水都の街・放課後

商店街を歩けば、どこもかしこも“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”の広告だらけだった。
白だけでなく、ピンクや水色といったカラーバリエーションが登場し、学生たちはこぞって自分の髪にリボン付きのショーツ型クリップを飾っていた。

「ねぇ見て!私、奈理子ちゃんと同じ白だよ!」
「私はピンク!こっちの方が可愛いでしょ!」
「私は水色〜、奈理子ちゃんのイメージカラーだし!」

制服姿の女子高生たちが自慢げに見せ合い、写真を撮ってSNSに投稿する。

そこに――ミコールが新たな一手を打った。

“凜のショーツ・ヘアクリップ”発売

「奈理子だけじゃありません!こちらは“大人可愛い”ライン――“凜のショーツ・ヘアクリップ”です!」

百貨店の特設売り場で、ミコール社員が声高に宣伝していた。

紺をベースに、上品なお花のレースで飾られたクリップ。
水都神社の看板巫女・風間凜をモデルにしたそれは、女子大生やOLたちに爆発的に支持されていた。

「やっぱり奈理子ちゃんは学生向けで、凜さんは大人向けよね!」
「ほら、ポスターも一緒に貼ってある!“奈理子のショーツ”と“凜のショーツ”!!」

街の至る所に奈理子と凜の笑顔ポスターが並び、水都はすっかり「ショーツ・ヘアクリップの街」と化していた。

穢川研究所・会議室

篠宮=ブナシメジ男は、その様子をモニター越しに見つめていた。
街角インタビューに答える学生やOLが、誇らしげにショーツ・ヘアクリップを掲げる映像が延々と流れている。

「……馬鹿げている。だが、これを利用しない手はない」

九頭が笑いながら入ってきた。

「どうだね篠宮くん。街はすっかり“奈理子と凜のパンツ祭り”だ」

篠宮は頷いた。

「彼女たちが象徴として消費されればされるほど、羞恥は深くなる。
 ――トウモロコシ男の幻術で、市民全員を“奈理子のコピー”にしてしまえば、奈理子は自分が街に溶け、笑われる存在になったと錯覚するでしょう」

九頭は目を細め、楽しげに笑った。

「心理的に追い詰める……篠宮くん、やはり君は地味だが、頭が切れる」

篠宮の瞳には決意の光が宿っていた。

「可愛いだけの奈理子に、守護神は務まらないことを証明します」


水都中学校・放課後

下駄箱前は放課後の女子生徒で賑わっていた。
みんな楽しそうに“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”を取り出し、黒いゴムで結んだ髪を解いては頭に付け替えている。

「見て見て!私のはピンク!」
「私は奈理子ちゃんと同じ白~!」
「放課後は校則関係ないもんね!」

笑い合う声が飛び交う。

そんな光景を、校則通りの黒いゴムで亜麻色の長い髪をポニーテールにまとめた寧々は、冷めた表情で眺めていた。

(いくら流行だからって、パンツを頭に付けて恥ずかしくないの……?)

1年生だけでなく、2年も3年も同じ。校則を守るのは授業中だけで、放課後になればみんな“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”に夢中になっている。

「これも敵の策略……?」

寧々が小さく呟いたとき――

「それは違うな」

背後から低い声がした。振り向けば、2年生のライムが立っていた。奈理子の彼氏でありながら、最近は出番が少ない彼だ。

「ライム先輩……」

「奈理子は恥ずかしがっているが、基本的に奈理子はマゾっ子だからな。満更でもなさそうだ」

「奈理子さん、そんなところありますからね……」

寧々は苦笑した。

けれど胸の奥では、

(私はいつも奈理子さんの尻拭いをしているのに、奈理子さんは人気者で彼氏ともラブラブ……不公平じゃない?)

というモヤモヤが広がっていく。

ライムはさらに続けた。

「風間凜なんか、神社の給料の何倍ものモデル料を一度に貰って、ウキウキしているようだ」

「……凜さんはそうでしょうね」

寧々は思わず口にしたが、内心では

(奈理子さん、私には話さないことまで彼氏にはベラベラしゃべってるの?!私は体を張って守ってるのに……)

と不満が渦巻いた。

「奈理子さんも凜さんも、好感度がさらに上がって良かったですね!」

そう言い切ると、寧々はライムに背を向けて足早に校舎をあとにした。

そして外に出るなり、ひとりごとのように呟いた。

「……今回の件は私に関係なさそうだから、首を突っ込まないようにしよう!」


放課後・水都女学院高校の帰り道

授業を終え、制服のまま校門を出た奈理子は、水都の街を歩いていた。
今日は“奈理子&凜のショーツ・ヘアクリップ”の雑誌取材が入っている。大手女性誌からの特集記事で、奈理子にとっても大きな仕事だった。

(凜さんと一緒なら心強いのに……今日は別撮りだから、私ひとりで行かなくちゃ)

教科書の詰まったスクールバッグを肩にかけ、奈理子は背筋を伸ばして歩く。

けれど、どこからともなく耳に届く声があった。

「可愛いだけで役に立たないくせに……」
「またパンツを見せるだけでしょ?」
「雑誌取材なんて、恥ずかしい写真を残すためだろ」

奈理子は足を止め、振り返った。だが、背後には人影はない。

(……気のせい?)

再び歩き出すと、横のビルの壁面ビジョンに自分の姿が映った。
最新の広告映像――“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”の宣伝だ。
画面の中の奈理子は、恥ずかしげに笑いながら白いショーツ型ヘアクリップを髪につけている。

「奈理子は、下着を見せることでしか人に喜ばれないんだ」
「ミラクルナイトの戦いも、結局はスカートが脱がされてパンツを見せるのが役割だ」

声はビジョンの奈理子から響いてきた。

(な、何なの……これ……)

胸が苦しくなる。
まるで自分自身に責められているようだった。

そこへ、ビルの影から二つの影が歩み出てきた。
ブナシメジ男と、トウモロコシ男だ。

「ようやく姿を現したな、奈理子」

ブナシメジ男の冷たい声。

「今日の仕事は雑誌取材だったな?でも記事にはこう書かれるぜ――“水都の守護神、パンツ丸見えで街を救う”ってな!」

トウモロコシ男が下品に笑った。

「やめて……!」

奈理子の足がすくむ。

心理戦はすでに始まっていた。
街頭ビジョンの映像は次々と切り替わり、ミラクルナイトが戦闘中にスカートを脱がされてしまう姿、市民がスマホで盛り上がる姿、SNSで拡散される姿が次々と映し出される。

「見ろ、これがお前の真の姿だ。市民は守護神ではなく、“パンツアイドル奈理子”を求めている!」

ブナシメジ男の言葉が突き刺さる。

「そんなことない……私は……」

否定しようとする奈理子の唇が震えた。

(でも……本当に、みんな私の戦いを見て喜んでくれているのは……パンツ姿だから……?)

奈理子は心理的に追い詰められていった。


水都の街頭

街頭ビジョンに次々と流れる「パンツ丸見えのミラクルナイト」の映像。
立ち止まっていた通行人や帰宅途中の学生たちが、足を止め、次第にざわめき始めた。

「うわっ、奈理子ちゃんまたスカート脱がされてる!」
「今日も白だぞ!安定してるなぁ!」
「やっぱり、奈理子=白パンツって感じだよな!」

SNS配信で映像が拡散され、街中の大型モニターにも同時中継されている。
笑い声と歓声が混じり、まるでアイドルのステージのような空気が広がっていった。

奈理子は立ち尽くし、俯いた。

(違う……私は……戦ってるだけなのに……)

しかし、ブナシメジ男は冷酷に言葉を浴びせる。

「聞こえるか、奈理子?市民はお前を“守護神”とは呼んでいない。白パンツアイドル”純白の天使”として楽しんでいるんだ」

「そうだそうだ!」

とトウモロコシ男が大声で煽る。

「奈理子の必殺技は“パンツ見せ”だもんなぁ!おいみんな、そうだろ?」

観衆は一斉に笑い、拍手を送る。


「その通りー!」
「奈理子、今日も見せてくれー!」

「やめて……!」

奈理子の目に涙が滲む。

しかし、ビジョンにはさらに過酷な映像が流れ出した。
ミラクルナイトが必死に立ち上がるたびに、スカートを剥がされ、倒れ、泣きながら白パンツ姿で観衆に晒される過去の戦闘シーン。
編集された映像は、まるで“奈理子=パンツ見せ要員”であると証明するかのようだった。

「見ろ、これが事実だ!」

ブナシメジ男の声が会場に響く。

「お前がいくら必死に戦っても、市民の記憶に残るのは白パンツ姿だけ!」

「奈理子は可愛いからそれでいいんだよ!」

と観客のひとりが叫んだ。

「そうだそうだ!パンツで十分!」

と笑いが重なる。

(私は……市民を守るために戦ってきたのに……みんな……パンツしか……)

奈理子の胸は痛み、足が鉛のように重くなった。
スカートの裾をぎゅっと握るが、膝が震えて立っていられない。

「ほら見ろ、もう動けない。可愛いだけの奈理子に、正義のヒロインは務まらない!」

ブナシメジ男が勝ち誇った。

奈理子は絶望的な眼差しで観衆の笑顔を見上げるしかなかった。


「ミラクル・チェンジ!」

奈理子は涙を拭い、胸の奥に残った最後の勇気を振り絞ってアイマスクを掲げた。
水色の光が彼女の身体を包み込み、白と水色のコスチュームを纏った守護神・ミラクルナイトが再び現れる。

「私は水都の守護神、ミラクルナイト!あなたたちの思い通りにはさせない!」

強がる声を響かせ、観衆からは拍手と歓声が巻き起こる。
しかしそれは

「奈理子ちゃん、今日もパンツ見せてー!」

という軽薄な声援にすぐ変わっていった。

「……うぅ……」

ミラクルナイトは一瞬怯んだが、歯を食いしばり前に出る。

ブナシメジ男が薄笑いを浮かべる。

「変身したところで、お前の本質は変わらない。見ろよ、この街の人々を。誰もお前に“勝て”とは言わない。“可愛いパンツを見せてくれ”としか言っていないんだ」

「その通り!なら、サービスしてやるぜ!」

トウモロコシ男が両手を広げ、黄金の粒を次々と弾き飛ばした。

「コーンショット乱れ打ちッ!」

「きゃあっ!」

ミラクルナイトは身を捩って避けるが、狙い澄まされたコーンの弾丸がコスチュームのスカートを撃ち抜く。
バサリッと落ちたスカート。残されたのは純白のコットンショーツだけ。

「うわぁ!奈理子ちゃんパンツになったー!」
「やっぱり白だ!清楚で可愛い!」

観衆は興奮の声を上げ、スマホを高く掲げて撮影を始めた。

「やめて……見ないで……!」

両手で必死に下半身を隠すミラクルナイト。
しかし、その仕草すらも観衆には

「可愛い!」

と大好評。

「やっぱりな、奈理子は正義の戦士なんかじゃない。“白パンのアイドル”なんだよ!」

トウモロコシ男が高らかに笑う。

ブナシメジ男もさらに言葉を重ねる。

「ミラクルナイトよ、お前は戦うたびに脱がされ、笑われ、晒される。それが市民に望まれた役割だと、まだ気づかないのか?」

「違うっ……!私は……市民を守るために……!」

震える声で否定するが、観衆の

「可愛いパンツ!」
「そのまま頑張れー!」

という声援は、ミラクルナイトの心を深く抉っていった。

ついに、膝がガクンと落ちる。

「こんな……こんな格好で……どうして……」

ミラクルナイトは街頭の光に照らされ、涙目で白いショーツ姿を晒したまま、動けなくなってしまった。


「こんな格好で……戦えない……」

涙目で膝をつくミラクルナイト。その姿をスマホで撮り続ける群衆の歓声が、無情に響いていた。

そのとき――。

「奈理子!」

鋭い声が人混みを割って響いた。コートを羽織った凜が駆けつけ、目の前に広がる惨状に息を呑む。

「……遅いと思ったら……何よこれ……!」

トウモロコシ男とブナシメジ男の姿、そして純白のパンツ姿で晒されるミラクルナイト。凜はすぐに状況を理解した。

「……仕方ないわね」

ポケットからアイテムを取り出し、凜は決意の眼差しを浮かべた。

「変身!」

翠色の光が夜の街を照らし、風の戦士セイクリッドウインドが姿を現す。

「セイクリッドウインド……!」

驚きの声が観衆から上がった。

「奈理子!立って!ここからは私が一緒よ!」

颯爽とセイクリッドウインドが並び立つ。その瞬間――

「おおおおッ!二大パンチラヒロインが揃ったー!」
「白の奈理子に、清楚な凜ちゃん!最強コンビだ!」
「水都の奇跡だ!スクショ!スクショォォ!!」

観衆は一斉にスマホを掲げ、大歓声を上げた。
SNS配信もコメントが殺到。

《奇跡のツーショット!》
《白と緑のパンチラ祭り開幕w》
《この街の平和は安泰だわw》

「……また市民が盛り上がってる……」

ミラクルナイトは顔を赤らめた。

「いいじゃない。どうせ見せることになるんだから」

セイクリッドウインドは冷静に答えた。

「ハッ!笑わせるぜ!」

トウモロコシ男が大声で嘲る。

「二人まとめて“パンチラ・ヒロインズ”にしてやる!」

「パンチラ・ヒロインズって……!」

顔を真っ赤にして抗議するミラクルナイト。

「言わせておけばいいわ。私たちは絶対に負けない!」

セイクリッドウインドはガストファングを構えた。その拍子に、セイクリッドウインドのスカートがふわりと舞い上がり、鮮やかなターコイズブル―のショーツがチラリと見えた。

「おおーっ!!」

こうして、観衆大熱狂の中――
水都の二大パンチラヒロイン、ミラクルナイトとセイクリッドウインドが並び立ったのだった。


「ハハハ!奈理子の白パンだけじゃなく――今日は凜のパンツも拝めるとはな!」

トウモロコシ男が腹を抱えて笑う。

「白と青緑のコントラスト……まるで海と空だ。これが水都のパンチラヒロインってわけか」

ブナシメジ男も鼻で笑った。

?どっち?!清楚キャラのくせに派手だな!」
「凜ちゃん、大人の女の勝負パンツじゃん!」

観衆からも大きな笑いと歓声が巻き起こる。

「うぅ……」

頬を真っ赤に染めるセイクリッドウインド。

「やっぱり見られてる……ターコイズは目立ちすぎた……」

「凜さん!堂々としてください!」

今度はミラクルナイトが叫ぶ。

「パンツを笑われても、戦う私たちを見て市民は勇気づけられるんです!」

「……奈理子……」

セイクリッドウインドは一瞬ためらうが、きゅっとガストファングを握り直した。

「そうね。なら、この勝負パンツごと全部見せつけてやるわ!」

「おおおおお!宣言した!凜ちゃん潔いッ!」
「パンツ全開バトルきたぁぁ!!」

観衆がさらに盛り上がる。

「ふん、口だけは立派だな!」

トウモロコシ男がコーン弾を構える。

「食らえ!コーンショット乱れ打ち!」

「奈理子、いくわよ!」

セイクリッドウインドが叫ぶ。

「はいっ!」

ミラクルナイトも構えた。

ミラクルナイトが水色の光弾を放ち、セイクリッドウインドはガストファングを振るい嵐を巻き起こす。
セイクリッドウインドのスカートがめくれ上がり、観衆が悲鳴とも歓声ともつかぬ声を上げた。

「市民の視線は全部私たちが受け止める!それでも、敵を叩くのよ!」

セイクリッドウインドの指示に、ミラクルナイトが強く頷いた。

こうして、二大パンチラヒロインの連携反撃が始まった――!


水都タワー前広場、集まった市民の声援とネット中継の熱狂に包まれる中、戦いは続いていた。
スカートをなびかせるセイクリッドウインドは、ターコイズブルーのショーツを翻しながらも、堂々とガストファングを構える。その姿に、ミラクルナイトは思わず心の中で感嘆する。

(さすが凜さん、パンツまでカッコいい……!)

だが、形勢は決して楽ではない。

「ポップコーンフラッシュッ!」

トウモロコシ男が叫ぶと同時に、弾け飛んだコーン粒が閃光を放ち、視界が真っ白に染まった。

「わぁっ!ナニこれっ?!」

初対戦のセイクリッドウインドは完全に虚を突かれ、何が起きたのか理解できない。

閃光が収まったとき、セイクリッドウインドの姿に会場は騒然となった。

「きゃああっ!」

悲鳴を上げるセイクリッドウインド。
トウモロコシ男の手には、彼女のスカートが誇らしげに掲げられていた。

「ワハハハ!凜も奈理子と同じ格好にしてやったぞ!!」

「凜ちゃんも脱がされたー!」
「二人そろって丸出しだなんて、最高だー!」
「これぞ二大美少女ヒロインのサービスだ!」

市民の声援は狂喜と熱狂に包まれる。

「凜さん、大丈夫?」

とミラクルナイトが声を掛けると、セイクリッドウインドは頬を赤らめながら答えた。

「……私が“美少女”だって……」

23歳、社会人1年目の彼女にとって、“少女”という呼び方は本来なら無縁だ。しかし、声援の響きに照れ笑いを浮かべ、少しだけ満更でもなさそうに見える。

そんな二人の背後に、忍び寄る影。

「へっへっへ、パンツパンツ~♪」

2匹のウズムシ男が一気に飛びかかると――

「それっ!」

ヒュッと一瞬で、二人のショーツが足首まで下げられた

「えっ?」

「な、何……!?」

状況を把握できず固まる二人。
そして次の瞬間、会場全体に衝撃が走った。

「うわぁぁぁ!奈理子と凜ちゃんのお尻が丸見えだー!」
「こっちからはアンダーへアーだー!」
パンモロどころかパンツの中まで!新しい伝説の誕生だ!」

ウズムシ男たちは、尻を丸出しにした二人を前に勝ち誇る。

「パンチラヒロインたちのパンツを、下ろしてやったぜぇ!」

その下劣な歓喜を聞いたセイクリッドウインドの瞳が怒りで燃え上がる。

「……黙りなさいッ!!」

彼女はガストファングを振り抜き、怒涛の風で2匹のウズムシ男を遥か遠くへ吹き飛ばした。

やがて、無言でショーツを引き上げる二人のヒロイン。羞恥に震えながらも、再び立ち上がる姿は凛然としていた。

恥ずかしい毛まで見られて、どんな気分だ?」

トウモロコシ男が嘲笑する。

「うぅ……もうイヤ……」

涙目で弱音を吐くミラクルナイト。

「きっと、寧々が助けに来てくれるわ。それまで二人で頑張ろう」

セイクリッドウインドは、ミラクルナイトの肩を支えながら励ます。

「凜さん……」

ミラクルナイトは小さく頷き、再び拳を握りしめた。


放課後の商店街

「隆と一緒に帰りたかったなぁ……」

商店街を歩きながら、寧々は小さく呟いた。今日の隆は日直。下校時刻を過ぎても、まだ職員室で仕事をしているはずだ。

(待っていようかな……でも、それじゃまるで私が隆にベッタリしてるみたい……)

頭に浮かんだ選択肢をすぐに振り払い、成績優秀で真面目な学級委員長としてのプライドが、寧々を立ち止まらせた。

「寧々ちゃん、今日は隆と一緒じゃないの?」

果物屋のおじさんが笑顔で声を掛けてきた。

「い、いつも一緒じゃありません!」

寧々は慌てて返す。

「でも寧々ちゃん、頭にパンツは乗せてないんだねぇ」

「パンツなんか乗せませんよ……」

と苦笑いしながら返す寧々。

「女の子はみんなつけてるのにね。“奈理子のショーツ・ヘアクリップ”ってやつ。おじさんは若い子たちの感覚についていけないよ」

「……何ででしょうね……」

流行に乗り切れない自分を感じながら、寧々は小さくため息をついた。

そのとき、町内警報のスピーカーから鋭いサイレンが鳴り響く。

『水都公園にて敵怪人トウモロコシ男とブナシメジ男出現。交戦中のミラクルナイトおよびセイクリッドウインドは苦戦を強いられている模様――』

「また敵!」

寧々は顔を上げた。

「奈理子ちゃんは前からだけど、最近は凜ちゃんも脱がされ役になったからなぁ……」

と果物屋のおじさんが呟く。

「ドリームキャンディはどうしたんだろ?奈理子ちゃんと凜ちゃんだけじゃ……」

寧々の目が鋭くなった。

「おじさん、私、行ってきます!」

「行ってきますって、どこに?」

おじさんは首を傾げる。もちろん、寧々の正体を知るはずもない。

「……家に帰ります!」

寧々は強引に言い切ると、そのまま公園の方へと駆け出した。

「おーい!そっちはトウモロコシ男がいるから危ないぞ!寧々ちゃんち、逆だろー!」

果物屋のおじさんの声を背に受けながら、寧々は心の奥に秘めた使命へと走り出す。

(奈理子さん、凜さん……!今度は、私が守ります!)


水都の街頭

黄色い光が夜の水都の街頭広場に降り立つ。

「中学生戦士ドリームキャンディ、参上!」

凛々しい声とともに現れたのは、オレンジのドレスに黄色のブルマ姿の少女戦士。

彼女の視線の先――そこには、木の枝に吊るされ、ぐったりと気を失っているミラクルナイトとセイクリッドウインドの姿があった。

周囲を取り囲む市民はスマホを掲げて撮影している。

(プッ……変身したあともパンツのヘアクリップ付けちゃって……あの2人、本当にパンツのヘアクリップが好きなんだな……)

場違いな光景に、不謹慎だと思いながらも思わず失笑してしまうドリームキャンディ。

「すいませ~ん、ちょっと通してください!」

市民をかき分けて近づくと、思わず目を疑った。

「ああっ!2人とも……パンツ穿いてない!!」

「ワハハハ!」

木の上から高笑いが響いた。トウモロコシ男だ。

「本物のパンツを頭に飾ってやったんだよ!これぞ本当の“奈理子&凜のショーツ・ヘアクリップ”だ!」

見ると、ミラクルナイトとセイクリッドウインドの頭には、それぞれのショーツがヘアクリップのように留められている。

「な、なんてことを……!」

ドリームキャンディは怒りに燃え、キャンディチェーンを伸ばして2人を木から落とした。

「2人とも、起きてください!」

パシッ、パシッと頬を叩く。

「うぅ……ん……あっ、キャンディ……?」

「痛い……ぶたないで……」

目を覚ますミラクルナイトとセイクリッドウインド。

「一体何があったんですか!?」

「トウモロコシの……いい匂いがして……」

「気持ちよくなって眠っちゃった……のかな……?」

ぼんやり答える2人。

しかしすぐに――

「あーっ!パンツ穿いてない!」

ミラクルナイトが叫んだ。

「わ、私のパンツはどこ?!」

セイクリッドウインドも慌てて辺りを見回す。

「パンツは頭についてます。早く穿き直してください!」

ドリームキャンディは冷静にそう告げ、トウモロコシ男へと振り返る。

「奈理子さんと凜さんのパンツを脱がして頭に着けるなんて……絶対に許せません!」

「なんだよ、俺はただ“奈理子&凜のショーツ・ヘアクリップ”の宣伝をしてやっただけだぜ!」

下品に笑うトウモロコシ男。そして、

「この前の借りを返してやる。行くぞ、飴玉娘!」

叫ぶや否や、両手から無数のコーンの粒を乱射した。

「くっ……!」

ドリームキャンディはキャンディチェーンを構え、飛び散るコーン粒の雨に立ち向かう――!


「キャンディディフェンス!」

ドリームキャンディはキャンディチェーンをらせん状に回転させ、全身を覆うようにしてシールドを展開した。

しかし――

「イタタタッ……!」

細かいコーンの粒々はチェーンの隙間をすり抜け、ドリームキャンディの腕や脚、そしてドレスへ次々と命中する。ドレスに小さな穴が開き、布地がチリチリと焦げていく。

「キャンディ!」

その姿を見て、セイクリッドウインドがガストファングを構える。

「奈理子、私たちも行くよ!」

だが、ミラクルナイトは一歩踏み出したところで躊躇した。

「スカートを穿いていないから……スピン・クロスチョップは無理……!風圧でショーツが脱げちゃう……」

その瞬間――

「お前たちの相手はウズムシだ!」

階段の上からブナシメジ男の声が響く。

ズルリ……ズルリ……!

影から現れたのは3体のウズムシ男。ミラクルナイトとセイクリッドウインドを取り囲むように、じりじりと迫ってくる。

「くッ……!こんなもので、私を倒せると思わないで!」

ドリームキャンディは気丈に叫び、キャンディチェーンを振るって反撃を試みる。だが、コーンの雨は止まらない。

「これはタダのコーンじゃないぞ!」

トウモロコシ男が大きく手を広げ、胸を張って高らかに叫ぶ。

「喰らえ――ポップコーンバースト!!」

バチバチバチッ!!

無数のコーンが空中で一斉に破裂し、爆ぜる火花がドリームキャンディを襲った。

「きゃあぁッ!」

悲鳴を上げ、ドレスがさらに焦げ焦げに。

しかも破裂したポップコーンは戦場を越え、市民たちにも襲いかかる。

「うわぁ!火が!」
「ポップコーンが燃えてるぞ!」
「逃げろー!」

会場は一瞬にしてパニックに陥った。
子供を抱えた母親が必死に駆け、サラリーマンが頭を抱えて逃げ惑う。

「ひっひっひ、これが俺様の“ポップコーンバースト・ショータイム”だ!」

と高笑いするトウモロコシ男。


噴水広場は燃え上がるポップコーンの炎と逃げ惑う市民で大混乱に陥っていた。

「奈理子、消火を!」

イクリッドウインドが鋭く叫ぶ。

「分かってる!」

ラクルナイトは両手に水のオーラを漂わせた。

「奈理子の相手は俺たちだぁ!」

3体のウズムシ男がミラクルナイトに飛び掛かろうとする。

だが、その瞬間――

「翠翔烈破ッ!!」

セイクリッドウインドがガストファングを大きく振るった。緑の光をまとった翔ぶ風が竜巻となり、一気に3体のウズムシ男を飲み込む。

「ぎゃぁー!」
「なんだこの風はぁー!?」
「もう一度、奈理子と凜のパンツを脱がしたかったのにぃー!」

断末魔の叫びを残し、ウズムシ男たちは竜巻の中で光に飲まれて消滅した。

「これが……私の新しい力よ!」

勝ち誇るようにガストファングを構えるセイクリッドウインド。その姿に市民から歓声が湧き上がった。

「ミラクル・アクアティックラプチャー!!」

水色に輝く水のオーラを解き放ったミラクルナイトの力が広場全体を包み、燃え盛るコーンの炎を次々に鎮火していく。

「さすが奈理子ちゃん!」
「これで助かった!」

市民が口々に叫ぶ。

「邪魔をしやがって!」

トウモロコシ男は憤怒の表情を浮かべた。

「これからは私たちが相手よ!」

とミラクルナイト。

「キャンディはちょっと休んでなさい!」

セイクリッドウインドは、ポップコーンバーストで傷つき膝をつくドリームキャンディに声を掛けた。

しかし――

「……私も戦います!」

ボロボロになったドレスの裾を握りしめながら、ドリームキャンディは力強く立ち上がった。

「お前ら……3人でよってたかって、たった1人を痛めつけるつもりかぁ!?」

トウモロコシ男が毒づく。

「何体もウズムシ男を出してきたくせに、よく言うわね!」

セイクリッドウインドが言い返す。

「それに……よくも私のパンツを脱がして、頭に乗せて晒し者にしてくれたわね!」

怒りに震えるセイクリッドウインドと、その隣で復讐に燃えるミラクルナイト。

3人のヒロインの瞳に再び闘志の炎が宿った――。


炎は鎮まり、市民の視線が一点に集まる。そこには――

白い光を纏うミラクルナイト。
緑のオーラを纏うセイクリッドウインド。
そして橙の輝きに包まれたドリームキャンディ。

三人のヒロインが並び立っていた。

「奈理子ちゃんと凜ちゃんとキャンディだ!夢の共演だー!」
「三人揃えば絶対負けない!」
「白!青緑!黄ブルマ!最高のトリオだ!」

熱狂する市民の声援が広場に響き渡る。

「チッ、うるせぇ応援団だぜ……」

トウモロコシ男が苦々しげに吐き捨てる。
だが、ヒロインたちの瞳に宿る闘志は一層燃え上がっていた。

「キャンディ、正面から押さえて!」

「分かりました! キャンディシャワー!」

虹色の閃光が空から降り注ぎ、トウモロコシ男の周囲に迫る粒々のコーンを焼き払う。

「奈理子、上から頼む!」

「了解! ミラクル・シャインブラスト!」

眩い水色の光弾がトウモロコシ男を照らし、その動きを止める。

「いまだ、凜さん!」

「翠翔烈破ッ!!」

セイクリッドウインドの翠の竜巻が突き上がり、トウモロコシ男の体を直撃した。

「ぐわぁぁッ!」

「すげぇ!」
「凜ちゃんの竜巻だ!」
「今日はパンツだけじゃなく強さも見せてくれる!」

市民が熱狂の渦に包まれる。

「まだだぁぁッ!」

ボロボロになりながらも立ち上がるトウモロコシ男。

「俺の必殺!コーン・メイルストロームでまとめて爆ぜろォォ!」

無数のコーン粒が嵐のように渦を巻き、光と熱を帯びて広場を覆った。

「うわぁ!」
「やべぇぞ!」

逃げ惑う市民。

「ここで決めるわよ!」

ミラクルナイトが叫ぶ。

「はい!」

ドリームキャンディがキャンディチェーンを構える。

「任せなさい!」

セイクリッドウインドがガストファングを振りかざす。

三人は息を合わせ、声を揃えた。

「――三位一体!ミラクル・キャンディ・ウインドブレイク!!」

水色、橙、翠の三色の光が交わり、巨大な光の奔流となってトウモロコシ男を呑み込んだ。

「こ、こんなトリオ……反則だろォォォーー!!!」

断末魔と共にトウモロコシ男の姿は光の中に消滅した。

広場は一瞬の静寂――そして割れるような大歓声に包まれた。

「勝ったぞー!三人とも最高だ!」
「奈理子ちゃん!凜ちゃん!キャンディちゃん!ありがとう!」
「水都最強の三人娘だー!」

汗と傷にまみれ、パンツやブルマを晒しながらも立ち尽くす三人。
しかしその姿は、間違いなく市民にとって誇り高き水都の守護神だった。


噴水広場の片隅、光に焼かれたトウモロコシ男の残骸を見つめながら、ブナシメジ男は拳を震わせた。

「まさか……あのトウモロコシ男が……」

悔しげに唇を噛み、背を翻す。

「だが、次こそは必ず……」

捨て台詞を残し、菌糸に包まれて姿を消した。

――戦いの終わりを告げる静寂。

やがて広場に歓声がこだました。

「奈理子ちゃん、よく頑張った!」
「凜ちゃん、今日も美しかったぞ!」
「キャンディ!君のブルマは水都の宝だ!」

泣き笑いしながら抱き合う市民たち。その視線の先には、並び立つ三人のヒロイン。

「奈理子さん、大丈夫?」

とドリームキャンディ。

「うん……ありがとう、キャンディ」

白いショーツの手で押さえながら微笑むミラクルナイト。

「二人とも、本当に頼りになったわ」

セイクリッドウインドはターコイズブルーのショーツのまま、二人に手を差し伸べた。
三人は手を重ね合い、互いを称え合う。

「私たち、最強のチームですね!」

とドリームキャンディ。

「ええ、これからも水都を守るわよ」

ミラクルナイト。

「……ただし、パンツを脱がされるのはもう勘弁してほしいけどね」

セイクリッドウインドが苦笑し、三人に笑いが広がった。

市民からも声が上がる。


「やっぱり三人揃えば無敵だ!」
「水都に生まれてよかった!」

――しかし。

戦いの後も街には「奈理子&凜のショーツ・ヘアクリップ」を頭につけた少女たちが溢れていた。だが、そのブームは水都の外に広がることはなく、隣町や首都圏から訪れた人々には奇異の目で見られるばかり。

「パンツを頭につけるなんて……」
「水都の人たち、何を考えてるの?」

冷ややかな声に、市民たちは我に返った。

「……やっぱり、ちょっとおかしかったかもな」
「奈理子ちゃんと凜ちゃんが着けてたから、つい真似しちゃったけど……」

こうして、水都の街を席巻した「奈理子&凜のショーツ・ヘアクリップ」ブームは、熱狂とともに燃え上がり、そしてあっけなく消え去っていった。

――だが、水都の三人娘が織り成した絆と、今日の勝利の記憶は、市民の心に深く刻まれたのだった。

第220話へつづく)