DUGA

ミラクルナイト☆第165話

夏休みの土曜日の朝、野宮家の玄関にチャイムの音が響いた。

「ピンポ~ン」

「は~い」

奈理子が軽やかな声で応じ、ドアを開けると、そこに立っていたのは寧々だった。

「あっ、寧々ちゃん。おはよう」

奈理子は眩しいほどの笑顔を向ける。水都一可愛い女子高生と噂される奈理子のその笑顔は、まるで太陽のように輝いていた。

「おはようございます」

寧々が答える。その笑顔に一瞬見惚れ、心にある疑念が浮かぶ。

(自分なんかが、隆の隣に立つ資格があるのだろうか? 隆の理想の女性は、姉である奈理子さんなんじゃないか……)

そんな不安が、ふと胸をよぎった。

しかし、そんな思いもつかの間、寧々は目の前の奈理子の姿に違和感を覚える。

「あれ?奈理子さん、その格好…」

寧々の視線が奈理子の服装に注がれる。彼女が着ていたのは、水都中学の体操服――シャツにハーフパンツという、寧々にとっては見慣れた制服の一部だった。

「コレ?中学の頃の体操服を部屋着にしてるの」

奈理子は少し照れたように微笑む。

なんてことない体操服のはずなのに、奈理子が着ると妙に可愛く見える。シャツから覗く白い肌、少しだけ揺れるボブカット――全てが特別に思えた。

「上がってよ。隆はまだ寝てるけど起こしてくるね」

と奈理子が招き入れようとする。

「あ、寝てるならいいです! 約束していたわけでもないし……」

寧々は慌てて手を振った。

「隆と寧々ちゃんは幼馴染なんだから、そんなに気を遣わなくていいのに」

奈理子は優しく微笑む。その言葉に、寧々は何とも言えない気恥ずかしさを感じた。

「もう中学生だから、何となく恥ずかしくて……恥ずかしがっちゃダメなのは分かるんですけど……」

寧々はぽつりと言葉を漏らす。どうして隆の姉である奈理子さんにこんな話をしているんだろう? 自分でも分からないまま、顔が赤く染まっていく。

すると奈理子が、ふっと微笑みながら口を開いた。

「違うよ、寧々ちゃん。恥ずかしがるのは大切なことなの」

「は?」

恥じらいを堂々と見せつけるのよ」

「え?」

「その恥じらいこそが乙女の最大の武器なのよ」

奈理子は真剣な表情で寧々に語りかける。

その言葉の意味を完全には理解できなかった寧々だったが、奈理子の言葉にはどこか説得力があった。

結局、隆とは会わずに野宮家を後にした寧々。「恥じらいか……」そう呟くと、道を歩きながら、ひっそりと「恥じらいの表情」の練習を始めていた。誰に見られるわけでもないが、彼女の顔はひたすら赤くなっていく。

奈理子のように自然に笑って、堂々とした自分になれる日は来るのだろうか――寧々の小さな挑戦は、夏の青空の下で静かに続いていくのだった。


商店街の朝、まだ開店準備中の蕎麦屋の店主が、通りを歩く寧々に声をかけた。

「寧々ちゃん、今日は隆と一緒じゃないのかい?」

いつも隆と一緒にいる印象を持たれているのだろうが、寧々は少しむっとして答えた。

「いつも隆と一緒なわけではありません」

その口調に、店主は何かトラブルがあったのではないかと心配そうな表情を見せた。

「隆に意地悪でもされたのかい?おじさんが隆にビシッと言ってやるよ」

寧々は首を横に振る。

「隆は悪くないし、隆は関係ありません」

実際には、朝、隆に会いに行ったものの、彼がまだ寝ていて会えなかっただけなのだ。それでも、少し胸の中に寂しさが残っていた。

すると、横から女性の声が割って入った。

「蕎麦屋さん、乙女は胸にジュエルを抱き締めているのよ」

振り向いた寧々は、そこに立っている女性を見て驚く。

「貴女は…奈理子さんの友達の占師の…」

「おはよう、鈴ちゃん。ジュエルって何?」

蕎麦屋の店主が興味津々に尋ねる。

「大切な物よ。夢と言ったほうがいいかな。乙女はそのジュエルを輝かせるために生きているの」

と、鈴が柔らかく微笑んで答えた。

(さすが奈理子さんの友達……言ってることがスケール大きい)

寧々は鈴が何を言い出すのか予測がつかず、少し困惑した。

鈴は寧々の方に向き直り、真剣な目を向ける。

「隆くんの彼女の寧々ちゃん。さっきは残念だったけど、立ち止まっちゃダメよ」

(どうしてこの人、私が隆に会えなくて落ち込んでいることを知ってるの……?)

寧々は鈴の言葉に戸惑いを覚えた。

「寧々ちゃんの周りには仲間がいる。みんなが集まればオーラが繋がって、虹のネックレスのような眩い絆になるわ」

鈴の言葉はどこか不思議な力を持っていた。

(仲間って……奈理子さんや凜さんのこと?)

寧々には鈴の言葉の全てが理解できたわけではなかったが、その真摯な眼差しに励まされているような気がした。

そのとき、噴水広場にトケイソウ女とバナナ男が出現したことを知らせる町内放送が響いた。

ハッとする寧々。

「私、用があるので行きます!」

とだけ言い残し、鈴と蕎麦屋の店主に一礼してその場を後にする。

駆け出そうとする寧々に、鈴がふと優しく声をかけた。

「夢はダイヤ。だから転んでも傷は残らない。強い意志があれば凹んでも起き上がれるわ」

(この人、私の正体を知ってるの……?)

寧々は一瞬考えたが、鈴が自分を励ましてくれていることは分かった。

「はい!」

寧々は力強く返事をすると、一人静かな路地へ走り込み、ドリームキャンディに変身する準備を始めた。

朝の陽射しの中、寧々の心には鈴の言葉が暖かく響いていた。


水都公園の噴水広場は混乱の渦中にあった。バナナ男とトケイソウ女が市民を追い回し、市民たちは悲鳴を上げながら逃げ惑っている。

「奈理子ちゃん、早くおいでー!早く来ないと市民がやられちゃうよー!」

と、バナナ男が楽しげに叫ぶ。

「やる気満々だねぇ」

とトケイソウ女がニヤリと笑みを浮かべ、蔓を伸ばして市民を次々と絡め取る。

「こないだのテレビ放送でもっと奈理子ちゃんと遊びたくなったのさ。奈理子ちゃんの身体は本当にいい匂いがするんだよ」

とバナナ男が不敵な笑みをトケイソウ女に向けた。このバナナ男こそ、先日の奈理子特集の司会者であり、奈理子に執拗に触れていた張本人である。

そのとき、トケイソウ女の視界に黄色い光が噴水広場に向かって飛んでくるのが映った。

「あっ、あれは…」

とトケイソウ女が声を上げた直後、その光は地面に着地した。

「何だ、ガキンチョか…」

バナナ男が呆れたように溜息をつく。

「水都の平和を乱す者は、中学生戦士ドリームキャンディが許しません!」

黄色い光が晴れると、そこにはドリームキャンディの姿があった。彼女は凜々しい表情でバナナ男とトケイソウ女を睨みつける。

「奈理子ちゃんはどうした?」

バナナ男が尋ねる。

「貴方たちなんか、奈理子さんが出るまでもないわ。私が相手よ!」

ドリームキャンディは威嚇するようにキャンディチェーンを手に、バシン!と石畳に叩きつけた。

「キャンディ、頑張れ!」

と市民から声援が飛ぶ。

「俺はロリコンじゃないんだが、奈理子ちゃんが来るまで遊んでやるか」

バナナ男は面白そうに口角を上げた。

「中学生になったキャンディは小学生だった頃より大人っぽいぞ!」

「奈理子よりもキャンディの方が胸は大きいぞ!」

と、市民たちからの声援がドリームキャンディを後押しする。

「行きます!」

とドリームキャンディが一歩踏み出した、その瞬間。

「きゃっ!」

彼女は何かを踏んで滑り、尻餅をついてしまった。

「何、これ?!」

慌てて足元を見ると、そこにはバナナの皮が散らばっている。

「ワハハハハ!モンキーバナナの皮はよく滑るだろ!」

と高笑いするバナナ男。

「しかも、スカートの中の黄色いパンツが丸見えよ!」

「はっ!」

ドリームキャンディは顔を真っ赤にしてドレスの裾を押さえた。

「これはパンツではありません!黄色いブルマーです!」

必死に弁明するドリームキャンディ。

「ブルマでも色っぽいぞ!」

と市民からも声援が飛ぶ。

「負けるな、キャンディ!」

声援に勇気づけられたドリームキャンディは立ち上がった。しかし、彼女の周りにはバナナの皮が散乱している。

「これじゃ、迂闊に動けない…」

ドリームキャンディは焦りを感じた。

「奈理子が来るまで可愛がってやるわ」

と、トケイソウ女が蔓を伸ばし、ドリームキャンディを絡め取ろうとする。

ドリームキャンディはいきなりピンチに追い込まれた。彼女はどうやってこの窮地を切り抜けるのだろうか――その行方はまだ誰にも分からない。


「キャンディ、頑張れ!」

市民の声援が飛び交う中、ドリームキャンディは足元に撒き散らされたバナナの皮に困惑していた。一歩間違えば滑って転倒してしまう、厄介な状況だった。

「ワハハ!噴水広場はもはや私の支配下だ。次は硬いバナナを味わってもらおうか!」

バナナ男が意気揚々と叫び、未熟な硬いバナナを高速でドリームキャンディに向かって射出した。

「わあぁ!」

避けようにも、足場の悪さから身動きが取れない。ドリームキャンディは直撃を覚悟し、目を閉じて顔を両腕でガードした。

その瞬間、**バンバンバン!**と立て続けに炸裂音が響いた。

「え…?」

恐る恐る目を開けると、硬いバナナは跡形もなく破片となり、辺りに散らばっていた。

「ミラクルナイトだ!」

「奈理子、今日も可愛いぞ!」

市民の大歓声が湧き上がる。ノースリーブのブラウスにプリーツのミニスカート、肘までのグローブと膝下までのブーツを纏ったミラクルナイトがそこに立っていた。光弾でバナナ男の攻撃を正確に撃ち落としたのだ。その姿は、二の腕と太腿を露出しながらも毅然としていて、市民の目を釘付けにしていた。

「キャンディ、遅くなってごめんね。」

ミラクルナイトがドリームキャンディに歩み寄ると、風がスカートをそっと揺らした。

「奈理子さん…」

その可憐な太腿に一瞬心を奪われたドリームキャンディ。水都一の美少女とうたわれる奈理子の魅力を改めて実感した。

「奈理子さん、バナナを踏んじゃダメですよ!」

我に返ったドリームキャンディが注意を促す。

「そんなギャグみたいなトラップに引っかかるわけないじゃない。」

ミラクルナイトは微笑むと、少しも動揺することなく毅然と言い放った。その自信に溢れた言葉に、ドリームキャンディは自分が市民の前でそのトラップに引っかかってしまったことを思い出し、顔を赤くした。

「奈理子ちゃん、バナナの皮を舐めちゃいけないよ。その摩擦係数は…」

バナナ男が得意げに語り始め、バナナの皮がいかに滑りやすいかを延々と説明する。

だが、ミラクルナイトはその話に耳を傾けることもなく、凜とした表情で告げた。

「私は地面に落ちたバナナの皮で滑ったりしないわ。」

そう言うと、彼女の背中に白い翼ミラクルウイングが大きく広がり、光を放った。


「おお!白じゃないぞ!!」

「水色だ!」

空高く舞い上がるミラクルナイトを見上げた市民たちの間にどよめきが走った。彼らの視線は、地上から無防備に晒されるミラクルナイトのスカートの中へと釘付けだった。そこに見えるのは、いつもの清純な白ではなく、鮮やかな水色のショーツ

奈理子は中学生時代、白以外にも水色やピンクのショーツを着用していたが、高校生になってからは常に白を選んでいた。そのため、市民の間では「水都女学院高校には『パンツは白』という校則があるのではないか?」という噂がまことしやかに囁かれていた。

「夏休みだから白じゃないんだ!」

「やっぱり、水都女学院には『パンツは白』の校則があったんだ!」

奈理子の夏休み仕様の水色ショーツに納得する声が広がる中、

「水色パンツも可愛いぞ、奈理子!」

「白いスカートと水色パンツの組み合わせ最高!」

と歓喜の声が次々に飛び交った。市民たちはまるで宝物を発見したかのように熱狂していた。

「凄い…奈理子さんのパンツに市民がこれだけ盛り上がるなんて……」

この異様な光景に唖然とするドリームキャンディ。奈理子の圧倒的な人気ぶりを改めて思い知らされた彼女は、スカートをなびかせながら宙を舞うミラクルナイトを見上げた。その姿には、市民の視線が集中していることを気にする素振りは微塵もなく、むしろ自信に満ちた表情が浮かんでいた。

「今日の奈理子さんは、可愛いだけじゃなくて、カッコいい…」

ドリームキャンディはそんな奈理子に憧れと尊敬を覚えつつ、今日のミラクルナイトは何か違う、きっと強いに違いないと思い始めていた。

「飛んでいれば、バナナの皮で滑ることはないわ!」

ミラクルナイトが両掌をバナナ男とトケイソウ女に向けると、その手が水色に輝き始める。

「ミラクルシャイン…!」

水色の光弾、ミラクルシャインブラストを放とうとしたその瞬間だった。

「奈理子さん、逃げて!」

ドリームキャンディが叫ぶや否や、何者かが高速でミラクルナイトに迫った。

「きゃあ!」

背後からの強烈な一撃を受け、ミラクルナイトは背中を斬りつけられて墜落した。地面に叩きつけられた彼女が見上げたのは、上空でホバリングしながら周囲を威圧する異形の怪人だった。

「トンボカマキリ!」

昆虫のトンボとカマキリを融合したようなその姿は、鋭い鎌のような前肢を振りかざし、空中の支配者として君臨していた。

「空に逃げられないように助っ人を呼んだのよ。」

トケイソウ女が薄笑いを浮かべながら言う。

「奈理子ちゃん、お楽しみはこれからだ。今日はたっぷりと可愛がってあげるよ。」

バナナ男が嗤うように言いながら、動けないミラクルナイトの周囲にバナナの皮をばら撒いた。

「まずは、私からのプレゼントだ!」

無防備なミラクルナイトの周囲に罠を張り巡らせ、トケイソウ女とバナナ男は、次なる一手を仕掛ける準備を始めた。


「負けないわ!」

痛みに耐えながらも、ミラクルナイトはふらつきながら立ち上がった。しかし、足元には無数のバナナの皮が散らばっている。これでは下手に動けば、滑って転ぶのは必至だ。

「さあ、大勢の奈理子ファンの前でギャグみたいにバナナの皮ですってんころりんしてもらおうか!」

バナナ男が下品に笑いながら、余裕たっぷりの表情を見せた。

「私は、バナナの皮では滑らない!」

ミラクルナイトは鋭い目つきでバナナ男を睨みつけると、上空でホバリングしているトンボカマキリに視線を移した。

「トンボカマキリ、今日こそ決着をつけてやるわ!」

傷付いたミラクルウイングを再び広げ、空へ飛び上がろうとするミラクルナイト。その力強い宣言に市民から声援が飛ぶ。

「奈理子、頑張れ!」

「決着だと?」

トンボカマキリが不敵に笑う。

「トンボとカマキリ、最強の大型肉食昆虫の力を併せ持つ俺に、お前が勝てるとでも思うのか?」

過去の戦いでトンボカマキリは、圧倒的なスピードと鋭い鎌でミラクルナイトを苦しめてきた。その記憶が蘇る市民たちの中には、不安げな表情を浮かべる者もいた。

「私は水都の守護神ミラクルナイト。水都市民の期待は絶対に裏切らない!」

ミラクルナイトは市民の声援を背に受け、果敢にもトンボカマキリに向かって舞い上がる。

しかしその瞬間、突如として背後から伸びる蔓。

「私がいることを忘れないで欲しいわね。」

トケイソウ女が冷笑を浮かべながらミラクルナイトに蔓を絡めた。

「あぁッ!」

ミラクルナイトは四肢を絡め取られ、空中で動きを封じられてしまう。

「トケイソウ女、奈理子ちゃんをこっちに寄越せ。」

バナナ男が手を広げて待ち構える。

「あいよ。」

トケイソウ女は、蔓に絡まったままのミラクルナイトを投げつけるようにバナナ男の腕の中へ送り込んだ。

「へへへ…奈理子ちゃん、今日もいい匂いだな。」

バナナ男は嬉しそうにミラクルナイトの匂いを嗅ぎ、うっとりとした表情を浮かべる。

「匂い嗅がないで!それに、今日もって、私は貴方とは今初めて会ったはず…!」

バナナ男の腕の中で必死にもがくミラクルナイト。しかし、力の差は歴然だった。

(登場したときはカッコよかったのに…結局、いつもの奈理子さんだ…)

敵に捕らわれたミラクルナイトの姿を見て、ドリームキャンディは心の中で呟いた。

「キャンディ、何やっているんだ!」

「キャンディ、早く奈理子を助けろ!」

焦れる市民たちの叱咤がドリームキャンディに向けられる。

(そんなことを言われても…)

足元には相変わらずバナナの皮が散らばっており、身動きが取れない状況だ。しかし、ミラクルナイトを見捨てることなどできない。意を決して、ドリームキャンディは一歩を踏み出した。

「キャンディチェーン!」

だが、次の瞬間、足元のバナナの皮に滑り、足を取られて転倒。その拍子に放ったキャンディチェーンは、何と自身の身体に絡み付いてしまった。

「一人で何して遊んでんの?」

ドリームキャンディの滑稽な姿を見てトケイソウ女が嘲笑する。

一方、ミラクルナイトはバナナ男の腕の中でなおも抵抗していたが、力は尽きかけている。地上ではドリームキャンディが自縄自縛に陥り、まさに絶体絶命の状況だった。

二人のヒロインは、完全に追い詰められてしまったのだった。


「さあ、お約束の奈理子ちゃんのスカート脱がしだ!」

バナナ男が高らかに宣言すると、市民から大歓声が沸き起こった。もはやミラクルナイトがスカートを脱がされるのは恒例の展開であり、彼らにとって楽しみの一つでもあった。

「やめて!」

ミラクルナイトはバナナ男に抱え込まれながら必死にスカートを押さえようとする。しかし、バナナ男の巧みな手つきに抗うことはできず、スカートはスルリと剥ぎ取られてしまった。

「あぁぁ…」

両手で水色のショーツを懸命に隠そうとするミラクルナイト。その姿にバナナ男は勝ち誇ったように笑いながらスカートを掲げた。

「テレビの奈理子ちゃん特集のときは脱げなかったけど、バナナ男様の手にかかればこんなものさ!」

「私のスカートを返して!」

ミラクルナイトが手を伸ばすも、バナナ男は

「奈理子ちゃんのスカートもいい匂いだなぁ」

と楽しげにスカートを嗅ぎ回るばかりだった。非力なミラクルナイトには取り返す術がなかった。

「凜さんが来てくれれば、貴方なんか…」

悔しげに呟くミラクルナイトの言葉に、バナナ男はニヤリと笑う。

「風間凜…セイクリッドウインドのことかい?ならば、風間凜が来るまで、存分に奈理子ちゃんのパンツを市民に楽しんでもらおう!」

そう言うと、バナナ男はミラクルナイトを後ろから抱え上げ、まるで戦利品のように彼女を掲げた。

「やっぱり、奈理子の水色パンツはいいなぁ!」

「白もいいけど、水色もミラクルナイトのイメージカラーだもんな!」

市民は熱狂し、その声援はますます大きくなった。

「パンツだけじゃなくて、奈理子ちゃんの素顔も見てもらおう!」

バナナ男はミラクルナイトのアイマスクに手を伸ばし、あっさりと剥ぎ取ってしまった。

「うぅ…」

素顔を晒されたミラクルナイト、つまり野宮奈理子は恥じらいながらも顔を背ける。その愛らしい仕草に市民たちはさらに盛り上がった。

「奈理子、可愛いぞ!」

「奈理子の素顔と水色パンツを一緒に見られるなんて、今日はラッキーだ!」

噴水広場は、さながらミラクルナイトの撮影会のような熱狂の渦と化していた。

一方、バナナの皮に滑って転び、自身のキャンディチェーンに絡まってしまったドリームキャンディはその光景を息を呑んで見つめていた。

(両手を拘束されていないのにショーツを隠さない…。むしろ自分から見せつけているようにさえ見える…)

しかし、ミラクルナイトの表情には懸命に羞恥に堪える決意が浮かんでいる。それは今朝、奈理子が語った「乙女の最大の武器」という言葉を思い起こさせた。

(これが奈理子さんの言っていた『恥じらい』…?)

確かに市民は、ミラクルナイトの恥じらう姿に熱狂しているのだった。

そのときだった。

緑色の光が噴水広場に差し込むと、セイクリッドウインドが華麗に降臨した。

「あっ、凜さん!」

ドリームキャンディが安堵の声を上げたのも束の間、セイクリッドウインドの厳しい声が彼女に浴びせられる。

「アンタ、奈理子があんな目に遭っているのに何してんのよ!」

「それは…」

ドリームキャンディは言葉を詰まらせた。バナナの皮で滑り、自分にチェーンを巻き付けてしまったなどとは恥ずかしくて言えない。代わりに、彼女は咄嗟に注意を促した。

「バナナの皮に注意してください!」

しかし、セイクリッドウインドは鼻で笑いながら言い放つ。

「はぁ?こんなもので滑ってしまうほど私はアホじゃないわ!」

そう言うと、彼女は鉄扇ガストファングを構え、果敢にバナナ男たちに向き直った。

新たな希望の光が、噴水広場に差し込んだのだった。


「それッ!」

セイクリッドウインドが鉄扇ガストファングを一振りすると、強力な突風が噴水広場を駆け抜け、地面に散らばっていたバナナの皮を一気に吹き飛ばした。

「凜さん、これ外して!」

ドリームキャンディが自分に巻き付いたキャンディチェーンを指さす。

「はいはい、しっかりしなさいよ」

セイクリッドウインドが手際よくキャンディチェーンを解き、ようやく自由になったドリームキャンディは、バナナ男とトケイソウ女に向かって鋭い視線を向けた。

「バナナの皮さえなければ、貴方たちなんか怖くはないわ!」

威勢よく言い放つ彼女に、バナナ男とトケイソウ女は不敵な笑みを浮かべる。

そのとき、トンボカマキリが静かに二人の前に降り立ち、仲間に問いかけた。

「さて、どうする?」

「バナナの皮がなくても、奈理子ちゃんはこちらの手の中さ」

バナナ男は余裕の笑みを浮かべながら、腕の中で未だ捕らえられたままのミラクルナイトを見下ろす。彼の視線は奈理子の湿ったショーツに触れ、満足げに舌なめずりをした。

しかし、ミラクルナイトの瞳に希望の光が宿る。

「凜さんが来た以上、もう貴方の好きにはさせないわ!」

そう叫ぶと、ミラクルナイトの身体が水色の光を放ち始める。ミラクルパワーを発動させ、反撃に転じようとする姿に、市民から歓声が上がる。

だが、バナナ男は慌てる素振りもなく、悠然と巨大なバナナを取り出した。

「奈理子ちゃん、これを見てごらん」

その言葉に、ミラクルナイトの視線が吸い寄せられる。そして、目に入ったバナナの大きさに彼女は思わず息を呑んだ。

「あぁッ!」

彼女の反応にバナナ男は満足そうに微笑む。

「僕のバナナでたっぷりと奈理子ちゃんを可愛がってあげるよ。ほら、皮はちゃんとむいてあげるから安心して。僕のバナナは硬いから、中折れの心配もないよ」

バナナ男の低く甘い声に、ミラクルナイトの目から光が失われていく。

「この大きなバナナが…」

期待と恐怖の入り混じった表情を浮かべる彼女の戦意は完全に萎え、水色の光は消えてしまった。

「手伝ってあげるわ。こんなに濡らしちゃって、はしたない正義のヒロインね」

トケイソウ女が蔓を伸ばし、ミラクルナイトの水色のショーツへと迫る。

「奈理子、しっかりしなさい!欲望に負けちゃダメ!」

セイクリッドウインドの叱咤が飛ぶ。

「奈理子さん、そんなにバナナが好きだったんですか…?」

ドリームキャンディも困惑した表情でミラクルナイトを見つめた。

そのときだった。

「はッ!」

ハッと我に返ったミラクルナイトが、バナナ男の腕の中で激しく藻掻き始める。

「ミラクルパワー!」

彼女の身体が再び水色の光を放つと、バナナ男の腕の中から勢いよく飛び出した。

「やった!」

地面に降り立ったミラクルナイトの姿に、市民から再び歓声が上がる。奈理子の目には再び強い意志の光が宿り、戦いへの決意が感じられた。

「バナナの誘惑に負けるわけにはいかないわ!」

ミラクルナイトの逆襲が、いま始まろうとしていた。


「本当の戦いはこれからよ!」

毅然と立ち向かうミラクルナイト。だが、スカートを失った彼女の姿は、美しくも儚い。露わになった美脚と、華やかな水色に花刺繍が施されたショーツが、ミラクルナイトの清純さと気高さを際立たせている。

「最近の奈理子は白いパンツばかりだったから、青系だと新鮮な感じだね」

セイクリッドウインドが何気なく呟く。

「確かに凜々しいですよね。白よりも少し大人っぽい印象です」

ドリームキャンディも真剣な顔で相槌を打つ。

「もう、私のパンツの話はやめて!」

緊張感の無い二人の会話に、ミラクルナイトは思わず頬を赤らめて叫んだ。

「トンボカマキリは奈理子に任せる。できる限りの援護はするから」

セイクリッドウインドが真剣な表情で告げる。

「分かってるわ」

ミラクルナイトは頷いた。空戦が得意なトンボカマキリを相手にできるのは、飛行能力を持つ彼女だけだ。どれほどの強敵であろうと、やるしかない。

「バナナ男とトケイソウ女は私がやっつけます!」

ドリームキャンディが闘志を燃やす。彼女はバナナの皮で滑り倒された屈辱を晴らすべく、握りしめたキャンディチェーンに力を込めていた。

「えい!」

ミラクルナイトが放った水色の光弾、ミラクルシャインブラストが三人の怪人に向かう。同時に、彼女はミラクルウイングを広げ、高く舞い上がった。

「性懲りもなく空中戦を挑むとはな!」

トンボカマキリが笑いながら飛び立つ。その動きは、彼女を凌駕する速度と力強さを持っていた。

「速い!」

空中で交錯する二人。トンボカマキリの両腕の鎌が唸りを上げ、次の瞬間、ミラクルナイトの悲鳴が響いた。

「きゃッ!」

空中で弾け飛ぶ白い布。ミラクルナイトのノースリーブブラウスが無惨に斬り裂かれ、彼女の身体から舞い落ちた。

「下だけパンツ姿では不格好だからな。上もお揃いにしてやった」

トンボカマキリが高笑いを響かせる。

露わになったのは、水色のショーツとお揃いの清楚なブラジャー。恥じらいと屈辱が混じり合う中、ミラクルナイトは震える声で呟く。

「ま、負けないわ…」

自分に言い聞かせるように、彼女の瞳には再び戦意が宿っていた。だが、その表情には、トンボカマキリの圧倒的な実力に怯える影も隠れていた。

市民たちの熱狂的な声援と、ドリームキャンディとセイクリッドウインドの期待を背に、ミラクルナイトは再び空へと向かう。

戦いはまだ、始まったばかりだ。


噴水広場の上空、ミラクルナイトとトンボカマキリの戦いは、依然としてミラクルナイトの劣勢だった。アイマスクもスカートもブラウスも剥ぎ取られ、今や彼女の姿は下着を纏うのみ。水色のブラとショーツに身を包まれた奈理子の白い肌は、陽光を受けて輝き、鍛えられた腹筋や括れた腰のライン、美しい太腿とともに、目を離せない存在感を放っていた。

しかし、それでも奈理子はミラクルナイトだ。彼女の髪を飾る白いリボン、背に広げたミラクルウイング、手足を守るグローブとブーツが、その象徴だった。

「えい!」

諦めることなく放たれる水色の光弾。しかし、トンボカマキリはその弾幕を軽々と避け、彼女に急接近してきた。

「きゃあッ!」

トンボカマキリの鋭い体当たりに、空中でバランスを崩すミラクルナイト。そこにトケイソウ女の蔓が伸び、彼女の身体を絡め取る。

「奈理子が大好きな市民の皆様に、サービスしなくちゃねぇ」

トケイソウ女は残忍な笑みを浮かべながら、蔓をショーツへと這わせた。

「なっ?!」

奈理子の声が驚きに震える。蔓がショーツを太腿まで摺り下げてしまったのだ。

「レアな奈理子の水色パンツ、抽選で市民にプレゼントなんてどうかしら?」

市民たちは息を呑み、絶体絶命の状況に固唾を飲んで見守る。

「いやぁ~!」

羞恥心に満ちた奈理子の悲鳴が響く。

その瞬間、鋭い風の刃がトケイソウ女の蔓を斬り裂いた。

「奈理子のパンツは脱がさせない!」

セイクリッドウインドがガストファングを振るい、ミラクルナイトを解放したのだ。

「あっ!」

自由を取り戻したミラクルナイトは空中から落下するが、ドリームキャンディがその身体をしっかりと受け止めた。

「ありがとう、凜さん、キャンディ」

ミラクルナイトは頬を赤らめながら、素早くショーツを元の位置に穿き直す。

「キャンディ、バナナ男とトケイソウ女の相手を一人でできる?」

セイクリッドウインドがドリームキャンディに問いかける。

「やってみます!バナナの皮さえなければ、バナナ男は怖くありません!」

ドリームキャンディの瞳に決意の光が宿る。

「分かった。奈理子は空から、私は地上からでトンボカマキリを攻めるわ」

「任せて。凜さん、援護お願いね」

ミラクルナイトは頷き、再びミラクルウイングを広げて空へと舞い上がった。

上空を飛ぶトンボカマキリを追うミラクルナイト。地上ではセイクリッドウインドが鋭い風の刃を次々と放つ。二人のヒロインが織りなす連携攻撃が、ついにトンボカマキリを追い詰める兆しを見せ始めた。

「今度こそ…決着をつけるわ!」

ミラクルナイトの瞳には、決して揺らがない強い意志が宿っていた。戦いは激しさを増していく。

噴水広場の上空で再び羽ばたくミラクルナイト。水色の光を背に、風にたなびくリボンとミラクルウイングが彼女の戦意を象徴している。その瞳には決意が宿り、かすかな怯えも消え去っていた。

地上ではセイクリッドウインドが冷静にガストファングを構え、鋭い風の刃を放つ。ミラクルナイトとトンボカマキリの空中戦を援護するため、彼女は一切の隙を見逃さない。

「凜さん、ありがとう!」

ミラクルナイトが合図を送る。彼女は光の弾幕を張りながら、トンボカマキリの動きを制限していた。その動きは、まるでトンボの動きを予測しているかのようだった。

「こしゃくな!」

トンボカマキリはその長い鎌を振り回し、風の刃を迎撃しながらミラクルナイトに迫る。その動きは相変わらず素早く、鋭い。

「キャンディ!準備できた?」

セイクリッドウインドが振り返りながらドリームキャンディに声をかける。

「はい!バナナ男とトケイソウ女のコンビは、私が何とかします!」

ドリームキャンディの表情には、先ほどまでの不安の影が消え、代わりに力強い覚悟が浮かんでいた。

空中ではミラクルナイトがトンボカマキリの鎌を紙一重で避けながら、反撃の光弾を放っていた。

「これ以上好きにはさせない!」

ミラクルナイトは鋭く旋回し、トンボカマキリの死角に回り込む。しかし、トンボカマキリは背後の動きを読んでいたかのように、急旋回しながら彼女に迫る。

「きゃあッ!」

トンボカマキリの長い鎌が一閃し、ミラクルナイトのウイングを掠めた。光の粒が散り、バランスを崩したミラクルナイトが僅かに落下する。

「今だ!」

その瞬間、セイクリッドウインドの風の刃が正確にトンボカマキリの羽を狙い撃った。

「ぐぉっ!」

トンボカマキリが大きく揺れ、姿勢を崩す。それを見逃さないミラクルナイトが、すかさず手を輝かせる。

「ミラクルシャインブラスト!」

水色の光弾が放たれ、トンボカマキリに直撃した。

地上では、ドリームキャンディがバナナ男とトケイソウ女を相手に果敢に立ち回っていた。

「バナナの皮がなくても、あなたたちなんか怖くない!」

キャンディチェーンがバナナ男の腕を捕らえ、トケイソウ女の蔓を打ち払う。ドリームキャンディの動きは、小さな身体を活かした素早さと柔軟さに満ちていた。

「これで終わりよ!」

ミラクルナイトとセイクリッドウインド、ドリームキャンディ。それぞれが役割を果たし、三人のヒロインたちは徐々に怪人たちを追い詰めていく。

だが、敵の表情に恐れはない。

「まだ終わらないわよ!」

トケイソウ女の蔓が再び伸び、バナナ男は不敵な笑みを浮かべていた。

戦いの行方は、まだ分からない。

噴水広場の上空で激しく舞うミラクルナイト。彼女のミラクルウイングは傷つきながらも輝きを放ち、その翼で再び高く舞い上がる。市民たちが熱狂の声援を送る中、ミラクルナイトの視線は一点、トンボカマキリに釘付けだ。

「えい!」

水色の光弾が連続で放たれるが、トンボカマキリはそれを翻弄するように躱す。そして、逆襲のタイミングを狙うように、彼の鋭い鎌がまたも唸る。

「奈理子!上!」

地上からセイクリッドウインドの声が響く。トンボカマキリの攻撃を上空から見る彼女が援護の風の刃を放ち、ミラクルナイトを救う。

ミラクルナイトは素早く体勢を整え、再び空中戦へと挑む。

一方、地上ではドリームキャンディが必死にトケイソウ女とバナナ男の二人を相手取っていた。

「キャンディチェーン!」

彼女の放つチェーンがトケイソウ女の蔓を絡め取るが、バナナ男が横からモンキーバナナの皮を投げつけ、足元を混乱させる。

「キャンディ、注意しなさい!」

セイクリッドウインドの鋭い声が飛ぶ。

「分かってます!」

ドリームキャンディはバナナの皮を蹴飛ばしつつ、地を這うトケイソウ女の蔓をかわして再びチェーンを放つ。しかし、二対一の状況は分が悪い。

「奈理子、ここで決めるわよ!」

セイクリッドウインドが再び叫ぶ。地上からトンボカマキリを狙い澄ました風の刃を放つ。ミラクルナイトはその隙を見逃さず、トンボカマキリの死角に飛び込んだ。

「これで終わりよ!ミラクルシャインブラスト!」

水色に輝く光弾が、トンボカマキリの胸を正確に捉えた。

「ぐぉっ!」

苦しみの声を上げ、トンボカマキリが空中で姿勢を崩す。そしてそのまま、地上へと大きく落下した。

「やったわね!」

ミラクルナイトが微笑むが、地上ではまだ戦いが終わっていない。

「甘いわよ!」

トケイソウ女の蔓がドリームキャンディの背後から迫り、彼女を絡め取る。

「きゃあ!」

捕らえられたドリームキャンディに、バナナ男が迫る。

「キャンディ!」

地上からセイクリッドウインドが駆け寄るが、トケイソウ女が道を遮る。

「この勝負、簡単には終わらないわよ!」

三人のヒロインと三人の怪人。戦いは再び激しさを増し、決着は未だ見えない。

「これ以上、好きにはさせない!」

ミラクルナイトが空高く舞い上がり、水色に輝くミラクルシャインブラストを放つ。閃光はトンボカマキリを正確に捉え、彼の身体を大きく揺るがせた。

「ぐわっ!」

羽が傷ついたトンボカマキリが、よろめきながら降下する。しかし、完全に倒すには至らない。

「奈理子、まだよ!」

セイクリッドウインドが地上から叫ぶ。彼女の手元ではガストファングが再び輝きを増している。

地上では、ドリームキャンディがトケイソウ女とバナナ男を相手に奮闘していた。

「キャンディチェーン!」
彼女の放つチェーンがトケイソウ女の蔓を絡め取る。しかし、バナナ男がバナナの皮を滑らせるように投げつけ、キャンディの足元を混乱させる。

「またバナナの皮!?今度は絶対滑らない!」

ドリームキャンディは足元を見ずにジャンプし、チェーンを再び投げた。しかし、トケイソウ女が蔓を巻き返し、ドリームキャンディの動きを封じる。

「キャンディ!」

セイクリッドウインドが地上から援護しようとするが、トケイソウ女が蔓で彼女の進路を遮る。

空中では、ミラクルナイトが再びトンボカマキリと対峙していた。

「終わらせるわ!」

ミラクルナイトはミラクルウイングを大きく広げ、旋回しながらトンボカマキリの背後に回り込む。しかし、トンボカマキリも一瞬の隙を見逃さず、鋭い鎌を振るう。

「きゃっ!」

鎌がミラクルナイトの肩を掠め、彼女が一瞬バランスを崩す。

「逃がさない!」

トンボカマキリが急降下し、ミラクルナイトに迫る。その瞬間、地上からセイクリッドウインドの風の刃が飛び、トンボカマキリの羽根を再び狙い撃った。

「ぐぉっ!」

バランスを崩したトンボカマキリが墜落する隙を見逃さず、セイクリッドウインドはガストファングで竜巻を発生させた。

「奈理子、これで決めなさい!」

地から強く頷いたミラクルナイトは両手を輝かせる。

「これで終わりよ!ミラクルスピンクロスチョップ!」

竜巻に乗ったミラクルナイトは水色の矢となり、トンボカマキリを貫き、その姿を完全に消し去った。

「やったわ!」

ミラクルナイトが勝利の笑顔を見せる。しかし、それも一瞬だけだった。

「あとは、キャンディお願い…」

宿敵トンボカマキリを倒し笑顔を見せたミラクルナイトだが、力を使い果たし墜落を始める。

それを見逃すトケイソウ女ではなかった。素早く蔓を操り、落下するミラクルナイトのブラとショーツを剥ぎ取ってしまった。

「女子高生っぽい清純な下着姿もいいけど、奈理子には裸にブーツがよくお似合いよ」

トケイソウ女の高笑いが響きわたる。


バナナ男は素早く天から降ってきた奈理子の水色のショーツとブラを素早くキャッチした。

「クンカクンカ…良い匂い……。奈理子は匂いも水都一の美少女に相応しい!」

奈理子の体液をたっぷりと吸い込んだ下着を鼻に押し当て、その匂いを存分に楽しむ。

「これでおしまいかしら?」

トケイソウ女の高笑いが響く中、ミラクルナイトは力尽き、意識を失ったまま地に伏していた。すでにアイマスク、スカート、ブラウスを剥ぎ取られ、無防備な姿で横たわる奈理子。その純白の肌と鍛えられたボディラインが、観衆の視線を釘付けにしていた。

「さすが水都一の美少女。その完璧な裸体にはため息が出るわね」

とトケイソウ女が奈理子の姿を嘲笑う。

「それに比べて、アンタたちはどうかしら?」とセイクリッドウインドとドリームキャンディを冷たい目で見やる。

「奈理子さん、しっかりしてください!」

ドリームキャンディは気を失ったミラクルナイトを抱きかかえ、必死に声をかける。しかし、トンボカマキリとの死闘で奈理子は完全に力を使い果たしていた。

「奈理子はよくやったわ。あとは私たちに任せて休んでいなさい」

セイクリッドウインドが奈理子の頭を優しく撫で、静かに石畳に横たえた。

「キャンディ、あの二人を片付けるわよ」

「はい!あとは雑魚の二人だけですね」

ドリームキャンディの瞳が燃え上がるように輝いた。

「雑魚二人とはよく言ってくれるわね」

トケイソウ女が蔓を大きく振り上げながら笑う。

「それにしても、可憐な奈理子の下着が俺の手の中にあるんだぜ!これがどうなってもいいのか?」

とバナナ男がミラクルナイトの水色のブラとショーツを掲げた。

「返しなさい!」

怒りに燃えるドリームキャンディが叫ぶ。

しかし、セイクリッドウインドは冷静だった。

「キャンディ、落ち着きなさい。奈理子は水都の守護神よ。自分の役割を十分に理解している。下着を奪われることくらい想定済みよ」

「えっ、そうなんですか?!」

驚きの表情を見せるドリームキャンディ。

「彼女の使命は水都の平和を守ること。そのためなら、多少の羞恥心くらい耐えてみせる。彼女が倒れた今、私たちが彼女の代わりにここで立ち向かうのよ!」

「さあ、行くわよ!」

セイクリッドウインドがガストファングを振るい、風の刃でバナナ男を舞い上げた。

「わああ!」

バナナ男が叫ぶ。

「キャンディ、今よ!」

セイクリッドウインドの合図で、ドリームキャンディがキャンディチェーンを振り、バナナ男の手からミラクルナイトの下着を奪い取った。

「やりました!奈理子さんのブラとパンツを取り返しました!」

ドリームキャンディがチェーンを引き寄せ、誇らしげに奈理子の下着を掲げる。

「このまま飛んでいけ!」

セイクリッドウインドがさらにガストファングを振るい、バナナ男を強風で遠くへ吹き飛ばした。

「奈理子ぉ〜、次こそは俺のバナナで…!」

バナナ男の声が風に乗って遠ざかり、やがて消えていった。

「さあ、あとは貴女だけよ!」

セイクリッドウインドはトケイソウ女に鋭い視線を向け、冷たく言い放った。トケイソウ女は一歩も引かない様子で構えるが、その表情に余裕はなかった。

「準備はいい?」

セイクリッドウインドが問うと、ドリームキャンディが力強く頷く。

「水都の平和を乱す者は、私たちが許しません!」

二人のヒロインが再び立ち上がり、最後の戦いが始まる気配に、噴水広場の空気が一変した。


「ふふ…二対一なんて卑怯じゃない?」

トケイソウ女は蔓を振り上げ、不敵な笑みを浮かべた。だが、バナナ男を失った今、その目にはわずかな焦りが滲んでいた。

「卑怯?あなたたちが奈理子をあんな目に遭わせておいてよく言うわね!」

セイクリッドウインドがガストファングを構え、鋭い視線をトケイソウ女に向ける。その隣で、ドリームキャンディもキャンディチェーンを握り締め、戦う気持ちをみなぎらせていた。

「ふん、強がっていられるのも今のうちよ!」

トケイソウ女は再び蔓を二人に向かって伸ばした。しかし、それは思ったほどの脅威ではなかった。

「ガストスラッシュ!」

セイクリッドウインドが一振りした鉄扇から放たれた風の刃が、蔓を切り裂いていく。

「キャンディチェーン!」

ドリームキャンディが追撃の一撃を放つと、蔓が絡み取られ、動きを封じられた。

「きゃあっ!」

バランスを崩し、トケイソウ女は一瞬怯んだ。

「もうおしまいよ!」

セイクリッドウインドがガストファングを振りかざし、トケイソウ女に向けて風の衝撃波を放つ。

「くっ…覚えてなさい!」

衝撃波をまともに受ける前に、トケイソウ女は残った蔓を足場にして高く跳び上がった。

「今日のところは引いてあげる。でも、次は絶対に負けないわ!」

そう捨て台詞を残し、トケイソウ女はそのまま夜の闇へと消えていった。

「奈理子さん!」

ドリームキャンディは石畳に横たわるミラクルナイトのもとに駆け寄った。

「よく戦ったわね、奈理子」

セイクリッドウインドもそばにしゃがみ込み、眠るような表情の奈理子の頬に触れる。その無防備な姿に安堵と尊敬の念が混じった。

「凜さん、奈理子さんは…」

ドリームキャンディが不安げに尋ねる。

「大丈夫よ。ただ疲れて眠っているだけ。ほら、今も微かに笑ってるじゃない?」

セイクリッドウインドの言葉に、ドリームキャンディも頷いた。

「奈理子、最高だー!」

「今日も可愛い姿を見せてくれてありがとう!」

市民たちが噴水広場に集まり、ミラクルナイトに熱い声援を送る。

「これで一件落着ね」

セイクリッドウインドが空を見上げると、真夏の太陽が輝いていた。

「キャンディ、奈理子を運ぶの手伝ってくれる?」

「はい!」

二人は無防備な姿で眠る奈理子をそっと抱え上げた。彼女の静かな寝顔が、三人の戦士たちが守った平和そのものを象徴しているようだった。

ミラクルナイトが目を覚ましたのは、自宅の柔らかなベッドの上だった。

「うぅ…私、またみんなに恥ずかしい姿を…」

奈理子は昨夜の記憶を思い出し、布団に顔を埋めた。

「でも…みんなを守れたから、いいよね」

そっと窓の外を見つめると、朝日が優しく街を照らしていた。

奈理子の瞳に再び決意の光が宿る。彼女はまだまだ成長し、戦い続けるのだと心に誓いながら、新しい一日を迎える準備を始めた。

水都の平和を守る戦いは、これからも続く。

第166話へつづく)

あとがき