ミラクルナイト☆第141話
鄙野の町。紗理奈は路上駐車している車の下を覗き込んだ。五月の日差しを避け、野良猫がスヤスヤと眠っている。
「コマリシャス、猫がいるよ」
紗理奈はコマリシャスを呼んだ。
「ホントだ。猫と車なら凄い魔物が作れそうだね」
とコマリシャスが笑顔を見せる。目を覚ました野良猫は、コマリシャスと紗理奈に警戒の視線を向ける。
「コマリシャス、早く。ネコクルマよ」
紗理奈がコマリシャスに促す。
「うん!」
とコマリシャスが楽しげに呪文を唱え始めた。
野良猫は興味深そうにコマリシャスと紗理奈を観察しているが、車の周辺の地面に魔法陣が出現すると、身の危険を感じたのか、素早く逃げ出してしまった。
「あ~、また逃げられた」
とコマリシャスが天を仰ぐ。
「猫は手強いわね…」
紗理奈も溜息をつく。
「でも、紗理奈のお陰でたくさん魔物が作れたよ」
とコマリシャスが無邪気な笑顔を見せる。
鄙野攻略の頃からコマリシャスに仕えるタンポポタイの他に、百足と工事現場から盗んできた電動工具で作ったムカデドリル、蛇と同じく工事現場から盗んできた電動工具で作ったヘビサンダー、蝿と燃えないゴミに捨てられていた電子レンジで作ったハエレンジ、雀と雀を捕らえる罠の笊で作ったスズメザル。ミミズドローン、ダンゴムシカンの二大魔物を失ったコマリシャスだが、その戦力は鄙野攻略時よりも充実していた。
「もう、水都の人間たちには負けないよ」
と自信をつけたコマリシャスが胸を張る。
「水都の守護神はミラクルナイトだけど、水都にはミラクルナイトよりも強いのがうじゃうじゃいるから、まだ足りないよ。今は鄙野で戦力を充実させましょう」
と紗理奈はコマリシャスの頭を撫でた。
「うん!水都は絶対にコマリシャスが征服するんだ。そのために魔物をたくさん作るよ」
とコマリシャスが笑顔で答える。鄙野では、コマリシャスの水都侵攻の準備が着々と進められていた。
連休明けの水都女学院高校一年二組の教室。奈理子はすみれと連休中の出来事を話していた。
「奈理子さん」
と、そこに現れたのは怖い顔の菜々美。
「菜々美さん、ごきげんよう」
笑顔で返す奈理子。
「ごきげんよう。奈理子さん、また負けたそうね」
冷たく言い放つ菜々美。
「どうしてそれを…」
連休中にあった現金輸送車の事件を警察は公表していない。何故、菜々美があの事件を知っているのか奈理子は疑問に思った。
「貴方は水都女学院の生徒なのよ。ミラクルナイトとしても、あまり無様な姿は晒さないでもらいたいわ」
菜々美が奈理子を迫る。
「奈理子さんは水都の平和を守る為に一所懸命頑張っているのよ。そんな言い方酷いわ」
すみれが奈理子を庇う。
「すみれさんは黙っていて」
「制服姿のときはダメだけど、ミラクルナイトのときは恥ずかしいことされてもいいって、前に菜々美さんは言ってましたよね?」
「そんなこと言ってないわ!」
言い争う菜々美とすみれ。
「二人ともやめて。私が弱いのが悪いんだから…」
奈理子が二人を止める。
「弱い自覚はあるのね」
菜々美が冷たい視線を奈理子に浴びせる。奈理子は何も言えずに俯いていた。
ハオリムシ男の姿に怯え、二度も失神してしまったのは事実だ。水都の守護神ミラクルナイトとして精一杯頑張っているつもりだが、実力が追いつかない。年下のドリームキャンディの足を引っ張ってばかりいる。奈理子は自分の不甲斐無さに目に涙を浮かべていた。そんな奈理子にイライラする菜々美。
「貴方、水都の守護神なんでしょ。ミラクルナイトは無限の力を秘めているはず。しっかりしなさい!」
菜々美は奈理子を怒鳴り付け、奈理子に背を向けた。
「アンタは私に勝ったのよ…」
菜々美が誰にも聞こえない声で呟いた。ミラクルナイトに敗れた過去がある菜々美は、敗北が続くミラクルナイトが許せなかった。
水都女学院はお嬢様学校だが、登下校の送迎は禁止されているため、寮生以外の多くの生徒は電車かバスで通っている。奈理子の家は近くではないが、歩いて行けない距離ではないため、奈理子は徒歩で通学していた。すみれとバス停で別れた奈理子は、
「奈理子さん」
と菜々美に呼び止められた。
「菜々美さんの家はこっちだっけ?」
確か、菜々美は電車通学だから駅は逆方向だ。
「今日は奈理子さんに言いたいことがあるの」
菜々美が奈理子を睨んでいる。
「私、菜々美さんを怒らせることをしたの?」
奈理子は菜々美がいつも自分にキツく当たる理由が分からなかった。
「してないわ」
その言葉にホッとした奈理子。
「じゃぁ、萬々亭でお話しよ」
奈理子は菜々美の手を引いた。萬々亭は水都公園内にあるレトロチックなカフェだ。
奈理子に手を引かれる菜々美。水都公園は、市民から絶大な人気を誇る奈理子のホームグラウンドだ。道行く市民が奈理子に声を掛ける。奈理子はそれに笑顔で応える。どんなに無様に敗北しようと、めげずに強敵に向かって行くミラクルナイト、奈理子の姿に市民は心を打たれる。敗北するたびに奈理子の人気は増していくのだ。菜々美は複雑な思いで奈理子と市民の交流を眺めていた。
萬々亭のテラス席で向かい合う奈理子と菜々美。
「お話しってな~に?」
奈理子は抹茶あんみつの白玉を頬張りながら聞いた。
「アンタに負けて欲しくないのよ」
菜々美が竹のフォークでわらび餅を突付きながら言うが、わらび餅の弾力がフォークを弾き返している。
「応援してくれるの?菜々美さんは私のことを嫌いだと思ってた」
「アンタのことは嫌いよ」
奈理子は困惑した表情を浮かべた。
「じゃあ、どうして…」
菜々美はわらび餅を一口食べ、視線を奈理子に戻した。
「アンタが嫌いだからこそ、アンタが負けるたびに、イライラしてしまうのよ」
菜々美の声には複雑な感情が混じっていた。
「私がもっと強くなれば…」
奈理子が呟いた。
「そう、もっと強くなって、無様な敗北をやめてちょうだい。それがアンタのためでもあるし、私のためでもあるのよ」
奈理子はしばらく黙っていたが、やがて深く頷いた。
「分かったわ。もっと頑張る。ありがとう、菜々美さん」
その言葉に、菜々美は少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。
「それでいいわ。アンタには負けて欲しくないのよ」
「わらび餅一つだけあげるから、白玉と抹茶ゼリーちょうだい。あんこも」
「いいよ〜。その代わり、きな粉いっぱいつけてよ」
抹茶あんみつとわらび餅を交換して、はたから見れば仲良く楽しんでいるように見える奈理子と菜々美。
しかし、公園内の運河から、ワサビ男、イソギンハンミョウ、そして複数のウズムシ男が出現したという警報が鳴り響いた。同じ水都公園内でも萬々亭からは離れているが、店内は騒然となる。
と菜々美が奈理子に過去の敗北を思い出させる。ミラクルナイトでは相手にならない程の強力な怪人が二体も同時に出現したことに奈理子は愕然としていた。
「どうするの?」
と菜々美が問う。店内の人々が奈理子を心配そうに見る。誰もがミラクルナイトではワサビ男にもイソギンハンミョウにも勝てないと思っているのだ。それでも、市民はミラクルナイトに期待を寄せる。
「行くわ。キャンディたちが来るまで、何とかして私が止める」
奈理子が決意を胸に答える。
「何言ってるの?!水都の守護神はアンタなのよ。アンタが倒しなさい」
菜々美が気弱な奈理子を叱咤する。
「奈理子ちゃん、頑張れ!」
「水都を守ってくれ!」
店内の人々も奈理子を激励する。
「アンタの抹茶あんみつは私が食べてあげるから、安心して行きなさい」
菜々美が抹茶あんみつを引き寄せる。奈理子は財布を取り出そうとしたが、
「お金はいいわ。その代わり、また負けたら許さないから」
と菜々美が告げる。奈理子は頷くと、財布の代わりにアイマスクを取り出した。
奈理子は深呼吸をし、アイマスクを装着した。
「変身!」
彼女の体が光に包まれ、ミラクルナイトに変身する。光が消えると、ミラクルナイトの姿が現れた。
「水都の平和を守るため、私は負けない!」
高らかに宣言すると、ミラクルナイトは店を飛び出し、ワサビ男たちのいる方向へと駆け出した。店内に残った人々は、その背中に熱い視線を送り続けた。
「水都の平和を乱す者はミラクルナイトが許しません!」
運河の畔に駆け付けたミラクルナイトの宣言が響く。
「奈理子だ!」
「奈理子ちゃん、頑張ってー!」
ミラクルナイトの姿を見て安堵する市民たち。彼女の清楚可憐な姿は、ウズムシ男たちの目も楽しませていた。
「やっぱり奈理子は可愛いなー」
「奈理子の太股堪らん!」
「今日の奈理子のパンツは何色かな?風吹け。フーフー」
ウズムシ男たちは、ミラクルナイトの生脚に向かって息を吹きかける。しかし、風はミラクルナイトのスカートを太股に張り付かせるだけで、捲れることはなかった。
「貴方たちに私のパンツは見せません!」
ミラクルナイトはウズムシ男たちを睨みつける。その前に立ち塞がるワサビ男。
「奈理子、怖気ついて来ないかと思ったぜ」
「今日は負けないわ!」
ミラクルナイトが身構える。
「ワサビ男様、今日は山葵汁はやめてください」
「山葵漬けの奈理子じゃ苦すぎて舐めれません」
「俺たちにも奈理子の身体で遊ばせてください」
ウズムシ男たちがワサビ男に注文を付ける。ワサビ男配下のウズムシ男は不満があった。これまで散々に奈理子を嬲ってきたウデムシ男配下のウズムシ男に比べ、ワサビ男配下のウズムシ男は念願の奈理子担当になったにも関わらず、今までその機会が無いのだ。
「煩い奴らだな。今日の奈理子の相手は俺じゃねぇ」
ワサビ男が面倒臭そうに答えると、
「そう、奈理子の相手は俺だ」
イソギンハンミョウが前に出た。
「ひッ、触手!」
足が竦むミラクルナイト。
「さあ、始めようか」
イソギンハンミョウがミラクルナイトに触手を伸ばす。
ミラクルナイトは水色の光弾を放ち、触手を弾き飛ばそうとする。しかし、イソギンハンミョウの触手は勢いよく彼女に絡みつき、彼女の力を封じる。
「くっ…」
必死に抵抗するミラクルナイトだが、触手の力は強力だ。
「今日は逃げられないぞ、奈理子。俺の触手の力を思い知れ!」
イソギンハンミョウが不敵な笑みを浮かべる。
「絶対に負けない!」
ミラクルナイトは必死に叫ぶ。しかし、イソギンハンミョウの触手は彼女の動きを完全に封じ込め、ミラクルナイトの希望は徐々に薄れていった。
その時、遠くからドリームキャンディとセイクリッドウインドの姿が見えた。彼女たちが駆けつけるまで、奈理子は耐えなければならない。
「絶対に負けない…!」
涙を浮かべながらも、ミラクルナイトは再び力を振り絞った。彼女の心には、水都の平和を守るために戦い続ける決意が燃え盛っていた。
イソギンハンミョウの必殺技である触手締めに捕らえられたミラクルナイト。触手は彼女を持ち上げ、無理やり股を開かせる。
「少し汚れているな」
と、イソギンハンミョウは奈理子の白いパンツのクロッチに染みがあることを確認した。
「女の子だから、仕方ないじゃない…」
羞恥に顔を背けるミラクルナイト。
「俺たちにも見せてくれよ!」
ウズムシ男たちの声に応え、イソギンハンミョウはミラクルナイトのアイマスクとスカートを剥ぎ取り、奈理子の素顔と白いパンツを丸出しにしてしまった。
「あぁ…」
ミラクルナイトの涙が頬を伝う。そして、
「触手の他にも試したい能力があるからな」
とイソギンハンミョウはミラクルナイトを地面に投げ捨てた。
「まだ、負けてないわ……」
苦痛に顔を歪めながらも立ち上がろうとするミラクルナイト。しかし、そんな彼女に、イソギンハンミョウは毒液を吹き付けた。
「あッ!あぁぁぁ~!!」
と悲鳴を上げるミラクルナイト。
「なんてことするんだ!」
「毒をかけたら、奈理子の身体を舐めれないじゃないか!」
ウズムシ男たちがイソギンハンミョウに抗議する。
「煩い奴らだ。お前らは奈理子の身体で遊ぶことしか考えていないのか?」
呆れるイソギンハンミョウ。
ようやくドリームキャンディとセイクリッドウインドが到着した。
「奈理子さん!」
ドリームキャンディが苦しむミラクルナイトを抱き起こす。
「奈理子さんを苛める者は私が許さないわ!」
ドリームキャンディはミラクルナイトを抱き締め、イソギンハンミョウを睨みつける。
しかし、
「お前たちの相手は俺さ」
とワサビ男がドリームキャンディとセイクリッドウインドの前に立ちはだかる。
「ワサビ男…」
ドリームキャンディが怯えの声を漏らす。キャンディの甘さを身に纏うドリームキャンディにとって、山葵の苦味を持つワサビ男は天敵と言ってもいい存在だ。
「キャンディは下がって」
とセイクリッドウインドがドリームキャンディの肩に手を添え前に出る。
「ほう、裏切り者の風間凜か」
ワサビ男がセイクリッドウインドを見据える。
「私はアンタなんか知らない。私が抜けた後で出世した成り上がり者ね」
とセイクリッドウインドがワサビ男と対峙する。
「私も、まだ戦えるわ…」
ミラクルナイトも立ち上がった。
「奈理子の相手は俺だ。ドリームキャンディ、手を出すなよ」
とイソギンハンミョウが警告する。ドリームキャンディは、ミラクルナイトがイソギンハンミョウに勝てるとは思えなかったが、ミラクルナイトは
「今日は友達が見てるから、負けられないの。イソギンハンミョウは私が倒すから、キャンディは見てて」
と前に出た。
ミラクルナイトは決意を胸に、再び立ち上がった。彼女の瞳には、仲間たちの期待と信頼が映し出されている。
「水都の平和を守るため、どんなに辛くても戦い続ける!」
と心に誓いながら、彼女はイソギンハンミョウに向かって突進した。
水都公園の運河の畔では、激しい戦いが繰り広げられていた。ミラクルナイトはイソギンハンミョウと、セイクリッドウインドはワサビ男と対峙している。
「じゃあ、私はウズムシ男でも相手にしようかしら」
とドリームキャンディがウズムシ男たちに目を向ける。
「ガキンチョ相手では不服だが、相手になってやるか」
「コイツも中学生になったから、少しは楽しめるかもしれないぜ」
「確かに、ガキンチョのくせに胸は奈理子よりでかそうだ」
「奈理子みたいに身ぐるみ剥がしてやろうぜ」
とウズムシ男たちがドリームキャンディを見ながら勝手な感想を述べる。
「フフン。私のドレスは鉄壁の防御力ですからね。奈理子さんのヒラヒラスカートなんかと一緒にしないでよ」
とドリームキャンディが腕を組み得意気に応える。
「お前、ガキンチョのくせに奈理子を見下しているだろ」
「奈理子より少し胸がでかいからって、貧乳奈理子を馬鹿にするな」
「奈理子が可愛過ぎるからって僻むなよ」
「悔しかったら、奈理子のようにモロパンで市民を喜ばせてみろ」
とウズムシ男はドリームキャンディに容赦ない言葉を次々と浴びせる。
「貴方たち、言わせておけば……。私にとって、奈理子さんは頼れる素敵な可愛いお姉さんよ!」
ドリームキャンディの怒りは頂点に達する。
その奈理子、ミラクルナイトは再びイソギンハンミョウの触手に捕らえられていた。
「離してッ!」
パンツの中にまで触手が侵入し、好きなように身体を弄られるミラクルナイト。クロッチはずらされ、奈理子の大切な箇所が曝け出されている。
一方、セイクリッドウインドはガストファングが生み出す風の刃でワサビ男の体を切り刻んでいた。
「降参するなら、今のうちよ!」
勝利を確信したセイクリッドウインドが吠える。しかし、余裕の笑みを浮かべるワサビ男。
「山葵を摺り下ろしてくれてありがとよ。お礼に泣かせてやるぜ、風間凜。喰らえ、生おろし山葵」
と刻まれた山葵をセイクリッドウインドに放つワサビ男。
「うわぁ~!」
顔面におろし山葵の直撃をくらい悲鳴を上げるセイクリッドウインド。
「目が…!目が……!!」
ゴーグル越しに目をやられたセイクリッドウインドの瞳から、涙がとどめなく流れ出す。
ミラクルナイト、ドリームキャンディ、そしてセイクリッドウインド。彼女たちの試練は続く。
「こんな見られ方、恥ずかしい…お願い、一思いに脱がして……」
羞恥に耐えられず、ミラクルナイトがパンツを哀願する。しかし、イソギンハンミョウは冷酷な笑みを浮かべ、
「このまま串刺しにしてやる」
と奈理子の大切な箇所を触手で責め立てる。
「あぁ~ッ!」
悲鳴を上げるミラクルナイト。しかし、イソギンハンミョウはまだ許さない。
「ココもウデムシ男に調教されたんだったな」
と、更に触手が後ろの穴を撫でる。
「や…やめて……」
ミラクルナイトの戦意は既に喪失していた。今日も戦いに敗れ、凌辱される。
「もうダメ…」
触手に執拗に責められるミラクルナイトは陥落寸前だった。
「奈理子さん!」
戦いを見守る市民の中から声が響いた。
「菜々美さん…?」
敗北を受け入れようとしていたミラクルナイトの瞳が微かに開く。一際目立つ濃紺と水色の水都女学院のセーラー服を着た少女、怒った顔の菜々美の姿を見つけた。触手に弄ばれながら、ミラクルナイトは心の中で思った。菜々美はなぜいつも怒っているのだろう?
「諦めるのが早すぎる!ミラクルナイトはもっと強いはず!アンタが負けると私の株が下がるのよ!!」
菜々美がミラクルナイトに叫ぶ。
「菜々美さん…」
菜々美の言う『株が下がる』という意味は分からなかったが、ミラクルナイトはハッとした。水都の守護神ミラクルナイトが諦めちゃいけない。ミラクルナイトの身体が水色に輝き始める。
「おっ、これが噂のミラクルパワーか?」
触手で奈理子の二穴を弄びながらイソギンハンミョウが口にする。
「そうよ!ミラクルパワー!!」
水色の光が、触手を弾き飛ばす。触手の拘束から逃れたミラクルナイトは、乱されたパンツを整えながら
「勝負はこれからよ!」
と再びイソギンハンミョウに宣言した。
「奈理子さん、頑張って!」
ドリームキャンディが五人のウズムシ男の連携に手を焼きながらもミラクルナイトに声を掛ける。
「涙で前が見えない〜!鼻もツーンとする!」
セイクリッドウインドは依然として山葵に苦しんでいた。
「ミラクルパワーは一瞬だけ。触手はいくらでも出せるぞ!」
イソギンハンミョウが再び触手を伸ばす。しかし、ミラクルナイトは冷静だった。
「えい!」
と両掌から水色の光弾を連射し、触手を迎え撃つ。
「ならば、これだ!」
イソギンハンミョウが毒液を放つと、ミラクルナイトは
「フェアリーシールド!」
と防御壁を展開し防ぐ。
「奈理子、負けるな!」
ミラクルナイトの健闘ぶりに水都公園の市民が活気づく。そして、水都大学奈理子私設ファンクラブ、通称『MNSFC』の面々が到着した。
「奈理子ちゃん、頑張れ!」
MNSFC会長の成好の声が響く。
「会長さん、頑張ります!」
成好の声に応えるミラクルナイト。
「ならば、これでどうだ!」
イソギンハンミョウは鋭いハンミョウの牙を剥く。ミラクルナイトは白い翼、ミラクルウイングを広げ跳び上がる。しかし、イソギンハンミョウの牙は、ミラクルナイトのブラウスを斬り裂いた。純白の下着姿にされてしまったミラクルナイト。しかし、大空に舞い上がった彼女は尚も水色の光弾をイソギンハンミョウに放ち続ける。
「チッ、空中戦なら望むところだ!」
翅を羽ばたかせ、イソギンハンミョウも跳び上がる。
「負けないわ!」
ミラクルナイトの光弾とイソギンハンミョウの触手が空中で激しく交差する。
水都公園の上空で繰り広げられるミラクルナイトとイソギンハンミョウの激しい空中戦。ミラクルナイトが放つ光弾の弾幕をかいくぐり、イソギンハンミョウの触手が奈理子のAカップのブラを弾き飛ばした。奈理子の小さな胸が露わになる。
ヒラヒラと落ちていく奈理子の白いブラ。それを目にした一匹のウズムシ男が
「奈理子の貧乳ブラは俺のものだ!」
と叫び、落下地点に走る。
「待て!抜け駆けは許さん」
「奈理子のブラジャーは俺が頂く!」
と、他のウズムシ男たちも追いかけ、奈理子のブラの落下地点に集まった。
五人のウズムシ男の連携に苦戦していたドリームキャンディは、そのチャンスを逃さなかった。
「ウズムシ男がバカで良かった。キャンディシャワー!」
と叫び、虹色の光を放った。その光が五人のウズムシ男を包み込み、
「離せ!奈理子のブラは俺のもんだ!」
「お前が離せ!俺が先に掴んだんだ!」
などと奈理子のブラを奪い合いながら、ウズムシ男たちは消滅していった。
上空では再びミラクルナイトがイソギンハンミョウの触手に捕らえられていた。
「捕まえたぞ、奈理子。次は純白パンティを剥いでやろうか?」
とイソギンハンミョウが言う。
「何度捕まっても、私は負けない!ミラクルパワー!!」
ミラクルナイトは再び力を振り絞り、触手から脱出する。しかし、触手に体力を奪われながらミラクルパワーを二回も使ってしまった奈理子は、体力が限界に近づいていた。
イソギンハンミョウの触手が迫る。避けようとするミラクルナイトだが、触手がクロッチを掠める。
「あんッ!」
敏感な箇所を擦られ動きが止まるミラクルナイト。
「毒液を喰らえ」
「んッ!」
フェアリーシールドで毒液を防いだミラクルナイトだが、視界からイソギンハンミョウが消えた。
「どこ?」
警戒するミラクルナイト。
「うりゃ!」
イソギンハンミョウの声と同時に奈理子の白いパンツが膝まで下げられた。イソギンハンミョウはミラクルナイトの下に回っていたのだ。慌ててパンツを引き上げるミラクルナイト。再びイソギンハンミョウが視界から消えた。突然、平手が飛んできた。頬を叩かれたミラクルナイト。イソギンハンミョウの俊敏な動きが見えない。
「空中でも俺の方に分があるようだな。トドメだ、奈理子。必殺触手締め!」
触手がまたもやミラクルナイトに絡みつく。
「あぁぁぁ!」
藻掻くミラクルナイト。
「喰らえ!」
イソギンハンミョウは空中から急降下し、触手に絡まれたままのミラクルナイトを地面に叩きつける。
「あぁ…」
意識が飛んだミラクルナイト。しかし、
「まだだ!まだ寝るのは早いぞ!」
イソギンハンミョウは再びミラクルナイトを地面に叩きつけようと、触手でミラクルナイトを持ち上げた。
「奈理子!」
「奈理子ちゃん!」
「奈理子さん!」
「目が〜!」
菜々美が、成好が、ドリームキャンディが、セイクリッドウインドが叫ぶ。
皆の声に目覚めたミラクルナイト。身の危険を感じ、
「これが最後…ミラクルパワー!」
三度目のミラクルパワーを発動した。水色の光が触手を弾き飛ばす。もう、力は残っていない。
「もう少しだけ、頑張って、私!」
ミラクルナイトは自分を励ます。ミラクルナイトの右足が、水色の光を帯びる。
「ミラクルキィ〜ク!」
全力の蹴りがイソギンハンミョウに命中し、その体が吹き飛ばされた。
「やったわ!」
ミラクルナイトは勝利を確信する。しかし、イソギンハンミョウはまだ動いている。
「まだ、まだ負けないぞ、奈理子!」
彼が立ち上がると、ミラクルナイトも最後の力を振り絞って構えを取る。
「水都の平和を乱す者は許さない…」
その言葉が風に乗り、歓声と共に広がった。
「待て、イソギンハンミョウ」
セイクリッドウインドを甚振っていたワサビ男が間に入る。
「今日は奈理子の可愛いおっぱいに免じて、ここまでにしてやる」
ワサビ男に告げられ、ミラクルナイトは慌てて両腕で胸を隠す。
「チッ、次は決着をつけてやる」
イソギンハンミョウはワサビ男に従い、去って行った。
「奈理子ちゃん、今日も可愛かったよ!」
成好らMNSFCの面々が寄ってくる。
「ちょっと待って!奈理子さん、はい」
ドリームキャンディは成好らを制し、ミラクルナイトに奈理子の白いブラを渡した。
「ありがとう、キャンディ」
ミラクルナイトは成好らに背を向け、ブラを付ける。その可憐な姿に、その場にいる誰もが息を呑んだ。
「涙が止まらな〜い!」
セイクリッドウインドはまだ山葵に苦しんでいた。
「凜さん、顔を洗いに行きましょ。奈理子さん、またね」
ドリームキャンディはセイクリッドウインドを連れて去って行く。
ミラクルナイトは群衆の中から菜々美の姿を探したが、見つけることができなかった。
「菜々美さん、帰ったのかな?」
ミラクルナイトが呟いたとき、
「今日は奈理子ちゃんの勝利だ!勝利を祝して胴上げだ!」
と成好が叫ぶ。
「ちょっと待って。私、こんな格好なのに?!」
下着姿のミラクルナイトが戸惑う間もなく、
「おー!」
とMNSFCと市民にミラクルナイトは担ぎ上げられてしまった。
「わっしょい!」
「きゃぁ~!」
下着姿のまま空中に放り上げられるミラクルナイト。
「わっしょい!」
「きゃぁ~!」
ブラが外れ、パンツがずり下がる。たくさんの手に揉みくちゃにされながらも、ミラクルナイトは市民の手荒い祝福を受け、久しぶりの勝利の余韻に浸っていた。
(第142話へつづく)













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