DUGA

ミラクルナイト☆第132話

水都の絶対ヒロイン奈理子が高校に入学する日がやってきた。幼稚園、小学校、中学校を共学で過ごしてきた奈理子にとって、女子校というのは初めての経験だ。水都女学院高等部の入学式は、彼女にとって新しい冒険の始まりだった。

入学式の日、奈理子は新しいセーラー服を身に纏い、校門をくぐった。校庭には満開の桜が咲き誇り、柔らかな春の風が吹いていた。初めての女子校生活に胸を躍らせる奈理子は、少し緊張しながらも期待に満ちた目で周囲を見渡していた。

入学式のセレモニーが始まり、新入生たちは厳かな雰囲気の中で整然と席についていた。その時、壇上に現れたのは、生徒会長の一花だった。一花はその美貌と知性で有名な上級生で、在校生からも絶大な支持を受けていた。

「新入生の皆さん、ようこそ水都女学院へ!」

一花の挨拶に続いて、突然、校庭に隠れていた在校生たちが一斉に現れた。音楽が流れ始め、在校生たちはサプライズのダンスパフォーマンスを披露した。新入生たちは驚きながらも、その華麗なパフォーマンスに引き込まれていった。

入学式が終わり、一年二組の教室に入った奈理子。クラスのみんなは別の中学出身だが、ミラクルナイトとして有名な奈理子の周りにはすぐに人が集まって来た。初めての女子校に緊張していた奈理子だが、男子がいないだけで別に変わったところはない。女子は男子がいてもいなくても女子なのだ。

新しい友達もできて安心した奈理子だが、教室の一角に陣取るグループの中から鋭い視線を感じた。

「あの子たちは中等部から来た本物のお嬢様」

隣の席のすみれが教えてくれた。お嬢様学校として知られる水都女学院だが、本物のお嬢様は中等部から進学する者の一部だと言われている。

「真ん中にいるのは菜々美さん。お父さんは議会議員だって」

「へ〜」

奈理子は菜々美に向かって笑顔を向けてみたが、菜々美はプィと横を向いた。

「嫌われてるのかな…」

奈理子が悲しげに呟くと、すみれは

「私たちとは住む世界が違う人たちだから、気にしなくていいよ」

と慰めてくれた。これが噂に聞く中等部からの内部進学者と高等部からの外部進学者の壁なのかなと考える奈理子。

とにかく、入学式を無事に終え、奈理子の女子高生生活が始まった。


奈理子がすみれと校庭で楽しんでいると、突然、校庭に様々な色の霧が立ち込め始めた。霧の中から現れたのは、アネモネ男だった。

「流石、水都女学院だ。上流階級の娘の匂いは堪らんぜ」

アネモネ男は色とりどりの花を咲かせ新入生の心を奪おうとしていた。

「すみれさん、逃げて!」

奈理子はアイマスクを取り出した。

「奈理子さん、気を付けて」

と言い残し、逃げるすみれ。アイマスクを掲げる奈理子。その前に、菜々美が現れた。

「菜々美さんも逃げて!」

奈理子は言うが、菜々美は冷たい目で奈理子を見つめ、

「貴方があの化け物をこの学校に呼び寄せたのよ。今すぐこの学校から出て行って。ハッキリ言って、貴方がうちの学校に来たのは迷惑なのよ!」

と吐き捨てるように言い放つ。

「そんな……」

悲しい顔をする奈理子。

「見つけだぜ、奈理子。女子高生になった奈理子は、俺様が真っ先に頂くぜ!」

アネモネ男が奈理子を見つけた。

「ほら、貴方が学校から出ていけば、あの化け物も出ていくわ」

アネモネ男の言葉を聞いて菜々美が追い打ちをかける。菜々美はアネモネ男が迫って来ても怯える様子がない。どうしたらいいか分からなくなり、泣きそうな顔になる奈理子。

「菜々美さん、奈理子さんがお困りですわよ」

そこに現れたのは生徒会長の一花だった。

「一花さん…」

奈理子を睨みつけていた菜々美が怯む。

「奈理子さん、存分にお戦いなさいませ。私たち生徒会は、全力で奈理子さんを後押しさせていただきますわ」

一花が優雅に微笑みながら奈理子に言った。

「いつまでお喋りしてんだ。三人まとめて頂いちゃうぜ!」

アネモネ男が迫る。

「一花さん、ありがとうございます!」

奈理子は一花に礼を言うと、

「アネモネ男、変身中に攻撃しないでよ!」

とアイマスクを装着した。

「変身中は手は出さねぇよ。生身の奈理子よりもミラクルナイトの方がたっぷり楽しめるからな」

嫌らしい目で変身する奈理子を眺めるアネモネ男。

「水都の平和を乱す者は、ミラクルナイトが許しません!」

変身を終えたミラクルナイトが、アネモネ男に宣言する。

一花は背筋を伸ばし、優雅に微笑んで奈理子を見守った。

「奈理子さん、あなたならきっと勝てますわ。私たちが応援しておりますことをお忘れなきように」

ミラクルナイトは一花の言葉に勇気をもらい、アネモネ男に向かって突進していった。生徒たちの声援が響く中、ミラクルナイトは全力で戦い、アネモネ男を追い詰めていく。華やかな水都女学院の校庭で、奈理子の新しい冒険が始まったのだった。


ミラクルナイトは、アネモネ男と対峙していた。校庭の中央で、ミラクルナイトの瞳は冷静にアネモネ男の動きを見極めようとしていた。

「奈理子、俺の力を見せてやるぜ!」

アネモネ男は笑いながら花弁を撒き散らした。瞬く間に色とりどりの花弁がミラクルナイトを包み込み、視界がぼやけていく。

「幻惑の花弁…」

ミラクルナイトはすぐに察したが、視界が揺らぐ中での戦いは難しい。彼女は慎重に動きを取りながら、花弁に触れないように身を翻した。

「催眠花粉!」

アネモネ男が次に放ったのは、花粉の霧だった。ミラクルナイトはそれを避けようとしたが、一部を吸い込んでしまい、意識が朦朧とし始める。

「こんなもの、効かないわ!」

と声を振り絞るが、足元がふらつく。アネモネ男はその隙を見逃さず、毒の棘を飛ばした。

「痛っ!」

ミラクルナイトの腕に刺さった棘が、すぐに麻痺を広げていく。

「まだ終わりじゃないわ!」

彼女は必死に立ち上がろうとするが、地面から伸びた根が足を絡め取る。

「根の拘束だ。逃げられないぞ、奈理子!」

アネモネ男は満足げに笑った。

「花弁の刃!」

次の攻撃が飛んでくる。鋭利な花弁が空を切り裂き、ミラクルナイトのコスチュームを傷付ける。

「くっ…!」

彼女は必死に防御を試みるが、花弁の一部が肩に当たり、切り裂かれてしまう。

「香りの誘惑、これでお終いだ!」

アネモネ男は甘い香りを放ち始めた。その香りを嗅いだ瞬間、ミラクルナイトの戦意が一瞬にして失われていく。

「なんて強力な…」

彼女は膝をつき、もう一度立ち上がろうとする。しかし、根に縛られ、棘の毒に冒され、幻惑と香りに囚われた彼女には、もはや立ち上がる力は残されていなかった。

「終わりだ、ミラクルナイト!」

アネモネ男は勝ち誇ったように叫び、ミラクルナイトに止めを刺そうと近づいてくる。

「こんなところで…負けられない…」

奈理子の視界が徐々に暗くなり、彼女は絶体絶命のピンチに追い込まれていた。


ミラクルナイトは地面に膝をつき、息を切らしていた。アネモネ男の花弁の刃によってコスチュームが切り裂かれ、純白のブラとショーツ姿になってしまっていた。彼女の身体は傷だらけで、疲労が極限に達している。

「相変わらず情けない奴」

冷たい視線を向ける菜々美。彼女の言葉にミラクルナイトは心が折れそうになる。

しかし、その時、一花の力強い声が響き渡った。

「奈理子さんは水女を守るために戦っているのですよ。美しい姿ではありませんか」

彼女の熱い視線はミラクルナイトに向けられていた。

他の生徒たちは、初めて間近に見るミラクルナイトの激しい戦いに圧倒され、声も出ない様子だった。一花はその状況を見て、ミラクルナイトの勇気を奮い立たせるために皆の声援が必要だと感じた。

「みなさん、奈理子さんを応援しましょう」

一花が生徒たちに呼びかける。彼女の言葉に、最初は戸惑っていた生徒たちも徐々に声を上げ始めた。

「頑張って、ミラクルナイト!」

「負けないで!」

その声援が徐々に広がり、ミラクルナイトの耳に届く。彼女はその声に力をもらい、ゆっくりと立ち上がった。

「みんなのために…私は負けられない!」

ミラクルナイトは拳を握りしめ、再びアネモネ男に向かっていく。

「無駄な抵抗だ!」

アネモネ男は再び花弁の刃を放つが、ミラクルナイトはそれを巧みに避け、アネモネ男に近づいていく。

「これで終わりよ!ミラクルヒップストライク!」

彼女の股間が光り輝き、アネモネ男に向けて放たれる。その一撃はアネモネ男の体に直撃し、彼は悲鳴を上げて倒れ込んだ。

「やった…勝った…」

ミラクルナイトは息を切らしながらも、勝利の実感を噛みしめる。

「奈理子さん、お見事ですわ!」

一花が駆け寄り、彼女を抱きしめる。

「皆さん、奈理子さんのおかげで水女は守られましたわ」

生徒たちは歓声を上げ、拍手を送る。奈理子はその声援に応え、微笑んだ。

「ありがとうございます、皆のおかげで勝てたわ」

こうして、ミラクルナイトの勇気と皆の声援によって、水都女学院は再び平和を取り戻した。奈理子は新たな決意を胸に、これからも水都を守るために戦い続けることを誓った。


「チッ、次に会ったときは、奈理子を必ず俺のものにしてやる」

そう捨て台詞を残し、アネモネ男は去って行った。

変身を解き、ミラクルナイトからセーラー服姿に戻る奈理子。

「一花さん、みなさん、有難うございます!」

応援してくれた礼を言う奈理子。

「今の奈理子さんは可愛いだけの奈理子さんではありません。私も嬉しいですわ」

一花が奈理子の手を握り、微笑んだ。菜々美はそっぽを向いているが、他の生徒たちは奈理子の勝利を称えていた。

「それでは、私はお花を摘みに行って参ります」

一花がニコリとして奈理子に背を向け去って行く。

「え?庭園の綺麗なお花、持って帰ってもいいんですか?!」

奈理子は庭園に咲き誇る花々に目を遣った。

黙って奈理子の行動を観察する菜々美。奈理子はしゃがみ込み、本当に花を抜こうとする。

「あっ、止めなさい!」

菜々美が慌てて奈理子を止める。

「だって、お花を摘むって…」

「そういう意味じゃないの!」

奈理子と菜々美を見て生徒たちが笑みを浮かべる。

生徒たちの笑顔を見て、奈理子は水都女学院でも楽しくやっていけそうだなと思った。


「クソッ!奈理子め、次こそは…」

水都女学院から去ろうとするアネモネ男が呟いた。

「次はありませんわ」

頭上から声がした。見上げるアネモネ男。

「お前は……アゲハ女!」

アネモネ男の頭上には華麗な羽を広げ舞うアゲハ女の姿があった。

「逃げたつもりのようですが、水女を穢す者は私が許しませんわ」

「小娘が、お嬢様だからっていい気になるなよ!奈理子はダメだったが、お前で我慢してやる」

「まぁ、自信がおありですこと。ですが、奈理子さんは私が頂きますわ」

アゲハ女は冷たい笑みを浮かべる。

アネモネ男が花弁の刃を放つが、空を斬る。瞬間移動したアゲハ女は

「蝶舞疾風撃」

と翅を羽ばたかせ周囲の空気を巻き込んで突風を生成した。突風に吹き飛ばされながら、アネモネ男は消滅していく。

アゲハ女は変身を解いた。一花は奈理子の姿を思い浮かべながら呟いた。

「奈理子さん、以前よりも可愛さに磨きがかかっていましたわ…奈理子さんの蜜、どんな味がするのか楽しみですわ……」


水都女学院の中庭は、再び静寂を取り戻していた。アネモネ男の消滅とともに、校内の緊張も解け、日常が戻ってくる。

一花は、優雅に庭園を歩きながら考えを巡らせていた。

「奈理子さん…あなたの力をもっと引き出してあげたいですわ。あなたにはまだまだ秘められた力があるはずですもの。」

一方、奈理子は教室に戻り、クラスメイトたちと共に新しい学校生活を楽しんでいた。彼女の周りにはいつも笑顔が溢れていたが、心の中では一花の言葉が気になっていた。

「私は、もっと強くならなきゃ…みんなの期待に応えなきゃ…」

ホームルームが終わり、放課後の時間。一花が教室に現れた。

「奈理子さん、少しお時間をいただけますか?大事なお話がございますの。」

奈理子は少し緊張しながらも、一花の誘いに応じて立ち上がった。二人は校内の静かな場所に移動し、話を始めた。

「奈理子さん、あなたの力はとても素晴らしいですわ。でも、もっと磨きをかければ、さらに強く美しくなれますの。」

「一花さん、私にはまだ足りないところがたくさんあります。でも、どうしたらもっと強くなれるんでしょうか?」

一花は微笑んで奈理子に答えた。

「それは、あなた自身が信じることですわ。自分の力を信じ、仲間たちの声援を力に変えてください。私たち生徒会も、全力であなたをサポートいたしますわ。」

「ありがとうございます、一花さん。私、もっと頑張ります!」

その夜、奈理子は新しい決意を胸に眠りについた。彼女は、自分が水都の平和を守るためにもっと強くなり、皆の期待に応えることを心に誓った。

次の日、学校はいつものように始まった。奈理子はいつも以上に元気に登校し、友達と一緒に楽しい時間を過ごした。彼女の心には、一花からの励ましと、自分自身の新たな決意がしっかりと根付いていた。

水都女学院の生活はこれからも続く。奈理子は、新しい友達や仲間たちと共に、これからも様々な試練に立ち向かっていくのだろう。その姿は、いつまでも変わらずに美しく、強く輝いているはずだ。

(第133話へつづく)

あとがき