DUGA

ミラクルナイト☆第116話

新年の午後、水都の街は節目の喜びで賑わっていた。特に水都神社は、新しい年を迎えるために集まった多くの人々で溢れかえっている。参道にはずらりと出店が並び、子供たちの笑顔、カップルの甘い囁き、そして色鮮やかな振り袖を身に纏った女性たちが、新年の幸せを分かち合っていた。

その中で、一人の美少女が目を引いていた。奈理子だ。彼女の隣には、年下の彼氏であるライムがいる。大晦日の商店街に満ち溢れた暗い力を浄化したミラクルウームシャインシャワーの消耗は甚大で、ミラクルナイトとしての彼女の力はすべて使い果たされてしまっていた。奈理子が目を覚ましたのは、新年が明けてからの昼前。時すでに遅しと慌てて、ライムと共に約束していた初詣へと急ぐことになったのだった。

存在をひっそりとさせるために深くニット帽を被り、口にはマスクをつけている奈理子だが、彼女の自然な輝きはそう簡単に隠れるものではない。参拝者の誰もが一瞬で彼女の存在に気付いてしまうほどだが、水都の守護神としての重責を担う彼女の初詣を楽しむ姿に、誰もが声を掛けることはなかった。ただ、彼女の手を握るライムの温もりを感じながら、奈理子は激しい戦いと受験勉強の合間に得られた一時の平和に、心から満たされていた。


新年を迎え、水都神社は参拝者で賑わっていた。その中には、奈理子とライムも列に並び、新年の祈りを捧げていた。同じく、寧々と隆も神社の境内にいた。寧々は大晦日の昼、ポインセチア女との戦いを終えた後、町内会主催の「年末の温もりプロジェクト」のカウントダウンイベントで、高齢者や一人暮らしの人たちと共に新年を迎えていた。このイベントを通じて、寧々は小さな行動が大きな変化をもたらすことを実感し、自身の成長を感じて新たな年を迎えていたのだ。

大晦日からのドタバタで寝不足である寧々だが、渋る隆を説得し、寧々は初詣に来ていた。すでに参拝を終えた二人は、人々でごった返す授与所を眺めていた。隆は甘酒をすすりながら凜を探していたが、

「凜さんはいないな」

と少し残念そうにしていた。寧々は凜から授与所にいる巫女は大学生や高校生のアルバイトだと聞いており、

「凜さんは行事で忙しいから中にいるんじゃない」

と拝殿の方を見る。その時、背後から

「ここにいるよ」

という声が聞こえた。振り返ると、巫女衣装に身を包んだ凜が立っていた。

「凜さん!」

と寧々は喜ぶ。凜は

「奈理子もライムと仲良く手を繋いで、その辺に並んでるよ」

と奈理子とライムが参拝の列に並んでいることを教えてくれた。隆は

「俺が家を出たときはまだ寝てたのに、もう男と一緒にここにいるのかよ…」

と悔しそうな表情を浮かべた。寧々は、隆は大好きな姉が姉と彼氏のラブラブな姿を見たくないと感じているのだろうと察した。凜は寧々に

「隆くんが早く姉離れできるように、寧々は頑張らなきゃね」

と耳打ちし、社務所へと戻っていった。

大晦日、元日の神社は多くの行事が行われている。ポインセチア女との戦いのあと、凜は殆ど寝ていないはずだ。寧々は凜の背中を見送りながら、自分も頑張ろうと決意を新たにした。その時、隆が

「御神籤引こうぜ」

と甘酒を差し出してきた。寧々は

「関節キッスだ」

と心でつぶやきながら、甘酒をすすると隆に従って御神籤所へ向かった。


新年の神社は、参拝者で賑わい、その中心で奈理子とライムが順番を待っていた。やがて二人の前に開かれた祈りの時、奈理子は水都の平和、水都女学院への合格、そしてライムとの楽しい日々を願いながら、伝統的な二拝二拍手一拝を捧げた。参拝を終えた後、奈理子はライムに向かって、

「ライムは何をお祈りしたの?」

と尋ねた。ライムは真剣な面持ちで奈理子に向き直り、

「奈理子、本当の戦いはこれからだ」

と重い言葉を口にした。奈理子は戸惑いながらも、ライムが何を意味するのか尋ねた。

「教授や九頭先生が作った薬で生まれた怪人はミラクルナイトの本来の敵じゃない」

ライムと語り、

「ミラクルナイトが戦うべき本当の敵が、近い将来、水都にやって来る」

と告げた。

「本来の敵って何?」

ミラクルナイトは今の敵に敗北する多い。ドリームキャンディとセイクリッドウインドの助けがあって何とか保っている。それに加え、新しい敵が現れるとなるとただ事ではないと奈理子は思った。

「人ではない、魔界からやって来る敵だ」

とライム。魔界から来る未知の敵であることを知った奈理子は、不安に包まれた。しかし、ライムは

「ミラクルナイトの真の使命は、奴らから水都を守ることだ」

と励まし、

「無限の聖なる力が宿っているミラクルナイトなら、奴らに勝てる」

と奈理子を励ました。その言葉に奈理子は少し安堵したが、未知の敵に対する恐れと、今の敵にすら敗北することが多い自分への不安が交錯した。

奈理子はライムに、

「今戦っている敵よりも強いの?」

と尋ねた。

「ミラクルナイトにとっては今の敵よりは戦いやすい相手だと思う。教授と九頭先生が作り出した薬が生み出すバケモノは、奴らより強い」

とライムは告げた。ホッとする奈理子。

しかし、奴ら自体は強くはなくても魔術を使うのだ。勅使河原と奴らが手を組めばミラクルナイトは今よりも苦しい戦いを強いられるかもしれない。奈理子の頭を優しく撫でながら、ライムはそう考えていた。

そんな中、遠く参道の方から悲鳴が聞こえてきた。

「敵?」

奈理子は敵の出現を察知し、ライムの制止を振り切って参道に駆け出した。

「奈理子はまだミラクルウームシャインシャワーの消耗が回復していない。ドリームキャンディに任せろ」

とライムは言ったが、奈理子は

「でも、私は水都の守護神ミラクルナイトだから、行かなきゃ」

と断固として参道に向かっていった。新たなる戦いへと足を踏み出す奈理子の背中を、ライムは心配そうに見守っていた。


新年早々、水都神社の参道は異様な騒ぎに包まれていた。

「正月の主役は蟹でも鯛でもねぇ!この伊勢海老様だ!」

と豪語するイセエビ男が、参拝客の前で大暴れしている。その場に居合わせた奈理子は、信じられない光景に目を見張った。危険を感じたのは、参道脇に積み上げられた出店用プロパンガスの山。一つでも引火すれば、参拝客たちは大惨事に巻き込まれてしまう。

疲労がまだ完全には解消されていないにも関わらず、奈理子は決意の表情でアイマスクを手に取る。すると、参道の一角が水色の光で包まれ始めた。その光の中で奈理子のニット帽、マフラー、コート、セーター、スカートが消え去り、彼女は純白のブラとショーツだけの姿に。この日のために特別に選んだ勝負下着は、ライムとの初詣デートを夢見て選んだものだった。

しかし、そこから奈理子の変身が始まる。頭には白いリボンが現れ、白いブラウスに水色のリボン、水色のグローブとブーツが装着された。そして、愛らしいレースとフリルで飾られた純白のコットンショーツを、白いプリーツスカートが優雅に覆い隠す。ミラクルナイトへの変身を完成させた奈理子は、よろめきながらも立ち上がり、イセエビ男に向かって力強く宣言した。

「市民の初詣を乱す者は、水都の守護神ミラクルナイトが許しません!」

イセエビ男は奈理子を見て、嘲るように言った。

「奈理子か。今日はやけに気合が入ったパンツを穿いているな」

と、彼女のスカートの裾に下品な視線を送った。大晦日と元日の連戦で、既に疲労の色を隠せないミラクルナイト。しかし、水都の平和と安全を守るため、そして自らの誇りを賭けて、イセエビ男との戦いに挑む覚悟を固めたのだった。


「喰らいなさいッ!ミラクルシャインブラスト!」

水都神社の参道に響き渡る戦いの音。奈理子、すなわちミラクルナイトは、水色の光弾ミラクルシャインブラストをイセエビ男に向けて放つ。光が一瞬にしてイセエビ男を包み込むが、次の瞬間、その攻撃が無効であることが明らかになる。

「何だコレは?」

イセエビ男は光弾の直撃を受けても、まるで無傷かのように挑発する。イセエビ男の堅牢な甲殻は、ミラクルナイトの攻撃を易々と跳ね返したのだ。奈理子はその場で息を切らし、昨日からの戦いの疲労と、力の全てを込めた攻撃が無駄に終わったショックで、心身ともに限界に追い込まれていた。

「次はこっちから行くぞ!」

イセエビ男はその巨体に似合わず迅速に動き、攻撃の態勢に入る。奈理子は反射的に

「フェアリーシールド!」

と叫び、掌から青白い防御壁を展開させる。しかし、イセエビ男の鋭い爪は、防御壁を容易く貫き、さらにミラクルナイトのブラウスまで切り裂く。純白のブラが剥き出しになるという、恥辱にまみれた状況に陥った。

水都神社の参道は、元日の初詣で集まった市民で賑わいを見せていたが、その一角で繰り広げられる戦いは、ミラクルナイトにとって絶望的なものだった。奈理子は、疲れ切った体と精神を奮い立たせ、何とか立ち向かうが、イセエビ男の圧倒的な力の前では、勝利の兆しは見えない。大切な日の神聖な場所で、奈理子はこれまでにない試練と直面していた。


ミラクルナイトが絶望的な戦いを強いられているその時、寧々と隆は神社の中のベンチで買ってきたたこ焼きを食べていた。二人のおみくじは共に小吉。

「悪くもなく、特別良くもなく、中途半端だな」

と隆が言う。おみくじには良いことも悪いことも書かれていたが、寧々は恋愛運が「成就する」と書かれているのを見て満足していた。

「小吉でも吉だからいいじゃない」

とニコニコしながら答える寧々。

その時、周りがざわつき始めた。参道の入り口でミラクルナイトがイセエビ男と戦っていると人々が話しているのが聞こえる。

「奈理子さんが?」

と寧々が驚く。昨日、ミラクルウームシャインシャワーで商店街を浄化したミラクルナイトは、力を使い果たして意識を失ってしまったばかり。そのミラクルナイトが正常な状態で戦えるはずがない。ミラクルナイトを助けに行こうと立ち上がる寧々。隆は

「寧々も昨日からろくに寝てないだろ」

と心配する。確かに寧々は睡眠不足だが、昨日の戦いの後、ずっと巫女として働き続けている凜よりはましだろう。

「私が行かなきゃ、みんなを守れない」

と隆に言うと、寧々は人気のない杜の方へと走り出し、ドリームキャンディに変身するために向かった。


新年早々、イセエビ男がミラクルナイトを軽々と抱え上げ、参道に響き渡る声で宣言した。

「お前ら、運がいいぞ。水都の絶対アイドル、野宮奈理子の御開帳だー!」

周囲からは歓声が上がった。アイマスクを外され、奈理子の素顔をさらされたミラクルナイトは意識が朦朧としていた。奈理子がデートのために選んだ特別な下着は、なんとか左足首にかかっているだけだった。多くの市民の無慈悲なカメラが一斉に奈理子の秘密の箇所に向けられる。

そこに、ドリームキャンディが到着する。

「また奈理子さんの撮影会か…」

と内心呆れつつも、

「イセエビ男、奈理子さんを放して!みんな、撮影はダメ!」

とイセエビ男と奈理子を撮影しようとする市民たちに叫ぶ。しかし、彼女の声は

「奈理子は喜んでるぞ!」

「子供は黙ってろ!」

というブーイングによってかき消されてしまった。

「確かに、奈理子さんは撮影されるのが好きかもしれないけど…」

ドリームキャンディはどう対処すべきか迷った。

「どうやら市民の支持は俺の方にあるみたいだな」

とイセエビ男は得意げに言う。

「奈理子さん、撮影されて気持ちいいかもしれないけど、イセエビ男の言いなりにはならないで!」

ドリームキャンディはミラクルナイトに励ましを送る。

「キャンディ…」

力なく呟くミラクルナイトは、イセエビ男の支配下にあるわけではなく、単に力尽きていただけだった。

その時、緑色の光と共にセイクリッドウインドが現れ、

「元日に水都神社を乱すなんて、あんたそれでも水都市民?!」

とイセエビ男に怒りをぶつける。イセエビ男は

「水都で一番正月を盛り上げる場所はここだろ。俺は正月を彩る男、イセエビ男だ!」

と反論。

「意味わからない!」

セイクリッドウインドは叫ぶ。

水都神社の参道で、新たな戦いが始まろうとしていた。


水都神社の参道は戦いの場と化していた。イセエビ男はその十本の腕足で威嚇するかのように立ち、そのうち二本でミラクルナイトを空中に持ち上げ、残る腕で彼女を絶え間なく責め立てていた。ミラクルナイト、すなわち奈理子は、イセエビ男の連続攻撃により、何度も多くのカメラの前で意識を失っていた

ドリームキャンディは焦りを隠せず、

「奈理子さんが盾にされてしまっては、私たちの攻撃ができない」

と悩んでいた。その時、セイクリッドウインドが決断を下す。

「吹き飛ばすわ!キャンディ、奈理子を捕まえて!」

と宣言し、そのガストファングを振るって、巨大な竜巻を巻き起こした。その竜巻はイセエビ男とミラクルナイトを飲み込むが、イセエビ男は

「こんなもので俺を飛ばせると思うなよ!」と叫びながら、ミラクルナイトを放り出し、自らの十本の腕足を地に突き刺し、竜巻に立ち向かった。

セイクリッドウインドはドリームキャンディに向かって、

「さあ、キャンディ、奈理子を!」

と指示を出し、ドリームキャンディはキャンディチェーンを駆使して竜巻に舞い上げられるミラクルナイトを安全に引き寄せた。

「ありがとう、キャンディ…」

とミラクルナイトは謝辞を述べたが、彼女の戦闘力は既に底を尽きていた。

ドリームキャンディはミラクルナイトを参道の脇に安置し、

「奈理子さんはパンツを穿いて少し休んでてください」

と優しく言った。一方、セイクリッドウインドとドリームキャンディは、イセエビ男の堅牢な甲殻に対抗する方法を模索していた。彼の甲殻は、セイクリッドウインドの風の刃やドリームキャンディのキャンディチェーンの攻撃をものともしなかった。二人のヒロインは、どのようにしてこの難敵と戦えばよいのか、厳しい戦いを前にして立ち尽くしていた。


セイクリッドウインドが甲殻の敵を前にして息を切らし、ひざまずいた。

「あの堅い甲殻は、私たちだけでは厳しいね」

と彼女は呟いた。ドリームキャンディは心配そうにミラクルナイトの方を見つめ、

「甲殻類は奈理子さんがカニ男を倒したことがあるけど…」

と言葉を濁した。その瞬間、イセエビ男の強靭な尾が空を切り裂くように振られ、ドリームキャンディを直撃した。

「あ~!」

彼女の叫び声が参道に響き渡り、出店のお面屋に激突する。セイクリッドウインドが

「キャンディ!」

と絶叫したが、ドリームキャンディは立ち上がることができず、力尽きてしまった。

イセエビ男は嘲笑うように言った。

「戦い中によそ見しているからだ。あとはナメコ姫一人だけだな」

とセイクリッドウインドを睨みつける。その圧倒的な威圧感に、セイクリッドウインドは思わず後退った。

一方、ライムは力尽きたミラクルナイトのもとへ急いで駆け寄り、

「奈理子!」

と彼女を抱き起こした。しかし、ミラクルナイトは頭を振り、

「キャンディもやられた…もうダメ…」

と絶望的に呟いた。ライムは彼女の頬を強く叩き、

「しっかりしろ!」

と叱咤激励した。

「さっき、奈理子には無限の聖なる力が宿っていると言っただろ。気をしっかり持って、力を呼び覚ませ」

と力強く言った。ミラクルナイトは戸惑いつつも、ライムの言葉に耳を傾けた。

「子宮から湧き出る力を感じ取れ。呼吸を整えて子宮を意識しながら、集中して」

とアドバイスされると、彼女は言われた通りに深く呼吸をし、内なる力を呼び覚ますことに集中した。すると、微かにだが確かに温かな力が湧き上がってくるのを感じ、ミラクルナイトの股間が水色に輝き始めた。

その時、イセエビ男に捕まっていたセイクリッドウインドが力なく投げ捨てられた。

「くッ!」

と彼女は悔しさをにじませるが、昨日のポインセチア女との戦いの疲れがまだ残っており、もはや立ち上がることさえ困難だった。

「もう終わりか?ナメコ姫」

とイセエビ男は勝ち誇り、セイクリッドウインドを蔑む。ドリームキャンディに続いて、セイクリッドウインドもまた倒れ、戦況は絶望的に思えた。

しかし、その時、ミラクルナイトが不思議な力を帯びて立ち上がった。

「かなりきてる…。これが無限の聖なる力?とってもいい感じ」

と彼女は力強く宣言し、新たな力に目覚めた姿を見せるのだった。


水都神社の参道入口にて、水色に輝くミラクルナイトの姿が、イセエビ男、セイクリッドウインド、そして多くの参拝者たちの目に映った瞬間、驚きの声があちこちから上がった。

「私はこの街の守護神、ミラクルナイト。絶対に負けない!」

と宣言する彼女の声は、崩れ落ちたお面屋に埋もれ、意識を失っているドリームキャンディへと向けられた。

「キャンディ、一緒にイセエビ男を倒そう!」

ミラクルナイトはドリームキャンディを優しく抱きしめた。その触れ合う瞬間、心のリミッターが解き放たれることが互いに理解できた。

「キャンディ、も解き放ってあげる。世界を変えてあげる」

ミラクルナイトの輝きがドリームキャンディを優しく包み込む。

目を開いたドリームキャンディは、新たに湧き上がる力に驚きつつ、

「この力は…?」

と呟いた。ミラクルナイトは堂々と宣言した。

「イセエビ男、神域を犯す者は私たちが許しません!」

イセエビ男は嘲笑う。

「死に損ないのお前たちに何ができる!」

と言い放ち、巨大な尾を振り回してミラクルナイトに襲いかかる。

「ミラクルウイング!」

白い翼を広げ、空に舞い上がるミラクルナイト。一方、ドリームキャンディは

「ロリポップハンマー!」

と叫び、キャンディチェーンをロリポップハンマーに変形させる。迫りくるイセエビ男の尾を躱した後、彼女は

「ロリポップ三段突き!」

とロリポップハンマーを連続で突き出し、イセエビ男を圧倒する。

しかし、イセエビ男は倒れず、耐え抜いた。ミラクルナイトはすかさず

「ミラクルヒップストライク!」

と叫び、イセエビ男の顔面に強烈なヒップアタックを放つが、イセエビ男は足首を掴んでミラクルナイトを投げ飛ばす。

「奈理子!」

とセイクリッドウインドの叫ぶ声が響き、チョコバナナ屋に激突しそうになったミラクルナイトを、セイクリッドウインドが身を挺して受け止めた。

「ありがとう、ナメコ姫」

とミラクルナイトは感謝の言葉を返す。ドリームキャンディはロリポップハンマーを振り回してイセエビ男を攻め続けるが、彼の八本の腕に翻弄されてしまう。イセエビ男の強さは圧倒的だったが、熱いバトルが皆の心を滾らせていた。何度でも挑戦すれば、きっと勝機は見えてくるはずだ。その信念を胸に、ミラクルナイトは再びミラクルウイングを広げ、空高く飛び上がったのだった。


セイクリッドウインドが再び戦いの火へと飛び込んでいった。

「私も見ているだけではいけない。水都神社は私が守るの!」

と宣言し、手にしたガストファングを握りしめる。スカートをはためかせ空を舞うミラクルナイトが繰り出す蹴り、地上でドリームキャンディが振るうロリポップハンマー、そしてセイクリッドウインドが叩きつけるガストファング。三人の連携攻撃に、八本の腕と強靭な甲殻を誇るイセエビ男の苛立ちが顕著になる。

「鬱陶しい奴らだ。さぁ、とっておきの技を見せてやろう。喰らえ!龍蝦轟波!!」

イセエビ男がその強靭な尾を力強く地面に叩きつけた瞬間、彼の周囲からは海波や泡を象徴する光のエフェクトが溢れ出し、伝説の龍が海を割るかの如き強力な波動が発せられる。その波動は、広がりながら三人のヒロインを直撃し、さらには衝撃と共に強烈な圧力で参道脇の出店を押し潰していく。

空中にいたミラクルナイトは地面に叩きつけられ、ドリームキャンディとセイクリッドウインドもそれぞれイカ焼き屋と樹木に激突した。地面に這いつくばる三人のヒロインたち。しかし、ミラクルナイトは諦めることなく、

「まだ終わりじゃないわ!私たちは絶対に負けない!」

と力強く立ち上がる。戦闘によってボロボロになったコスチュームを身に纏いながらも、満身創痍のミラクルナイトは、まだ諦めていなかった。その不屈の勇気が、参道に集まった人々に新たな希望の光を灯す。


龍蝦轟波の衝撃によって、参道脇のイカ焼き屋に保管されていたプロパンガスが暴発、一瞬にして火の手が上がり始めた。参道は一瞬にして騒然となる。イカ焼きのタレにまみれながら倒れていたドリームキャンディのもとに、炎が迫りつつあったその瞬間、

「危ない!」

と隆が彼女を素早く抱き上げて安全な場所へと救出した。

目を覚ましたドリームキャンディは、隆の

「早くキャンディシャワーで火を消せ!」

という叱咤に

「はい!」

と答え、立ち上がり炎に向かってキャンディシャワーを放つ。その虹色の光が炎を包み込み、やがて鎮火させた。一触即発の大惨事を阻止することに成功する。

傷だらけのセイクリッドウインドも

「参道をめちゃくちゃにするなんて許せない!」

と力を振り絞って立ち上がった。それに対し、イセエビ男は嘲笑うように

「お前たちが何人掛かってこようと俺は倒せんぞ!」

と挑発する。

力を振り絞ったドリームキャンディはロリポップハンマーを手にイセエビ男へと攻め掛かり、セイクリッドウインドもガストファングで攻撃を加える。しかし、イセエビ男の長い触覚と太い尾は二人の攻撃を容易く弾き飛ばし、瞬く間にドリームキャンディとセイクリッドウインドを地に伏せさせた。

ドリームキャンディとセイクリッドウインドを一蹴した後、イセエビ男が周囲を見渡し、ミラクルナイトの姿を探す。

「奈理子はどこに行った?」

と言うイセエビ男の問いかけに、頭上から

「私はここよ!」

とミラクルナイトの声が響く。その右足が水色に輝き、

「ミラクルキ〜ック!」

と叫びながらイセエビ男の頭部に蹴りを炸裂させる。一瞬、全てが止まったかのように思われたが、実際に弾き飛ばされたのは、イセエビ男の堅い甲殻に阻まれたミラクルナイトの方だった。


ミラクルキックがイセエビ男によって跳ね返され、ミラクルナイトは力なく地に倒れた。その瞬間、彼女の純白のショーツと美しい太腿が周囲の誰もが見惚れるほどの輝きを放つ。だが、ミラクルナイトは諦めない。

「私は負けない…負けるわけにはいかない!」

と力強く立ち上がる。イセエビ男はその美しさに目を奪われながらも、

「色といい、艶といい、文句のつけようがない太腿だ。奈理子、お前は最高だ!」

と賞賛する。しかし、ミラクルナイトは

「ふざけないで!」

と叫び、再びイセエビ男に立ち向かう。その勇気に、参拝者たちは熱い声援を送るが、イセエビ男の長い触覚は彼女の攻撃を寄せ付けず、八本の腕は容易く彼女を捕らえて弄ぶ。

「私たち三人が死力を尽くしても太刀打ちできないなんて…」

とセイクリッドウインドは力なく呟く。しかし、

「いや、ミラクルナイトは負けない」

と大谷の声がした。大谷はセイクリッドウインドの肩を掴む。

「この状況でどうすればいいの!」

というセイクリッドウインドの苛立ちに対し、大谷は

「ミラクルナイトは無限の力を秘めている。だけど、奈理子はまだその力を充分に発揮できていない。だから、凜と寧々が奈理子を助けるんだ」

と静かに語る。セイクリッドウインドは力尽きかけ、ドリームキャンキャンディは倒れたままだ。絶望しかけるセイクリッドウインドに大谷は、

「凜、伊勢海老の捌き方を教える」

と突然言い出す。

「こんな時に何を言っているの?!」

とセイクリッドウインドが怒鳴るが、大谷は

「出刃包丁を伊勢海老の頭と腹の隙間に入れる…」

と冷静に説明を続け、

「これができるのはガストファングを持っている凜しかいない」

と結論付ける。

イセエビ男の堅い頭部と背中の甲殻の間に隙間があることを知り、セイクリッドウインドはイセエビ男がミラクルナイトを嬲る隙にガストファングを差し込む計画を思いつく。力尽きかけていたが、その一筋の希望にかけて立ち上がる。セイクリッドウインドの目に再び闘志が宿る瞬間だった。


イセエビ男によるミラクルナイトの苦境は深まるばかりだった。激しい戦いの中で、彼女のブラウスもスカートも原型を留めておらず、ほぼ下着姿となっていたたミラクルナイトの撮影会が再び始まっていた。ミラクルナイトの美しい姿に

「奈理子、可愛いぞ―!」

と歓声が飛んでいた。

「イセエビ男さん、こっちにも奈理子を向けて下さい!」

と要求する声に

「おうよ!」

と気前よく応えるイセエビ男。

しかし突然、

「ぐわっ!」

と苦痛の声を上げる。その声の主はセイクリッドウインドだった。彼女はイセエビ男の強靭な頭部と背部の間に深々とガストファングを突き刺していた。

「あんた…調子に乗りすぎよ」

とセイクリッドウインドが言うと、

「うわーっ!」

イセエビ男は苦しみながら応える。セイクリッドウインドは容赦なく差し込んだガストファングをグリグリと動かし、イセエビ男の抵抗を振り払う。

「おのれ…ナメコ姫は引っ込んでろ!」

と巨大な尾を振るい、セイクリッドウインドに強烈な一撃を叩きつけ、セイクリッドウインドウを吹き飛ばした。しかし、その隙をついてミラクルナイトが行動を起こす。彼女はイセエビ男の腕を振り解き、巨大な頭部を掴み、両脚で挟み込む。彼女の濡れたショーツのクロッチがイセエビ男の顔に密着する。そして、勢いをつけてバク宙をするかのように回転を始める。その動きに引き寄せられるように、イセエビ男の巨体も空中に持ち上げられ、共に回転する。

「ミラクルハピネスホイップ!」

彼女の叫びと共に、イセエビ男の頭部は参道の敷石に真っ逆さまに叩きつけられる。その頑丈な頭部に亀裂が入る。そして、隆に支えられたドリームキャンディが叫び、色とりどりの光が放たれる。

「キャンディスターバースト!」

水都神社の参道に満ち溢れる光の中で、イセエビ男は

「奈理子のお汁は良い味、良い香り…」

と叫びながら、消滅していった。


遂にイセエビ男を打ち倒したミラクルナイト、ドリームキャンディ、そしてセイクリッドウインド。力尽き倒れたセイクリッドウインドと隆に支えられ、疲労困憊のドリームキャンディ。純白のブラとショーツに身を包んだミラクルナイトは、セイクリッドウインドに寄り添いながら、

「ナメコ姫がいなければ、勝てなかったわ。ありがとう」

と感謝の意を述べ、彼女を抱きしめた。水色の光が包み込む中、セイクリッドウインドの意識が徐々に戻ってくる。

「イセエビ男は?」

とセイクリッドウインドが尋ねると、ミラクルナイトは微笑みながら答える。

「ナメコ姫のおかげで、倒すことができたわ」

と告げる。

昔、ミラクルナイトの敵として戦ったナメコ姫。今や、彼女は頼もしい仲間となっている。ドリームキャンディも隆に支えられ、ミラクルナイトたちの側に加わる。

「隆、かっこようかったよ」

とミラクルナイトが姉の顔で隆を褒めると、隆は笑顔で答える。

「姉ちゃん、早く変身を解けよ」

と隆が下着姿の姉に言うと、ドリームキャンディが微笑みながら、

「奈理子さんはその姿が似合っていますよ」

と励ます。セイクリッドウインドも笑いながら、

「いつもの見慣れたミラクルナイト、奈理子の姿だね」

と続ける。恥じらいながらも、ミラクルナイトは変身を解き、ニット帽とマフラー、そしてコート姿の奈理子に戻った。

戦いを終えた三人のヒロインを見守っていた浅葱の袴姿の大谷が声を掛ける。

「凜、仕事に戻ろう」

とセイクリッドウインドに告げる。セイクリッドウインドの凜は水都神社の巫女であり、巫女としての責務を果たさなければならない。

「もっと勝利の余韻に浸りたいけれど、仕方ないわね」

と言いながらも、緑色の光とともに去っていく。

「隆、私たちも行こう」

とドリームキャンディが隆を連れ去る黄色い光に乗って去っていく。

奈理子は隆とライムとの初詣デートの途中であり、ライムが彼女に声を掛ける。

「奈理子」

と呼ばれ、彼女はライムと目を合わせる。

「ごめんね、パンツを汚しちゃった

と謝る奈理子に対し、ライムはクールに応える。

「汚れた奈理子のパンツも、嫌いじゃない」

と返す。

水都の守護神であるミラクルナイトは、市民の誇りであった。元日の水都神社参道には、

「奈理今日も可愛かったぞー!」

「奈理子、今年も水都を守ってくれ!」

と、ミラクルナイトに変身する美少女奈理子を讃える声が絶え間なく響き渡っていた。

第117話へつづく)

あとがき