DUGA

ミラクルナイト☆第121話

水都中学三年生の野宮奈理子は、二月の某日、教室の窓から外をぼんやりと眺めていた。彼女の志望校である水都女学院の入学試験は終わり、今は合格発表を心待ちにしている状態だった。勉強への集中力は既になく、ただ時間が過ぎるのを待っているだけ。しかし、まだ公立を志望しているクラスメイトたちにとっては、これからが受験の本番。もし水都女学院に落ちたら、奈理子にも再受験の可能性が待ち受けている。すでに水都女学院の受験で心身共に疲弊している奈理子にとって、それは思いやりたくない未来だった。

そんな折、校内放送で水都公園にウズムシ男が出現したとのアナウンスが流れた。一瞬の静寂の後、クラス全員の視線が奈理子に集まる。

奈理子、すなわち水都の守護神ミラクルナイトにとって、ウズムシ男は厄介な天敵だ。彼の攻撃を受けると分裂するという特性に対する有効な技がミラクルナイトにはない。リボンストライクで消滅されることはできるが、リボンストライクは体力の消耗が大きい。わらわらと湧いて出るウズムシ男に対してはあまり使いたくない技だった。さらに、ウズムシ男は奈理子を困らせることを楽しみとしていた。再び恥ずかしい展開に直面するかと思うと、奈理子の心は重くなった。しかし、彼女は水都の平和を守る使命を持つミラクルナイト。避けて通れない戦いへと、自らを奮い立たせる。

「野宮、頑張ってくれ」

「奈理子、気をつけてね」

と、クラスメイトたちからは励ましの言葉が飛ぶ。

「行ってきてもいいですか?」

と、奈理子が先生に許可を求めると、

「もちろんだ。早退扱いにはしないから、しっかり悪者をやっつけてこいよ」

と先生は応じた。

奈理子は、皆がミラクルナイトとしての彼女の苦戦を知りつつも、変わらぬ支援を送る姿に心を動かされながらも、教室を後にした。ドリームキャンディは小学生であり、今は授業中。彼女の支援は期待できない。ではセイクリッドウインドはどうだろう?仕事中ならば助けに来れないかもしれない。不安を抱えつつも、奈理子は校門を出て、アイマスクを掲げ、ミラクルナイトに変身した。これから始まる戦いへの不安を胸に、彼女は再び街の平和を守るために立ち上がったのだった。


夕暮れの水都公園で、一場の悲劇が繰り広げられた。市民の目の前で、三人のウズムシ男に挑んだミラクルナイトは敗れ、意識を失い連れ去られてしまう。その後、夕方に一件の奇跡がオフィスビルのゴミ置き場で起こった。気を失い、コスチュームが乱れたミラクルナイトが、そこに横たわっていたのだ。

この光景を偶然目にしたのは、仕事帰りの若い会社員だった。彼は、ミラクルナイトの美しい姿に思わず見惚れ、彼女を助けることを一瞬忘れてしまう。彼の心の奥底では、この美少女ヒロイン、奈理子の素顔を見たいという願望がくすぶっていた。そして、彼はついにミラクルナイトのアイマスクを取る勇気を出した。そこに現れたのは、生気を失った美少女奈理子の素顔。彼女の無垢な美しさに、彼はしばしの間、言葉を失った。

その瞬間、彼の背後から突然、女性の声が聞こえてきた。

「貴方も、奈理子と遊んでみたくない?」

声の主は、不意に現れた若い女性だった。彼女は、彼が持つ奈理子への興味を見透かしたように、

「いい薬があるのよ。ちょっと値は張るけど、買わない?」

と謎の薬を提案する。違法薬物ではないかと疑う男性に対し、彼女は

「警察に捕まるような薬じゃないわ。人を超人にする薬よ」

と軽く笑った。

不穏な空気を感じ取った彼は、直感的に危険を察し、逃げようとするが、女性は止めず、むしろ彼の好奇心を更に煽る。

「奈理子って可愛いよね。奈理子を好きにできる薬なのに、買わないと一生後悔するよ」

と言い、ミラクルナイトを抱き起し、彼女の膝を軽く持ち上げた。スカート中には、パンツを穿いていなかった。水都で最も愛される美少女、奈理子の可憐な姿に、彼は心を奪われてしまった。彼の中の抵抗は、奈理子の無防備な美しさに触れた瞬間、融け去ってしまう。そして、女性の言葉に抗うことなく、彼は金を工面し、その薬を手に入れることを決意した。

女性は彼に

「アメーバの薬よ。自由自在に体の形を変えられる。奈理子はヌルヌルが好きだから、喜ぶと思うよ」

と告げた。彼女の名前は御祖紗理奈。彼女が持っているのは蠍の薬であり、彼女は

「仲良くしようね」

と楽しげに彼に言った。

彼はその場で薬を手に入れ、御祖紗理奈との不思議なつながりを持つことになる。この出会いは、彼の運命を大きく変えてしまうことになるが、その時点ではまだ彼にはその全貌が見えていなかった。奈理子に対する愛情が、彼を危険な道へと導いていくのだ。

一方で、奈理子は意識を取り戻し、自分が何者かに助けられたことを知る。しかし、彼女を救った人物の意図が純粋なものでない可能性に気付いていない。水都の守護神としての彼女の戦いは、まだ終わっていない。新たな試練が、すでにその影を落とし始めていた。


昼休み、水都中学校の屋上で、野宮奈理子はライムに慰められていた。昨日、水都公園でウズムシ男との遭遇があった。ミラクルナイトとしての彼女は、敵に一撃を加えるため空から噴水広場に降り立った。しかし、待ち構えていたウズムシ男たちは見当たらず、不意を突かれる形で襲撃された。あれよあれよという間に、三体のウズムシ男に翻弄され、意識を失った彼女が目を覚ましたのは、オフィス街の片隅だった。

「小学生のキャンディはどんどん強くなっているのに…」

奈理子は自分の無力さに涙を浮かべた。

「奈理子の方が人気があるじゃないか。」

ライムは優しく彼女の頭を撫でながら慰めた。

「でも、私は水都の守護神なのよ。もっと強くならなきゃ。」

奈理子は力なく訴えた。ライムはミラクルナイトが敗れるたびに何度もこのような場面を見てきた。

「ウズムシ男に打撃が効かない。ただミラクルナイトと相性が悪いだけだ。ドリームキャンディが負けた相手に奈理子が勝ったこともあるだろ。」

キャンディチェーンやガストファングなどの武器を持つドリームキャンディとセイクリッドウインドと違い、ミラクルナイトは武器を持っていない。戦闘スタイルが肉弾戦主体になるのは仕方がないことだった。

「でも、私、ウズムシ男には絶対に勝ちたいの。ドリームキャンディやセイクリッドウインドみたいに、さっとウズムシ男をやっつけたい!」

奈理子の目には決意が宿る。ライムは彼女の言葉に思案する。

「ドリームキャンディのキャンディシャワーみたいな技がミラクルナイトにもあればねぇ…」

彼はぽつりと呟いた。キャンディシャワーはドリームキャンディが放つ虹色の光線で、瞬時に敵を包み込む技だった。リボンストライクに比べると威力は劣るものの、その速攻性はウズムシ男をも瞬く間に仕留めてきた。

「キャンディシャワーみたいな技かぁ…」

奈理子は夢想にふける。その時、ライムがちょっとした悪戯心から奈理子のスカートの中を覗き、

「今日はか」

と小声で呟いた。その行動にも関わらず、二人の間には変わらぬ愛情が流れていた。


学業が終わり、家路を急いだ奈理子は、我が家に到着するやいなや弟の隆の部屋に突撃した。

「隆!」

彼女の声が、部屋の静寂を破った。

「何だよ、姉ちゃん」

驚く隆の問いかけに、

「ドリームキャンディに会わせて!」

と奈理子は切望した。何故か隆は、小学生戦士ドリームキャンディと親交があったのだ。

「何でだよ?」

と戸惑う隆に、奈理子は

「キャンディシャワーを伝授して欲しいの!今直ぐ」

と真剣そのもので返答した。隆は姉の熱意に圧倒されつつ、ウズムシ男に敗れ涙にくれた昨夜の奈理子が、ここまで前向きになれたことに安堵した。

「ドリームキャンディに連絡するから、姉ちゃんは商店街の広場にでも行っとけよ」

と隆は提案した。

商店街の広場で待機するミラクルナイト。やがて、そこに小学生戦士ドリームキャンディが姿を現した。

「奈理子さん、私の特訓は厳しいですよ」

とドリームキャンディは不敵に笑う。

「望むところよ!」

とミラクルナイトは意気込みを見せたが、ドリームキャンディから

「泣いても手加減しませんからね」

と冷たい笑みを浮かべられると、内心では怯えてしまう。ドリームキャンディの力の前に何度も屈した過去があるからだ。

「奈理子ちゃん、頑張れー!」

「中学生の意地を見せてやれ!」

「小学生に負けるなー!」

と、商店街の住民が奈理子に声援を送る。その声援を受けて、

「これがキャンディシャワーです!」

とドリームキャンディが虹色の光を奈理子に放つ。光の一撃を受け、

「あぁぁ!」

と悲鳴を上げるミラクルナイト。その衝撃で膝から崩れ落ち、気を失ってしまった。

ドリームキャンディは容赦なくミラクルナイトを立たせ、

「奈理子さん、もう終わり?寝るには早すぎますよ」

と、彼女に強烈な往復ビンタを見舞う。その一撃で意識を取り戻すミラクルナイト。こうして、ミラクルナイトの厳しい特訓の幕が開けたのだった。


ドリームキャンディの過酷な特訓の下、ミラクルナイトは何度も意識を失う。それでも容赦なく、ドリームキャンディは彼女の頬にビンタを浴びせ、叩き起こす。戦いの同志でありながら、ドリームキャンディはミラクルナイトの脆さを熟知していた。それにしても、ミラクルナイトの弱さは尋常ではない。ドリームキャンディの目は、ミラクルナイトのコスチュームへと向けられた。その可憐な衣装は、奈理子の美少女らしさを際立たせているが、コスチュームの力で守られているという安心感が彼女の戦う意志を弱めているようにドリームキャンディは感じた。

突然、ドリームキャンディはミラクルナイトの衣装を脱がせ始めた。見守る商店街の住民は驚愕し、口をあんぐりと開けた。

「止めて、キャンディ!」

ミラクルナイトは抵抗するが、その努力もむなしく、あっという間に純白の下着姿にされてしまった。座り込み、ブラパンツを隠そうとするミラクルナイトの姿。

「奈理子さんにはその姿がお似合いです」

とドリームキャンディは冷たく言い放った。

目に涙を浮かべるミラクルナイト。

「酷い…」

「泣いても無駄です。年下の私にビンタされて、服まで脱がされて悔しくないんですか?」

と、ドリームキャンディは挑発する。ミラクルナイトの目には怒りの炎が宿る。

「こんなことされて、悔しくないわけがないでしょ!」

立ち上がり、ドリームキャンディを睨みつけるミラクルナイトに、ドリームキャンディはニヤリと笑った。

「もう、コスチュームは奈理子さんを守ってくれません。失神しないでちゃんと見てください。キャンディシャワー!」

と叫びながら、ドリームキャンディは虹色の光線を放つ。その光に包まれながらも、ミラクルナイトは意識を保とうと必死に耐えた。


その日の夕暮れ、疲れ切って制服姿のままベッドに倒れ込むと、隆が心配そうに近づいてきた。「大丈夫かよ、姉ちゃん」

と彼は声をかける。姉が特訓でぼろぼろになった姿を見て、隆はドリームキャンディである寧々に対して怒りを覚えていた。

「アイツ、やり過ぎだ。きつく言っといてやるからな」

と隆が奈理子を慰めたが、奈理子はうつ伏せのまま静かに答えた。

「いいの。特訓に付き合ってくれたキャンディには感謝してるの。隆、キャンディを連れてきてくれてありがとう」。

「キャンディシャワーは使えるようになったのか?」

と隆が問いかけると、奈理子は黙って考え込んだ。キャンディシャワーはドリームキャンディ独自の技だ。しかし、奈理子はあの過酷な特訓から何かを得た気がしていた。

「キャンディの強みは甘さ。私の強みって何だと思う?」

と、隆に逆質問する奈理子。ドリームキャンディの甘美な光線は、ミラクルナイトには真似できない。

「ミラクルナイトは水都の守護神だろ。水都は水の都だから、姉ちゃんは水を操ることはできないのか?」

と隆が提案する。その一言が、奈理子の中で新たな可能性を灯した。

「水ねぇ…」

と奈理子は呟いた。水都神社の神泉を思い返し、そこで得た力を思い出す。その力でイソギンチャク男を倒したのだ。水という要素が、彼女の能力と深く関わっていることを再認識する。そう、水属性のキャンディシャワーのような技を創り出せるかもしれない。

その思いを抱きながら、奈理子はゆっくりと眠りに落ちた。隆は姉の決意を感じ取り、彼女が新たな力を手に入れることを願いながら部屋を後にした。夜が深まる中、水都の未来を守るミラクルナイトの新たな挑戦が始まろうとしていた。


放課後の水都公園、冷たい空気を切り裂きながらスワンボートを漕ぐ奈理子とライム。冬の日差しの下、人目を忍ぶように池の中央へと漕ぎ進めた彼らにとって、このボートは二人だけの秘密の避難所のようなものだった。ここならば、常に市民の注目を浴びる奈理子も自由にライムに甘えることができる。ペダルを踏む足の動きでたびたび捲れ上がるスカートからのぞく白い太股が、冬の光を浴びて眩しく輝いていた。

「水の力か…奈理子なら使いこなせるかもしれないな」

と、ライムは彼女の髪を優しく撫でながらつぶやいた。奈理子はその言葉に顔を上げ、

「でも、やり方がわからないの。キャンディシャワーのようなイメージなんだけど」

と目を閉じてライムの方を向いた。彼女のその仕草は明らかにキスをねだっているものだった。

ライムは苦笑いを浮かべながらも奈理子に顔を近づけたが、その瞬間、不穏な動きを水面上で察知する。目を閉じてキスを待つ奈理子に気づかれないように水面を凝視し、

「何だ?」

と小さく呟いた。青緑色の物体がスワンボートに向かって速く進んできており、それがボートにぶつかると大きな揺れが生じた。

「どうしたの?」

と奈理子が驚いて目を開けると、目の前にはスライム状の怪人が現れていた。

「え?ライムの知り合い?」

とライムを疑う奈理子に対し、ライムは首を振って

「いや、こんな奴知らない」

と答えた。

「何なのよ!」

ライムとのデートを邪魔された奈理子が突然現れた怪人に向かって怒鳴る。

怪人は

「俺はアメーバ男だ。探したぞ、奈理子」

と名乗り、伸びる腕を彼女に向けた。

ライムに縋る奈理子が

「ひっ!ライム助けて」

と叫ぶものの、ライムは冷静に

「怪人退治はミラクルナイトの仕事だろ」

と言い放った。

「いや、怖い!」

と怯える奈理子だが、彼女はやがて決意を固めるようにアイマスクを手に取り、ミラクルナイトに変身した。アメーバ男は

「変身するまで待ってやる。生身の奈理子じゃすぐ壊れそうだからな」

と余裕の表情を見せる。

「ボートがひっくり返る。早く変身してアメーバ男をボートから引き離せ」

とライムが急かすと、ミラクルナイトに変身した奈理子は、その新たな力を試すべく準備を整えた。


水都公園の池上で、スワンボートが大きく揺れる中、ミラクルナイトはアメーバ男にキッと睨みつけた。

「水都の平和を乱す者はミラクルナイトが許しません!」

とポーズを決めるが、その瞬間に不安定なボートがさらに揺れた。ライムと共に、危うく池へ落ちそうになる。それを見たライムが陸を指し

「あっちへ飛んで行け!」

と叫ぶ。アメーバ男が奈理子を狙っているため、ミラクルナイトが飛び去れば、アメーバ男も追いかけてボートから離れるだろうと踏んだのだ。

ミラクルナイトがミラクルウイングを羽ばたかせて空に舞い上がると、アメーバ男も水面上を素早く移動しながら彼女を追いかけた。アメーバ男が空を飛べないことを確認したミラクルナイトは安堵し、上空から攻撃するチャンスと見定めた。

「えい!」

と掌から水色の光弾を陸上のアメーバ男に向かって放った。光弾は直撃し、アメーバ男の体は三つに分かれて空中に吹き飛んだ。

「やった!」

と勝利を確信するミラクルナイト。

しかし、分裂したアメーバ男の破片がモゾモゾと動き始めるのを見て、ミラクルナイトの顔色は一変する。

「まさか…」

と呟くと、アメーバ男の破片がそれぞれ再生し始めた。三体のアメーバ男が、再びミラクルナイトを取り囲む。

「奈理子は受験生のくせにアメーバが分裂することも知らないのか?」

とアメーバ男の一体が皮肉っぽく言い放つ。正面のアメーバ男がミラクルナイトに向かって舐めるような視線を浴びせ、

「たっぷりと可愛がってやるぜ、奈理子」

と言い放った。

恐怖と期待が入り混じり、ミラクルナイト、奈理子の心臓は激しく鼓動し、過去の敗北の記憶が甦る中で、彼女の子宮がキュンと反応してしまう。未だかつてないほどの危機に直面し、奈理子は次の行動を決断する必要に迫られていた。


ミラクルナイトは内心で自身に言い聞かせた。

「期待なんかしていない!」

彼女は自らの弱さに立ち向かう決意を固める。アメーバ男は空を飛べないという事実を踏まえ、彼女はミラクルウイングを広げて空高く逃げようとした。その瞬間、正面のアメーバ男が何かを取り出し、挑発的に高く掲げた。

「奈理子、これがどうなってもいいのか?」

声に驚き、ミラクルナイトは目を見張る。手には、先日ウズムシ男との戦いで奪われた彼女の水色のパンツが握られていた。

「二日前のものだからな、強烈な臭いがするぞ」

とアメーバ男が嘲笑する。

「返して!」

と叫びながら、ミラクルナイトはアメーバ男に向かって飛び掛かるが、敏速に右側のアメーバ男へとパンツが投げ渡される。追いかけるミラクルナイトの前で、今度は左のアメーバ男へとパンツが転送され、彼女は三人のアメーバ男に翻弄される。焦りつつも、ミラクルナイトは決断する。

「こうなったら…」

攻撃を受けると分裂する特性を持つアメーバ男を一掃するため、リボンストライクで一気に消滅させるしかないと彼女は考えた。

ミラクルナイトはその身体全体が水色に輝き始め、その光を両手に集めながら舞うように動き出す。その様はまるで舞台上のプリマドンナのように優雅であり、見守る市民は彼女の美しさに息を呑んだ。ミラクルナイトは天に水色の光を掲げ、

「消えなさい!リボンス…ああッ!」

と叫ぶも、リボンストライクを放つ直前に、アメーバ男の一体が彼女に体当たりをかましてきた。せっかく集めた聖なる力が散逸し、水色の光は消えてなくなった。

力尽きたミラクルナイトは地面に倒れ込み、そこにスライム状に変わった三体のアメーバ男が彼女に纏わりついた。

「さあ、奈理子の身体をたっぷりと楽しませてもらうよ」

と三人のアメーバ男がミラクルナイトの身体に取り付くなか、彼女の未来が不確かな闇に覆われていく。


アメーバ男がミラクルナイトの懐に入り込み、その巨大なアメーバと化した三人の怪人は、彼女の華奢な身体に纏わり付いた。

「あぐぅ…」

と苦悶の声を漏らすミラクルナイト。彼女の体をジェル状の質感で覆い尽くすアメーバ男は、その耳元でささやく。

「捕まえたぞ、奈理子。お前の負けだ」

しかし、ミラクルナイトはまだ屈する気はなかった。

「まだ、負けてないわ!」

と気丈に反論するものの、アメーバ男の滑らかな体が彼女の美脚を這い上がり、

「気持ち悪い…いやぁ…」

という彼女の切ない声が池の畔に響き渡る。遂には、彼女のコスチュームの隙間から侵入される屈辱を味わうこととなった。

その時、水都市内に警報が響き渡る。

「水都公園にアメーバ男出現!ミラクルナイトと交戦中!」

のアナウンスが空を切り裂く。この知らせを商店街で聞いた寧々と隆は急いで現場に向かうことを決めた。

「アメーバか…」

と隆は重苦しい表情を浮かべる。肉弾戦を得意とするミラクルナイトにとって、分裂する柔らかい体を持つアメーバ男は最悪の相手だ。

「奈理子さんではアメーバ男には勝てない」

と寧々も小声で呟く。

「寧々、姉ちゃんを助けてくれ」

と隆が彼女の肩を掴み、力強く頼む。

「任せて。奈理子さんは私が助けてみせる!」

と寧々は力強く答え、ドリームキャンディに変身するために駆け出した。隆は彼女の後ろ姿を見送りながら、心の中で願った。

「姉ちゃん、寧々が行くまで持ち堪えろよ」

と。

一方、ミラクルナイトはアメーバ男の包囲網の中で、自身の限界を感じつつもなんとか抵抗を試みていた。しかし、アメーバ男の再生能力と分裂能力には圧倒され、次第に彼女の力は衰えていった。周囲の市民たちは、その姿に涙を禁じ得なかった。


アメーバ男に繰り返し責められ、何度も意識を飛ばされるミラクルナイト。そのコスチュームはジェル状の粘液によって徐々に溶かされ、純白の下着が乱れて露わになっていた。涙を抑え、

「身体は屈しても、心は屈しない!」

と自分に言い聞かせるが、アメーバ男は容赦なくジェルの一部を硬化させ、彼女の口に押し込む。

「最高だ、奈理子」

と、奈理子の身体を隈なく味わうアメーバ男。

その時、

「奈理子さんを苛めるのはやめなさい!」

という力強い声と共に、黄色い光を纏ったドリームキャンディが現れた。敗北を覚悟していたミラクルナイトは、救世主のようなドリームキャンディを切ない瞳で見つめた。

「しっかりしてください、奈理子さん!」

と叱咤するドリームキャンディは、ミラクルナイトの頬を平手打ちした。

「何だ、仲間割れか?」

とアメーバ男が嘲るが、ドリームキャンディは彼を睨みつけると、ミラクルナイトにもう一度平手打ちをする。

「キャンディ、もっと私を…」

とミラクルナイトが甘える声を出すが、ドリームキャンディは彼女を制して、

「特訓を思い出して、しっかり耐えてください!」

と励ます。

そしてドリームキャンディは

「キャンディシャワー!」

と叫び、虹色の光を放った。その光に包まれると、ミラクルナイトの意識は遂に飛び、アメーバ男の体は消滅し始めた。

「奈理子のはどれも最高…」

と最後の言葉を呟きながらアメーバ男は完全に消滅した。周囲の市民はドリームキャンディの勝利に大歓声を上げる。

キャンディシャワーの光が消えた後、地面には意識を失ったミラクルナイトの姿が残されていた。


歓声が響く中、ドリームキャンディは無防備に横たわるミラクルナイトのそばで彼女の衣装を見つめていた。足元に落ちた水色のパンツを目にし、彼女は首を傾げた。

「誰のパンツだろう?」

と独り言をつぶやく。ミラクルナイトは白いパンツを穿いている。そのとき、ライムが現れ、地面に落ちた水色のパンツを拾い上げた。彼は意識を失ったミラクルナイトを優しく抱き上げると、ドリームキャンディに命じた。

「奈理子を水都神社に運べ」と。

「どうして?」

と、ミラクルナイトを受け取りながらドリームキャンディが尋ねる。ライムは冷たく

「宮司に奈理子の姿を見せれば分かる」

とだけ答えた。ドリームキャンディが

「待って」

と呼び止めると、ライムは振り返りながら、

「これか?これは洗って奈理子に返しておく」

と、水色のパンツを軽く振ってみせた。しかしドリームキャンディが本当に聞きたかったのはそれではなかった。

「貴方、一体何者なの?」

と彼女は改めて尋ねる。

「俺のことは知っているだろ。スライム男、奈理子の彼氏だ」

と、ライムは去り際に告げた。その後、隆が息を切らせて駆けつけた。

「もう終わったのか?」

と彼が尋ねると、

「うん、私の手にかかれば、アメーバ男なんか一撃よ」

とドリームキャンディは得意げに答えた。しかし隆は、気絶した姉、ミラクルナイトを見つめながら、

「遅かったのか…」

とつぶやいた。ミラクルナイトを気絶させたのはドリームキャンディだった。彼女は、どう説明すべきか迷いながら、

「奈理子さんは大丈夫。ライムが奈理子さんを水都神社に連れていけばいいって言ってた」

と伝えた。

「アイツがここにいたのか?」

と隆が問うと、ドリームキャンディは彼を宥めようとした。隆は奈理子のことを守ろうとしないライムを快く思っていなかった。

「隆が思うほど悪い人じゃないと思うけど…」

そして、彼女は

「奈理子さんを水都神社に運ぶから、隆も後から来て」

と言い残し、黄色い光に包まれて飛び立った。

アメーバ男との戦いは終わったかに見えたが、水都の守護神ミラクルナイトの前にはまだ知られざる試練が待ち構えているのだった。

第122話へつづく)

あとがき