DUGA

ミラクルナイト☆第155話

昼休みの水都女学院の中庭。パイナップル男とドリアン男に敗れた奈理子は、授業中もぼんやりとしていて、内容はほとんど耳に入ってこなかった。無力感が胸に広がり、頭の中ではあの戦いの場面が何度も繰り返されていた。

「また無様に負けたようね」

奈理子に声をかけたのは、冷ややかな表情を浮かべる菜々美だった。奈理子は顔を上げることなく、俯いたまま小さく呟いた。

「私の力では…パイナップル男にもドリアン男にも勝てない…」

菜々美は眉をひそめ、ため息混じりに奈理子を叱りつけた。

「はぁ?何を寝ぼけたこと言ってんのよ!アンタにはミラクルな力があるでしょ?空を飛べるし、水色に光るパンチや、お得意のパンチラキックだってあるじゃない」

奈理子は肩を落とし、力ない声で返す。

「でも…ドリアン男にはロリポップハンマーも通用しなかったのよ。私のキックやパンチなんて、効くはずない…」

「アンタ、ドリアンの刺々を怖がってるんでしょ」

菜々美は直球を投げかけた。奈理子は一瞬言葉を詰まらせ、顔を上げたが、やはり視線を落とした。

「うぅ…」

菜々美はさらに苛立ちを募らせる。

「怖がらずに自分の力を信じなさいよ。アンタは空を飛べるんだから、上からパンチラキックを当てるくらい簡単にできるでしょ!」

パンチラキックじゃないわ…」

奈理子が小さな声で反論する。

「じゃあ、パンモロキック?」

菜々美は茶化すように笑った。

「酷い…」

と奈理子は落ち込みながら、恥ずかしさを隠し切れない。

「好きでパンツを見せてるわけじゃないのに…」

菜々美は真剣な眼差しを奈理子に向けた。

「アンタの力は、アンタが思っている以上に凄いのよ。自信を持ちなさい。同じ相手に何度も負けたら、私は許さないから!」

そう言い捨てると、菜々美は校舎に向かって去っていった。

奈理子はその場に取り残されたまま考え込んだ。刺々しいドリアン男の体にキックを当てることは、確かに怖い。でも、自分の力を信じろという菜々美の言葉が心に響いていた。

「もし…キックが効かなかったら?刺々が私に突き刺さるかもしれない…」

奈理子は自分の心の中の不安を呟く。

だが、その不安の中にも、わずかな勇気の火が灯っていた。


放課後の水都タワーの観覧車。シースルーのゴンドラに座り、ライムと寄り添う奈理子は、心ここにあらずの様子だ。

「菜々美さんがそんなことを言ったのか」

ライムは奈理子の肩を軽く抱き寄せ、奈理子のスカートの中に手を滑らせながら言う。

「ドリアン男に近づくのが怖い…。棘が刺さったら痛いよね」

奈理子は呟いた。

「確かに痛そうだな」

ライムの指がパンツ越しに奈理子の敏感な箇所に触れ、

「んッ…」

と思わず声を漏らす。

「ドリームキャンディを囮にして、ドリアン男に棘を飛ばさせたらどうだ?その隙にミラクルキックを決めればいいじゃないか」

「キャンディを囮にはできないよ…」

奈理子は躊躇いながら答えるが、ライムは平然と続けた。

「大丈夫だろ。あいつなら棘を避けられるさ。それに、パイナップル男もいるし…んッ…」

ライムの指はクロッチの中に侵入し、奈理子の大切な箇所に直接触れる。さらに奈理子に優しくキスをした。

観覧車の中、二人きり。静かに回るゴンドラに包まれて、奈理子はライムに身を委ねた。温かい感触が心を落ち着かせる。しかし、その安らぎは突然のアナウンスで破られた。

「水都公園にパイナップル男ら三体の怪人が出現しました」

「三体?」

奈理子はライムを突き放し、すぐに焦りの色を浮かべた。

「もう一体は誰なの?」

パイナップル男とドリアン男だけでなく、未知の怪人がいる。奈理子は急いでアイマスクを取り出す。

「ここで変身するつもりか?」

ライムが止める。狭い密室で変身されると眩しくてたまらない。

「まだゴンドラは降りてない。下に着くまで外には出られないぞ」

「分かってる。下に着いたらすぐに飛び立つから!」

と、奈理子はアイマスクを装着し、水色の光がゴンドラ内を満たす。ミラクルナイトに変身した奈理子は焦りを隠せない。

「早く着いてよ!」

と苛立ちを露わにする。

しかし、そんな奈理子の焦りをよそに、ライムはゴンドラ内で無邪気にミラクルナイトのスカートを捲り上げた

「きゃッ!ライム、何してんの!」

ミラクルナイトが慌てると、ライムはいたずらっぽく笑った。

「水女(水都女学院)はみんな白いパンツなのか?ルールでもあるのか?」

「そんなこと、ライムが知る必要ないの!」

奈理子は必死でスカートを押さえるが、ようやくゴンドラが地上に到着した。係員がドアを開けると同時に、ミラクルナイトはミラクルウイングを広げる。

「負けるなよ」

ライムの言葉にミラクルナイトは頷くと、一直線に飛び立った。

「奈理子、頑張れー!」

「今日は絶対に勝ってくれ!」

水都タワー前広場の市民たちが、空を駆けるミラクルナイトに向けて声援を送る。その声に力を得たミラクルナイトは、敵が待ち構える水都公園へと向かって行った。


水都を守るために戦う。戦いにルールは無い。誰が何のために争いを引き起こしているのか、背後にいる者の正体も知らない。それでも、守るべきもののために、ミラクルナイトは迷いなく空を駆ける。

彼女がたどり着いたのは、いつもの噴水広場。しかし、そこに待ち受けていたのはパイナップル男、ドリアン男、そしてもう一体、果物を模した怪人がいた。ミラクルナイトは一瞬の迷いもなく、手をかざし、水色の光弾「ミラクルシャインブラスト」を放つ。それは三人の怪人の真ん中に直撃し、まるで水都の平和を乱す者たちへの怒りの象徴であるかのように輝いた。

光弾が炸裂する瞬間、ミラクルナイトは華麗に回転し、その勢いでスカートがふわりと舞い上がる。奈理子の白いパンツが一瞬だけ露わになると、広場を埋める市民たちからは歓声が湧き上がった。

「水都の平和を乱す者は、ミラクルナイトが許しません!」

その声には、かつての迷いも、敗北の絶望も感じさせない。守護神としての自覚を持った奈理子の力強い宣言が広場に響く。そして、まさにその瞬間、ミラクルナイトは噴水広場に降臨した。市民の期待を背に、奈理子は決意を新たに敵へと立ち向かう。


「格好良く登場しやがったな」

と、ドリアン男がミニスカートから除く奈理子の太股を見てニヤリと笑う。

「紹介しよう。俺とドリアン男の親友、マンゴー男君だ」

とパイナップル男が新たな敵を指さした。

「可愛いねー!怒った顔も魅力的だよ、奈理子ちゃん!」

マンゴー男が下卑た笑みを浮かべ、ミラクルナイトに視線を送る。

「そうだ!奈理子、可愛いぞ!」

「奈理子、負けるなー!」

「臭いドリアン男を何とかしてくれ!」

市民たちの声援が飛び交うが、その一方で広場には不安な空気が漂う。

「おっと、今日の主役はマンゴー男だ。今日はマンゴー男が奈理子を可愛がってやる番だ」

パイナップル男が楽しげにマンゴー男を紹介する。

「俺はマンゴーの香りの邪魔しないように、ドリアンの臭いを抑えてやってるんだぜ」

とドリアン男も高笑いを上げる。

「奈理子と遊べるなんて、楽しみだなー!」

マンゴー男の目が、まるで獲物を見定めるようにミラクルナイトをじっと見つめる。

「じゃあ、お言葉に甘えてマンゴー男の相手をさせてもらうわ!」

ミラクルナイトはその挑発に乗り、即座にマンゴー男に向かって駆け出した。一対三の不利な状況だが、敵が一対一の戦いを許してくれると言うのなら、それを逃す手はない。

「えい!」

鋭い右ハイキックが空を裂く。しかし、マンゴー男の弾力ある果肉がその衝撃を吸収し、手応えがまったくない。

「はッ!」

続けざまにハイキックを連打するミラクルナイト。彼女の攻撃を受け止めるマンゴー男は、余裕の笑みを浮かべている。

「奈理子、いいぞー!」

「奈理子、頑張れー!」

市民たちはミラクルナイトの勇敢なパンチラアクションに熱狂するが、ミラクルナイトの心には焦りが募る。

マンゴー男の体は柔らかく、その果肉が攻撃の衝撃をすべて吸収してしまっている。これでは決定的なダメージを与えられない。

「奈理子のパンツは濡れてるよ。まさか、さっきまで彼氏とエッチなことしてた?」

マンゴー男が挑発的に笑いながら、奈理子の染み付きパンツをからかう。

「煩い!」

奈理子は顔を真っ赤にして叫びながら、ミラクルウイングを広げ、一気に空へと舞い上がった。

このままでは押され続けてしまう。圧倒的な力を持つ怪人たちに対して、自分の攻撃が通じない。ミラクルナイトは再び、戦いの迷路に迷い込んでしまったようだった。だが、まだ戦いは始まったばかり。ミラクルナイトは空から下を見下ろし、次なる一手を探り続けるのだった。


「空に逃げるのは反則だぜ!」

と、パイナップル男が叫びながら、巨大なパインスライスをミラクルナイトに向かって投げつける。

「逃げていないわ!」

と、ミラクルナイトは軽やかに空中でその攻撃をかわす。しかし、パイナップルブーメランは必ず戻ってくる。パインスライスの軌道を注視するミラクルナイトの隙をついて、ドリアン男が

「ドリアングレネード!」

と叫びながら、無数のドリアンの果実を空中にばらまいた。爆弾のように宙を舞うそれらは、まるで空中の機雷のようにミラクルナイトの動きを制限する。

「くッ!」

ミラクルナイトは水色の光弾を連射し、ドリアングレネードを次々と撃ち落とすが、数が多すぎる。焦りが募る彼女にさらに追い打ちをかけるように、マンゴー男が

「じゃあ、僕も遊んであげるよ」

と、高圧のマンゴージュースを発射してきた。

「フェアリーシールド!」

ミラクルナイトは素早く掌から水色の防御壁を展開し、ジュースを防ぐ。

だがその瞬間、返ってきたパイナップルブーメランがミラクルナイトの背中を直撃。

「あぁ…!」

と声を上げる彼女は、力なく空から墜落していった。

その時、噴水広場に飛来した黄色い光がミラクルナイトを包み込む。ゆっくりと着地した黄色い光の中からミラクルナイトを抱きかかえて現れたのは、中学生戦士、ドリームキャンディだった。

「奈理子さんを虐める者は、ドリームキャンディが許しません!」

と凜々しく声を上げるドリームキャンディ。さらに、緑色の光も降り注ぎ、風の戦士セイクリッドウインドが降臨する。

「奈理子、勝負はこれからだよ!」

とセイクリッドウインドが力強く言う。

ミラクルナイトは仲間の力を感じ、頷いた。そして、再び立ち上がり

「これで三対三。もう、貴方たちの好き勝手にはさせないわ!」

と、三人の怪人に向かって宣言した。

圧倒的な不利な状況だったが、ミラクルナイトは今、仲間と共に戦いに挑む決意を固めた。


「効くかどうかは分からないけど、奈理子さん、凜さん、はい。」

ドリームキャンディはパイン飴とマンゴーの飴を二人に差し出した。

「ありがとう」

とミラクルナイトが礼を言う。

「さすがにドリアンの飴は無いよね」

とセイクリッドウインドが苦笑いを浮かべる。

「ドリアンは無いけど、気休め程度に舐めてください」

「パイン飴、大好き!」

「美味しい!」

と、二人は飴を口にする。

「この状況で何で三人で和んでんだよ!」

マンゴー男が苛立ちながら叫ぶ。

「来ないなら、こっちから行くぞ!」

マンゴー男は三人のヒロインにマンゴージュースを吹きかける。瞬時に三方に散るヒロインたち。

「マンゴー男は私がやります!」

とドリームキャンディがキャンディチェーンを構え、

「私はパイナップル男。パイナップル爆弾の恨みを返してやる!」

とセイクリッドウインドがガストファングを手にパイナップル男を指す。

「じゃあ、私はドリアン男!」

と、ミラクルナイトはミラクルウイングを広げ、大空へ舞い上がった。

「今日はマンゴー男の日だったが、相手になってやるぜ、奈理子!ドリアンブレス!」

ドリアン男が強烈な臭いを放つ。

「うわッ! 臭い!」

ドリームキャンディが足を止める。堪らずセイクリッドウインドがガストファングを振り、腐臭を吹き飛ばした。

「パイナップルブーメラン!」

パイナップル男はセイクリッドウインドに向かってパインスライスを投げつける。

「危ない!」

ミラクルナイトが水色の光弾を放ち、パインスライスの軌道を変えた。

「私と奈理子さんが三人の怪人と戦うので、凜さんはひたすら扇ぎ続けてください!」

とドリームキャンディが叫ぶ。

「え〜、また私が扇風機役?」

と不満げなセイクリッドウインドが腐臭を吹き飛ばし続ける。

「私たちに任せて!」

と、ミラクルナイトは三人の怪人に向かって水色の光弾を撃ち下ろした。

「こんなもん、当たらないよー!」

とマンゴー男は軽やかに光弾を躱す。パイナップル男とドリアン男の硬い外殻も光弾をものともしない。

「地上に引きずり降ろしてやるぜ!ドリアングレネード!」

ドリアン男が上空のミラクルナイトに向かってドリアンを放つ。

「一度見た技は二度も喰らわないわ!」

ミラクルナイトは華麗にドリアンを躱し、光弾で次々に撃ち落とす。

一方、ドリームキャンディはパインスライスを躱し続けていたが、

「パイナップルブーメランは一つじゃないぞ!」

とパイナップル男がもう一つパインスライスを投げつける。二つのパインスライスが縦横無尽に飛び交い、ドリームキャンディは攻撃する隙が無くなる。

「こうなったら、ロリポップハンマー!」

キャンディチェーンをロリポップハンマーに変形させ、パインスライスを迎え撃つ。

「奈理子、可愛いぞ!」

「キャンディ、負けるな!」

「凜ちゃん、頑張れ!」

市民たちが三人のヒロインに熱い声援を送り続ける。

マンゴー男は意外に素早く動き、ミラクルナイトが狙いを定めるのは難しい。だが、彼女は狙うべきターゲットを絞っていた。腐臭を撒き散らすドリアン男を倒せば、セイクリッドウインドも本格的に戦いに加われる。

「墜ちろ! 棘乱舞!」

ドリアン男が上空のミラクルナイトに向かって無数の棘を飛ばす。

「当たらないわ!」

ミラクルナイトは旋回して棘を躱し、そして

「ミラクルアクアティックラプチャー!」

と水のオーラをドリアン男に放った。

ドリアン男は衝撃を受け、足を取られながらも立っている。

「そんなものじゃ俺は倒れん!」

と叫び、再び攻撃を仕掛けようとするが、ミラクルナイトは迷わず攻撃の手を緩めず、ドリアン男に向けて次々と光弾を撃ち込む。

セイクリッドウインドとドリームキャンディも、各々の怪人と激闘を繰り広げ、三人のヒロインの連携で、次第に怪人たちを追い詰めていくように見えたが…。


「パイナップルスピンアタック!」

パイナップル男が体を高速回転させ、ドリームキャンディに猛然と突進してきた。彼の身体はまるで鋭い刃物のように、空気を切り裂きながら迫る。

ドリームキャンディはロリポップハンマーを突進するパイナップル男に向けて、迎え撃つ構えを見せた。

「ダメ!キャンディ、逃げて!」

それを見たミラクルナイトが、必死に叫ぶ。しかし、ドリームキャンディは逃げなかった。

「ロリポップ凄い突き!」

全力で突き出したロリホップハンマーと、パイナップル男のスピンアタックが激しく衝突した。

「キャンディ!」

セイクリッドウインドが驚愕の声を上げる。次の瞬間、黄色いドレスがズタズタに斬り裂かれ、ドリームキャンディの体は吹き飛ばされた。ミラクルナイトは素早く駆け寄り、倒れた彼女を受け止めたが、ドリームキャンディは既に気を失っていた。

「よくもキャンディを…!」

ミラクルナイトの目に怒りの炎が灯る。

「一人倒した。次は奈理子の番だな」

とパイナップル男が余裕の表情で言い放つ。

「奈理子の相手は僕だったはずだよー!」

とマンゴー男が横槍を入れる。

「いやいや、奈理子を拉致して、三人でじっくり楽しもうぜ」

とドリアン男が低く笑いながら口を開く。

「キャンディの敵は私が討つ!」

ミラクルナイトは決意に満ちた声で言い放ち、ドリームキャンディのそばに落ちているロリポップハンマーを手に取った。しかし、持ち上げてみると、重い…。ミラクルナイトの力では、このハンマーを扱うことができないことがすぐにわかった。

「私には重過ぎる…」

彼女は苦しそうに呟くと、ハンマーをそっとドリームキャンディの側に置いた。

「私がいることを忘れていないか?」

セイクリッドウインドの声とともに、突然、辺りを覆うように広がる腐臭――セイクリッドウインドが腐臭を吹き飛ばすためのガストファングを止めた瞬間だった。

「奈理子、まずはドリアン男を叩こう。この臭いには長く耐えられない!」

セイクリッドウインドが緊張した声で提案する。

「分かりました。凜さんはガストファングで牽制してください!」

とミラクルナイトが応じる。

「気を付けてね」

とセイクリッドウインドが言葉をかけると、ミラクルナイトはドリアン男を睨みつけた。

腐臭が強烈に漂う中、三人の怪人たちに立ち向かうミラクルナイトとセイクリッドウインド。ミラクルナイトは決意を固め、全身に力を込めて戦いの準備を整える。

「私が相手よ!」

ミラクルナイトは深呼吸し、勇気を振り絞ってドリアン男に向かって駆け出した。


市民たちは、ドリアン男の放つ強烈な臭いに耐え切れず、噴水広場から遠ざかっていった。広場に残ったのは、ミラクルナイト、セイクリッドウインド、気を失ったドリームキャンディ、そして三人の怪人たち。上空には中継のドローンが飛び回っているが、今はそんなことを気にしている余裕はない。

「ここからは、思う存分やらせてもらうよ!」

とセイクリッドウインドが決意を込め、ガストファングを縦横無尽に振るった。すると、噴水広場に三つの竜巻が発生し、その中には無数の風の刃が潜んでいる。セイクリッドウインドは、ただ腐臭を吹き飛ばすためにガストファングを使っていた自分を後悔していた。もし、風の刃で戦っていれば、ドリームキャンディを傷付けずに済んだかもしれないのだ。

「ぐお!これがセイクリッドウインドの竜巻か!」

ドリアン男が竜巻に飲み込まれる。

「マンゴー男!飲み込まれるな!」

竜巻に巻き込まれながらパイナップル男が叫ぶ。竜巻の中で風の刃が、ドリアン男とパイナップル男の硬い外殻に傷を付けていた。しかし、硬い外殻を持たないマンゴー男では、これに耐えることは難しい。

「ひえー!」

マンゴー男は必死に竜巻から逃げ続けるが、そこにミラクルナイトが上空から水色の光弾を撃ちつけた。

「奈理子のクセに、生意気だぞ!」

マンゴー男が逃げながらマンゴーの種をミラクルナイトに向かって飛ばす。

「フェアリーシールド!」

ミラクルナイトは手から水色の防御壁を展開する。マンゴーの種くらいなら防げると思っていたが、フェアリーシールドに接触すると、種は次々と破裂し、果肉が飛び散った。

「これって、小型の爆弾?!」

ミラクルナイトが驚きの声を上げると、マンゴー男は高笑いしながら言った。

「ワハハ!どうだい、マンゴーの味は?」

マンゴーの果肉まみれになったミラクルナイト。しかし、何ともなかった。

「…キャンディがくれたマンゴーの飴のおかげだわ…」

ミラクルナイトは、ドリームキャンディの飴には不思議な力が宿っているのかもしれないと感じた。

竜巻がまもなく収まる。そのときが勝負だとミラクルナイトは悟る。竜巻の中でダメージを受けているパイナップル男とドリアン男を見つめる。風の刃で外殻に傷をつけられてはいるが、まだ致命傷には至っていない。

「もっと喰らえー!」

マンゴー男が再びマンゴーの種を飛ばしてくる。ミラクルナイトは大空を舞いながら、必死に躱していった。竜巻が収まると、ドリアン男の棘がいくらか折れていたものの、その刺々しい外殻はまだ健在だった。

「怖くない。頑張れ、私…」

自分にそう言い聞かせると、ミラクルナイトの右足が水色に輝き始めた。マンゴー男の種を巧みに躱しながら、ミラクルナイトはドリアン男に急降下していく。

「わっ!奈理子!」

ドリアン男がミラクルナイトが迫っていることに気付き、焦った。

「くそっ!棘乱舞!」ドリアン男が棘を放つが、竜巻の風の刃によって削られ、鋭さを失っていた。パイナップル男もまた、風の刃でダメージを受け、動きが鈍くなっていた。

ミラクルナイトの全身が水色に輝き、ドリアンの棘をものともせず突っ込んでいく。

「ミラクルキッ〜ク!」

ミラクルナイト渾身のミラクルキックがドリアン男に命中した。その瞬間、ドリアン男は体を吹き飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられた。

「奈理子、すごい…!」

セイクリッドウインドが驚愕の声を上げる。ミラクルナイトは勝利を確信し、倒れたドリアン男に向かって拳を握りしめた。

戦いは、まだ終わらない。しかし、ミラクルナイトたちの連携と決意は、三人の怪人を圧倒し始めていた。


「ぐわー!」

ドリアン男の絶叫が響き渡る。ミラクルナイトのミラクルキックによって、ドリアン男の硬い外殻に罅が入り、その自慢の防御力が崩壊し始めていた。

ミラクルナイトはドリアン男を蹴り上げた瞬間、再び優雅に空中へと舞い上がる。彼女の姿はさらに輝きを増し、光がスカートを翻すたび、奈理子のスラリとした美しい生脚白いパンツが露わになる。その瞬間、中継のドローンがミラクルナイトの姿を完璧に捉え、その映像は水都タワー前広場の大型ビジョンに映し出されていた。

「ミラクルナイト、頑張れ!」

「奈理子、可愛いぞー!」

噴水広場までは聞こえないが、画面に映るミラクルナイトの美しさと力強さに熱狂する市民たち。彼らは画面に向かって声援を送り続ける。中でも一人、ライムの姿が目立つ。

「奈理子、がんばれ…」

ライムは小さく呟きながら、ミラクルナイトを心から応援していた。

一方で、パイナップル男とマンゴー男は、あまりにも美しすぎるミラクルナイトの姿に一瞬我を忘れて立ち尽くしていた。舞うように両手に水色の光を集めるミラクルナイト。その姿はまるで女神のようだ。

「させるか!」

我にかえったパイナップル男が再びパインスライスを手にして動こうとする。しかし、

「奈理子の邪魔はさせないよ!」

と叫びながら、セイクリッドウインドが素早くガストファングを振りかざし、パイナップル男とマンゴー男に強烈な強風を浴びせた。

ミラクルナイトは両手に集めた水色の光を高く掲げ、天に向かって宣言する。

「ドリアン男、これで終わりよ。リボンストライク!」

その瞬間、彼女が放った水色の光が美しいリボンの形に変わり、勢いよくドリアン男に向かって飛んでいく。可愛らしさと力強さを兼ね備えた水色のリボンは、ドリアン男を優しく、しかし確実に包み込んでいった。

「この俺様が、こんなところで…」

力を奪われていくドリアン男は、抗う力も失いながらも最後に何かを言おうとする。

「奈理子のパンツは…」

しかし、その言葉は最後まで言い切られることなく、ドリアン男は水色の光に飲み込まれ、完全に消滅していった。

ドリアン男の姿が消えた瞬間、噴水広場は静寂に包まれ、ミラクルナイトは勝利の余韻に浸りながらゆっくりと着地した。彼女の美しさと強さは、今や誰もが認めるところとなっていた。


「奈理子、やった!」

セイクリッドウインドが喜びの声をあげる。ミラクルナイトは微笑み返すが、二人とも気を緩めるわけにはいかない。まだ、パイナップル男とマンゴー男が目の前にいるのだ。

「まさか、ドリアン男が奈理子ごときに敗れるとは…」

パイナップル男は、ドリアン男が倒れた光景を信じられない様子で呟いた。

「奈理子は今までたくさんの敵を倒してきているんだから、驚くほどのことじゃないでしょ?」

セイクリッドウインドが得意気に言い放つ。パイナップル男は忌々しげに顔をしかめながら、

「今日はここまでだ。次はこうはいかんぞ」

と吐き捨てると、悔しそうに去っていった。

「はぁ…」

ミラクルナイトはホッと胸を撫でおろしたその瞬間、不意に背後から突き飛ばされた。

「きゃッ!」

ミラクルナイトは声を上げて倒れ込む。その目に飛び込んできたのは、マンゴー男の姿だった。彼の手には、ミラクルナイトの白いスカートが握られている。

「え?何で??」

何が起こったのか理解できないミラクルナイト。

「奈理子は隙だらけなんだよ。だから簡単にスカートを脱がされるんだ」

マンゴー男はにやりと笑うと、

「次に会ったときは、僕が奈理子のパンツをグチョグチョにしてやるよ」

と不敵に言い放つ。

「このッ!」

セイクリッドウインドがガストファングを構えるも、マンゴー男は笑いながら悠然と去っていった。

敵が去った後、ミラクルナイトとセイクリッドウインドはすぐに気絶しているドリームキャンディに駆け寄る。

「キャンディ、しっかりして!」

ミラクルナイトが優しくドリームキャンディを抱き起こす。ゆっくりと瞳を開いたドリームキャンディが、かすかな声で尋ねた。

「敵は…?」

「ドリアン男は奈理子が倒したよ」

とセイクリッドウインドが応える。

「えっ、あのドリアン男を奈理子さんが…?」

「キャンディがくれた飴のおかげだよ。マンゴーの飴、マンゴー男に効果があったみたい」

とミラクルナイトは微笑む。

ドリームキャンディも微笑みを浮かべるが、奈理子の白いパンツに目が留まった。

「奈理子さん、またスカート脱がされてますね」

と茶化すように言う。

「いつもの奈理子の姿だね」

とセイクリッドウインドも笑いながら言い、三人は自然と抱き合った。戦いを終え、安堵と勝利をかみしめる三人のヒロインたち。

「ドリアン男は最後に、奈理子のパンツが何だと言いたかったんだろうね?」

「そんなことどうでもいいわ」

「何ですか、それ?」

三人のヒロイン、それぞれの心に強い絆が確かに刻まれた瞬間だった。

第156話へつづく)

あとがき