ミラクルナイト☆第92話
水都第一小学校の6年3組の教室には、授業の疲れと帰宅前のわずかな緊張が交錯していた。机の隅で、隆が慎治と章太郎と楽しそうに談笑していた。寧々は彼らを少し離れた場所から眺めていたが、やがてその小さな勇気を振り絞り、隆の方へ足を向けた。
「隆!」
彼女の声は、少し高く響いた。
隆は振り返り、顔には驚きよりも悪戯っぽい微笑みが浮かんでいた。
「俺と一緒に帰りたいのか?」
彼のふざけた言葉に、慎治と章太郎は笑いながら口を挟んだ。
「まさか、寧々が隆を…」
寧々は真っ直ぐに隆を見つめた。
「うん、隆と話がしたいの。」
慎治と章太郎の驚く顔を尻目に、寧々はさらに言葉を続けた。
「慎治、章太郎、あなたたちは先に帰って。」
二人は悪びれず、隆に向かって忠告の言葉を残した。
「隆、寧々みたいな気が強い子はやめとけよ。」
「寧々はいつも怒ってるから可愛げの欠片もないしな」
しかし、寧々の怒りはすでに頂点に達していた。
「隆、行こ!」
と、彼女は隆の腕を強く引っ張った。
「後をつけたりしないでよ!」
と、後ろの二人に向かってきっぱりと宣言した。
隆は優しく微笑みながら寧々の顔を覗き込んだ。
「そんなにムキにならくても、寧々が俺を好きなことはちゃんと分かってるって。」
しかし、その言葉を打ち消すように、寧々は声を荒げた。
「バカ!違う!奈理子さんの話をしたいだけなの!」
二人の足取りは、下駄箱の方へと急いでいた。この学校での一日が終わる中、彼らの物語はまだ終わりを迎えていなかった。
校舎の扉を出ると、穏やかな夕日が空を赤く染めていた。寧々と隆は肩を並べて歩き出す。アスファルトの上で彼らの靴音が反響していた。
「姉ちゃんのことが気になるのか?」
隆の声が低く響いた。
「カラクサ男とザリガニ男…」
寧々はうつむきながら、奈理子のことを思った。あのカラクサ男とザリガニ男に、彼女がどれほどのダメージを受けたのか、寧々の心は強く痛む。
「昨夜、姉ちゃんの部屋からは…」
隆の言葉は、あまりの心配で一度切れた。
「ずっと鳴き声が…」
寧々の胸が苦しくなった。授業中に校内放送でその事態を知った時、彼女の心は混乱に包まれた。しかし、自分は中学生ではない。授業中で、助けに行けるわけもなく。
「奈理子も、凜も…どうして私は彼女たちを助けられないんだろう」
と寧々の瞳から一筋の涙が零れた。
隆は少し考え込みながら言った。
「寧々はまだ小学生だ。姉ちゃんや凜さんのことまで背負い込む必要はない。」
しかし、その言葉は寧々にとって、ただの冷たい現実でしかなかった。
「でも、私の使命は奈理子さんを守ること。」
隆の心中も複雑だった。
「こんなに戦いばかりで、姉ちゃんは高校受験大丈夫なのかな…」
寧々は頷いた。
「だからこそ、私が先に怪人たちをやっつけて、奈理子さんの勉強の時間を守らなくては。」
夕暮れの中、二人の姿は小さくなっていった。寧々の心には、新たなる決意の火が灯っていた。
太陽がゆっくりと地平線に近づき、空は紫とオレンジのグラデーションに染まっていた。寧々と隆の間には、微妙な緊張感が流れていた。
「寧々…」
隆の言葉が寧々の注意を引きつけた。
寧々は心の中でつぶやいた。これは、ただのバカ話じゃないんだろうな。 しかしその前に、隆の真剣な眼差しに引きつけられていた。
「学級委員長の力を使って、修学旅行は俺と寧々を同じグループにしろ。」
寧々は驚いた。そういえば来月は修学旅行だ。しかし、隆の言葉はまだ終わっていなかった。
「修学旅行は夏休みのときのような格好で来てくれ。」
彼の言葉に、寧々は少しドキッとした。彼女が隆と会うたびに、隆が好きそうな可愛い服を着ていたことを、隆はしっかりと覚えていたのだ。
戸惑う寧々に対し、
「寧々が俺を好きなことはちゃんと分かっているから」
と隆はニヤリとした。
だが、その瞬間、空気が変わった。響き渡る町内放送。カラクサ男とザリガニ男の名前。
寧々の目は真剣になった。
「また奈理子さんを…」
隆は急に冷静になった。
「アイツら、今まで姉ちゃん狙うときは中学校を襲っていただろ。水都公園なら別の狙いがあるんじゃないのか?」
考え込む隆に寧々は答える。
「奈理子さんは敵が現れたところには、どこにでも駆けつけるわ。」
寧々の顔は決意に満ちていた。
「隆、心配ないで。私が奈理子さんを守る。」
隆は寧々の前に立ち、彼女の肩を握った。
「姉ちゃんよりも、お前自身のことも気をつけろ。」
彼女は彼の深い心配を感じた。カラクサ男とザリガニ男とは前に戦ったことがある。ドリームキャンディはこの2人の怪人を倒せなかった。
そして、その後の出来事はあっという間だった。
「ランドセルは預かっておいてやる」
と言う隆に赤いランドセルを隆に預け、彼女は
「キャンディスイーツ、ドリームキャンディ」
と変身の呪文を唱えた。黄金色の光が寧々を包み、彼女はドリームキャンディに変わった。
「隆、行ってくる」
彼女が去って行く前に、隆の声が聞こえた。
「ドリームキャンディも生パンスタイルだったらな…」
「バカ!」
彼女の声が風に乗って遠くへ飛んでいった。隆は微笑みながら、その背中を見送っていた。
水都公園の芝生広場に風が吹き、黄色い光と共にドリームキャンディが現れた。その小柄な姿を前に、
「なんだ、ちびっ子かよ」
と揶揄するザリガニ男の声が聞こえた。彼の隣では、カラクサ男がニヤリと笑い、
「このガキを人質にすれば、あの女も出てくるな」
と考えていた。
ドリームキャンディの目が炎を灼いており、キャンディチェーンを振り上げると
「舐めないで!奈理子さんが来る前に、私があなたたちを倒すわ!」
と叫びながら攻撃を試みた。だが、ザリガニ男の堅固な甲殻には一切通じなかった。
「その鞭は通用しないって」
と嘲る彼。
しかし、ドリームキャンディは諦めていなかった。彼女は再度、身を乗り出してザリガニ男へ向かった。しかし、その瞬間、地面から突然蔓が伸びてきて、彼女の足を捕らえてしまった。
「待って!なにをするの!?」
と彼女は声をあげるが、ザリガニ男は醜悪な笑みを浮かべながら、
「今夜のメインイベントは裏切り者のナメコ姫。ナメコ姫が来るまで、このガキを甚振るとするか」
と言い放った。
「ナメコ姫?奈理子さんが狙いじゃないの?」
「奈理子は昨日たっぷり苛めてやったからな。今日は裏切り者のナメコ姫にお仕置きだ」
とカラクサ男が言うと、ザリガニ男も応じる。
「昨日、奈理子は裸にして磔にしたが、お前はどうされたい?」
彼らの言葉に戸惑いながらも、ドリームキャンディは必死になって蔓を引き裂こうとした。
「私を束縛しても、あなたたちの悪事を許さないわ!」
と叫ぶが、そのとき、遠くから聞こえる女性の声。
「ドリームキャンディを離して、私と戦いなさい!」
風が広場に吹き、その中には堂々と立つミラクルナイトの姿が現れた。彼女の怒りの炎は目を通じて広場全体を包んでいた。
「奈理子さん…」
ドリームキャンディの瞳には涙と希望の輝きがあった。
芝生広場のど真ん中、運命の闘いが繰り広げられていた。ミラクルナイトのスカートが風に靡いて、彼女の純白のショーツと太腿が隠れたり現れたりと、彼女自身の知らない間にちらりとその清純さが垣間見えていた。
ザリガニ男はそれに気付き、あざ笑うように
「今日も晒されたいのか?」
と挑発する。ミラクルナイトの瞳からは怒りの炎が燃え上がっていた。
「あなたたちだけは許せない!」
と彼女の声は、芝生広場全体に響き渡った。
「それなら、どう対抗するつもりだ?」
ザリガニ男が悪びれることなく挑発すると、
ミラクルナイトは彼に対して水色の光弾を放つ。だが、その攻撃はザリガニ男の堅い甲殻に跳ね返されてしまった。
「何度やっても、そんなもの俺には効かん!」
ザリガニ男の反撃は迅速だった。彼は右腕の鋏を大きく振り下ろしてきたが、ミラクルナイトはそれをかわし、ザリガニ男の顔面に跳び膝蹴りを繰り出した。一瞬ぐらつくザリガニ男だが、身体が軽いミラクルナイトの膝蹴りでは致命傷には至らない。ザリガニ男は左腕の鋏で彼女に強烈な一撃を加えた。
「あぁ!」
と悲鳴を上げて吹き飛ばされるミラクルナイト。空中で彼女を狙ってカラクサ男が放つ蔓。ミラクルウイングを広げ飛び上がるミラクルナイト。怒りに任せて飛び出してきたミラクルナイトだが、勝算はなかった。ミラクルナイトは必死でその蔓をかわすものの、徐々にその動きが鈍り始めてしまった。
そして、運命の瞬間。ミラクルナイトの足に蔓が絡まり、彼女の自由を奪った。
「くっ!」
と悔しさを滲ませるミラクルナイト。
「あぅ!」と短い叫びとともに彼女は地面に叩きつけられ、その後、蔓は彼女を立たせ、スカートを捲り上げてしまった。純白のショーツが露わになる中、ザリガニ男とカラクサ男は、彼女の屈辱を楽しむかのように笑っていた。
緊迫の芝生広場。緑の草の上には、カラクサ男によって放たれた蔓に絡まれ、動けないミラクルナイトの姿があった。隣には、ドリームキャンディもまた、同じく蔓に捉えられていた。風に舞うミラクルナイトのスカートが、ゆっくりと持ち上げられ、その下に隠されていた奈理子の純白のショーツが丸見えに。
その光景を目の当たりにしたドリームキャンディは、涙をこらえきれずに流し始めた。
「奈理子さん、ごめんなさい…もっと強ければ、奈理子さんはこんな姿を見せずに済んだのに…」
しかし、ミラクルナイトはその屈辱の中でも、決して折れることなく
「まだ終わりじゃないわ」
と力強く答えた。その後、何かが触れる感触。蔓が彼女のショーツのクロッチを撫で始める。
「また奈理子さんが玩具にされてしまう…」
ドリームキャンディの目には、再び涙が溢れ始めた。
だが、その時、空気がピリッとした。ミラクルナイトが叫ぶ。
「ミラクルパワー!」
瞬く間に彼女の全身が水色の光に包まれた。その光は彼女の内から湧き出る無尽蔵の力の証。蔓を力強く掴んだミラクルナイトは、そのまま振り回して、カラクサ男を空高く投げ飛ばした。大地に叩きつけられた彼の驚きの表情が印象的だった。
「奈理子さん、凄い!」
と、その姿に感動したドリームキャンディも、自らの内なる力を試そうと
「キャンディパワー」
と呟いた。だが、何も変わらず、彼女は蔓の中で身動き一つ取れなかった。
カラクサ男を地に叩きつけたミラクルナイトの息は荒く、その目は勝利の煌めきと怒りを併せ持っていた。しかし、カラクサ男はあっけらかんと
「非力なミラクルナイトにこんな力があったとは驚きだな」
と立ち上がり、微笑む。
その微笑みは、まるで次の一手を既に計算しているかのようだった。ミラクルナイトの直感は的中する。
「だが、お前の相手は俺だけではないぞ」
とカラクサ男の声と共に、空から突然、ザリガニ男の巨大な鋏が降ってきた。
瞬時の反射でその攻撃を避けたミラクルナイトだったが、彼女のミラクルパワーは既にその限界を迎えていた。ザリガニ男は続けざまにその鋏を振り下ろす。一撃、また一撃。強烈な連続攻撃の前に、ミラクルナイトは遂にその意識を失い、草の上に崩れ落ちた。
「凄い力だったが、持続力はないようだな」
と、ザリガニ男が嘲笑う中、カラクサ男は
「今日も晒し者にしてやるか」
再びその不気味な能力を使って地面から蔓を生やし、気絶しているミラクルナイトの体を引き上げた。蔓は彼女のコスチュームを次々と剥ぎ取る。そして、最後に下着まで取り去り、彼女を露わにした。
「やめて!奈理子さんは気を失っているのよ!」
と泣き叫ぶドリームキャンディの声が、空に響き渡った。しかし、ザリガニ男は
「確かに、気を失っていると面白くないな。泣き喚く奈理子が良かった」
と、舌打ち。カラクサ男はクスリと笑い、
「ザリガニ男、お前が手加減せずに殴るからだ」
と言う。その中、気絶したミラクルナイトは、蔓に支えられ、ドリームキャンディの前に立たされた。この屈辱の一瞬が、永遠のように感じられる空気が、広場を覆っていた。
失神したミラクルナイトの姿は、カラクサ男の蔦によってまるで壊れた人形のように操られていた。空気には悪意と期待が漂っていた。
「ナメコ姫は来ないな」
とザリガニ男の深い声が広場に響いた。カラクサ男は彼の言葉にクスクスと笑った。
「来なければ、今日も奈理子で遊ぶだけだ」
と。
泣き叫ぶドリームキャンディの心に、絶望と恐怖が絡み合っていた。彼女は蔦に捕らえられたまま、昨日と同じ運命を辿るであろうミラクルナイトの姿を悲しげに見つめていた。
一方、水都公園の影には、凜と大谷が隠れてミラクルナイトたちの戦いを静かに観察していた。凜は何度も前へ踏み出そうとするも、大谷の手が彼女の腕を引き留めた。
「ダメだ。敵に狙いは凜なんだぞ」
と大谷の声は穏やかだが断固としていた。
カラクサ男の手が、ミラクルナイトの柔らかな肌を這い始める。その姿に、ドリームキャンディの目に涙が滲んだ。
「もうやめてよ。奈理子さんが可愛そう…」
「ならば、お前が奈理子の変わりになるか?」
カラクサ男は危険な輝きを放つ目でドリームキャンディをじっと見つめた。彼女はその視線に怯えながら身を縮めた。
凜の心の中で沸き上がる感情が抑えられなくなった瞬間、彼女は大谷の手を振り切り、女子トイレへと駆け込んだ。確認することなく、凜は緑色の光に包まれていた。そして、その光が収まるとそこにはセイクリッドウインドの姿が現れた。彼女は決意を胸に、戦場へと駆け出して行った。
緑色の光が芝生広場を照らし、その場の緊張を一気に高めた。ザリガニ男は目を細め、
「やっと来やがったか」
とつぶやいた。その言葉に応えるように、光の中心からセイクリッドウインドの姿が明らかになった。
「怖気付いて逃げたのかと思ったぞ」
とカラクサ男は皮肉たっぷりに笑ったが、セイクリッドウインドの目線は彼らには向かず、ドリームキャンディとミラクルナイトに落ちていた。
「遅くなってごめんね、キャンディ。」
セイクリッドウインドの声は申し訳なさと力強さを併せ持っていた。そして、彼女の手から放たれる風の刃が二人を拘束する蔓をあっさりと切断した。
ミラクルナイトは、糸人形が糸を失ったように崩れ落ちたが、その身体をしっかりと受け止めるセイクリッドウインドの腕があった。彼女の目線が、地面に捨てられていた奈理子のブラとショーツに移ると、ドリームキャンディに
「奈理子をお願い。下着を付けてあげて」
と優しく指示した。
ドリームキャンディは
「私も一緒に戦います」
と即座に返すも、セイクリッドウインドの言葉には断固とした意志が込められていた。
「奴らの目的は私だから」
と。
「そろそろ始めるか」
と、ザリガニ男が得意げに巨大鋏を掲げる。
「そうね」
と、セイクリッドウインドは手にした扇形の武器、ガストファングを構えた。泣きそうな目で失神したミラクルナイトを見つめるドリームキャンディが、微かな声で
「凜さん、気をつけて下さい」
と祈るように囁いた。セイクリッドウインドは彼女の言葉に静かに頷いた。
「行くぞ!ナメコ姫!」
と、ザリガニ男が鋏を振り下ろす瞬間、セイクリッドウインドは素早く横に跳ぶ。だがその背後には、カラクサ男の放つ蔓が迫っていた。
セイクリッドウインドの身体が華麗に舞い上がると、迫る蔓を風の刃で切断。その流れで、彼女の手にしたガストファングが縦に振られた。その一振りから放たれる竜巻は、カラクサ男に向かって進む。ところが、その動きを上手く読んでいたのか、背後からザリガニ男の巨大鋏が彼女を襲った。
セイクリッドウインドの身体は吹き飛ばされる。一方、竜巻の中心に取り込まれたカラクサ男は、地面から数多くの蔓を放ち、その力で竜巻を抑え込んだ。
「思っよりもやるな」
と、カラクサ男は微笑んで述べた。
一方、ドリームキャンディはミラクルナイトの足首を両手で掴み、奈理子の少し汚れて湿っているのショーツを彼女に履かせようとしていた。ブーツを履いた足首を持ち上げ、ショーツを履かせるのはなかなか困難で、ドリームキャンディの目線は思わず、奈理子の露になった部分に向かってしまった。
その間にも、ザリガニ男の巨大鋏による攻撃が繰り返され、セイクリッドウインドは徐々に追い詰められていった。彼女の瞳には、もはや追い詰められた野獣のような光が灯っていた。そして、彼女はついに、ある決断を下した。
「えい!」
と彼女の手の平から奇妙なヌルヌルしたものが放たれ、それはザリガニ男の体全体を覆い始めた。
「なんだ、これは?」
驚くザリガニ男の動きはすぐに鈍くなり、セイクリッドウインドは得意げに言った。
「私がナメコ姫だったってこと忘れたの?」
彼女の声には、戦場での一時の勝利の喜びがこもっていた。
風が静かに草を撫でている中、ドリームキャンディは失神したミラクルナイトの腕にブラを通していた。彼女の白い肌、繊細な身体を前にして、この作業が一種の楽しみとなっていた。まるで精緻な着せ替え人形を扱っているようで、それは一種の神聖ささえ感じた。しかし、一瞬たりとも彼女の心は戦いから離れてはいなかった。
対照的に、戦場の中心ではセイクリッドウインドがヌルヌルの技でザリガニ男の動きを封じつつ、カラクサ男との攻防に忙しかった。奈理子の小さい胸にブラのカップを合わせホックを確実に固定するドリームキャンディの手元と、激しい闘いの狭間で戦っているセイクリッドウインドの姿は、その対比が際立っていた。
ミラクルナイトの目がゆっくりと開いた。彼女が意識を取り戻すと、自分がどういう状態であるかを理解するのにほんの数秒を要した。
「何これ…」
と彼女は自分の姿に驚き、眼を丸くした。
ドリームキャンディは、彼女の驚きを察して
「奈理子さん、今日こそカラクサ男とザリガニ男を倒しますよ」
と力を込めて言った。ミラクルナイトは、無言で自らのブラウスとスカートに手を伸ばす動きを見せたが、ドリームキャンディは
「コスチュームを着る暇はありません。早く、セイクリッドウインドを助けに行きましょう」
と彼女を一喝。
ミラクルナイトは一瞬の迷いを見せたが、
「分かったわ…」
と短く答え、仕方なく下着姿での戦いを選んだ。
「奈理子さんの下着姿、可愛いですよ」
と、そっとドリームキャンディが彼女の背中を押した。
そして、ついにドリームキャンディとミラクルナイトは戦列に復帰する。しかし、そのタイミングでセイクリッドウインドはカラクサ男の蔓の締めつけに捕らえられてしまった。彼女の戦闘の様子と、ミラクルナイトとドリームキャンディの再参戦は、物語の新たな局面を予感させるものであった。
公園の緑豊かな景色が戦場と化していた。セイクリッドウインドの身体を締め付ける蔓を、ドリームキャンディの放ったキャンディチェーンが一瞬で断ち切った。状況が一変した瞬間、カラクサ男の舌打ちが響く。彼は仲間のザリガニ男を助けるために、ヌルヌルにまみれた彼を蔓で引き寄せ、運河へと放り投げた。
圧倒的な敵との戦いの中で、ミラクルナイトの目には炎のような決意が燃え上がっていた。
「今日こそあなたを倒すわ」
と、カラクサ男の目を直視する彼女。だが、彼の答えは意外なものだった。
「それはどうかな?」
と言い放つと、彼女の足元から無数の蔓が伸びてきた。蔓はミラクルナイトのブラをずらす。奈理子の小さい胸が再び露わになる。
「いやぁ~」
ミラクルナイトは思わず悲鳴をあげる。セクシャルな行為を仄めかすような仕打ちに、彼女の抵抗は続いたが、カラクサ男の冷徹な眼差しは彼女を無視していた。
その後の彼の言葉、
「お前はそれで遊んでいろ」
は、ミラクルナイトの心に深い傷を残すこととなった。その場にいた者全員が彼の冷酷さに驚愕した。蔓は軽々とミラクルナイトを持ち上げ、その身体を弄ぶ。ショーツを降ろされ、
「やめて〜!」
芝生広場にミラクルナイトの悲鳴が悲しく響く。
カラクサ男は
「さあ、続きを始めるか」
と、セイクリッドウインドと向き合った。
「私もいるわ!」
ドリームキャンディはカラクサ男へと向かっていったが、突如として現れたザリガニ男によって殴りつけられた。ザリガニ男は運河の水でヌルヌルを落としてきたのだ。
「キャンディ、大丈夫?」
セイクリッドウインドは彼女を気遣い、その傷ついた身体を抱きしめた。再びザリガニ男の嘲笑が聞こえてきた。
「奈理子、また捕まったのか」
と彼の言葉に、空気が一瞬凍りつくようだった。
セイクリッドウインド、ドリームキャンディ、そしてカラクサ男、ザリガニ男との戦いが、再び熾烈を極めて始まったのだった。この戦いの行方は、公園の歴史に深く刻まれることとなるであろう。
水都公園、市民が集まるこの場所での戦闘は、周囲に大きな衝撃を与えていた。特に、ミラクルナイトの痙攣と弛緩を繰り返す姿には、目を背けたくなるほどの哀れさが漂っていた。しかしその場面に心を痛めつつも、戦いは終わりを迎えるどころか、さらに熱を帯びていた。
ドリームキャンディは、彼女特有のキャンディチェーンをカラクサ男に放つ一方、セイクリッドウインドはガストファングでザリガニ男に立ち向かう。だが、その攻撃はザリガニ男の頑丈な甲殻に阻まれ、逆に彼の獰猛な鋏の反撃を受けることとなる。
さらに困難な状況となったセイクリッドウインドがヌルヌルを放とうとする前に、カラクサ男の放つ蔓が迫り、彼女の動きを封じてしまう。カラクサ男は蔓を手繰りセイクリッドウインドを引き寄せる。ドリームキャンディが助けに入ろうとするが、ザリガニ男が立ち塞がった。その瞬間、カラクサ男の手が彼女の身体に触れ、彼の舌なめずりとともに冷たく笑みが漏れる。
「勅使河原の元女だけあって、いい女だな」
と彼の言葉が重く響き渡る。
「離しなさいっ!」
とセイクリッドウインドが抗うが、カラクサ男は
「お前の処分は俺たちに任されている。お前を生かすも殺すも俺たちの気分次第だ」
と言い放った。
セイクリッドウインドの抵抗も虚しく、カラクサ男の執拗な接触とザリガニ男の卑猥な言葉が彼女の心を傷つけていく。
「殺す前に嬲るがいいな」
というザリガニ男の言葉に、公園には凍りついたような空気が流れた。
ドリームキャンディがザリガニ男に攻撃を加えるが、彼女の力ではザリガニ男の堅い甲殻に覆われたにはダメージを与えることができない。
「先ずは全身ローションのナメコ姫をじっくり味わうとするか」
とカラクサ男はセイクリッドウインドを抱いたまま去って行く。ザリガニ男も、
「ちびっ子、そういうことだ」
とドリームキャンディに言い残し去って行った。
ドリームキャンディの必死の抵抗も虚しく、セイクリッドウインドウは連れていかれてしまった。彼女は力なく地面に膝をつき、取り残された感情に涙を流した。そして、そのすぐそばで、潮を吹くミラクルナイトの悲痛な姿が、水都公園の一部となっていた。
公園の風景は、戦闘の後の静けさと、彼女たちの苦しむ姿が混ざり合い、異様な雰囲気を醸し出していた。
水都公園の一角で、ドリームキャンディの心は苦しみに満ちていた。彼女の大切な友人、凜を守れなかった悔しさが心の中を埋め尽くしていた。さらに、蔓に弄ばれ続けるミラクルナイトに目を向けることができず、顔を伏せていた。
しかし、ラクサ男とザリガニ男が去ったことで、戦いを見守っていた人たちがミラクルナイトの異様な光景に人々が寄ってくる。
「奈理子さんを助けなきゃ…」
と我に返ったドリームキャンディはミラクルナイトの危機を感じ、意を決して彼女の元へ駆け寄った。彼女のキャンディチェーンが舞い踊るように蔓を粉々にし、ミラクルナイトはその束縛から解放された。
ところが、長時間蔓に弄ばれ続けたミラクルナイトは、意識が朦朧としていた。
「凜さんだけでなく奈理子さんも守ってやることができなかった…」
ドリームキャンディの胸が締め付けられる思いで満ち、彼女はなんとかしてミラクルナイトを助けようとした。奈理子の乱れた下着を手際よく整え、
「奈理子さん、しっかりして」
彼女の冷たくなった頬を優しく叩いた。
「もっと…」
というミラクルナイトのぼんやりとした言葉に、ドリームキャンディは心の中で深く傷つく。その意味を探ることなく、彼女はただミラクルナイトを強く抱きしめ、その温もりを感じることで心を落ち着けようとした。
そして、2人を取り囲む人々の視線を避けるかのように、ドリームキャンディは強くミラクルナイトを抱いたまま、煌めく黄色の光に包まれ、公園のその場から消え去った。
「もっと強くならなければ、大切な人たちを守ることができない」
水都公園は再び平和な静けさを取り戻し、しかし、その中でドリームキャンディの戦士としての決意が深まったことを知る者は少なかった。
(第93話へつづく)












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