ミラクルナイト☆第95話
水都第一小学校6年3組、教室の片隅で寧々は心の中で葛藤していた。彼女は敵に捕まっていた凜を救出したものの、ウズムシ男によって傷つけられた奈理子のことが気がかりでならなかった。加えて、高齢者を狙う連続殺人犯、バッタ男の捜査も進展がない。奈理子は確実にダメージを受けており、今は回復が最優先だ。しかし、バッタ男には奈理子、寧々、凜の三人の力が必要不可欠で、時間との戦いでもあった。
放課後、ぼんやりとした空気が教室を包み込んでいる中で寧々は考え込んでいた。そんな彼女の横に隆がやってきて、
「寧々、俺に誘われるのを待ってるのか?」
と笑みを浮かべて声をかけた。クラスの男子たちはその言葉に応じてわいわいと騒ぎ始めた。寧々は思わず顔を赤くしながら、
「そ、そんなことないわよ!」
と強く否定した。しかし隆はそれを気にも留めず、
「仕方ないな。一緒に帰ってやるよ。来い、寧々」
と言って、彼女のランドセルを手に取り、教室を出て行こうとした。
「待ってよ、隆!」
寧々は慌てて隆の後を追いかけ、騒がしい教室を後にした。本当は隆と話をしたいと思っていたが、彼の強引さにはいつも困惑してしまう。隆の後を歩きながら寧々はため息をついた。
「奈理子さんの様子はどう?」
彼女は思い切って尋ねた。隆は奈理子の弟であるからこそ、正確な情報を持っているだろう。
「最近、よく落ち込んでいるみたいだな」
と隆は素直に答えた。
「そう…」
寧々の声は小さく、切なげだった。
「何があったか知らないが、姉ちゃんには彼氏がいるから、そいつが慰めてくれるだろ」
と隆は軽く言った。寧々は心の中で溜め息をついた。彼が知らないだけなのだ。ウズムシ男に何がされたか、奈理子がどれだけ傷ついているか。
隆がふと振り向いて、
「人の心配ばかりせずに、寧々は彼氏の前では彼氏のことだけ考えてればいいんだぜ」
と笑って言った。
「誰が彼氏よ?」
と寧々は思わず声を強くして反論した。
「目の前にいるだろ。寧々が大好きな隆くんが」
と隆はにっこりと笑って答えた。街を歩く二人は、外から見れば仲の良いカップルのように見えるかもしれなかった。
寧々と隆は並んで商店街を歩いていた。いつものように賑やかな店々が続く中、果物屋のおじさんが笑顔で二人に声をかけてきた。
「いつも仲良いねー!」
果物屋のおじさんの言葉に寧々は即座に反応した。
「仲良くなんかありません!」
と、少しムキになって否定する彼女。
隆は笑いながら、
「素直じゃないな。夏休みは俺のために生パンにしてくれたじゃないか」
とからかった。それは夏休み、商店街でアマチャヅル男に逆さ吊りにされたときのこと。寧々はその言葉を聞いて顔を真っ赤にし、
「アレは隆のためじゃない!」
と慌てて否定した。果物屋のおじさんはニコリと笑って、
「あのときの寧々ちゃんは可愛かったねー」
としみじみと言った。
「思い出さないでください!」
と果物屋のおじさんを怒鳴りながらも、あのとき、商店街のみんなにパンツを見られてしまった恥ずかしさが、再び寧々の頬を紅く染め上げる。
恥ずかしさで体が熱くなり、寧々は早くこの場を立ち去ろうとした。しかし、そのとき、水都公園の芝生広場にオケラ男が出現したという町内放送が鳴り響いた。ウズムシ男のショックから奈理子はまだ立ち直ってはいないし、敵から救い出されたばかりの凜も暫く休息が必要だ。寧々は自分一人で戦うしかないと決意し、
「隆、行くわ」
と彼に告げた。
隆は寧々の赤いランドセルを持ちながら、
「早く行け。俺も後で行くから」
と応えた。寧々は
「奈理子さんが来る前に、私がやっつける」
と心に決め、その場から駆け出していった。彼女の後ろで、隆は寧々の勇姿に心からのエールを送りながら、彼女を見守っていた。
水都公園の芝生広場はオケラ男の暴れん坊ぶりで荒れ狂っていた。緑の地面は彼の暴力によって掘り返され、空気は緊張で張り詰めていた。そこに、黄色い光が煌めく中、小学生戦士ドリームキャンディが降臨した。
「そこまでよ、オケラ男!」
ドリームキャンディの勇ましい宣言が芝生広場に響き渡る。
「チッ、ガキンチョのドリームキャンディかよ」
と、オケラ男は毒突く。
ドリームキャンディは真剣な眼差しでオケラ男を見つめ、質問を投げかける。
「一体何が目的で街の人達を困らせるようなことをするの?」
オケラ男は嘲るように笑いながら答えた。
「今、バッタ男が派手に街で暴れてるがよ、直翅目には飛蝗だけでなく螻蛄もいるんだってことを街の連中に思い知らせてやろうと思ってな」
そのあまりにもくだらない理由にドリームキャンディは絶句したが、すぐに気を取り直し、堂々と宣言する。
「バッタやモグラの出来損ないみたいなオケラなんか私が退治してあげるわ」
「オケラを甘く見ると後悔するぜ。まずは、小生意気なドリームキャンディを女にしてやるか」
オケラ男の言葉には露骨な下品さが滲み出ていた。
「なっ…」
ドリームキャンディは再び言葉を失う。しかし、怒りが込み上げてくる。
「ドリームキャンディの初めての男になってやるってんだよ」
とオケラ男が笑う。
「うるさい!」
ドリームキャンディは怒りに震えながらキャンディチェーンを振るった。だが、その攻撃は空を切るだけだった。オケラ男は素早く地面に潜り、彼女の攻撃をかわしてしまったのだ。
戦いはこれからだ。ドリームキャンディは決意を新たにし、オケラ男を倒すために全力を尽くす覚悟を固めた。
「どこ?」
ドリームキャンディの視線が鋭く地面を突き刺し、彼女は姿を隠したオケラ男を探し回った。しかしその居場所は地上からは決して突き止められそうにない。そんな緊張の中、突如として彼女の足元の土が盛り上がり、オケラ男の巨大な手が現れ、ドリームキャンディを叩きつけた。
空中を吹き飛ばされ、彼女はカエルのように仰向けに倒れ込む。ドレスが捲れ上がり、スパッツが露わになった。
「なんだ、スカートの下はスパッツか」
とオケラ男は舌打ちし、嘲笑った。
ドリームキャンディは怒りを込めて立ち上がり、再びキャンディチェーンを振るった。しかし今度はオケラ男は軽やかに飛び上がり、攻撃を避けた。
「飛び跳ねることしかできないバッタと違って、オケラは飛ぶこともできるのだ!」
オケラ男は空中で舞いながら宣言し、ドリームキャンディを叩きつけた。
彼女は再度キャンディチェーンを振るったが、オケラ男は軽やかにそれを避けた。
「なんだ、お前は飛べないのか」
とオケラ男は嘲笑う。ドリームキャンディは防戦一方で、窮地に立たされていた。
オケラ男は高ぶった声で
「もっと俺様の力を見せ付けてやる。俺は地中と空中だけじゃないぞ」
と言い、ドリームキャンディを掴んで空高く飛び上がった。
「離しなさいっ!」
ドリームキャンディは空中で足をバタつかせ、もがき苦しんだ。オケラ男は彼女を水都公園内のボート乗り場のある池に向かって放り投げた。水しぶきが上がり、ドリームキャンディの姿は水面に飲み込まれていった。
奈理子と綾香は、手を取り合って静かに下校していた。突如、空気を切り裂くような町内放送が響き渡る。
「水都公園にオケラ男が出現しました!市民の皆様、ご注意ください!」
綾香は怯えた目を奈理子に向け、
「奈理子、これって…」
と言葉をつづける前に言葉を飲み込んだ。
奈理子は胸が痛くなるのを感じながら、昼休みにライムから受けた慰めを思い出していた。しかし、ウズムシ男に身体を許してしまった記憶がフラッシュバックし、彼女は恐怖で震え上がった。カラクサ男やウズムシ男に辱められた感触が体を襲い、
「もう、戦いたくない…」
と心の中でつぶやいた。
「奈理子、どうしたの?」
綾香の心配そうな声が耳に届くが、奈理子は声を出すことができなかった。
しかし、その瞬間、周りからの歓声が彼女の耳を打った。
「奈理子だ!」
市民たちは彼女の姿を見つけ、期待に満ちた声で彼女を呼び止めた。奈理子は驚きと戸惑いを感じながらも、次第にその声に力をもらい、立ち上がる決心をした。
「市民のみなさん…私、やります!」
奈理子はアイマスクを高く掲げ、力強く装着した。瞬く間に彼女の体は水色の光に包まれ、制服が消え去り、純白の下着姿となった。そして、リボン、グローブ、ブーツ、ブラウス、スカートが次々と現れ、奈理子はミラクルナイトに変身した。
市民からは大歓声が上がり、ミラクルナイトはみんなの期待を胸に、ミラクルウイングを広げて空高く飛び立ち、水都公園に向かって行った。奈理子は再び戦う決意を固め、市民を守るために前へと進んでいった。
水都公園はその日、不穏な空気に包まれていた。夕暮れの光の中、普段なら子どもの歓声で賑わうはずの芝生広場には、掘り起こされた土が散乱し、静けさが妙な対比をなしていた。ミラクルナイトは、空からその異変を見下ろし、心中で疑問を呈した。オケラ男の姿は見当たらず、ただ人々が池の水面をじっと見つめる姿があった。
突然、水面が激しく揺れた。池の中からドリームキャンディを乱暴に抱え上げたオケラ男が姿を現したのだ。運河脇の遊歩道に着地すると、彼はドリームキャンディを冷酷にも地面に投げ捨てた。その動かない体を見て、
「キャンディ!」
とミラクルナイトは叫ぶ。彼女の叫び声が空気を切り裂き、オケラ男と市民たちが同時に上空へと目を向けた。
オケラ男の視線は、空中に浮かぶミラクルナイトの姿に固定された。彼女の白いプリーツスカートが風に舞い、純白のパンツが見え隠れしていた。
「おぉ!やっぱりドリームキャンディより生パンのミラクルナイトだ!」
オケラ男が下品にも喜びを露わに叫んだ。
ミラクルナイトは、恥じらいと怒りで顔を赤らめながら、空中で必死にスカートを押さえた。しかし、その一瞬の油断をついて、オケラ男は彼女に向かって飛びかかった。彼女が気づいたときには、もう遅かった。オケラ男の手が彼女の細い脚にへばりついていた。
「現役女子中学生の生脚たまらん!」
オケラ男はミラクルナイトの太腿に顔を埋めながら歓喜した。
「やだ!離して!」
ミラクルナイトの叫び声が、公園を静寂させた。彼女は、彼の汚れた手を払いのけようと格闘したが、オケラ男の執着はしつこく、ミラクルナイトの苦闘はさらに続くのであった。
夕方の芝生広場で、ミラクルナイトは決死の戦いを繰り広げていた。その相手、オケラ男は異様な力を持つ敵で、不穏な風を呼び込む存在だった。スカートの中にオケラ男の頭を突っ込まれたまま芝生広場に叩きつけられたミラクルナイト。激しい格闘の末、オケラ男は一時的にミラクルナイトから離れ、
「一日分の奈理子の体臭と体液が染み込んだパンツはいい匂いだったぜ」
と得意げに言い放つ。しかし、その言葉に心を乱す暇もなく、ミラクルナイトは地面に叩きつけられた痛みと闘っていた。
息を切らしながらも立ち上がるミラクルナイトは、水色の光弾を放つ。しかし、オケラ男は軽やかに避け、
「俺は空中も水中も得意だが、一番得意なのは地中だ!」
と大声で宣言し、地面へと飛び込んで姿を消す。彼のダイブにより、平和な芝生は再び掘り返され、荒れ果てていく。
「これ以上、みんなの芝生広場を荒らすのはやめて!」
ミラクルナイトは叫ぶが、その声は地中のオケラ男には届かない。どこからオケラ男が出てくるか分からない不安に駆られながらも、
「飛んでいればいいんだ!」
とミラクルナイトは高く飛ぼうとしたその瞬間、足元が不意に盛り上がり、オケラ男に足を掴まれてしまう。
「いい眺めだ」
と地面から顔を出したオケラ男に、
「いやっ!変態!」
と叫びながら抗うミラクルナイトだが、すぐに地中へと引き込まれてしまった。
地面に半ば埋められ、腰から下が隠されるミラクルナイト。スカートは捲れ上がり、広がったまま地上に残される。
「くぅ…」
と苦痛をにじませる表情で、地面の中で何かを企むオケラ男に、
「お願い、パンツを脱がさないで…」
と切なく懇願する。しかし、ミラクルナイトは地中のオケラ男に対抗できず、状況は絶望的だった。
隆が運河沿いの遊歩道で、意識を失って倒れているドリームキャンディを発見したのは、ちょうど夕暮れ時だった。彼女の無防備な姿は、周囲の風景とは不釣り合いなほどの緊張感を漂わせていた。隆は慌てて彼女を抱き起こし、
「寧々、しっかりしろ!」
と声を張り上げながら、唇を重ねる。ドリームキャンディは
「んっ…」
と小さな呻き声を上げ、そのキスによって意識を取り戻した。
目を開けた彼女は、一瞬、起きたことを理解できないでいたが、徐々に記憶が蘇ってくる。オケラ男によって突然水中戦に引き込まれ、混乱の中で気を失ったのだ。
「私、負けたんだ…」
と、自らの敗北を悲しむドリームキャンディの声は震えていた。
隆は遠くで聞こえる騒ぎを指摘し、
「芝生広場の方が騒がしい。まだ戦いは終わってない」
と彼女を励ます。ドリームキャンディが尋ねる、
「奈理子さんが戦ってるの?」
ミラクルナイトが来る前に敵を倒したかったが、またダメだった。
「ごめんね、隆。また奈理子さんに戦わせてしまって…」
と謝るドリームキャンディ。隆は確証もないまま、
「姉ちゃんはまだ負けたと決まってないだろ」
と応じ、姉である奈理子が戦っている可能性を示唆する。
ドリームキャンディは内心、隆が自分の姉である奈理子ではなく、自分を先に救いに来てくれたことに心のどこかで安堵し、わずかながらの喜びを感じていた。しかし、それを表に出すことなく、
「またオケラ男と戦ってくる」
と決意を新たにする。隆の
「姉ちゃんを頼む」
という言葉に背中を押され、彼女は
「奈理子さんと一緒にオケラ男を倒してくる」
と宣言し、再び戦いの場へと飛び立った。黄色い光に包まれた彼女の姿が、芝生広場に向かって速やかに消えていく。
だが、ドリームキャンディの心には、まだ気付かされていない一つの事実があった。彼女のファーストキスは、戦いの混乱の中で、隆に奪われてしまっていたのだ。
芝生広場は緊張に包まれ、市民たちは息を潜めてその場を固唾を呑んで見守っていた。地中に半身を埋められ、腰から上だけが露わになったミラクルナイトが、必死に両手で口を塞ぎ、声を抑えている。地面の中でオケラ男がミラクルナイトに悪戯しているのだ。その姿は、まるで地面に飲み込まれていく美しい花のようだった。
突如、黄色い光が割って入る。ドリームキャンディが、空から舞い降りるようにしてミラクルナイトの前に姿を現した。ミラクルナイトは苦悶に満ちた顔で
「キャンディ…」
と呼びかけ、ドリームキャンディの手を固く握り締めた。
「もう…あんッ…私…我慢…できない…ああんっ!」
とミラクルナイトは声を上げる。その切なる叫びは、ドリームキャンディの心にも響いた。彼女はミラクルナイトの手を握り返し、
「奈理子さん、頑張ってください!オケラ男なんかに屈しないで下さい!」
と力強く励ました。
しかし、そのとき、周囲では一部の市民がスマホを構え、奈理子の苦悶の姿を撮影し始めていた。彼らの目的は、ミラクルナイトの絶頂の瞬間を捉えることにあった。そして、ミラクルナイトは
「もうダメ…イクぅ…」
と小さく呟き、ビクンと身体を震わせた。それが絶頂…、敗北を意味する瞬間だった。
「奈理子さん!」
とドリームキャンディは叫び、急いでミラクルナイトの側に膝をついた。しかし、地中のオケラ男は依然としてミラクルナイトを手放さない。ドリームキャンディはミラクルナイトの脇の下から腕を回して、彼女を地中から引き上げようとした。
ゆっくりと、ミラクルナイトは少しずつ地中から解放されていった。それに気づいたオケラ男は、地中で彼女の太腿を掴み、再び引き込もうとする。そこで、地上のドリームキャンディと地中のオケラ男との間で、ミラクルナイトを巡る引っ張り合いが始まったのだった。
地上と地中、二つの力に引き裂かれるようにして、ミラクルナイトは苦しみの中で
「キャンディ…」
と悲痛に呟いた。彼女の言葉に、ドリームキャンディは
「辛いけど、我慢して下さい」
と励ます。しかし、ミラクルナイトからは予想外の告白が漏れた。
「私…パンツ脱がされているの…」
それに対し、ドリームキャンディは彼女を心強く励ました。
「そんなのいつものことじゃないですか。今日はスカートを穿いている分まだマシです。奈理子さんの脱がされたパンツも私が取り返します!」
その言葉に、地中のオケラ男は嘲笑を浮かべて
「奈理子はイク瞬間、お漏らしもしたんだぜ」
と高らかに宣言した。恥ずかしさに顔を赤くして背けるミラクルナイト。だが、ドリームキャンディの声はさらに高まり、
「うるさい!奈理子さんを虐める奴は私が許さない!」
と叫びながら、身体全体から黄色い光を発した。
その光は、ドリームキャンディの新たな力の証。彼女は
「キャンディパワー!」
と力強く叫び、その言葉と共に、ミラクルナイトの太腿を掴んでいたオケラ男もろとも、彼女を地中から引きずり出した。ミラクルナイトは、地面にカエルのように仰向けに倒れた。スカートが捲れ、晒されたのは奈理子の大切な箇所だった。市民たちは、その無防備な姿に無慈悲にもスマホを向けた。
ドリームキャンディはその無礼を感じ取り、慌ててミラクルナイトを立たせ、彼女の下半身についた土を落としてやった。一方、オケラ男は、得意げに奈理子の汚れたパンツを高々と掲げ、市民に向けて見せびらかした。その汚れた布片は奈理子の屈辱とされ、彼女は涙目で
「やめて…」
と弱々しく呟いた。
しかし、ドリームキャンディはためらうことなく行動に出た。キャンディチェーンを振るい、オケラ男の手から奈理子のパンツを奪い返した。彼女は優しくその土を払い、
「約束通り、奈理子さんのパンツ取り戻しましたよ」
とミラクルナイトに手渡した。かつて純白だったパンツは、土と奈理子自身の体液により汚されてしまっていた。穿くことに躊躇するミラクルナイト。
「奈理子さん、何ぼ~っとしているんですか?早くパンツを穿いて下さい。一緒にオケラ男を倒しましょう!」
と急かすドリームキャンディ。
「うん…」
とミラクルナイトは迷いながらも足を通した。ノーパンの不安を払拭するかのように、汚れた布地が彼女に安心感を与えた。そして、その汚れたパンツを身につけたミラクルナイトは、再び戦う気力を取り戻したのであった。
清らかな意志の宿る、純白の布片。それは奈理子の大切な部分を守る最後の防壁―汚れはついたけれど、その純白パンティを身に纏うことでミラクルナイトは無敵とも言える力を得ていた。水都を守る可憐な守護神としての自負、それは彼女の胸に深く秘められた信念である。
「よくも今まで、私を弄んでくれたわね!」
とオケラ男に向かって、ミラクルナイトは水色の光弾を掌から放った。オケラ男は巧みに反応し、
「そんなもん喰らうか!」
と叫びながら地面に身を潜めた。
「キャンディ、足元に気をつけて!」
ミラクルナイトの声がドリームキャンディに届くと同時に、彼女は華麗にミラクルウイングを広げて空へ舞い上がった。地面から現れたオケラ男に、ミラクルシャインブラストを浴びせる瞬間を見計らう―それはまさにモグラ叩きのごとし。
芝生広場に集まった市民は息をのみ、緊迫した静けさの中で戦いを見守っていた。ドリームキャンディの足元で土がわずかに動く。彼女が反射的に後ろに跳ぶと、地面が割れオケラ男が姿を現した。ミラクルナイトは即座に水色の光弾を放つが、オケラ男はそれを軽やかに避け、空中の彼女を目指して跳び上がる。
巨大な手は、土を掻き分けるようにしてミラクルナイトに迫り、その手の先には鋭く冷たい爪が輝いていた。彼女はぎりぎりのところで避けるが、オケラ男の爪は彼女のブラウスを容赦なく引き裂いた。そこには、中学三年生にしては控えめな奈理子の胸を守る純白のノンワイヤーコットンブラが現れ、汚れたパンツと対照的に、その白さが周囲を照らす。
オケラ男はその光景を見て、得意満面の笑みを浮かべた。
「俺は空中戦も得意だぜ」
と豪語する。ミラクルナイトとオケラ男、空中で対峙する二人の姿は、まるで運命を賭けた一大絵巻の中心であった。
市民たちの温かな声援が芝生広場に響き渡る。
「奈理子さん、負けないで!」
ドリームキャンディの声が一際高く、それが他の声援に火をつけた。しかし、その声援は逆にオケラ男の野望を燃やす。彼は舌なめずりしながら、ミラクルナイトに宣戦布告する。
「この大声援の中で身包み剥いで晒してやるぜ!」
と叫びながら襲い掛かるが、ミラクルナイトはそれを軽やかに避ける。
彼女は空中での数秒の交叉を利用して、オケラ男の動きを完璧に読み切った。空中戦が得意と豪語するものの、トンボ男には及ばない。ミラクルナイトは自信を深める。
「確かに強いけど、トンボ男を倒した私なら勝てる!」
と心で叫びながら、水色の光弾を連射する。オケラ男は身軽にそれを避けるも、何発かは彼の肉体を撃ち抜いた。致命傷には至らないが、攻撃は確実に彼にダメージを与えている。
オケラ男には甲虫のクワガタ男ほどの防御力がないことを見抜いたミラクルナイト。彼の爪が迫り来ると、彼女のスカートを容易く裂き、空中戦の激しさを物語る。スカートの中のパンツが丸見えになるが、それはもはや戦いにおける些末なことだ。見た目の劣勢とは裏腹に、彼女の心は冷静そのものであった。
ミラクルナイトはハイキックでオケラ男を攻撃する。彼の爪が彼女のコスチュームを切り裂くが、彼女は動じない。毎回の攻撃で彼女は新たな戦術を試みる。そしてついに、彼女の決め手、ミラクルヒップストライクがオケラ男の顔面に見事に決まった。空中で繰り広げられる熱い戦いが、その一撃で新たな局面を迎えたのだった。
ミラクルヒップストライクの一撃が決まったものの、地に足がついていない空中では、その威力に限界があった。ミラクルナイトは機転を利かせ、オケラ男の顔面を股間で圧迫しながら、太腿で彼の頭を挟み込む。この予期せぬ密着に、オケラ男は不敵な笑みを浮かべる。だがその歓喜も束の間、
「ミラクルハピネスホイップ!」
という力強い叫びとともに、ミラクルナイトは自らの体を弓の如く反らし、オケラ男を地面に叩きつけるために放り投げた。
空中から繰り出されるミラクルハピネスホイップは、確かに隙が大きい。それを知るオケラ男は、墜落しながらも機敏に体をひねり、地面への着地を図る。その瞬間、
「キャンディ、お願い!」
とミラクルナイトが声を上げる。応える声
「はい!」
と共に、ドリームキャンディの振るうキャンディチェーンが、着地する寸前のオケラ男を縛り上げた。
オケラ男は嘲笑を浮かべつつも、
「こんなもので俺様を捕らえたと思うなよ!」
と叫びながら、圧倒的な脚力で跳躍し、チェーンを解こうとした。一方、ドリームキャンディはキャンディチェーンを握りしめ、引きずられないように必死に踏ん張る。
上空では、ミラクルナイトが静かに集中を高め、水色に輝く光を両掌に集めて天に向かって掲げていた。限界に近いドリームキャンディが
「奈理子さん、早く…」
と囁くと、ミラクルナイトは
「リボンストライク!」
と叫び、両掌から放たれた水色の光がリボン状に変化し、オケラ男に直撃した。光の束が彼の動きを封じ、ついにはその巨体を空中で捕縛する。それはまるで、絢爛たる勝利の糸が、悪を拘束するかのようだった。
水色の光の中で、オケラ男は最後の言葉を残して消えていった。
「奈理子のアソコは眩いばかりのサーモンピンク…」。
彼の言葉が空にこだまする中、ミラクルナイトは着地し、衣を引き裂かれた姿で立ち尽くした。
「何なのよ、それ!」
彼女の声は怒りに満ちていたが、戦いの痕跡は彼女の美しさを隠すことができず、見守る市民たちからは惜しみない拍手が送られた。
「オケラ男が言ったとおり、奈理子さんのアソコ、キレイでしたよ」
とドリームキャンディは満面の笑みを浮かべながら近づいてきた。その言葉に市民たちも
「奈理子、キレイだぞー!」
と声を合わせた。ミラクルナイトは恥ずかしそうに
「キャンディ、助けてくれてありがとう」と微笑んだ。
「イッたときの奈理子さんの顔も凄く可愛かったです」
とドリームキャンディは小声で悪戯っぽく言い、ミラクルナイトは
「誂わないでよ…」
と言いつつ、恥ずかしそうにドリームキャンディの視線から逃れるように背を向けた。戦いの後の芝生広場は荒らされている。
「オケラ男は倒したけど、芝生広場を守ることはできなかった…」
ミラクルナイトは、市には芝生広場を復興させる財力があるのだろうか?と市の財政を心配したが、ドリームキャンディはすぐに彼女の意識を次の任務へと向けさせた。
「バッタ男を倒さなければなりません」。
ミラクルナイトは
「バッタ男は強い…私の力だけじゃ勝てない…」
と自信を失くしていたが、ドリームキャンディはそんな彼女に抱き着いて、
「奈理子さんは一人じゃありません。私がいます。もうすぐセイクリッドウインドも復帰します」
と力強く伝えた。土と汗にまみれた奈理子の体臭が、彼女にはなぜか心地よかった。
「キャンディ、一緒にバッタ男と戦って」
とミラクルナイトは彼女の頭を撫でながら頼んだ。その優しいジェスチャーに応えるように、夕日が二人を温かく照らした。戦いの余韻が残る中、二人のヒロインが抱き合う姿は、新たな希望の象徴のように市民に映った。
(第96話へつづく)
(あとがき)












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