ミラクルナイト☆第117話
野宮奈理子、水都中学の三年生。彼女はAカップの普通の女子中学生だが、その正体は水都市民であれば誰もが愛する正義のヒロイン、ミラクルナイトである。水都の平和を守ることを使命とする奈理子は、平時は恋と受験勉強に励む普通の女子中学生として過ごしている。彼女の戦いは苦戦の連続であり、無様な敗北も多いが、可憐な美少女ヒロイン奈理子に対する市民の信頼は揺るぎない。
三学期が始まり、水都中学三年A組の教室は生徒たちの活気に満ちていた。しかし、中学生としての日々もあと僅か。高校受験と卒業、そして別れが迫っている。水都の絶対アイドルである奈理子もその一人だ。第一志望の水都女学院高校の願書提出を済ませ、来月にはいよいよ受験が待ち受けている。専願であるが、受験の不安は消えない。水都市民の希望の星、ミラクルナイトである奈理子が受験に失敗する訳にはいかない。プレッシャーに負けないように気を引き締める奈理子に、
「奈理子、どうしたの?」
と友人の綾香が声を掛ける。
綾香とは小学校の時からの親友であり、水都高校を志望している。奈理子と綾香は高校進学後も別々の学校になってしまうことに戸惑いを覚えるが、綾香は軽快に話題を切り替え、
「ライムくんと別の学校になるのが寂しいんじゃない?」
と笑いかける。奈理子はそんな綾香を叩き、
「違うよ〜」
と笑いながら答える。彼女は受験生としての不安と、ミラクルナイトとしての使命を背負いつつも、短い中学生活を精一杯楽しもうとしていたのだ。
穢川町にそびえ立つ「合同会社穢川研究所」の社長室では、勅使河原が満足げに微笑む中、渦巻の表情は陰りを帯びていた。水都製薬の新しい研究拠点として完成したこの研究所は、勅使河原が率いる一味の中枢としての役割を果たすことになるはずだった。後日、水都大学の九頭を研究の責任者として迎え入れる予定だ。
「これで我々の目的は大きく前進した。あとは九頭先生が来るのを待つだけだな」
と呟く勅使河原に対し、渦巻は懸念を示す。最強クラスの実力を持つイセエビ男の敗北は渦巻にとって大きなショックだった。
「ミラクルナイトを早く始末しなければなりません」
と進言するが、勅使河原はあまり深刻に考えていないようだった。
「イセエビ男が敗れたのは想定外だったが、気にすることは無い」
と彼は答える。ミラクルナイトなど、彼にとってはただの子娘に過ぎない。
しかし、渦巻は諦めずに提案を続ける。
「イチゴ女を差し向けましょう。彼女ならミラクルナイトを翻弄できるはずです」
と勅使河原に訴える。考え込む勅使河原。イチゴ女こと姫野真衣香は水都製薬の社員であり、特に優秀なわけではないが、勅使河原の前任者である柏原が可愛がっていた存在だ。勅使河原は考えを巡らせた後、
「姫野に実戦を経験させるのも悪くはないな。牛島と潮田にも行かせよ」
と渦巻に命じる。牛島はウミウシ男、潮田はシオマネキ女である。
奈理子に危機が迫る。彼女の周りには、水都製薬の裏で暗躍する勅使河原の一味が影を落としていた。
水都市内のファミリーレストランで、スーツ姿の姫野真衣香はラフな服装の牛島と渚と向かい合って座っていた。
「知っていると思うけど、姫野さんは初めての実戦だから簡単な説明するね」
牛島が真衣香にミラクルナイトやドリームキャンディ、セイクリッドウインドについて説明する。
「ミラクルナイトの正体は水都中学三年生の野宮奈理子。水都市民の誰もが大好きな美少女だけど、ミラクルナイトは恐ろしく弱い」
真衣香は不満げな表情を浮かべる。
「ドリームキャンディはまだ小学生だけどミラクルナイトよりはずっと強い。ドリームキャンディの正体は僕たちはまだ把握していない。」
と、真衣香はそっぽを向いている。
「最後にセイクリッドウインド。彼女のことは知ってるよね?ナメコ姫の風間凜。勅使河原さんの元愛人の裏切者だ」
説明が終わった牛島が真衣香は顔を覗き込む。
「嫌よ」
と呟く真衣香に
「は?」
と驚く牛島に、
「私の苺の能力って、可愛くて甘くて美味しいことよ。そんな能力でどうやって戦えばいいの!」
と真衣香は牛島の目を見つめて告げる。
「確かに姫野さんは可愛いけど…。ミラクルナイトは弱いから心配することはないよ。他の二人は僕たちが抑えるから」
牛島は軽く答えるが、
「あのイセエビ男を倒したミラクルナイトに苺が勝てるはず無いでしょ!」
真衣香はムキになってしまう。
「確かにミラクルナイトは極稀に強いときもあるけど、基本的には恐ろしく弱いんだよ。渦巻さんが姫野さんを推薦したんだ。苺には何かすごい能力があるはずだよ」
と励ます牛島にも、真衣香はイヤイヤするばかりだ。そんな中、今まで俯いて一言も話さなかった渚が口を開く。
「この人はダメです。牛島さん、行きましょう」
と真っ直ぐな渚が席を立つ。それに対し、
「待ちなさい、潮田渚。地味で暗くていつもウジウジしている貴方にダメ出しされる言われはないわ!」
真衣香が反撃するが、渚は彼女の言葉を逆手にとって反撃する。
「自分で自分を可愛いなんて馬鹿みたい。アンタも奈理子と同じで可愛いだけが取り柄のザコ女よ」
まさか渚に反撃されるとは思っていなかった真衣香は一瞬怯むが、
「分かったわ。苺の力、見せてあげる。『かわいいは正義』と言うことを貴方に思い知らせてあげるわ!」
と真衣香が渚に宣言する。牛島が慌てて宥めようとするが、真衣香は
「戦いのときは、絶対に私を守ってよ」
とコソッと牛島にお願いする。
ファミリーレストランの一角で、三人のやりとりが続く中、彼らを待ち受ける戦いの影が迫っていた。
水都公園に立ち、真衣香、牛島、渚の三人が静かに立ち尽くしていた。牛島が口を開く。
「奈理子は放課後に図書館で勉強した後、必ずここを通る。その時に奈理子を襲うんだ」
と真衣香に告げる。真衣香は震えていた。それを見た渚は
「ビビり過ぎて、奈理子みたいにお漏らししないでくださいよ」
と真衣香を嘲る。真衣香は渚を睨むも、その表情は怯えの色が隠せなかった。
真衣香は心の中で過去を振り返る。新入社員だった頃の彼女に、柏原が甘くて美味しい苺の薬を与えてくれた。真衣香は苺の薬が大好きで、愛らしいイチゴ女の姿も気に入っている。柏原は真衣香に付きまとっていたが、ミラクルナイトの出現以降は奈理子に興味が移ったようだった。その柏原はミラクルナイトとの戦いで敗れ、今はもうこの世にはいない。柏原の後任となった勅使河原は、薬の使用者を駒のように扱い、彼らを戦いに差し向ける。勅使河原が子会社の研究所に行ってホッとしていたところだった。しかし、今回の指令は彼女にとって初めてのものだ。水都市民の絶対ヒロイン奈理子を襲うことは、水都市民の反感を買うことになる。可愛いイチゴ女が悪役になることを真衣香は望んでいない。
「渚も初めての戦いのときは怖がってたじゃないか」
牛島は渚を軽口でからかうが、渚は応える。
「真衣香さんよりはマシでしたよ」
と言う。真衣香は、彼らの言葉に狂気を感じる。その時、牛島が声を上げる。
「あ、奈理子がやって来た」
と言った。水都中学のセーラー服を身に纏った美少女奈理子が歩いて来る。私も狂わなければ、戦いなんかやっていられない。そう自分を奮い立たせ、真衣香はイチゴ女に姿を変えた。
水都公園に立つ三人の姿が、静かな戦いの始まりを告げる。
甘酸っぱいフルーティな香りが水都公園に漂う。奈理子はその香りにうっとりとし、
「いい匂い。香丸さんの匂いとは違う…」
と呟く。メロン男の香丸のジューシーな香りとは異なり、この香りは何か新しいものだ。香丸でないなら、それは敵だと奈理子は身を引き締めた。
その時、突然、鮮やかな赤い姿のイチゴ女が姿を現す。イチゴ女は堂々と立ち、
「早くミラクルナイトに変身しなさい」
と奈理子に迫る。
「変身中に攻撃しないでよ!」
と奈理子が警告すると、イチゴ女は憤慨して答える。
「そんな卑怯なことはしないわ!」
奈理子は決意を込めてアイマスクを装着し、ミラクルナイトに変身する。二人のヒロインが対峙し、水都公園の静けさが緊迫感に包まれる。
ミラクルナイトとイチゴ女が目と目を合わせる。公園の静けさが一層深まり、その瞬間、空気が張りつめた。
イチゴ女が先手を取り、素早く飛び上がってミラクルナイトに向かってパンチを繰り出す。しかし、ミラクルナイトはその攻撃を見切り、巧みに身をかわして反撃の機会をうかがう。
「やるわね、イチゴ女!」
ミラクルナイトが叫ぶと、彼女の身体に勢いが宿り始める。その瞬間、彼女の周りに水色の光が輝き出し、力強い風が吹き始める。
イチゴ女も決意を込めて立ち向かう。
「私も負けないわ!」
彼女の体からも赤い光が放たれ、その周囲には甘い香りが漂う。彼女の能力が発動した瞬間だ。
二人のヒロインが力をぶつけ合い、公園の空気がその熱気で包まれていく。果てしない戦いの中、勝利を掴むのは果たして誰なのか。その行く末に、水都市の運命がかかっている。
激しい戦いが続く中、ミラクルナイトとイチゴ女は互いに拮抗しつつも、それぞれの力を存分に発揮していた。
ミラクルナイトは敏捷さと正義の意志を胸に、イチゴ女の攻撃を見切り、敏捷に回避し続ける。一方のイチゴ女は、その甘い香りと果実の力を駆使して、ミラクルナイトに迫り続ける。
公園の一角から、市民たちの声援が聞こえてくる。彼らはミラクルナイトの勝利を願い、応援していた。
しかし、戦いの中で両者は互角の力を持ち合い、勝敗は未だ見えない。その緊迫した瞬間、ミラクルナイトが決死の覚悟を持って、最後の一撃を放とうとする。
「私はミラクルナイト、絶対に負けられない!」
奈理子の決意が力になり、彼女の身体からまばゆい光が放たれる。
その光の中、イチゴ女も決意を固め、自らの力を最大限に解放する。二人のヒロインの覚悟が交錯する中、果たして勝利の行方はどちらへと傾くのか。それは水都市の未来を左右する大きな戦いの結末へと続いていく。
牛島と渚は、水都公園の一角から激しい戦いを見守っていた。彼らはミラクルナイトとイチゴ女の戦いに注目し、その行く末を静かに見守っていた。
渚が牛島に
「ミラクルナイトと互角なんて、やっぱりイチゴ女は弱いですね」
と冷ややかな口調で話した。牛島は微笑みながら
「渚は初めての戦いでミラクルナイトとドリームキャンディをまとめて倒したからな。姫野さんは、彼女なりによくやってるよ」
とイチゴ女を庇う。
渚は牛島に疑問を投げかける。
「渦巻さんは、何でイチゴ女なんかを推したんですか?」
と。牛島は首を傾げながら
「さぁ?パワー系のイセエビ男が負けたから、次はほんわか系のイチゴ女にしようと思ったのかもしれない」
と答える。
一進一退の攻防が続く中、市民たちはミラクルナイトだけでなくイチゴ女にも声援を送り始める。その光景を見て、渚は不満を募らせる。
「ザコ同士の戦いのどこが面白いんだか」
と呟く。そして、
「私も行っていいですか?」
と牛島に問う。
牛島はうなずきながら
「うん、そろそろドリームキャンディたちが来るかもしれないしね」
と返す。渚は決意を込めて、
「今日は私が奈理子をやります」
と言い、シオマネキ女に姿を変えた。
二人のヒロインが交わる戦いの行方に、水都市の運命がかかっていることを彼らは知っていた。
「ミラクルナイト頑張れー!」
「イチゴ女負けるなー!」
水都公園には、暖かい声援が響き渡る中、ミラクルナイトとイチゴ女の戦いが繰り広げられていた。市民たちの期待に応えるかのように、二人は激しく交錯し、その実力を存分に発揮していた。
「苺走出枝!」
とイチゴ女が伸ばした茎がミラクルナイトを襲うが、ミラクルナイトは辛うじて躱した。
「ミラクルシャインブラスト!」
とミラクルナイトが放った光弾も、イチゴ女によって辛うじて躱される。
「なかなかやるわね」
とイチゴ女。
「貴方もね」
とミラクルナイト。
息が荒げ睨み合う二人だが、互いの実力を認め合い、全力で戦いを繰り広げる。初めての実戦を経験するイチゴ女は、自身の苺の能力に驚きながらも、ミラクルナイトとの戦いに集中していた。
しかし、その戦いを邪魔する者が現れる。
「イチゴ女、アンタの役目は終わり。あとは私がミラクルナイトを痛みつけてやる」
シオマネキ女が電磁鋏を振るい、ミラクルナイトを襲った。
「あぁッ!」
ミラクルナイトは一瞬のうちに躱すが、スカートが切り裂かれてしまった。ミラクルナイトのスカートはハラリと落ちてしまった。
「ブラウスも一緒に切り裂くつもりだったけど、少しは腕を上げたわね」
シオマネキ女は、純白のショーツが露わになったミラクルナイトを嘲笑う。
「シオマネキ女、私とミラクルナイトの戦いの邪魔をしないで!」
とイチゴ女が抗議するが、シオマネキ女は傲慢な笑みを浮かべながら嘲る。
「ミラクルナイトごときに苦戦しているみたいだから、代わってあげるのよ」
シオマネキ女はイチゴ女を見下したように言い放つ。
「ミラクルナイトは私が倒すの!」
「さっきまで怯えていたくせに」
シオマネキ女はイチゴ女までも嘲笑う。
その様子を見かねて、ウミウシ男も現れ、イチゴ女に戦いを終わらせるよう促す。
「イチゴ女、君の使命は実戦を体験することだ。よくやったから、後はシオマネキ女に任せるんだ」
ウミウシ男はこれ以上戦い続けて、イチゴ女に怪我をさせてはいけないと考えていた。
しかし、その時、ドリームキャンディとセイクリッドウインドが到着し、戦いに加わることを決意する。
「奈理子さん、またスカート脱がされちゃって…」
とドリームキャンディが心配そうに呟くが、セイクリッドウインドは微笑みながら
「その格好がミラクルナイトらしいわ」
と励ます。
こうして、ミラクルナイト、ドリームキャンディ、セイクリッドウインドと、ウミウシ男、シオマネキ女、イチゴ女の間で繰り広げられる水都公園の戦いは、ますます激しさを増していくのだった。
「この二人はミラクルナイトより強い。君は下っているんだ」
とウミウシ男がドリームキャンディとセイクリッドウインドの前に立ち塞がる。彼の言葉に、イチゴ女は心の中で感謝の念を抱く。
「可愛い苺ちゃんを庇って、私たち二人を相手にするつもり?」
とセイクリッドウインドがガストファングを手に笑みを浮かべる。一方、ドリームキャンディはキャンディチェーンを手にし、ウミウシ男を警戒する。
「ウミウシ男は強いですよ。注意してください」
とドリームキャンディに注意を促す。ドリームキャンディは、過去の戦いからウミウシ男の体にはキャンディチェーンが通用しないことが分かっていた。が、その言葉にもかかわらず、セイクリッドウインドは
「じゃ、キャンディも下がってな。それ!」
とガストファングを振るう。風の刃がウミウシ男を斬り付け、勝利を確信したセイクリッドウインド。しかし、ウミウシ男は動じない。
「こんなもの、僕には通用しないよ」
風の刃で斬られたウミウシ男の体が再生していく。
「ウミウシには再生能力があることをナメコ姫は知らないらしな」
とウミウシ男が言うと、
「あぁ…」
とセイクリッドウインドは驚きを隠せない。再び戦いが始まり、ガストファングもキャンディチェーンもウミウシ男に効かないことを悟った二人は、苦しい戦いを強いられることを覚悟する。
一方、水都公園の別の場所では、ミラクルナイトとシオマネキ女の戦いが激しさを増していた。
「大勢の市民の前でうんと恥ずかしい目に遭わせてあげる」
とシオマネキ女が冷酷な笑みを浮かべ、ミラクルナイトの純白のショーツに執拗な視線を送る。慌てて両手でショーツを隠すミラクルナイトに、市民たちは声援を送る。
「奈理子、負けるなー!」
市民の声援が、ミラクルナイトの勇気を後押しする。
「私は、水都の守護神ミラクルナイト。今日は負けないわ!」
ミラクルナイトは勇気を奮い立たせ、自らの使命を再確認する。
「弱っちいくせに人気だけは水都一のアンタを見てると虫唾が走るのよ!」
シオマネキ女の言葉に、ミラクルナイトは憤りを覚える。彼女の前に立ちはだかるこの悪を打ち倒すために、彼女は全力を尽くす覚悟だ。
シオマネキ女に勝つためには、空から攻めるしかないと判断したミラクルナイトは、ミラクルウイングを広げる。
「おぉー!」
市民たちから感嘆の声が上がる中、彼女は空に向かって飛び立とうとする。しかし、その瞬間、シオマネキ女が溶解泡を浴びせかけた。
「あぁ~!」
溶解泡に襲われたミラクルウイングは溶け始め、ミラクルナイトは絶望に包まれる。
「空には逃さないよ!」
シオマネキ女が電磁鋏を振るうが、ミラクルナイトは紙一重でそれを躱す。
斬りつけられたブラウスの隙間から白いブラジャーが覗く中、
「武器を持たず、翼も傷つけられたミラクルナイトなんて、ただのマゾっ子ね」
とシオマネキ女が嘲笑する。
「奈理子はただのマゾっ子じゃないぞー!可愛いマゾっ子だー!」
「奈理子頑張れー!」
市民の声援がミラクルナイトのピンチに力を与える。
「私にも武器はあるわ!みんなが私に与えてくれる勇気よ!」
彼女は市民の期待を胸に、自らの持つ勇気で戦いに挑む覚悟を新たにするのだった。
「えい!」
ミラクルナイトが水色の光弾を連射するが、シオマネキ女はそれを弾き飛ばしながら、執拗に彼女に迫る。ミラクルナイトは唸る電磁鋏を転がりながら躱し距離を取る。
「逃げてばかりのマゾっ子にはお仕置きよ!」
シオマネキ女が再び溶解泡を放つ。
「フェアリーシールド!」
ミラクルナイトは両手から水色の防御壁を展開し防ぐ。
しかし、このままではシオマネキ女には勝てない。ミラクルナイトは過去の戦いを思い出し、水都大学プロレス同好会での特訓を思い返す。
「まずは、シオマネキ女の左手の電磁鋏をなんとかしないと…」
懐に入る勇気を振り絞り、彼女は電磁鋏の攻撃に立ち向かう決意を固める。
「いつもより敏捷いわね。でも、いつまで持つかな」
シオマネキ女が攻める中、ミラクルナイトは徐々に斬りつけられ、ブラウスは既に原形をとどめていない。
「奈理子、危ない!」
「奈理子、避けろ!」
市民たちの声援が飛び交う中、彼女は市民の期待に応えるため、勇気を奮い立たせる。
「素顔を晒しなさい!」
シオマネキ女の電磁鋏がミラクルナイトのアイマスクを弾き飛ばし、その瞬間、奈理子の素顔が露になる。ミラクルナイトはその隙を見て、シオマネキ女の左腕に跳びついた。
「ミラクルアームロック!」
ミラクルナイトが飛びつき、腕ひしぎ十字固めでシオマネキ女の左腕を極める。
「あぎゃぁ!」
シオマネキ女が声にならないような悲鳴を上げ、その痛みに身をよじる。
市民たちは喜びの歓声を上げる。
ドリームキャンディとセイクリッドウインドを相手に優勢に戦っていたウミウシ男は、シオマネキ女を救出に向かおうとするが、
「行かせないよ!」
とセイクリッドウインドが振るったガストファングの竜巻に阻まれる。
「ミラクルナイトを振りほどけ!」
竜巻に飛ばされないように地面にしがみつき身動きが取れないウミウシ男が叫ぶが、ミラクルナイトは容赦なくシオマネキ女の腕を締め付ける。
「奈理子さん、ウミウシ男は私たちが抑えるから、シオマネキ女を仕留めてください!」
ドリームキャンディが言うと、ミラクルナイトはシオマネキ女に迫る。
「よくも今まで散々恥ずかしい目に遭わせてくれたわね。降参しなさい!」
「誰がアンタなんかに!」
シオマネキ女が悔しさをにじませるが、ミラクルナイトの圧倒的な力に抗うことはできない。
水都公園で二人の戦いを見守る市民たちは、ミラクルナイトの勝利を確信していたその瞬間、
「苺苦無!」
という声とともに、先端が苺の形をした手裏剣がミラクルナイトを襲った。
「きゃぁ~!」
ミラクルナイトが悲鳴を上げる。破裂した苺苦無から漂う濃厚な苺の香り。そのに甘い香りに包まれながらミラクルナイトは地面に倒れる。
「あぁ…」
勝利が手前にあると思われた瞬間、ミラクルアームロックを解かれ、ミラクルナイトは苦しんで地に伏せた。シオマネキ女は痛みに苦しみながらも立ち上がることができない。
「貴方は嫌いだけど、貴方を助けなきゃ変な報告されるかもしれないからね」
とイチゴ女がシオマネキ女に告げる。
アンタなんかに助けられるなんて…
シオマネキ女はイチゴ女を睨みつける。
「元々、私とミラクルナイトの戦いだったのに、あなたが割り込んできたんでしょ」
とイチゴ女は言う。そして、
「苺苦無を受けて、まだ戦える?」
イチゴ女がミラクルナイトに尋ねると、よろめきながら立ち上がるミラクルナイト。しかし、まだ彼女の目には闘志が宿っていた。
「これが答えよ!」
とミラクルナイトが水色の光弾、ミラクルシャインブラストを放つが、イチゴ女は躱す。
「かなり疲れてるみたいだから、一発で終わらせてあげる。苺流星錘!」
イチゴ女が手にする茎から延びる巨大な苺が飛んできて、ミラクルナイトを吹き飛ばす。
「うげっ」
ミラクルナイトは吹き飛ばされ、意識を失う。
「どんどん苺の能力が目覚めてくる…苺の力って凄い…」
イチゴ女は驚きながらも、苺の戦闘能力に感心していた。
「イチゴ女、帰るよ」
とシオマネキ女を抱えるウミウシ男が言う。
「まだ、あの二人がいるじゃない」
とイチゴ女がドリームキャンディとセイクリッドウインドを指差す。二人ともウミウシ男との戦いで力が尽きようとしていた。
「シオマネキ女はもう戦えない。ここが潮時だ」
とウミウシ男が告げ、シオマネキ女を連れて去っていく。
イチゴ女はもっと苺の能力を試したかったが、ウミウシ男に従って場を後にした。
敵が去った後、水都市民は茫然としながらも、勝利目前だったミラクルナイトの突然の敗北に驚いた。彼らの期待が一瞬で打ち砕かれ、静寂が公園に広がった。
「奈理子さん!」
ドリームキャンディが駆け寄り、苺流星錘を喰らい大股を開いて敗北した姿を晒して倒れたミラクルナイトの姿に心を痛めた。白いショーツのクロッチの奥に奈理子の大切な箇所がある。隠してやらなければと、ドリームキャンディはそっとミラクルナイトの股を閉じてやった。
「奈理子、よくやったわ。シオマネキ女には勝っていたし、パンツも脱がされなかった」
とセイクリッドウインドも近づき、ミラクルナイトの頬を撫でた。髪を飾る白いリボンが敗北失神した美少女奈理子の美しさを際立たせていた。
「シオマネキ女をあそこまで追い詰めたのは初めてです。イチゴ女さえいなければ…」
ドリームキャンディが悔しげにつぶやく。ドリームキャンディに抱きしめられ、目を覚ますミラクルナイト。
「私…また負けたの…?」
ミラクルナイトが溜息をつく。
「今日の奈理子は強かったよ。ねえ」
セイクリッドウインドが水都公園の市民に同意を求める。
「奈理子、かっこよかったぞー!」
「イチゴ女との戦い、すごかった!」
「シオマネキ女は逃げて行ったぞー!」
市民たちの歓声に包まれ、自信を取り戻したミラクルナイトの笑顔が戻った。
「奈理子、今日も素晴らしかったよ!」
市民の声に囲まれ、ミラクルナイトは心から嬉しさを感じた。
「いつものことだけど、奈理子さんの人気は凄いですね」
とドリームキャンディが笑いかける。
「水都の人たちは、みんな奈理子が大好きだからね」
とセイクリッドウインドも加わる。市民の温かい声援を受け、奈理子は再び水都の守護神としての自覚を強めた。
彼女の心には、この街と市民を守るために、ますます強い意志が宿っていた。
(第118話へ続く)
(あとがき)













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