ミラクルナイト☆第119話
奈理子の部屋には穏やかな時間が流れていた。勉強に集中する奈理子と、漫画を読んでいる隆。二人の兄妹はそれぞれの世界に没頭していた。
しかし、受験まであと二週間と迫り、奈理子はますます焦りを感じていた。勉強が苦手な彼女は、ミラクルナイトとしての使命がるために塾に通うこともままならず、自己流での勉強に励んでいた。それでも、志望校の水都女学院への合格を勝ち取るためには、彼女の全力が必要だった。
「姉ちゃん、受験が終わるまでミラクルナイトの活動を休んで、ドリームキャンディに任せたらどうだ?」
隆がコタツの中を覗きながら言う。ミラクルナイトは、たまに強い時もあるが、普段はお世辞にも強いとは言えない。敵に敗れ、奈理子は入院したこともある。受験直前のこの時期に奈理子の身に何かあったら、高校浪人ということになりかねない。弟なりに隆は、姉である奈理子を心配していた。
奈理子はノートから顔を上げ、隆の提案に考え込んだ。彼女はミラクルナイトとしての責任を果たすために日々戦い続けてきたが、そのことが受験勉強に支障をきたしていることも事実だった。
「そうはいかないわ。私は、勉強もミラクルナイトも全力でやり遂げたいの」
と奈理子は返答した。
隆の返事が無い。奈理子がノートから頭を上げて見ると、隆はコタツの中に頭を突っ込んでいた。コタツの中で奈理子はだらしなく股を広げていた。慌てて股を閉じた奈理子は
「そんなことより、隆はドリームキャンディとどんな関係なの?」
と突然尋ねる。
「寧々ちゃんと付き合っているのに、妙にキャンディとも仲が良いじゃない」
奈理子の言葉に隆は慌てて頭を出し、
「寧々とは付き合ってねぇよ」
と否定する。
「でも、好き合ってるんでしょ。商店街で隆と寧々ちゃんは噂になってるよ」
奈理子はふと閃いた。
「まさか、ドリームキャンディの正体は…」
と口にする。奈理子が寧々と二人で光る花の調査に行ったとき、奈理子が気を失っている間にタイミングよくドリームキャンディが現れて敵を追い払ってくれた。ドリームキャンディの正体は…。
しかし、隆はその考えを遮り、
「それは考えるのは止めろ。ドリームキャンディの正体は、明かすべきときにドリームキャンディが明かすだろう」
と告げる。
奈理子は隆の言葉を受け止める。彼女はドリームキャンディの正体について考えたが、隆が言うように、その時が来るまで待とうと決意した。
「姉ちゃん、今日も一緒に寝るか?」
隆が話題を変える。
奈理子は微笑みながら頷き、
「小六になってもお姉ちゃんと一緒に寝ていると、寧々ちゃんが知ったら悲しむよ」
と答えた。彼女の心には、ドリームキャンディの謎と、水都女学院への受験の重圧が共存していた。
水都第一小学校六年三組の教室では、三学期になると中学受験を控えた生徒が学校に出席しないことが多かった。そんな中、隆は同級生の寧々に対して疑問を抱いていた。
「寧々は何で受験しないんだ?」
隆は、割と裕福な家庭で育った優等生の寧々が受験せずに市立の水都中学、略して「水中」に進学するのは疑問だと考えていた。
「水中はいい学校だよ。OBに奈理子さんもいるし」
と寧々は答える。
「姉ちゃんはまだOBじゃないぞ」
と隆が突っ込むと、
「私と隆が水中に入学するときは、奈理子さんはOBでしょ」
と寧々は返す。
しかし、隆は
「姉ちゃんは卒業するが、姉ちゃんの彼氏は水中に残るな…」
と口にする。奈理子の彼氏であるライムは今、中学一年生である。
「隆、中学になったら奈理子さんの彼氏と喧嘩しちゃダメだよ」
と寧々は注意する。彼女は、奈理子と隆の姉弟の絆は普通の兄弟よりも強いと思っている。寧々は、奈理子に微かな嫉妬心を起こしながら、隆にはライムの正体がスライム男だと言うことは隠さなければならないと思った。
しかし、隆はライムのことを良く思っていない様子だ。
「寧々、頼みがある」
と改まって隆が言う。
「姉ちゃんは来月の初めに入試がある」
隆は奈理子の身体を心配していた。寧々は隆の気持ちを察し、
「奈理子さんが戦う前に、私が敵を倒せばいいんでしょ」
と言う。隆の期待に応えたい寧々だったが、彼女は
「隆は私のことをどう思ってるの?」
と尋ねてみた。
「ドリームキャンディはミラクルナイトよりずっと強いと思ってる」
と隆が言うと、寧々は
「バカ」
とつぶやいた。
水都郊外の森の中で、若い男女の集団が汗を流しながら土を掘っている。その中を、渦巻は案内されていた。若い男女らは天野妙華の指示のもと、教祖が唱える理想郷を築こうとしていた。重機などはなく、全てが人力による作業だ。
宗教法人「或る或る教団」は我が国有数の宗教団体だ。政党までも有し、水都市議会への影響力も絶大だ。このような辺鄙な場所ではなく、都心でもリゾート地でも、教祖が望む場所に理想郷を作る財力はあるはずだ。
「何故、このような場所に?」
渦巻が疑問を口にすると、妙華は
「教祖様は喧騒を望みません。理想郷の存在は俗人に知られてはならないのです」
と答えた。渦巻は俗物を地で行くような教祖が何を言うと腹の中で笑っていたが、その言葉には素直に従った。
「しかし、この地をミラクルナイトとドリームキャンディに知られてしまいました。そのせいでヒラムシ男が命を落としました…」
妙華が悲しみを込めて語る。渦巻はその事実に納得し、彼女の次の言葉を待った。
「この地を守るために、薬がもっと必要なのです」
と妙華が渦巻に訴える。渦巻は笑顔を浮かべ、
「或る或る教団は我々にとっても大切な存在です。手配しておきましょう」
と答えた。
「そちらのお望み通りの金銭は支払います。できるだけ多くの薬をお願いします」
と妙華が頭を下げる。渦巻は彼女の要望を受け入れ、
「分かっております。それでは、ミラクルナイトとドリームキャンディはいかがなさるのですか?」
と尋ねる。
「ミラクルナイトは取るに足らない存在です。ドリームキャンディにはセンブリ男を向かわせます」
と妙華が答えた。
或る或る教団から取るに足らない存在呼ばわりされいることも知らず、いつものように水都公園を通り抜ける奈理子は、今日も気持ちよさそうに歩いていた。勉強に疲れた身体を思いっきり動かしたいと思っていた。
「イチゴ女とまた戦いたいな…」
近頃はスケベな敵ばかりと戦っている奈理子は、正々堂々と力を出し合ったイチゴ女との戦いは清々しかった。
「苺苦無と苺流星錘には注意しなきゃ。次にイチゴ女と戦うときは…」
奈理子は歩きながらイチゴ女対策を考える。
しかし、突如として植物の怪人が現れた。
「イチゴ女じゃなくて俺が遊んでやるぜ」
と言い放つ怪人に驚いた奈理子は、
「なっ…何?」
と声を上げる。突然の出来事に戸惑いながらも、センブリ男の言葉に耳を傾ける。
「俺はセンブリ男。ミラクルナイトの奈理子だな?噂に違わぬ美少女だ」
とセンブリ男がニヤリと笑う。奈理子は彼の舐めるような視線にたじろぐ。
「ジロジロ見ないでよ!私の身体を狙っているの…?」
と奈理子が恐れると、センブリ男は自らの狙いを告げる。
「俺の狙いはドリームキャンディだ。奈理子を捕らえてドリームキャンディを誘き寄せる」
と言った。
「そう簡単には捕まらないわ!」
と奈理子がミラクルナイトに変身しようとするが、センブリ男はそれを阻止しようとする。
「変身中は手を出さないでよ!」
と奈理子が彼を睨みつける。
しかし、センブリ男は奈理子の抵抗に耐えず、
「嫌だね。セーラー服のままの奈理子をたっぷりと可愛がってやる」
と言い放つ。奈理子は血の気が引くが、
「あっ!ドリームキャンディ!」
と奈理子はセンブリ男の背後を指す。センブリ男が振り返る隙に背を向けて駆け出した。
「騙したな、奈理子!」
とセンブリ男が叫びながら、奈理子を追いかけていく。
多目的トイレ美向かって掛ける奈理子。内部に駆け込み、鍵を掛ければ変身する時間は稼げる。奈理子の心臓が高鳴った。センブリ男が怒りと欲望に燃え、穂先が尖った蕾のような槍を手に奈理子を追っているのだ。
「逃さんぞ、奈理子!」
センブリ男の荒々しい声が響く中、奈理子は一瞬たじろぐが、すぐに自分を取り戻した。センブリ男は植物系の怪人だが、蔓を触手のように伸ばしてくることはなさそうだ。逃げ切れる、と奈理子は思った。
「これでも喰らえ!」
センブリ男が槍を振りかざし、奈理子の方へ向けて突き放つ。
「ああッ!」
足元に飛んできた槍を避けたが、躓機倒れる奈理子。スカートが捲れ、奈理子の白い太股とショーツが露わになった。センブリ男が奈理子に迫る。地面に尻をつけながら後退りする奈理子。
「いい眺めだな。濃紺のスカートに純白のパンティが眩しいぜ」
奈理子はセンブリ男の言葉に驚きながらも、身をかわし、石を手に取る。
「えい!」
「うわ!」
勢いよく石を投げつけ、センブリ男の顔面を直撃させる。センブリ男は痛みに歪む表情を浮かべ、奈理子の攻撃に対する隙を見せた。
奈理子はその隙をついて多目的トイレに駆け込み、扉を閉め、鍵をかけた。しかし、その直後、強烈な衝撃とともに多目的トイレが破壊される音が轟いた。奈理子の心臓が凍りつく。
「出て来い、奈理子!」
センブリ男の荒々しい声が再び響く中、奈理子は必死にアイマスクを装着し、ミラクルナイトに変身する。その瞬間、多目的トイレの残骸が崩れ落ち、センブリ男が姿を現した。
しかし、そこに立っていたのはセーラー服姿の奈理子ではなく、白い翼を広げ、勇ましく立ち上がるミラクルナイトの姿であった。
「センブリ男!水都の平和を乱す者は、ミラクルナイトが許しません!」
ミラクルナイトの声が荒々しく響く中、センブリ男は嗤いながら近づいてくる。
「セーラー服の奈理子は惜しかったが、ミラクルナイトの奈理子も悪くはないな」
センブリ男の冷たい笑みが、戦場に不穏な空気を漂わせた。
水都公園でミラクルナイトとセンブリ男の戦いが始まろうとするとき、寧々と隆は商店街をパトロールしていた。地元の人々から愛される奈理子の弟である隆もまた、商店街の人々に愛されている。
「いつも二人仲良いねー」
と果物屋のおじさんが声をかける。隆は得意気に応え、
「俺の手に掛かれば、小学生の女子なんてイチコロだ」
と自信たっぷりに答える。寧々はその発言に微笑みながらも、隆の言動に呆れるばかりだ。
隆が優等生の寧々を連れて歩いている姿に、果物屋のおじさんも嬉しそうだ。
「隆が寧々ちゃんみたいな優等生と付き合っているなんて、商店街のみんなは鼻が高いよ」
と言い、二人の仲の良さを喜ぶ。隆の発言に赤面する寧々は、照れながらも微笑みを浮かべた。
その時、突然町内放送が鳴り響く。
「水都公園にセンブリ男が出現、ミラクルナイトと交戦中」
との報せが飛び込んできた。隆は悔しそうに呟き、
「チッ、水都公園か」
と言った。
寧々は即座に行動を開始し、
「私、行ってくる」
と言い、隆を置いて商店街を後にする。
「姉ちゃんを、頼んだぞ」
と隆が寧々の肩を掴むがと、寧々は
「任せといて。奈理子さんは私が守る」
とドリームキャンディに変身するために走り出した。
水都公園の噴水広場では、センブリ男がドリームキャンディを待ち構えていた。光とともに、ドリームキャンディが姿を現す。しかし、センブリ男が手にしていたのは、奈理子の濡れたパンツだった。
「奈理子さんはどこ?」
ドリームキャンディがセンブリ男に迫るが、センブリ男は冷笑し、木に吊るされたミラクルナイトの姿を指し示す。
「奈理子さん!」
ミラクルナイトは意識を失っているようで、ドリームキャンディの声にも反応しない。
怒りを抱くドリームキャンディの目には、決意と悲しみが交じり合っていた。
「よくも奈理子さんを…」
と声を震わせながら、ドリームキャンディは怒りを爆発させる。
センブリ男は舌を舐め、
「さすが、水都一の美少女奈理子。処女ではないが、締まりのある良い壷の持ち主だっぜ」
と冷酷な言葉を吐く。そして、
「だが、俺の目的はドリームキャンディ、お前だ!」
と宣言し、奈理子のパンツを投げ捨てる。
多くの市民が見守る中、ドリームキャンディとセンブリ男の壮絶な戦いが幕を開けた。
水都公園の噴水広場で、市民たちはミラクルナイトとセンブリ男の壮絶な戦いを見ていた。一人の市民がドリームキャンディに忠告をする。
「ドリームキャンディ、センブリ男の毒に気を付けろ」
と市民が叫ぶ。ミラクルナイトはセンブリ男の毒にやられてしまっていたのだ。
ドリームキャンディはその忠告を受け入れ、センブリ男の危険な攻撃に注意を払う。センブリ男の手には尖端が蕾の槍が握られており、その苦さは強烈なものだった。一方、ドリームキャンディの手にはキャンディチェーンが装備されている。その武器は飴玉の甘さを誇り、柔軟性と破壊力を兼ね備えている。
センブリ男はセンブリの能力を駆使し、植物の力を操りながらドリームキャンディに襲いかかる。しかし、ドリームキャンディは機敏にその攻撃をかわし、キャンディチェーンを振り回して反撃する。
戦いは激しさを増し、噴水広場にはセンブリ男の苦さとドリームキャンディの甘さが交錯し合う。市民たちは息をのむようにその戦いを見つめ、ドリームキャンディが水都の平和を守るために戦う姿に感動するのだった。
「お前の飴ちゃんの甘ったるさなど、良薬にも猛毒にもなるセンブリ能力前では無力だ!」
センブリ男の言葉にドリームキャンディは抗う力を失った。彼女の甘美な力は、センブリ男の苦い毒に対して無力だった。センブリ男のセンブリ能力は、どんな甘さも瞬く間に苦味に変え、その強力な毒はドリームキャンディを圧倒していた。
ドリームキャンディは自分の力の無力さに苦しみながらも、その闘志を失わずに立ち向かう決意を固めた。彼女はキャンディチェーンを振り回し、センブリ男に立ち向かう。しかし、センブリ男はその攻撃を軽々とかわし、その間にドリームキャンディにさらなる苦みを与える。
噴水広場は戦いの激しさに包まれ、市民たちはその光景に息をのむ。ドリームキャンディの甘さとセンブリ男の苦みが交錯し合い、空気は緊張と興奮で満ち溢れていた。
しかし、ドリームキャンディは諦めなかった。彼女は自らの力を信じ、センブリ男に立ち向かい続ける決意を示した。彼女の甘さは、一時的に苦みに押し潰されても、最終的にはその美しさと力を取り戻すだろうと信じていた。
センブリ男とドリームキャンディの戦いはまだ終わっていない。彼らの闘いは水都の平和をかけた命懸けの戦いであり、市民たちは彼らの勇気と決意に敬意を表していた。
水都公園に駆けつけた隆は、木の根元で吊るされたミラクルナイトを見上げた。見上げるとスカートの中が見える。彼女の姿は凌辱されたように無力で、それを見てしまった隆は悔しさを抱えながらも、彼女を助けることだけを考えた。
そのとき、風の刃がセンブリ男の蔓を切り落とし、ミラクルナイトを開放すると、緑色の光とともに現れたセイクリッドウインドがミラクルナイトを受け止めた。
「姉ちゃん!」
隆が慌てて駆け寄り、彼女の身体を抱きしめた。
「奈理子、しっかりして!」
セイクリッドウインドがミラクルナイトを揺すぶるが、彼女の反応はない。
「奈理子は大丈夫だ。目を覚ますまで時間がかかるだろうが」
と、突然現れたライムが言った。
「アンタ、ここで何をしていたの?」
とセイクリッドウインド。ライムは
「隆、ドリームキャンディのところに行ってくれ。彼女はミラクルナイトほど強い力で守られていない」
と告げる。
「アンタ、何者なんだ?」
隆がライムに問いかけると、ライムは
「俺はお前と同じ存在だ」
と答え、
「同じじゃねぇよ。俺は姉ちゃんの弟、アンタは姉ちゃんの彼氏だろ」
と隆は言い返し、ドリームキャンディのもとへ駆けて行った。
その間、セイクリッドウインドはライムとの会話を黙って聞いていた。
「隆くんは戦う力はないけど、奈理子やキャンディを助けるために敵に向かって行くこともある。戦う力があるのに何もしないアンタと同じじゃないよ」
とセイクリッドウインドはライムに言い放つ。
「俺は俺のやるべきことをやるだけだ」
「何よそれ?」
「奈理子を癒やすことだ」
とライムの言葉にセイクリッドウインドは呆れる。
「ほら、ドリームキャンディがやられたぞ。早く行け。このままじゃ、隆がセンブリ男に向かって行くぞ」
とライムが急かす。
センブリ男の毒気にやられ、ドリームキャンディが遂に倒れた。隆が彼女を抱き上げると、舌打ちをして戦いに向かおうとするセイクリッドウインド。しかし、ライムは
「奈理子が復活するまではやられるなよ」
と彼女に告げた。
センブリ男の苦みによって、ドリームキャンディのパワーが打ち消され、彼女は能力を充分に発揮することができなかった。
「喰らえ、ドリームキャンディ」
センブリ男は槍を振りかざし、ドリームキャンディに襲いかかった。ドリームキャンディは必死にキャンディチェーンを槍に巻き付けて防ごうとするが、キャンディチェーンはセンブリ男の苦味よっては粉々に砕かれてしまった。
「ヒラムシ男の無念を晴らしてやる」
とセンブリ男が言いながら、槍を受け、ドリームキャンディは倒れた。その身体を支えるのは、隆だった。
「隆、ゴメン…また奈理子さんを守れなかった…」
ドリームキャンディが隆に謝る。
「いや、謝るのは俺の方だ。寧々を危険な戦いに巻き込ませて悪かった」
隆が寧々を抱きしめた。
「隆に言われなくても、ミラクルナイトを守ることがドリームキャンディの使命だから。これを奈理子さんに…」
とドリームキャンディは、奈理子の白いショーツを隆に差し出し、ガクッと力尽きた。
「センブリ男、次は私が相手よ!」
セイクリッドウインドが立ち向かう。
「隆!」
奈理子を抱くライムが、奈理子のショーツを渡せとジェスチャーで示している。隆は一瞬、なぜ姉のパンツをライムに渡さなければならないのかと思ったが、奈理子に穿かせるつもりだと理解した。奈理子のショーツは濡れているので、若干の重みがある。隆はそれをボールのように畳み、ライムに向かって投げつけた。
セイクリッドウインドとセンブリ男の戦いは、水都公園の一角で激しさを増していった。
セイクリッドウインドは、扇型の武器であるガストファングを手に風を操りながら、センブリ男に立ち向かった。風の力を使いこなす彼女は、疾風のように軽やかに動き、相手の攻撃をかわしていく。
一方のセンブリ男は、蕾の槍を手にし、強烈な苦味を放つ。彼の攻撃は、風を受け流すことができないほどの威力を持っていた。セイクリッドウインドのガストファングも、その苦みには対抗しきれないようだった。
セイクリッドウインドは風の力を駆使して攻撃を試みるが、センブリ男の巧みな操りによって、劣勢に立たされていく。ガストファングの風は、センブリ男の攻撃を一時的に防ぐことができても、彼の毒気には抵抗できない。
セイクリッドウインドは息を切らし、汗を流しながらも、決して立ち止まることなく戦い続けた。しかし、センブリ男の強烈な攻撃によって、次第に彼の劣勢が浮き彫りになっていく。果たして、セイクリッドウインドはこの苦難の戦いからどのように脱出するのだろうか。
噴水広場には、市民たちがセイクリッドウインドとセンブリ男の壮絶な戦いに見入っていた。その一方で、ミラクルナイトはライムに後ろから抱きしめられていた。ライムはスライムを操る能力を持つ存在であり、スライムでミラクルナイトの身体を傷つけた傷を癒していた。
「ライム…」
ミラクルナイトが目を覚ますと、ライムの安心感に包まれる。
「ライム、私…センブリ男に穢された…」
「奈理子の身体は何も穢されてない。信じてくれ。」
ライムは優しくミラクルナイトにキスをし、その言葉を伝える。ミラクルナイトは感謝の気持ちを込めて、ライムの手を握る。
「奈理子、センブリ男を倒せ。この街の守護神ミラクルナイトならば、それができる」
ライムの言葉に、ミラクルナイトは力を取り戻す。セイクリッドウインドとセンブリ男の戦いを見つめながら、自らの使命を受け入れる決意を固める。セイクリッドウインドが押されている。ドリームキャンディは既に倒れ、隆に抱かれている。
「キャンディやナメコ姫が勝てない相手に、私が…」
ミラクルナイトは躊躇するが、ライムの励ましを受け、自分自身を信じることを決意する。
「この街の持つ力を信じろ。水都の守護神ミラクルナイトは、伊達じゃない」
ライムの言葉が胸に響く。ミラクルナイトは立ち上がり、自らの使命を果たすために戦う決意を新たにする。
「センブリ男の毒はフェアリーシールドで防げる。槍を掻い潜り、懐に入ってヒップストライクでセンブリ男を崩して、リボンストライクで奈理子の勝ちだ」
ライムの指示に従い、ミラクルナイトは自らの戦闘技術を駆使しようとする。
「私にできるかな…」
ミラクルナイトは自信を失いかけるが、ライムは彼女の力を信じて励ます。
「シザーズからホイップでもいい。奈理子は敵を倒せる技をたくさん持ってる。敵に怯まなければ、奈理子は勝てる」
ミラクルナイトはライムの言葉に勇気づけられ、決意を固める。風が彼女のスカートを揺らし、その勇ましい姿が市民たちの間に広がる中、ライムの目には奈理子の純白のショーツがチラリと映った。
「奈理子じゃ、センブリ男には勝てない…」
倒れたままのセイクリッドウインドが呟き、ライムがそのそばに立っていた。
「確かに、奈理子はスケベな責めにはトコトン弱いからな」
とライムが応える。
「だが、普通に戦えば、奈理子は、ミラクルナイトは強いはずだ」
「スライム男、アンタ何者なの?」
セイクリッドウインドが隆と同じことをライムに問う。
「さっき言ったとおり、隆と同じ存在だ」
「隆君と同じくらい、奈理子のことを大切な思っているって意味?」
「さあね」
ライムはミラクルナイトとセンブリ男の戦いに目を遣った。
ミラクルナイトのハイキック。蕾槍で受けたセンブリ男が、露わになったミラクルナイトのクロッチを撫でる。
「くッ!」
悔しさを滲ませながら後方に飛ぶミラクルナイト。
「奈理子は味も匂いも極上だ。さすが水都一の美少女」
センブリ男は指を舐める。
「舐めないで!臭いを嗅がないで!」
ミラクルナイトが怒りを露わに叫ぶ。
「気持ち良く狂わせてやるぜ、奈理子」
センブリ男が体から蕾を発射した。四つの蕾がミラクルナイトの周囲を漂う。この薄紫の蕾は危険だ。警戒するミラクルナイト。花弁が開く。同時に、四方からミラクルナイトに目掛けて蜜を放つ。苦いセンブリには似合わない甘い媚薬だ。両手を広げるミラクルナイト。
「フェアリーシールド!」
ミラクルナイトの両掌から広がる水色に輝く防御壁が球体となってミラクルナイトを包む。蜜を防いだミラクルナイトは、水色の光弾を放ち、四つのセンブリの花を撃ち落とした。
「次は、センブリ男。貴方の番よ!」
ミラクルナイトがセンブリ男に目を向ける。
「よくも俺の花を…。奈理子を存分に可愛かってやろうと思ったが、もう許さんぞ!」
センブリ男が蕾槍を扱う。
「奈理子、かっこいいぞー!」
市民の熱い声援を受け、ミラクルナイトは再びセンブリ男に挑む。
噴水広場の市民たちは、可憐な中学三年生でありながら果敢に戦うミラクルナイトの姿に熱狂していた。しかし、センブリ男の巧みな操り技により、ミラクルナイトは攻撃を当てることができないでいた。一方、センブリ男の蕾槍から放たれる攻撃は容赦なく、ミラクルナイトの衣服を破り、彼女の美しい姿が露わになる。
ブラウスが裂かれ、奈理子の純白のブラが見え隠れする。アイマスクが飛ばされ、奈理子の素顔が市民の前に現れる。その美しい姿に市民たちはさらに熱狂し、ミラクルナイトの勇姿を称賛した。
「ミラクルチョップ!」
ミラクルナイトが蕾槍の穂先の蕾を切り落とした。
「無駄だ!」
しかし、ミラクルナイトの果敢な攻撃も虚しく、センブリ男の蕾槍は新しい蕾を生み出し、彼女の攻撃を防いでいく。蕾槍を突くセンブリ男。躱すミラクルナイト。蕾槍を返し、石突で奈理子のブラを剥ぎ取る。
「それ、奈理子の貧乳だ!」
ブラウスの裂け目から、その小さな胸が市民の前に晒される。
センブリ男は得意げに蕾槍の石突に引っ掛かる奈理子のブラをアピールし、その隙を突いてミラクルナイトが攻撃を仕掛ける。
「ミラクルヒップストライク!」
と叫びながら、ミラクルナイトの強烈なヒップアタックがセンブリ男の後頭部に炸裂し、彼を吹き飛ばす。
その後、ミラクルナイトの足元から水色の光が現れ、彼女の体を包み込む。細いが肉付きの良い太股、靡くスカートから少しだけ覗く純白のショーツに包まれたお尻の丸み。その美しい光景に市民たちは息を飲んだ。ミラクルナイトはステップを踏むようにして光を集め、両手で水色の光を強力なエネルギーに変えてセンブリ男に放つ。
「消えなさい!リボンストライク!」
と叫びながら、水色の光が輝くリボンとなり、センブリ男を包み込む。
「奈理子は貧乳のくせに毛は濃いぞー!」
最後の叫びを残し、センブリ男は水色のリボンに絡みつかれて消滅していった。その勝利の瞬間に、噴水広場の市民たちは大きな歓声を上げ、ミラクルナイトの勇姿に敬意を表した。
噴水広場には、喜びに包まれた雰囲気が漂っていた。市民たちはミラクルナイトこと野宮奈理子の勝利を称え、彼女に声援を送り続けた。一方で、奈理子自身は恥ずかしそうに片手で胸を隠しながら、市民たちに感謝の気持ちを伝えていた。
「ほら」
とライムがそっとブラを奈理子に渡し、彼女は恥じらいながら受け取った。そして、変身を解き、水都中学の制服に身を包んだ野宮奈理子が姿を現した。彼女の勝利を讃える声が、噴水広場に響き渡った。
セイクリッドウインドも奈理子の勝利を讃える。
「姉ちゃん」
ドリームキャンディを支えながら隆も側にやってきた。
「キャンディ、大丈夫?」
奈理子が心配そうに声を掛けると、ドリームキャンディは微笑みながら
「大丈夫です」
と答えたものの、隆に支えられた彼女の体はまだ弱々しい様子だった。
「私が弱すぎるせいで、キャンディとナメコ姫に迷惑ばかりかけてごめんね」
奈理子は自責の念に駆られながら謝罪するが、
「そんなことない。私たちだけじゃ、センブリ男は倒せなかったよ」
セイクリッドウインドは彼女を励まし、手を差し伸べた。奈理子はその手を受け取り、ドリームキャンディも一緒に手を添えた。
噴水広場には、奈理子と仲間たちの絆が深まる感動の瞬間が刻まれた。彼らは共に戦い、共に困難を乗り越え、そして共に勝利を手に入れた。その絆は、水都市民たちの心に永遠に刻まれることだろう。
(第120話へつづく)
(あとがき)













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