DUGA

ミラクルナイト☆第32話

ハサミムシ男を撃退したドリームキャンディの勇姿がまだ鮮明な商店街に、突如として5人のブラックナイトが姿を現した。彼らは闇の力に身を包み、不気味な微笑みを浮かべていた。中央に立つブラックナイトがニャリと口元を歪め、戦いの幕が切って落とされた。

商店街は再び戦場と化し、ドリームキャンディは迫り来る4人のブラックナイトに立ち向かった。しかし、彼女にとって彼らは弱すぎる相手だった。ドリームキャンディの身体は俊敏に動き、華麗なキックや素早いパンチが次々と炸裂した。

4人のブラックナイトはあっけなくドリームキャンディに倒されていく。彼らの闇の力は無力で、彼女の光の力には及ばなかった。倒れゆくブラックナイトたちは、苦痛と絶望の表情を浮かべながら地面に倒れ込んでいく光景は、まるで幻のようだった。

1人だけ生き残ったブラックナイトは、悔しさと怒りを顔に浮かべながら、ドリームキャンディに襲いかかった。しかし、彼女にとってドリームキャンディは既に手の届かない存在だった。ドリームキャンディの身体は宙に舞い、鮮やかな回し蹴りや連続したパンチが炸裂する。

4人のブラックナイトがあっさりと倒れた光景を見て、残されたブラックナイトの顔は歪んでいく。彼女の攻撃は必死さが滲み出ていたが、ドリームキャンディには及ばなかった。彼女の動きはあたかも風のようであり、ブラックナイトの攻撃は虚空を切り裂くように空を舞い散った。

ドリームキャンディの圧倒的な力に悔しさを滲ませながらも、ブラックナイトは戦いを続けようとする。彼らの激闘はまだ始まったばかりであり、商店街には緊張感がただよっていた。


ドリームキャンディはブラックナイトの右ハイキックを左腕で受け止めた。その瞬間、彼女の視線はブラックナイトの露わになったピンクのパンツに引かれた。クロッチのシミまで、ドリームキャンディには鮮明に映り込んだ。このブラックナイトのパンツは他のブラックナイトとは異なっていた。さらに、首には可愛らしいリボンのチョーカーが付いている。

ドリームキャンディは直感的にピンクパンツブラックナイトがブラックナイトたちのリーダーであると感じた。しかし、彼女はその攻撃を軽々とかわすことができた。白パンツブラックナイトよりもわずかに強いだけであり、依然として彼女にとっては弱い存在だった。

ドリームキャンディはピンクパンツブラックナイトのみぞおちに力強いパンチを叩き込んだ。その一撃により、ピンクパンツブラックナイトは失神し、膝から崩れ落ちた。ドリームキャンディは彼女を抱き起こし、そのピンクのパンツや半開きの口から垂れる涎、失神した表情など、生々しい光景を目の当たりにした。これは白パンツブラックナイトとは異なる、より現実味のある光景だった。

しかし、そこに突如として現れた蜘蛛の糸がピンクパンツブラックナイトを捕らえ、彼女を奪い去ったのだ。それはクモ男だった。彼はピンクパンツブラックナイトを肩に背負いながら、邪悪な笑みを浮かべて消えていってしまった。

ドリームキャンディは戸惑いながらも、ピンクパンツブラックナイトがクモ男によって連れ去られたことを受け入れるしかなかった。彼女は心に決意を抱き、クモ男とピンクパンツブラックナイトの行方を追う旅に身を投じるのである。


奈理子はドリームキャンディに敗れたブラックナイトの姿をしたまま、ライムのスライムに包まれていた。スライムは傷を癒やし、奈理子の体をやさしく包み込んでいく。彼女はライムに抱かれたまま、気持ち良さそうに時折体がビクビクと動くのを感じていた。

ライムは奈理子を抱きしめながら、彼女の頭を撫でる手つきで考え込んでいた。ミラクルナイトはドリームキャンディよりも弱い存在だとは分かっていたが、それにしてもあの一方的な敗北は予想外だった。奈理子のブラックナイトの姿は、ミラクルナイトとしての本来の能力を完全に発揮できていないように思える。なぜなのか、ライムには理解できない謎があった。

一方、横でライムに抱かれている奈理子を見つめていた糸井も同じような考えにふけっていた。彼女は奈理子のブラックナイトの姿に疑問を抱き、理由を探ろうとしていた。奈理子の体がビクビクと反応する様子を目にしながら、糸井は何か大切な要素を見落としているのではないかと考えていた。

二人の心には同じ疑問が渦巻いていた。奈理子のブラックナイトの姿がなぜ本来の力を発揮できていないのか、その謎について探求する必要がある。彼らは力強く、そして決意を胸に秘めながら、奈理子との絆を深め、真実を解き明かす旅に出るのである。


ライムと糸井はブラックナイトの姿をした奈理子をタコ男のアジトに連れて行った。彼らは奈理子が味方になったことをタコ男に示すために、彼女をその場に連れてきたのだ。

タコ男は両膝に2人のブラックナイトを絡め取る触手を巻きつけ、上機嫌で笑っていた。その様子を見た奈理子は怒りが湧き上がる。彼女は占師・鈴によって自分にかけられた呪いの影響で、ライムへの愛情以外の感情が欠如しているはずだった。しかし、自身とブラックナイトが同じ存在であることを感じ取ったのか、奈理子はタコ男に向かって2人のブラックナイトを解放するように要求した。

糸井が「奈理子、やめろ」と言おうとした矢先、奈理子はタコ男に襲いかかった。しかし、タコ男は素早く触手を伸ばし、奈理子の四肢を絡め取った。触手によって奈理子の腕と脚が大の字に開かれ、彼女は苦悶の表情を浮かべる。

ライムと糸井は奈理子に対して叫びながら、タコ男に謝罪するよう求めた。奈理子は耐えきれず、

「ごめんなさい…」

とつぶやくしかなかった。しかし、タコ男は触手を緩めようとしない。

「許してください…」

絶望に包まれた奈理子の声が漏れる中、そこにカオリが現れる。彼女は奈理子が可哀想だからと、タコ男に対して触手を解放するように頼んだ。触手から解放された奈理子は、すぐにライムにしがみついた。彼女はライムの身体に力強く抱きつき、安心感を覚えた。

この一連の出来事によって、彼らの絆は更に深まった。奈理子はライムに対して強く頼り、彼の傍に安らぎを見出した。ライムは奈理子を抱きしめながら、彼女の頭を優しく撫でた。


水都公園の静かなベンチで、奈理子は意識を取り戻した。彼女は眠気に襲われていたが、同時に不思議な満足感を感じていた。目を開けると、隣にはライムが座っていた。二人きりの公園のベンチで、奈理子とライムが静かに寄り添っている。

奈理子には記憶が欠落している。彼女はハサミムシ男が現れ、ミラクルナイトに変身しようとしていた状況から次の瞬間を思い出すことができない。しかし、ライムは奈理子がクモ男に捕らわれていた状況から彼女を救出したことを伝えた。奈理子にはそれらの出来事の記憶はないが、なぜかライムの存在に対する深い信頼と、その間のライムの優しさを感じるのだ。

奈理子とライムの目が交差する。奈理子は瞳を閉じた。そして、ライムは思い切って奈理子にキスをした。奈理子はその瞬間、子供ながらにライムのキスが上手だと感じた。長いキスの後、ライムは奈理子にスライムになるかどうか尋ねた。奈理子は立ち上がり、今のキスで満足してしまったと告げる。そして、再び会えるかと問うと、ライムは頷いた。

二人は互いに別れを告げた。奈理子が気を失っていた間、ライムが多くの困難を乗り越えてくれたような気がした。彼女にとってライムは、救いの存在だったのだ。

奈理子は立ち上がり、家に向かって歩き始めた。彼女は自分が意識を失っていた間、ライムがスライムとして奈理子を守ってくれたことに感謝の気持ちを抱いていた。そして、明日は路地裏の占師にお礼を言いに行くことを心に決めた。

ピンクのショーツが彼女の幸運のアイテムであるということを思い出しながら、奈理子は家路についた。未来の再会を期待しながら、彼女は新たな一歩を踏み出したのであった。

第33話へつづく)