ミラクルナイト☆第28話
水都大学生医学部の教授であるタコ男の研究室には、教授自身に加えて医学生のカオリであるバラ女と水都薬品社員の勅使河原であるクラゲ男がいました。勅使河原は以前はイソギンチャク男の部下でしたが、イソギンチャク男が敗れた後は、柏原に代わって教授と水都薬品の間を取り持つ役割を果たしていました。
研究室にカメムシ男の報告のために呼ばれた糸井は、教授に対してカメムシ男はただ臭いだけで役に立つ存在ではないことを伝えました。糸井はなぜ教授たちがカメムシ男に興味を持つのか理解できませんでした。そこで、カオリが糸井に事情を説明しました。
従来の変身薬は、モチーフとなる生き物の触手や羽根などの形のあるものの能力を人の体に再現するものでした。しかし、カメムシ男の変身薬は形のない臭いを再現する新しい薬なのだとカオリは説明しました。勅使河原もこの技術は驚くべきものだと同意しました。
糸井は、臭いを再現する薬よりも蜘蛛の糸を吐き出す能力を持つ人間を作り出す薬の方がより高度な技術だと考えていました。しかし、臨床試験の結果に満足している教授たちの前では黙っていることにしました。
教授は続けて、カメムシ男の監視を糸井に命じました。糸井は任務を引き継ぎ、カメムシ男の動向を監視することになりました。
研究室では、新たな薬の開発や異なる能力の探求が行われていました。糸井は自身の考えとは異なる方向性に疑問を抱きながらも、教授と研究チームとの間でうまく立ち回ることを決意しました。彼はカメムシ男の薬の可能性についても警戒しつつ、次なる展開を予感しながら監視任務に臨むのでした。
水都公園は親子連れや下校中の学生たちで賑わっていました。ベンチに腰掛けていた奈理子と彩香は、アイドルについての話題で楽しそうに盛り上がっていました。
しかし、突然、悪臭を放ちながらカメムシ男が現れました。奈理子は即座に彩香を避難させるために手を引き、女子トイレに向かいました。奈理子は心配しながらも、彩香の安全を最優先に考えていました。
トイレの個室に駆け込んだ奈理子は、水都市民からの歓声を感じながら変身へと向かうことになります。彼女は変身するたびに水都市民からの歓迎や応援の声に包まれる快感に、少しずつ慣れていたのです。
しかし、変身中に襲われないようにするために、一人でトイレの個室で変身をすることは寂しいと感じていました。奈理子は、変身の瞬間を水都市民と共有することで喜びや勇気を分かち合っていたのですが、その喜びを一人で胸に秘めることになるのは寂しく思えました。
しかし、彼女はその寂しさを我慢し、彩香の安全を守るために自分の感情を抑えることを決意しました。奈理子は個室の中で心を落ち着け、しっかりと変身の準備を整えるのでした。
颯爽と登場するミラクルナイト。周囲ではカメムシ男の放つ悪臭によって多くの人々が苦しんでいました。しかし、その中でミラクルナイトは堂々と立ち向かう姿勢を崩しません。
カメムシ男はミラクルナイトを見つけると、噴き付けるように臭い気体を放ちました。しかし、ミラクルナイトの口から自然と「フェアリーシールド」という言葉が溢れ出ました。その瞬間、彼女の両掌から前に突き出されたバリアが球状に広がり、ミラクルナイトの全身を包み込むように展開しました。
臭い気体はミラクルナイトのフェアリーシールドによって弾き飛ばされました。驚きとともに、彼女は新たな力が覚醒したことに気づきました。バリアの内側は清らかな空気で満たされ、悪臭は一切入り込むことができませんでした。
しかし、突然、淡い黄色の光とともに現れたドリームキャンディは、周囲に漂う悪臭に対して後ずさりする姿勢を見せました。彼女は臭いを嫌いなのか、それとも何かしらの理由があるのか、ミラクルナイトはドリームキャンディの行動に思いを巡らせました。
一方で、ミラクルナイトはフェアリーシールドによって守られたバリアの中で、さらなる戦闘への覚悟を固めました。彼女は勇敢な心と新たな力を持って、カメムシ男に立ち向かうのでした。
大谷の叫び声が水都公園に響き渡りました。「キャンディチェーンだ!」彼はドリームキャンディの周りに立ち、興奮と期待に満ちた表情を浮かべていました。
ドリームキャンディは大谷の声に気づき、驚きの表情を浮かべながらも、すぐに行動に移りました。彼女は自身の体を覆うようにキャンディチェーンを回し始めました。その煌めくチェーンは一瞬で広がり、周囲の空気を浄化しました。すると、水都公園の一角にいた人々は、まるで魔法のように悪臭から解放されたかのように胸を撫で下ろしました。
しかし、ドリームキャンディがチェーンを回し続けるうちに、彼女の表情に疲労が浮かび始めました。精一杯にチェーンを回すことで浄化効果を保っているようでしたが、攻撃には移る余裕がありませんでした。
一方、ミラクルナイトもフェアリーシールドの中で身動きが取れず、カメムシ男に対抗することができませんでした。彼女は状況を変えなければならないと強く思いました。
勇気を振り絞り、ミラクルナイトはフェアリーシールドを解除しました。広がる翼を持ち、彼女は空へと飛び上がるのです。その美しい姿勢はまるで舞い上がる天使のようであり、周囲の人々から驚嘆の声が上がりました。
ミラクルナイトは高く舞い上がる中で、新たな作戦を練り始めました。彼女は自分の力を信じ、水都公園を救うための戦いに挑む覚悟を持っていました。
白い翼を広げ、勇ましく飛び上がったミラクルナイトは掌から輝く水色の光を放ちました。光の矢はカメムシ男に数発命中しましたが、まだ致命傷には至りませんでした。しかし、その攻撃によって彼の身体は激しく揺れ動き、不安定な状態に陥りました。
カメムシ男は上空のミラクルナイトに向かって臭い気体を放ちましたが、彼女は素早く反応し、フェアリーシールドを展開して防御しました。その透明なバリアは強力で、悪臭の気体は跳ね返されてしまいました。
水都神社の神泉に浸かり、新たな力が目覚めたのか、ミラクルナイトはこの前所未有の能力に戸惑いを覚えました。彼女は自身の身体から放たれる水色の光と、驚くべき翼の力を感じました。水都市民はこれを「ミラクルウイング」と呼ぶようになりました。そして、今ではミラクルナイトの意思で自由に翼を展開することができるのです。
カメムシ男との戦いに自信を持ち、ミラクルナイトは余裕を感じていました。しかし、突然、彼女は思い出しました。以前、トンボ男との戦いの後、弟の隆から「下からパンツが丸見えだから飛ぶな」と言われたことを。ミラクルナイトは恥ずかしさを感じ、両手でスカートを抑えました。ミラクルナイトのスカートの中のパンツは、ミラクルナイトのコスチュームではなく、奈理子の生パンツなのです。
その瞬間、フェアリーシールドが消え去りました。カメムシ男はこのチャンスを逃すことなく、放った臭い気体がミラクルナイトに直撃しました。あまりの臭さに彼女は気を失い、そのまま地面に叩きつけられました。ミラクルナイトは一瞬で倒れ、動かなくなってしまったのです。
カメムシ男が自己満足にふけっている間に、ドリームキャンディが彼に向かってキャンディシャワーを放ちました。キラキラと輝くキャンディがカメムシ男を包み込み、彼は消滅してしまいました。その時、ドリームキャンディはミラクルナイトの身体を抱き上げました。
水都市民たちも心配そうに駆け寄り、大谷はミラクルナイトの失神した姿を見ながら、彼女にはまだ未知なる力が秘められていると感じました。しかし、奈理子がこの有様では敵に勝つことはできないのだと悟りました。
大谷は心に決めました。彼はドリームキャンディを更に特訓し、彼女を強くするために努力することを。ミラクルナイトの力を最大限に引き出すために、彼は自らの力を注ぎ込む覚悟を持っていたのです。
商店街の雑居ビルの屋上に立つライムと糸井は、遠くでミラクルナイトとカメムシ男の壮絶な戦いを眺めていました。彼らは戦闘の様子を静かに観察し、心の中でさまざまな思考が交錯していました。
糸井は、父から受け継いだ町工場の倒産によって人生に絶望した男が、今やカメムシ男として姿を変えていることを知っていました。彼は柏原に取り入られ、薬を売られる運命にあった男だったのです。糸井はカメムシ男の頑張りに一抹の感心を示しましたが、ライムは無言で、ミラクルナイトに心を奪われている様子でした。
糸井はライムをからかいながら、また奈理子が恋しくなったのかと冗談めかして言いました。しかし、ライムは糸井の言葉を無視し、ミラクルナイトが仲間になった場合について糸井に問いました。糸井はライムが何か面白いことを考えているのだろうと思い、笑みを浮かべました。
ライムはカオリから聞いた情報を糸井に話しました。カオリが路地裏の占い師に薬を売ったことを知っていました。彼はこの占い師を使えば、ミラクルナイトを味方に引き込むことができるかもしれないと考えていました。教授たちはミラクルナイトに辱めを与えることを楽しんでいるのだとライムは感じていました。彼は奈理子が自分のそばにいる方が安全かもしれないと思いました。
静かな風が屋上を吹き抜ける中、ライムと糸井は互いの考えを交わしました。彼らは新たな策略を練り、ミラクルナイトを巻き込むことで自らの目的を達成するために動き出すことを決意しました。
(第29話へつづく)
(あとがき)













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