DUGA

ミラクルナイト☆第19話

柏原は水都製薬の社員として、表の顔を持ちながら裏では人を怪人に変える「変身薬」を売りつける売人として暗躍していた。彼の正体はミラクルナイトの天敵であるイソギンチャク男だった。

柏原は常に欲望に駆られ、超人的な力を得るために「変身薬」を求める者たちを狙っていた。彼はミラクルナイトが水都中学の女子生徒であると確信しており、その理由は彼女の身体から読み取ることができた。

ミラクルナイトの体は高校生には幼すぎるが、同時に小学生ほどの幼さもない。柏原は水都の市中心部に位置する商店街や水都公園の近くにある市立水都中学校に彼女が通っていると推測していた。

柏原は「変身薬」の売り捌きが終わった後、久しぶりにミラクルナイトを虐めてやろうと水都中学に向かうことを決めた。彼の心には邪悪な興奮が渦巻き、彼女を苦しめることで満たされるという快感が宿っていた。

水都中学の校門をくぐり、柏原は狡猾な微笑を浮かべながらミラクルナイトを探し回った。彼の視線は優れた洞察力と冷徹さを持ち、彼女を見つけることは容易な任務だった。

しかし、柏原は水都中学の門前に立ち、周囲を見渡すと、彼女を見つけることができなかった。彼の心は焦りと怒りで揺れ動き、次にどのような行動をとるべきかを考え込んでいた。

突然、柏原の視線が一点に釘付けになる。彼の目の前に立っていたのは、水都中学の制服を着た少女たちが賑やかに通り過ぎる様子だった。

柏原は冷静さを取り戻し、ミラクルナイトを見つけるために一人一人の顔を注意深く見つめた。彼は狡猾な笑みを浮かべ、ミラクルナイトがいつもの場所にいることを確信していた。

再び決意を固めた柏原は、水都中学の中へと足を踏み入れた。彼の足音は静かに響き、その存在は闇の中に忍び寄る影となった。


修学旅行が迫り、水都中学2年B組の教室はわくわくとした雰囲気に包まれていた。しかし、その中で奈理子だけが心を重く感じていた。バラ女によってミラクルナイトの弱さを笑われた言葉が、彼女の内なる痛みに直撃したのだ。

奈理子はバラ女の言葉が図星であることを自覚しながらも、ミラクルナイトの力だけでは敵に対抗することはできないと痛感していた。彼女は水都市民の援助によって戦い続けてきたが、それでもミラクルナイト1人の力では敵に翻弄されるばかりだと感じていた。ミラクルナイトはあまりにも弱いのだ。

奈理子の心は折れそうになっていた。しかし、そんな彼女の中にもまだ戦う意志が残っていた。ミラクルナイトの力に頼らず、自らの力で敵に立ち向かおうという強い意志が生まれていた。

その時、校門から悲鳴が聞こえてきた。敵が現れたのだ。奈理子は一瞬にして身を引き締め、戦いを避けようとはしないことを決意した。彼女は自分がミラクルナイトとして戦う理由を思い出し、恐怖に負けることはなかった。

2年B組の教室は修学旅行前の浮かれた空気から一変し、恐怖の底に沈んでいった。奈理子は他の生徒たちの安全を心配しつつも、自分が戦わなければならないと確信していた。

窓の外を見下ろすと、そこにはイソギンチャク男が立っていた。奈理子は身を震わせた。彼はミラクルナイトにとって打ち勝つことのできない相手だった。イソギンチャク男はミラクルナイトを呼び寄せる声を上げていた。

恐怖のあまり、奈理子は身動きが取れなくなってしまった。しかし、この教室の中で、彼女は自らの意志に従って戦う覚悟を固めた。ミラクルナイトが勝利することができなくても、自分が立ち上がることで他の生徒たちの安全を守ることができるのだと信じていた。

奈理子の瞳には闘志が宿り、視線はイソギンチャク男に集中していた。彼女は決して臆せず、戦いの中で自らの力を見つけ出す覚悟を胸に秘めていた。


奈理子は覚悟を決め、ミラクルナイトに変身してイソギンチャク男に立ち向かった。しかし、彼女の抵抗も虚しく、イソギンチャク男の触手に捕まってしまった。ミラクルナイトの全身が痺れ、苦しみが彼女を襲った。必死にリボンストライクを放とうとするが、もがけばもがくほど触手は彼女を締め付け、絶望が心を包んでいく。

徐々に意識が遠のく中、ミラクルナイトは弱々しく「ライム、助けて」と呟いた。その時、彼女の体が不思議な光に包まれる。光が消えると、そこには水都中学の制服を着た奈理子が触手に捕らえられ、気を失っていた。ミラクルナイトの変身は解けてしまったのだ。

イソギンチャク男は奈理子を水都中学の生徒たちに見せつけるように高く掲げ、水都中学は静まり返った。その光景を遠くから双眼鏡で見ていた大谷と寧々。大谷はミラクルナイトを救う時が来たと叫び、力強く頷く寧々。

すると、空から淡いイエローの光の玉が舞い降りた。光の中から現れたのは、小学生戦士ドリームキャンディだった。彼女は水都に新たなヒロインとして降臨したのだ。

水都中学は驚きに包まれ、生徒たちはドリームキャンディの出現に胸を躍らせた。彼女の存在は希望の光であり、ミラクルナイトを救い出すための新たな力だった。

「ドリームキャンディ、ミラクルナイトを救え!」大谷の叫び声が響き渡り、水都中学の生徒たちが期待と勇気に満ちた視線をドリームキャンディに向けた。

このまま戦いが展開される運命の瞬間に、小学生戦士ドリームキャンディが立ち上がり、ミラクルナイトと水都の未来のために戦いの舞台へと進んでいったのである。


水都総合病院の病室は静寂に包まれていた。奈理子はイソギンチャク男に負われた傷を癒すために入院しており、修学旅行には参加できなかった。意識を失ったままの彼女には、小学生戦士ドリームキャンディがイソギンチャク男を追い払ったことは分からなかった。

投稿サイトにアップされたミラクルナイトの変身解除の動画によって、彼女の正体は水都中学の生徒たちだけでなく、水都市民全体に知られることになった。それによって、正体を知っていた三馬鹿トリオに加えて、多くの水都市民が奈理子の病室を訪れ、見舞いの言葉を贈ってくれた。ミラクルナイトではなく、奈理子自身を心配してくれることに、彼女は恥ずかしさを感じつつも、嬉しさを抱えるようになっていた。

そしてある日、ライムが病室にやって来た。奈理子は彼の顔を見た瞬間、感情が爆発した。なぜイソギンチャク男に捕らえられたときに助けに来てくれなかったのか、と激しく彼を罵った。奈理子は心の底からライムに助けてもらいたかったのだ。

涙が溢れ、奈理子はライムを非難する言葉を連ねた。彼女の声は病室に響き渡り、その激情は周囲の空気を凍りつかせるほどだった。しかし、ライムは黙っていた。彼は奈理子の言葉を受け止め、深く考え込んでいるように見えた。

そして、ライムは静かに奈理子の髪を撫でた。その優しい触れ心地に、奈理子の心は少しずつ穏やかさを取り戻していった。そして、突然、ライムが奈理子にキスをした。

奈理子は驚きながらも、ライムの唇が自分の唇に触れる感触を感じた。そのキスは今までのものとは違い、長く、深く、そして情熱的だった。奈理子の中で、彼に対する思いがよりはっきりと自覚されていった。

涙が頬を伝い、奈理子はライムが好きだという事実に気づいた。彼女の心は揺れ動き、喜びと悲しみが入り混じる感情で満たされていた。

第20話へつづく)

あとがき