ミラクルナイト☆第49話
「そこでお寝んねしている"お漏らしナイト"よりは、まだ強そうだな。」
ザリガニ男は冷ややかに言い放った。
「奈理子さんをバカにしないで!」
怒りに震える寧々――ドリームキャンディの声は雲梯に磔にされたミラクルナイト――奈理子のもとへ届く。
「ドリームキャンディ、お前はミラクルナイトが俺たちの手の内にあることを忘れちゃいないか?」
カラクサ男はニヤリと笑いながら、意識を失った奈理子の濡れた水色のパンツのクロッチに指を這わせた。気絶した奈理子の細かな喘ぎ声が、空気を震わせる。それに満足そうな笑みを浮かべたカラクサ男は、ドリームキャンディに向かって言った。
「ミラクルナイトにこれ以上恥を掻かせたくなければ、その鞭を捨てろ。」
ドリームキャンディは顔に苦悩の表情を浮かべながら、キャンディチェーンから手を離した。
「なぜ、いつもミラクルナイトのスカートを脱がして、奈理子さんを苛めるの?」
その問いに対し、ザリガニ男はニヤリと笑った。
「お前たち市民がミラクルナイトの情けない姿で喜んでいるからサービスしてやっているのさ。」
カラクサ男の顔にまた残忍な笑みが浮かぶ。
「ドリームキャンディ、お前もミラクルナイトの恥ずかしい姿が好きなんだろう。」
ドリームキャンディは心の中で、戦いに敗れ気絶した奈理子の姿をどうしようもなく可愛らしいと感じていた。その言葉は彼女の心に突き刺さる。図星だったドリームキャンディは、言葉を返すことができず、ただ黙ってその場に立ちすくんでいた。
「あなたたち…いいかげんにしなさいよ…」
ミラクルナイトの声が弱々しく漏れる。
「ようやく目が覚めたか、"お漏らしナイト"」
と、カラクサ男がからかう。その手が奈理子の水色のパンツを執拗に摩擦していることに、奈理子の体が震える。カラクサ男の指は透明な液体で濡れていた。
「ドリームキャンディ…戦って。私は…こんな恥ずかしい目に遭わされることには慣れてるから…私がいつも弱すぎて、迷惑をかけて…ごめんね…」
奈理子の言葉は断片的で、その度に吐息が漏れる。
「ドリームキャンディ、キャンディチェーンを拾え!」
隆の声が響き渡った。その言葉を受け、ドリームキャンディは地面に転がっていたキャンディチェーンをつかみ上げる。パンツ越しに揉まれ続けるミラクルナイトの息は荒い。
「奈理子さん、負けないで!」
ドリームキャンディのその声は、闘志に満ちていた。
「だが、ミラクルナイトはもうダメみたいだぜ。」
カラクサ男は一層冷ややかな笑みを浮かべ、透明で粘り気のある液体で覆われた指をミラクルナイトの目の前に振りかざす。しかしミラクルナイトは微動だにせず、カラクサ男を睨みつけた。
「さっき言ったでしょ。私はあなたたちには屈しないって。」
その目には、一縷の希望と未来への願いが映っていた。その瞬間、見守っていた小学生たちの声が一斉に響き渡った。
「ミラクルナイト頑張れ!」
そして、奈理子を心配して追ってきた水都中学の生徒たちも駆けつけた。その場に集まった全ての人々が、一斉にミラクルナイトに熱い声援を送り始めた。奈理子を取り囲むように広がった声援は、その場の空気を揺らすほどだった。
「奈理子!」
と、綾香の声が突如として空気を切り裂いた。その声に、ミラクルナイトの体がほんの一瞬だけ震えた。
「相変わらず街の人気者だな、ミラクルナイト」
カラクサ男の揶揄混じりの声が聞こえてくる。その一言にも、ミラクルナイトは微笑む。
「そうよ、私はミラクルナイト。ミラクルナイトは弱いけど水都の街の人たちはいつも私を励ましてくれる。」
ミラクルナイトの声は、街の声援に背中を押されて、堂々としたものに変わった。その体は水色の光に包まれ、透明な液体はきらきらと輝きを増す。
「街の人たちの声援がミラクルナイトに力を与えてくれるの。」
その言葉と共にミラクルナイトの光はますます強く輝き、スカートを着用していない彼女が再び復活した。しかし、その格好はカラクサ男にからかわれた。
「しかし、間抜けな格好で磔にされたままじゃないか」
と彼は冷ややかに笑った。
全ての視線がミラクルナイトに向けられた一瞬、ドリームキャンディが飛び込んだ。彼女の手にはキャンディチェーンが握られており、そのチェーンでミラクルナイトを拘束する蔦を一瞬で切り裂いた。
「ドリームキャンディ、ありがとう」
とミラクルナイトが声を挙げる。
「この悪党どもをやっつけましょう」
ドリームキャンディの声が、勇敢にも響いた。
その瞬間、ミラクルナイトの復活を見届けた人々から大歓声が上がる。その歓声は、彼女たちの戦いを後押しするかのように鳴り響き、空に溶け込んでいった。
「スカートは復活しないようだな!」
とカラクサ男が笑いながら無数の蔦を放つ。それらは地面から生えてきたかのように、瞬時にミラクルナイトに向かって絡みついていった。
しかし、ミラクルナイトは冷静だった。彼女は素早くミラクルウイングを広げ、空へと飛び上がった。しかし、その瞬間、彼女の左脚が一本の蔦に絡まった。
その時、ドリームキャンディが彼女のもとに飛び込んできた。手にはキャンディチェーンを握りしめ、彼女は蔦を切り裂いた。その一方で、ザリガニ男がドリームキャンディに向かって鋏を振りかざしていた。
飛び上がったミラクルナイトは掌から水色の光を放ち、ザリガニ男の動きを一瞬止めた。その間隙をついて、カラクサ男の蔦が上空のミラクルナイトを追い詰めた。だが、ミラクルナイトは冷静にその攻撃を迎え撃った。両掌から水色の光を連射し、蔦を次々と打ち落としていった。
ミラクルナイトとドリームキャンディ。そして、ザリガニ男とカラクサ男。二組の闘いは、一触即発の状況となっていた。この戦いは、何が彼女たちを待ち受けているのか。それはまだ誰にも分からない。しかし、彼女たちは一歩も引かない。それが彼女たちの決意だからだ。それは、街の声援が証明しているように、一つの約束でもあった。
ドリームキャンディは、強大な敵であるザリガニ男に追い詰められていた。彼の巨大な鋏と尻尾による攻撃は凄まじく、彼の硬い甲羅には彼女の武器であるキャンディチェーンはただ弾き返されてしまうだけだった。
どうすればこのピンチを脱することができるのか、思考を巡らせていたドリームキャンディは、カラクサ男の絡みつく蔦に捕まってしまった。
「今だ、ザリガニ男」
とカラクサ男が叫ぶと、ザリガニ男の鋏がドリームキャンディに襲い掛かる。だがその瞬間、ミラクルナイトの放つ水色の光弾が蔦を断ち切り、その間隙をついてミラクルナイトのミラクルヒップストライクがザリガニ男の顔面に直撃した。
その衝撃で一瞬、ザリガニ男の動きが止まった。しかし、彼はミラクルナイトの股間を顔面に食い込ませたまま彼女を捕まえ、力任せに地面に叩きつけた。ミラクルナイトは一時立ち上がれなくなった。
「お前のパンツは強烈な臭いだな」
とミラクルナイトを嘲笑うザリガニ男。彼女の水色のパンツは、失禁してカラクサ男の指によって散々弄ばれ、彼女自身の体液で染みていた。ミラクルナイトは顔を赤らめながらも我慢して立ち上がった。
カラクサ男は笑い続けていたが、その隙を見逃さなかったドリームキャンディが動き出した。彼女は渾身の力を込めてキャンディシャワーをザリガニ男に放った。虹色の甘い光が空から降り注ぎ、ザリガニ男に直撃する。これまでの戦いが一瞬で風向きを変えたかのようだった。
ザリガニ男はドリームキャンディのキャンディシャワーによって全身を甘い虹色の光に包まれ、身動きを取れなくなった。その威力は決して致命的ではなかったものの、決して無視できない程度に彼の身体にダメージを与えていた。ザリガニ男がその怒りを矛先にしようとするドリームキャンディへの攻撃は、カラクサ男によって阻止された。
「待て、ザリガニ男。我々の目的は彼女達を打倒することではなく、ただ楽しむことだ」
と一言放つと、ザリガニ男も納得し、
「ミラクルナイト、また遊んでやるからな」
と言い残し、カラクサ男とザリガニ男はその場を去って行った。
二大怪人の撃退。その一連の戦闘を見ていた水都中学の生徒たちは、歓声をあげてミラクルナイトに駆け寄ろうとする。ミラクルナイトもまた彼らに駆け寄ろうとしたが、その時、まるで自身の体を客観的に見るかのように自身の格好を認識した。彼女のスカートはもはや存在せず、下半身は水色のパンツだけという恥ずかしい格好だった。
慌てて彼女はミラクルナイトから水都中学の制服姿に戻った。そして自身の身体を意識し、その姿を見せることに戸惑った。
「今の私には近付かない方がいいよ」
という言葉を向け、なりに近寄ろうとする生徒たちを制した。制服のスカートを太腿に当たらないように少しだけ持ち上げる。。奈理子の周囲には微かにアンモニア臭が漂い、それが彼女の心情を物語っていた。
「私、ちょっと家でシャワー浴びてきてから学校に戻るから…」
彼女はそう告げ、少し恥ずかしそうに手を振りながら立ち去った。
その後ろ姿を見つめるドリームキャンディの心には、同時に敬意と憧れが込み上げていた。
「奈理子さん、やっぱり可愛いな…」
その言葉は心の中に留めておき、彼女は周りにいる小学生たちの笑顔に目を向けた。その中にいた隆の瞳が彼女の視線と交差し、隆の顔にほんのりと赤みがさした。
「あ、隆…今日はちょっと…かっこいいかも…」
と思わず心の中で呟いて、彼女は自分でも驚くほど照れ笑いを浮かべていた。
(第50話へつづく)
(あとがき)













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