DUGA

ミラクルナイト☆第112話

十二月、クリスマスシーズンの水都市は華やかなイルミネーションで飾られ、街中が祝祭ムードに満ち溢れていた。寧々は学校での日常生活を送りつつ、商店街のクリスマスの様子に心を躍らせていた。

ある日、学校の帰り道、寧々は地域の幼い子どもたちが楽しみにしている商店街主催のクリスマスイベントの準備を手伝っているのを見かけた。果物屋のおじさんが

「寧々ちゃん、今日は隆と一緒じゃないのかい?」

と声を掛けてきた。寧々は

「いつも一緒にいる訳ではありません。隆は掃除当番で学校に残ってます」

と応える。奈理子と隆の姉弟は商店街の人気者だ。隆と一緒にいることが多い寧々は、すっかり商店街の人々から隆の彼女だと思われてしまっている。

イベントの準備に忙しい中、寧々は商店街に設置された巨大なモミの木を見上げた。まだ飾り付けは施されてはいない。クリスマスツリーが点灯したら隆と二人で見たいな、とモミの木の周りを歩いていると、水都中学のセーラー服姿の奈理子がモミの木を見上げていた。

寧々は奈理子の横に立ち

「クリスマスツリー楽しみですね」

と声を掛ける。しかし、奈理子は何も応えずモミの木を見上げている。

「何かあったんですか?」

と寧々が尋ねると、奈理子は思い詰めたような顔で話し始めた。

「去年、ツリーに吊るされたときのことを思い出してたの。ドリームキャンディは新しい武器も手に入れてどんどん強くなっているのに、私は一年前と同じで、弱いまま。光る花の時も、寧々ちゃんを守れなかったし、私はダメだなぁって…」

と溜息をつく奈理子。その憂いを帯びた表情が、ハッとするほど美しいと寧々は感じた。


寧々は奈理子に向かって

「そんなことありません。ミラクルナイトがいないと勝てなかった戦いもたくさんありましたよ」

と励ます言葉をかけた。たしかに、ミラクルナイトはいつも弱いわけではなく、時には驚くほど強いこともあった。それにもかかわらず、奈理子は

「ごめんね、寧々ちゃん。こんなこと言われても困るよね」

と作り笑いを浮かべ、そそくさと帰っていった。

奈理子の後ろ姿を見送りながら、寧々は声をかけられた。占い師の鈴が、

「あら、奈理子の弟の彼女ちゃん」

と声を掛けてきたのだ。寧々は

「奈理子さんのお友達の鈴さん」

と返答する。ヒメバチ女である鈴に声をかけられたのは初めてかもしれないと寧々は思った。鈴は、寧々に顔を近づけ、

「受験前の大切な時期だから奈理子には言わなかったけど…」

と街で囁かれている奇妙な事件について話し始めた。クリスマスプレゼントを楽しみにしている子どもたちが不審なサンタクロースに騙されて不幸な出来事に巻き込まれているというのだ。

水都市民はこのサンタクロースによる事件に不安を感じていた。何者かがサンタクロースに扮し、子どもたちを騙しているという噂が広まっていた。寧々が

「どうしてこの話を私に?」

と尋ねると、鈴は

「噂よ、噂。気にしないで。これ、奈理子にあげようと思ったけど、寧々ちゃんにあげる」

とロリポップを差し出した。

「ありがとうございます」

とお礼を言う寧々に、鈴は

「美味しいわよ」

と言い残し、クリスマスイベントの準備に戻っていった。

寧々はロリポップを舐めながら、ドリームキャンディとしてこの不審なサンタクロースの正体を突き止める決意を固めた。


放課後、寧々は隆と共に水都タワー前広場へと足を運んだ。タワー付近は既に冬のセールで賑わっており、多くの人々で溢れていたが、まだサンタクロースの姿の呼び込みは見当たらなかった。

隆が

「子供に玩具を配るなら、ここじゃないかもしれないぞ」

と言う。確かに、水都タワー前広場のような賑やかな場所では、大抵の子どもたちは保護者と一緒にいる。寧々は隆の推理に

「そうかもね」

と同意する。隆はさらに、

「こんなに目立つ場所で子供たちにコソコソと悪さするようなことはしないだろう」

と付け加え、広場を見渡す。普段、敵が現れる時は、市民に向けて派手に暴れることが多いのだ。

寧々は隆の洞察力に感心し、

「今日の隆は冴えてるね」

と言ったが、隆はふざけて

「寧々は学校の成績は良いけど、たまに抜けてるところがあるよな」

と冗談を言う。寧々は

「バカの隆のくせに生意気」

と言いながら、隆とじゃれ合い、楽しげな雰囲気を楽しんでいた。

その頃、帰宅途中の奈理子は水都公園で、幼い子供に玩具を渡している不審なサンタクロースの姿を目撃していた。奈理子はその様子を見て、何かおかしいと感じ、注意深くそのサンタクロースの動向を観察していた。サンタクロースの行動には明らかに何か裏があるようだった。


水都公園で、奈理子は一人のサンタクロースに疑念を抱いていた。サンタクロースが幼い女の子にぬいぐるみを渡そうとしている光景に、中学三年生の奈理子は違和感を感じた。子供の頃は知らなかったが、ぬいぐるみは意外に高価な物なのだ。販促グッズなのかもしれないが、ぬいぐるみのような高価なものを保護者が一緒にいない子供に簡単に配ることは考えにくい。奈理子が女の子に声をかけたところ、サンタクロースは驚愕した。

「あっ、奈理子ちゃん」

と女のは奈理子に笑顔を向ける。奈理子は水都の幼い女の子からは憧れの存在だ。サンタクロースは

「げっ、奈理子!何故分かったのだ??」

と驚いた様子だ。見るからに怪しい反応に、奈理子は疑念を確信に変えた。

奈理子は女の子を守るように立ち、サンタクロースに対し、

「貴方のやることは全てお見通しよ」

と言ってみた。奈理子の言葉に、サンタクロースは

「バレてしまっては仕方がない。せっかくだから奈理子の身体で楽しむとするか」

と慌ててサンタクロースの衣装を脱ぎ捨て、木の姿をした怪人に変身した。

「木?何男??」

何の怪人か分からない奈理子。木の怪人は

「俺はヒイラギ男。クリスマスを無茶苦茶にするために子供たちに呪いのぬいぐるみを配っていたのに、何故分った?」

と自分で自分の悪事を説明する。奈理子は

「走って遠くに逃げて!」

と女の子に安全な場所へ逃げるよう促し、ヒイラギ男に向き合う。

「ヒイラギ男、何故クリスマスを目茶苦茶にするの?」

「クリスマスになるとセイヨウヒイラギがでかい面をするのが気に入らねぇんだよ!」

ヒイラギ男は自らの計画を暴露し、クリスマスを混乱させる目的を明かしたが、奈理子はヒイラギ男が言っていることが理解できずに首を傾げる。ヒイラギ男は

「セイヨウヒイラギはじゃない。モチノキの仲間だ!」

と言い放つ。奈理子は

「私もモチノキ男は大嫌い」

と先日のモチノキ男との戦いを思い出し、ヒイラギ男に共感する。

「モチノキ男は関係ないぞ」

とヒイラギ男。ヒイラギ男との戦いに備え、奈理子はミラクルナイトに変身することを決めた。

「貴方の相手をしてあげるからミラクルナイトに変身させて」

と奈理子が言うと、

「よかろう。ミラクルナイトになった方が、存分に奈理子の身体を楽しめる」

ヒイラギ男は快諾した。ミラクルナイトに変身することで戦いが有利になると思いながらも、奈理子はヒイラギ男の言葉に一抹の不安を感じていた。しかし、水都市民の平和のため、奈理子は勇気を奮ってミラクルナイトに変身した。変身完了の瞬間、水都公園には水色の光が一瞬輝き、ミラクルナイトの姿が現れた。ミラクルナイトとヒイラギ男、対峙する二人の間には緊張が走っていた。


水都公園内の遊歩道で、ミラクルナイトは力強く

「水都の平和を乱す者は私が許しません!」

と宣言した。変身の輝きが公園にいる市民たちの注意を引き、彼らは戦いを目撃しようと集まり始める。

「奈理子ちゃん、頑張れ!」

と子どもたちの応援の声が高らかに響く中、ミラクルナイトは子供たちの期待を裏切ることなどできないと決意し、ヒイラギ男に向かって水色の光弾を放つ。

「えいっ!」

という勇ましい声とともに放たれた光弾だったが、ヒイラギ男の強固な外皮に簡単に弾かれてしまう。

「くッ」

とミラクルナイトは歯を食いしばる。

その時、ヒイラギ男が攻勢に出る。

「さあ、こちらの番だ。これでも喰らえ!」

と言い放ち、鋭い棘を持った葉っぱを次々とミラクルナイトに向けて投げつける。

「ああぁぁ…」

と苦悶の声を上げるミラクルナイト。見る間に彼女のコスチュームは棘葉っぱによって切り裂かれ、やがては純白のブラとショーツだけの姿になってしまう。

「奈理子ちゃん、負けないで!」

子供たちの悲痛な叫びが公園に響き渡る中、ミラクルナイトは

「負けるわけにはいかないわ!」

と必死の眼差しでヒイラギ男を睨みつける。

しかし、ヒイラギ男は容赦なく、奈理子の股間すれすれを狙って棘葉っぱを放つ。クロッチをかすめる棘葉っぱに

「あッ!」

と悲鳴を上げるミラクルナイト。その痛みに蹲り、防御の隙が生じる。その隙をついてヒイラギ男がミラクルナイトの懐に飛び込み、彼女に腹パンチを浴びせる。その一撃にガックリと崩れ落ち、意識を失ってしまったミラクルナイト。周囲の市民たちは息をのみ、水都の守護神の無様な敗北を目の当たりにするのだった。


水都公園の遊歩道で、片手に気絶したミラクルナイトを抱えるヒイラギ男が嘲笑いながら言った。

「弱すぎるぞ、ミラクルナイト。俺様の作戦を邪魔した報いは、体で償ってもらおうか」

と。そして、彼は奈理子の清純を守る最後の砦、純白のブラショーツを無慈悲に剥ぎ取る。市民たちからは悲鳴と歓声が入り混じって水都公園に響き渡る。

ヒイラギ男はミラクルナイトを高く掲げ、裸の奈理子を市民に見せつける。その瞬間、黄色い光が輝き、小学生戦士ドリームキャンディが現れる。

「奈理子さん、また裸にされちゃってる…」

とドリームキャンディは内心呆れつつも、

「奈理子さんから手を離しなさい!」

とヒイラギ男に強く宣言する。

子供たちが泣きながら

「ドリームキャンディ、奈理子ちゃんを助けて!」

と叫ぶ中、ドリームキャンディは子供たちに頷きを返し、キャンディチェーンを握りしめる。ヒイラギ男はミラクルナイトを無造作に投げ捨てると、

「その鞭は俺には通用しないぞ」

と豪語し、戦いの構えを取る。ドリームキャンディとヒイラギ男の激しい対決が始まる。市民たちは息をのんでその戦いを見守っていた。


水都公園の戦いの渦中にあるドリームキャンディは、ヒイラギ男の強靭な外皮に対してキャンディチェーンを駆使して奮闘していた。しかし、どれだけ巧みにチェーンを振るっても、ヒイラギ男の皮膚は傷一つ負わせることができない。ドリームキャンディは次第に苦しい表情を浮かべる。

「どうした、ドリームキャンディ!もっと見せてくれ!」

と挑発するヒイラギ男は、棘のある葉を次々に放ってくる。ドリームキャンディは機敏にそれらを避けつつ反撃の機会をうかがう。しかし、その瞬間、脇腹に鋭い一撃を受ける。痛みに顔を歪めながらも、ドリームキャンディは立ち上がり、目の前の敵に立ち向かう。

「このままじゃダメ…新しい戦法を…!」

とドリームキャンディは考えを巡らせる。子供たちの応援の声が、彼女に力を与える。

「ドリームキャンディ、頑張れ!」

という子供たちの声が彼女の耳に響く。

そんな中、ヒイラギ男が再び葉っぱの弾幕を放つ。ドリームキャンディは辛うじてそれを回避し、反撃を試みるが、なかなかヒイラギ男の防御を破ることができない。ドリームキャンディは、勝利への道を模索しながらも、徐々に追い込まれていく。しかし、彼女は諦めることなく、戦い続けていた。


水都公園の戦いは激化し、ドリームキャンディはヒイラギ男の猛攻に対して必死に対抗していた。

「葉っぱだけではないぞ!」

とヒイラギ男が強靭な拳を振り下ろし、背後の木製ベンチが粉々に砕ける。ドリームキャンディは一撃を辛うじて避けるが、その力の凄まじさに恐怖を感じる。

「ヒイラギ男は、奈理子さんが敵う相手じゃない…」

とミラクルナイトに目を遣る。意識を失ったミラクルナイトは裸のまま地面に横たわっていた。子どもたちが

「ドリームキャンディ、奈理子ちゃんの敵を討って!」

と声援を送る。子供たちの前で、身体を晒されたミラクルナイトの敗北の光景は、ドリームキャンディに深い衝撃を与えた。

「子供たちのために、私がヒイラギ男を倒さなくては!」

と決意を新たにするドリームキャンディ。その瞬間、キャンディチェーンが黄色く輝き、ロリポップハンマーへと変形する。

「ロリポップハンマーでヒイラギ男を倒す!」

ドリームキャンディが宣言する。

「ヒイラギはハンマーの柄に使われる強靭な木だ。そんな飴玉に負けるか!」

激突するロリポップハンマーとヒイラギ男の拳。互いに互角の力を発揮するが、ドリームキャンディは痺れる手を堪え、最後の力を振り絞る。しかし、ヒイラギ男も悶絶していた。この隙を逃すわけにはいかない。

「キャンディスターバースト!」

と叫び、虹色の光がヒイラギ男を包み込む。その光に包まれながら、ヒイラギ男は消滅していった。

ドリームキャンディの勝利に、水都公園は大歓声に包まれる。子どもたちの笑顔が戻り、ドリームキャンディは彼らの無事を確認しながら深い満足感を覚える。彼女の勇敢な行動が水都市の平和を守ったのだ。


ドリームキャンディは、ヒイラギ男との戦いの後、奈理子の下着を拾い、クロッチの濡れを確認した。ヒイラギ男の攻撃に、ミラクルナイトは少し漏らしてしまったようだ。

「奈理子さん、こんなになるまで子供たちを守ろうとしたんだ…」

と心の中でつぶやき、意識を失っているミラクルナイトのもとへ急いだ。奈理子の華奢で美しい身体は、周りの人々の目を引き、中にはスマホで撮影をしている者もいた。ドリームキャンディは慎重にミラクルナイトを抱き起こし、下着を穿かせてやった。そして、彼女の頬を優しく叩いた。

アイマスクの奥の奈理子の瞳がゆっくりと開き、彼女はすぐに周囲の状況を把握し、ハッとして

「子供たちは?!」

と子供たちの無事を気遣った。

「みんな無事です」

とドリームキャンディは安心させるが、一瞬安堵の表情を浮かべたミラクルナイトの表情はすぐに悲しみに変わった。

「私、また守るべき人を守れなかった…キャンディに迷惑かけばかりで私は何の役にも立たない…」

とミラクルナイトは自分の無力さを嘆く。

しかし、ドリームキャンディはミラクルナイトを励ます。

「子供たちの奈理子さんを大好きな気持ちのおかげでヒイラギ男に勝てたんです」

と語り、周りの子供たちもミラクルナイト、奈理子を称賛する。

「奈理子ちゃん、今日も可愛かったよ!」

「いつも、みんなのために戦ってくれてありがとう」

という子供たちの声が奈理子に元気を与えた。

「みんな奈理子さんが大好きなんですから、元気だしてください」

ドリームキャンディが語りかける。ミラクルナイトはドリームキャンディの目を見て感謝の意を表し、二人のヒロインには周囲から温かい拍手が送られた。恥ずかしげに顔を反らすミラクルナイトに、ドリームキャンディは静かに微笑み、彼女を優しく抱きしめた。その瞬間、水都市の平和を守るヒロインたちへの尊敬と感謝の気持ちが、公園に満ち溢れていた。

第113話へつづく)

あとがき