DUGA

ミラクルナイト☆第59話

水都中学校の体育倉庫、その暗く冷たい床で気を失っていたミラクルナイト、あるいはその日常の名前、奈理子。彼女が目を覚ましたとき、自分の姿が全てを物語っていた。

そして、その事実はインターネット上で広がっていた。モザイクを通して透けて見える彼女の大切な部分。あの暗闇の中で、アリ男の少年が撮影したであろう一連の画像が、ネットの隅々に拡散されていたのだ。モザイクがかかった部分が、逆に彼女の恥部を際立たせていた。

奈理子は、冷静に自分の写真をクリックしてみる。それが正確に何を示しているのかは、モザイクの向こうに隠されていた。しかし、彼女は感じた。身体を撫で回された熱と、暗闇の中の怖さ、そして羞恥心。彼女はその時何をされたのかを覚えていないが、インターネットの画像が彼女の体験を補完しているようだった。

頬を赤らめ、奈理子は自らの羞恥心と向き合う。ただ、屈辱だけではない。彼女の中には強く、燃え上がる怒りの炎も湧き上がっていた。アリ男とカタツムリ男、彼らに対する復讐の心が日に日に強くなっていく。

だが、その怒りとともに、彼女は自分の力に疑問を抱いていた。ミラクルナイトとしての彼女は、果たして彼らに立ち向かうことができるのだろうか。そんな疑問が彼女の心の中で渦巻いていた。

奈理子は日々を過ごすうち、その焦燥感と戦いながら、自分を高めるためのトレーニングを始める。彼女は自らの限界を超え、新たな力を手に入れることを誓った。その日から、彼女の復讐のための日々が始まったのだった。


水都を代表する大企業でる水都薬品の一室、冷たい空調が部屋の隅々を冷やしている。カオリの背筋が凜としているのが伝わってくる。ミラクルナイトのコスチュームだけでなく、奈理子の下着まで脱がし、そのままの姿で奈理子の中学校に放置する。この余りも残忍な行為がカオリには許せなかった。彼女の表情は、一切の容赦を許さないものだった。勅使河原の薄笑いがさらにカオリの怒りを煽ったが、彼女は冷静に自分の意見を述べた。

「アリ男にはよく言い聞かせて置く。子供がやったことだ、総目くじらを立てるな。」

と勅使河原はカオリを宥めるが、

「子供がやったことだとしても、その子供に薬を売ったあなたに責任がある。」

カオリの声は冷たく、勅使河原の背筋をさらに冷やすものだった。

勅使河原は狼狽しつつも、カオリの前で平静を保とうとしていた。しかし、彼の内心では、カオリの予想を超えた動きに驚きと不安が交差していた。

カオリが去った後、部屋の扉が閉まるや否や、渦巻が闇から現れた。

「あれがバラ女ですか?」

と渦巻。薬の研究に携わり、勅使河原ほどではないが薬の流通も担っている女だと渦巻は聞いている。

「バラ女本人は大した相手ではない。しかし、彼女の周りには強者がそろっている。」

と勅使河原は呟く。渦巻の提案に、勅使河原は一瞬考え込んだ。バラ女の影響下にある者たちは、一人一人が非常に高い能力を持っていることを彼は知っていた。逆に自らの部下は数こそ多いが、その実力は決して高くはない。

「ミラクルナイトを使って、我々の部下を鍛え上げる時だ。」

と勅使河原は決意したようだ。渦巻の提案にも頷き、次のミラクルナイトの相手を選ぶことに。

アリ男の過去の行動から、彼の欲望や独特の喜びを知っている勅使河原は、彼に新しい仲間を加えることで、さらに混沌とさせることを計画していた。

そして、この一連の出来事が、水都市で新たな波乱を巻き起こすこととなるのだった。


ショックと羞恥感が心を濁らせるなか、奈理子は自分を追い込んだ。勉強とトレーニング、その繰り返し。ひたすらに教科書をひもとき、筋肉を鍛えた。しかし、その心の隅には、ひそやかに咲き誇るライムへの想いがあった。ライムにだけは見せることのできた、大切な部分を、アリ男、カタツムリ、そしてクラスの皆に晒されてしまったその事実。それが奈理子の心に深く根を張って、彼女はライムの目を見ることができなくなってしまった。

そんな思いを胸に秘め、ただ黙々と過ごす日々。期末テストへの備えのため、図書館の静寂の中で奈理子は知識を吸収し続けた。だが、その帰り道、再び現れたのは彼女の平穏を奪った少年だった。

「お姉さん、また一緒に遊ぼ」

少年の声が響く。その声に奈理子の心は凍り付く。少年の視線が、セーラー服姿の彼女をゆっくりと舐めるように見つめている。その視線が奈理子の心にひどい傷痕を残していく。しかし、彼女の目にはこれまでにない決意が燃え上がっていた。次に来る闘いに備え、奈理子は再び立ち上がるのだった。


「今日はミラクルナイトじゃなくて素のままのお姉さんと遊びたいな」

と少年の声は甘い毒のように響いた。それは普段の無邪気さとは対照的な、冷たく危険な響きだった。

「いやよ。子供は子供と遊びなさい!」

と奈理子の口から吐き出された言葉は、彼女自身の心の叫びだった。

しかし、少年の言葉は奈理子の頭上で鳴り響く雷のようだ。

「そんなこと言ってていいの?海外のアダルトサイトにモザイク無しの画像アップしてもいいんだけどな。それに画像だけじゃなくて動画もあるよ」

この言葉に奈理子の体が硬直する。それは、少年の手によって引き金が引かれた一発の銃弾だった。

「私を脅すつもり?」

奈理子の声は不安と怒りで震えていた。

「お姉さん、弱いから脅すほどでもないよ。嫌なら無理やりお姉さんを玩具にして遊ぶだけだから」

少年の声は、ケラケラという不適切な笑い声とともに空気を凍らせる。その瞬間、奈理子は恐怖から足が動くようになり、一直線に逃げ出した。

だが、

「逃げても無駄だよ。僕からは逃げられない」

という少年の冷たく響く声が後ろから聞こえてきた。奈理子を追い詰める少年の悪魔のような微笑みが、遠くからゆっくりと近づいてくる。それはまるで、獲物を追い詰める肉食獣のようだった。


奈理子は息を切らせながら走った。彼女の心に浮かぶ一つの思考は、とにかくミラクルナイトへと変身することだった。もし変身中を襲われたら、同じ醜態を再び世間にさらしてしまう。その恐怖が彼女を追い立てる。人々が集まる場所へと向かえば、少年も暴挙を繰り返せないだろうと信じて、奈理子は水都公園まで足を運んだ。

一瞬にして彼女はアイマスクを掲げ、ミラクルナイトへと変身した。突然現れたミラクルナイトの姿に公園の市民たちは驚きの声を上げた。ミラクルナイトは直ぐにミラクルウイングを広げ、天へと舞い上がった。

すぐさま公園に少年が到着した。しかし、彼はただの少年の姿で

「鬼ごっこするつもりはないんだけどな」

と呟くだけだった。ミラクルナイトは空から彼を見下ろしたが、市民たちは少年がアリ男であることを知らない。だから、少年がアリ男に変身しなければミラクルナイトは何もできない。翼を広げたまま迷うミラクルナイト。しかし、そのとき、ミラクルナイトの背中に何かがぴたりとくっついた。それは、ダニ男だった。


「何をしてるのよ!」

背後からミラクルナイトを抱きしめ、体を弄るダニ男にミラクルナイトが怒鳴った。ダニ男を振り払おうとするも、ダニ男は彼女の胸をがっしりと握り、離れる気配を見せなかった。

「アリ男の言ってた通り、つるぺただな」

とダニ男は笑い声を上げる。

「うるさい!」

と怒鳴るミラクルナイト。

彼女はダニ男を背中から振り落とすため、身体を反転させ、地面に向かって急降下した。しかし、地面と接触する寸前で、ダニ男はミラクルナイトの背中から離れ、ミラクルナイトだけが地面に激突した。ダニ男の笑い声がこだまし、フラフラと立ち上がるミラクルナイトの心に深いダメージを刻む。

「ミラクルナイトの血を吸う前に、恒例のスカート脱がしでもやるか?」

と言うダニ男が再び近づいてくる。ミラクルナイトは掌から水色の光弾を放ったが、ダニ男の硬い外骨格に弾かれてしまった。

「あぁ…攻撃が通用しない…」

と呟くミラクルナイト。

ダニ男がミラクルナイトに飛びつき覆い被さると、バランスを失って転倒するミラクルナイト。スカートを守ろうとする彼女だが、ダニ男には簡単にスカートを脱がされてしまった。その瞬間、公園の空気が凍りついたかのような静けさが広がった。


公園の真ん中、ミラクルナイトの白いスカートがダニ男によって無慈悲にも放り投げられ、一瞬の静寂が広がった。

「あぁ…スカートが…」

ミラクルナイトは白いパンツと滑らかな太腿がさらけ出されたことに恥ずかしさで顔を赤らめた。ダニ男の嘲笑が公園中に響き渡った。

「いただきまーす!」

ダニ男の言葉とともに、彼はミラクルナイトの足を掴み開かせ、その太股をじっと見つめた。そして、その滑らかな内腿に牙を突き刺すと、彼女の血を吸い始めた。

「や…やめて…!」

ミラクルナイトはダニ男を押しのけようとしたが、どうしたことか体が鈍重に感じ、力が入らなかった。

「無駄だミラクルナイト。相手を麻痺させる効果がある俺様の唾液をお前の体に注入しているからな。」

ダニ男は独特の舌足らずな声で言い放った。

彼が血を吸い終わると、ミラクルナイトの体がさらに鈍くなり、彼女は苦しげに息をした。

「うぅ…」

とつぶやくミラクルナイトに、公園に集まった市民たちの声援が飛んできた。

「頑張れミラクルナイト!」

「負けないで!」

ミラクルナイトは市民たちの声を聞き、心に勇気の炎を灯した。自らの意志と市民の期待、その両方が彼女を奮い立たせた。

「私はまだ戦えるわ…!」

と叫ぶ彼女の周りに、水色の輝きが纏わりつき始めた。それはミラクルナイトの新たな力の目覚めを予感させる光であり、次なる戦いの幕開けだった。


公園の中心で、ミラクルナイトは市民の声援に応えて立ち上がった。その勇姿は公園に詰めかけた多くの人々に希望を与えていた。しかし、その希望は突如として打ち砕かれる。市民からの一喝

「ミラクルナイト、下!」

という声に反応して彼女が足元を見たとき、すでに遅かった。

「え?」

股が涼しい。一瞬の間、ミラクルナイトの意識は混沌とした。彼女の視線の先には、膝まで下げられた白いパンツがあった。そして、その背後から響く悪戯っぽい声。

「僕もいることを忘れないでよ、お姉さん」。

声の主は、アリ男だった。

「きゃー!」

という悲鳴とともに、彼女は恥ずかしさで座り込んだ。

「せっかくセーラー服のお姉さんと遊びたかったのに、ミラクルナイトに変身しちゃうからお仕置きだよ」

アリ男の笑顔は狡猾で、彼がこの場に居合わせることで、ミラクルナイトの窮地はさらに深まっていった。

辛うじて立ち上がったミラクルナイトは、下げられたパンツを戻しながら、周囲の視線を感じ取った。彼女の戦意は揺らぎ、アリ男とダニ男の前で、彼女はどれだけの気力を振り絞っても、振り回されるばかりだった。

公園の隅から、ミラクルナイトの姿を心配そうに見つめる少女が一人いた。その少女の目には、ミラクルナイトへの信念と、彼女を助けたいという強い想いが宿っていた。


公園の隅から、寧々の瞳が気になる一幕を捉えていた。奈理子がミラクルナイトとして闘っていた。しかし、その姿は少々悲痛で、ある種の脆弱ささえ漂わせていた。

「あらら、奈理子さん、またスカート脱がされちゃってるよ。」

寧々は口元に手を当てながらも、胸の内には怒りと憂慮が湧き上がっていた。近頃は市民ではなく、奈理子がターゲットにされることが多くなってきていた。一体、彼女の何が敵にとってそんなに魅力的なのだろうか?

そんな寧々の疑問が頭をよぎる間もなく、事態はさらに深刻な方向へと進行した。アリ男の手が、思いもしない行動に出たのだ。奈理子のパンツが、その不届きな手によって下げられた。奈理子のお尻の割れ目が見えた。寧々の反対側からはがバッチリと見えたかもしれない。公園に響く驚きと困惑の声。その中でも、寧々の心の叫びは特に激しかった。

「これは…もう…」

寧々の怒りが限界を超えた瞬間、彼女の体から鮮やかな黄色の光が放たれた。そして、その光が収まった場所には、寧々ではなく、ドリームキャンディの姿が現れていた。

彼女の存在は公園にいる誰もが知っている正義の象徴。その美しい姿は、ダニ男とアリ男に対して圧倒的な威圧感を放っていた。

「これ以上、奈理子さんを苛めるのはやめなさい!」

その声は、清らかでありながらも力強さを持ち合わせており、公園内に響き渡った。

状況が一変し、戦局は新たな局面を迎えようとしていた。


公園の中央、夕焼けが木々の間から差し込む中での戦闘は、緊迫感を増していった。

「やって来たな、お邪魔虫。俺だが用があるのはミラクルナイトだ。お前じゃない」」とダニ男が冷たい目をしてドリームキャンディを見下ろす。

「そうだよ、子供は大人の戦いに口出ししないでくれ」とアリ男も口を挟んだ。

ダニにお邪魔虫扱いされ、自分より小さいアリに子供扱いされてしまったドリームキャンディの瞳は怒りの火を灯す。挑発された彼女は

「なぜ、いつも奈理子さんのことを狙っているの?」

という問いを投げかけた。

ダニ男はゆっくりと首を傾げ、微笑むように言った。

「目的?そんなの知らないな。俺たちは、ただ、ミラクルナイトと遊んで来いと言われただけさ」

その言葉とほぼ同時に、ミラクルナイトの華麗なるハイキックがアリ男の頬を撃ち抜いた。衝撃により彼は後方へ吹き飛ばされた。

「ふざけないで!」

とミラクルナイトは怒りを隠さずに叫んだ。

戦闘の中、ドリームキャンディの視線は一瞬、奈理子の姿に留まる。遠目には純白と見えたパンツも、近くでよく見ると微細な水玉模様が施されていることに彼女は気づいた。

「もういいかな。ドリームキャンディまで出てきちゃったし、帰るとするか」

とダニ男が言った後、アリ男も

「うーん、もう少しミラクルナイトのお姉さんさんと遊びたかったけどね」

と返した。

しかし、ドリームキャンディはそれを許さない。

「待って!」

と叫びながら彼女はキャンディチェーンを振り回す。しかし、その攻撃はダニ男の頑丈な外骨格に跳ね返されてしまった。

「そのような玩具で、俺を倒せると思ったのか?」

ダニ男が嘲笑する中、ミラクルナイトが再びジャンプし、全身のエネルギーを右脚に集めた。

「ミラクルキック!」

その一撃は、ダニ男の外骨格に強烈な衝撃を与えた。

初めは何も変わらないように見えた。しかし、ゆっくりとダニ男の外骨格に微細な亀裂が入っていくのが見えた。一瞬の静寂の後、公園にはその事実を認識する者たちの驚きの息遣いが響き渡った。


夕焼けが水都市を染め上げる中、ダニ男の外骨格に入った微細な亀裂。それを目の端でキャッチしたドリームキャンディの目には、一瞬の決意が宿った。

「キャンディシャワー!」

という彼女の絶叫とともに、甘く香る輝く光線が空から降り注ぎ、ダニ男の体を包み込む。ダニ男は苦しみながらも

「もっとミラクルナイトの太腿を吸いたかったー!」

という声を上げながら、その姿を消し去られた。

公園には瞬く間に静寂が訪れ、その後すぐに水都市の市民たちの歓声と拍手が響き渡った。

アリ男の姿はどこを探しても見当たらず、彼がどこかへ逃げ去ったことを皆が感じ取った。

ドリームキャンディは息も絶え絶えのミラクルナイトのもとへと駆け寄った。

「ありがとう、ドリームキャンディ。私、一人だったら…」

というミラクルナイトの弱々しい声に、ドリームキャンディは優しく彼女を抱き寄せた。

「ダニ男を倒せたのは奈理子さんのおかげですよ。奈理子さんいるから、私たちみんながこうして平和に暮らせるんです」

とドリームキャンディの声が、温かくミラクルナイトの耳に響いた。

夕日の中、奈理子の白い水玉のパンツと細い脚が、まるで天使のように輝いて見えた。それを見ているドリームキャンディの瞳には、尊敬と友情の深い絆が映し出されていた。

その姿を前に、市民たちは感謝の気持ちを込めて二人に向かって手を叩いた。ミラクルナイトは変身を解除することなく、その場に立ったまま市民たちに深く頭を下げた。

「本当に、ありがとうございます!」

という彼女の声が、公園全体に響き渡った。

そして、水都市の夕焼けの中、ヒロインたちの勇姿が、市民の心に深く刻まれていった。エンディングの幕とともに、その一日の戦いは終わりを迎えた。

第60話へつづく)

あとがき