DUGA

ミラクルナイト☆第55話

深い闇が静寂を破るように照明が煌めく、意味ありげな荘厳な部屋。広大な天井は美しいステンドグラスで覆われ、壁は極彩色のタペストリーで飾られ、どこか異次元の支配者を思わせる。部屋の主、勅使河原は一部始終を静観していた。

「タマネギ男とゴーヤ男の敗北か…それが予想外であるとは言えぬな」

勅使河原の深い目は闇の中でほのかに煌めき、彼の唇からは適度な怒りと失望が滲み出ていた。

「我々の計画には実戦経験が必要だ。」

彼は力強く言った。クモ男やカブトムシ男のような手練れが欲しい。しかし、そんな戦士が簡単に見つかるわけではない。我々は自分たちの力で、自分たちの兵士を育てなければならないと勅使河原は考えていた。弱いミラクルナイトは丁度いい実戦訓練相手であった。

部屋の隅で静かに待機していた渦輪は緊張と期待で胸を高鳴らせていた。

「フジツボ男は、その目的に最適な候補者かもしれません。彼の能力は、まさにミラクルナイトを戦闘訓練に引き込むのに最適です。」

彼の言葉に、勅使河原の表情がほんの一瞬、緩む。その目は予測と承認の微かな光を放つ。

「渦輪、お前の見立ては確かだ。フジツボ男に、ミラクルナイトへの襲撃を命じよう。」

勅使河原の命令が部屋に響き渡る。その声は強く、力強く、そして絶対のものであった。これは、新たな戦闘の幕開けを告げるものであり、これから訓練を受けるフジツボ男にとって、試練とチャンスの始まりであった。


石畳の上に並ぶ下駄箱、それは水都中学の日常を象徴する光景だ。だが、そこに立つ奈理子の心は、普通の中学生とは程遠い場所にあった。彼女の目に映るライムの姿は、未だに胸をざわつかせる何かを掻き立てる。彼は奈理子が見ていることを知らない、ただ静かに自分のシューズを整理しているだけ。

奈理子の心は、カブトムシ男との複雑な思いと、再燃するライムへの感情との間で揺れ動いていた。カブトムシ男の強大な魅力に自身の心が引き寄せられてはいるものの、ライムへの気持ちは決して消え去ることはなかった。

「私は一体何を思っているのだろう…」

彼女は自己批判的に思った。

「私は本当に自分勝手だわ…」

だが、彼女の悩みはそれだけではなかった。中学3年生の彼女には、重要な試練、小テストが迫っていた。戦いの連続で勉強に専念する余裕がなく、教師からは奈理子に関心を持つ高校からの問い合わせが来ているという情報も彼女の心を揺さぶっていた。

彼女は、自分自身の力で高校に進学するためにも、真剣に勉強しなければならないと強く感じていた。自分の第一志望である水都女学院への道は、彼女自身の手で切り開かねばならない。

奈理子は深く息を吸い込み、まずは小テストに全力を注ぐことを決意した。テストが終わったら、その時こそライムと真剣に話すべきだと心に誓った。

そう、彼女は自分の心と向き合う時が近づいていることを知っていた。これまで避けてきた真実と、これから避けられない現実とが、彼女を待ち受けていたのだ。


放課後の図書館は静寂に包まれ、唯一響き渡るのはページをめくる音と、時折溢れ出る囁きの声だけだった。奈理子は机に向かい、綾香と二人で黙々と問題集に取り組んでいた。

カブトムシ男との戦闘以来、クラスの女子生徒たちは何となく遠慮がちに奈理子と接していた。ただ綾香だけは変わらぬ態度で彼女と向き合い、それが奈理子にとっては大きな安心感をもたらしていた。しかし、綾香が水都高校を志望していると知った時、奈理子は少なからず寂しさを感じた。奈理子の学力では、そんな高校に進学するのは難しい。今の自分たちのように毎日顔を合わせ、共に時間を過ごすことも無くなると思うと、未来が一層暗く感じられた。

そんな時、館内放送の音が静かな図書館を突如として切り裂いた。

「緊急!水都公園にフジツボ男出現!」

その声に図書館内がざわつく中、奈理子はただため息をついた。これでは集中して勉強するどころではない。だが、ミラクルナイトとして彼女には逃げる選択肢はなかった。

「綾香、ちょっと行ってくるわ」

と奈理子は言うと、綾香は心配そうな眼差しで彼女を見送った。奈理子はそんな綾香を背に、図書館を後にした。彼女が向かう先には、フジツボ男という名の新たな試練が待ち受けていた。


水都公園は夕暮れ時、風が心地よく吹き抜ける場所だった。しかし、今日はいつもと違った空気が流れていた。公園の中央に立つのは、見慣れぬ生物のような形状をした怪人、フジツボ男だった。彼はフジツボのように一つの場所に固着し、周囲を警戒していた。

そこに現れたのはミラクルナイト、奈理子だ。彼女の目は一瞬でフジツボ男を捉え、彼女の視線はまっすぐ彼を見つめた。しかし、その時、彼女はまだフジツボ男が持つ意外な力を知らなかった。

フジツボ男は固定力を持つ怪人だ。その力は自分の体が固定されるだけでなく、他人や物も強力に固定することができた。フジツボ男はミラクルナイトのスカートを捉え、一瞬で彼女を身動きできなくした。

驚愕のミラクルナイト。しかし、状況は更に悪化した。フジツボ男は彼女のスカートを容赦なく剥がし、公園に放り投げた。彼女の水色のパンツが暴露されると、周囲から驚きと共感の声が上がった。

一方、ミラクルナイトは内心慌てていたが、それ以上に彼女はフジツボ男に対する激しい怒りを感じていた。しかし、フジツボ男の固定力の前では彼女の力は及ばなかった。結局、奈理子はフジツボ男に敗北を認めざるを得なかった。

この戦いは奈理子にとって、身も心も剥き出しにされる経験だった。しかし、奈理子はミラクルナイトとしての道を進むことを選んだのだ。それは彼女がフジツボ男に負けたとは言え、彼女の勇気と決意を否定するものではなかった。この戦いで彼女は、これからの戦いに必要な新たな力を得たのだった。


公園の空気はまだ重く、先ほどまでの戦いの名残が感じられた。そこへ一人のヒロイン、ドリームキャンディが駆けつけてきた。彼女の目には異様な光景が広がっていた。水色のパンツが露わになったミラクルナイト、そしてその顔から痛みと屈辱を読み取ることができた。

「奈理子さん、またスカート脱がされちゃったんだ…」

ドリームキャンディは心の中で囁き、フジツボ男へと向かった。その一方で、奈理子も再び立ち上がる力を振り絞った。恥ずかしさはあるものの、今はそれよりも大切な戦いが待っている。

しかし、フジツボ男の力は両者を容易く圧倒した。特にスカートがないミラクルナイトは、自身の動きを封じられ、追い詰められるばかりだった。ドリームキャンディもまた、フジツボ男の戦術に対する対策がつくことがなく、苦しむばかりだった。

最終的に、フジツボ男は満足げな笑みを浮かべながら去っていった。その背後には、痛みと失意に塗れた二人のヒロインが残され、痛みを抱えながらも未来への決意を新たにしていた。この戦いは厳しいものだったが、それは同時に二人の絆を深めるきっかけともなった。


夕暮れが水都公園を包み込む中、ドリームキャンディが倒れたミラクルナイトをやさしく抱き起こした。

「奈理子さん、大丈夫?」

奈理子の水色のパンツと無防備に露出された白い太腿が、ドリームキャンディの視線を引き付けた。そして、そのパンツは奈理子がカラクサ男たちと戦ったときのものと同じだった。近くで見ると、かなり使い込まれた感があった。

「ありがとう、ドリームキャンディ。」

ミラクルナイトの口元に微笑みが浮かんだが、その目には見違えぬ疲労と苦痛が浮かんでいた。ミラクルナイトの肩を支えるドリームキャンディ。いつもなら、スカートを脱がされるとすぐに変身を解除する奈理子だが、この日は違っていた。彼女は何かを思い詰めているようで、スカートを脱がされたままだった。

「私、どうしたらいいのかわからない。」

ミラクルナイトの声が震え、やがて彼女は泣き崩れた。奈理子の心中は複雑で、勉強もうまくいかず、ライムとの仲も思うように進展しない。奈理子の混乱と苦悩が空気を揺らし、それは夕暮れの空に響いていった。

そして、そこには水色のパンツを丸出しのミラクルナイトがいた。泣きじゃくる彼女をただ見つめることしかできないドリームキャンディ。奈理子の悩みと葛藤が彼女の心に重くのしかかった。

こうした困難を乗り越えることができるのだろうか?奈理子とドリームキャンディの前に立ちはだかる問題は巨大で、解決策は見えなかった。それでも、二人はこの困難を乗り越えるために、必死に戦い続けることを誓った。

第56話へつづく)

あとがき