ミラクルナイト☆第68話
夏休みの初め、メロン男のメロメロビームの魔力に捉えられてしまった奈理子。だが、若さは回復力。それを背景に、新たな夏の日々が彼女の前に広がっていた。
水都タワーのふもと、その近くに位置する「ファッションセンターかわむら」の前には、学び舎から解き放たれた中学生たちの賑やかな声が響いていた。中でも、Tシャツとミニのプリーツスカートをキュートに着こなした奈理子の笑顔は、まるで夏の太陽のように明るかった。
水都の中学生の間で「かわむら」は、まるでおしゃれな秘密基地のような存在だった。お手頃な価格でトレンドを追える、そんな場所に女の子たちは夢中だ。奈理子も例外ではなく、今日の彼女の目的は特に特別だった。それは、浴衣。心の中で描くライムとの夏祭りデートの情景に、ついつい顔が緩む。その瞬間、綾香がアドバイスをしてくれた。
「奈理子は水色が似合うよ」
と。そのアドバイスを受けて、水色に白い朝顔が繊細に描かれた浴衣を選び、奈理子の表情はさらに輝いた。
しかし、その幸福な瞬間も束の間、店の出入り口で待っていたのは、彼女の過去の記憶を彷彿とさせる、あのメロン男だった。彼の登場に、奈理子の体は瞬時に凍りつく。その後ろで、綾香たちが声を震わせながら悲鳴を上げる。
「また会ったね、奈理子」
と、メロン男の低く響く声が、夏の日差しの下で奈理子の耳元に届いた。
混乱と興奮が交錯する水都タワー前広場。人々の目を引く奈理子の姿が、鮮烈な存在感を放つメロン男の前にあった。
「いやー!」
とメロン男に背を向けて逃げ出したが、逃れようとしても、彼の放つ魅惑の香りには逃れられない。彼の香りが奈理子の意識を曇らせ、彼への思いが高まっていく。
「メロン男様が好き、大好き!」
という気持ちが奈理子に湧いてくる。
「私からは逃げることはできないよ。奈理子は既に私のものだからね」
とメロン男が低く言い放つと、
「はい。奈理子はメロン男様のものです」
奈理子はうっとりとした目をして頷いた。
「奈理子、しっかりして!」
周りの友達、綾香たちが必死に奈理子を呼び戻そうとしていたが、彼女の意識はすでに彼に囚われていた。奈理子の悲鳴とは裏腹に、彼女の心はメロン男への欲望に焦がれていた。
「メロン男様ー!」
と奈理子はメロン男にしがみついてしまった。
「いい子だ、奈理子。」
メロン男は彼女の頭を優しく撫でると、彼女の瞳に深く見つめた。
「メロン男様のためなら、奈理子は何でもします…」
奈理子の甘い声に、メロン男はさらに奈理子を引き寄せた。
「ならば、奈理子の可愛いパンツをみんなに見せてあげなさい」
突然の出来事に、周囲の人々は驚きと興奮で息をのんでいた。奈理子の可愛らしい白いパンツが視界に入ると、彼女は頬を赤らめた。
「あぁぁ…私のパンツをみんなが見てる…見て…私の…」
奈理子は言葉に詰まり、メロン男に甘えるように身を委ねた。
「メロン男様、恥ずかしさに耐える奈理子にご褒美を…」
と奈理子は首を反らしメロン男にキスを求める。メロン男の唇が、奈理子の唇を優しく奪った。甘く、情熱的なキスに、水都タワー前広場の時間が一瞬止まったかのようだった。
水都タワー前の広場は、奈理子とメロン男の濃厚な雰囲気に包まれていたが、綾香の心中は複雑だった。
「酷い…」
と口を抑えて呟く綾香の心の奥には、奈理子に対する深い愛情と友情があり、その二つの感情が交錯していた。そのとき、
「奈理子ちゃんを離せ、メロン男!」
と1人の青年が前に進み出た。
「君は…」
とメロン男。
「僕は水都大学奈理子私設ファンクラブ会長の成好だ!」
成好は自らの立場、水都大学奈理子私設ファンクラブ会長として、奈理子を救おうと立ち上がった。
「奈理子ちゃんは水都市民みんなのものだ。メロン男、奈理子ちゃんはきみだけのものではない!」
と成好は高らかに宣言した。彼の大声は、水都市民の心を一つにし、彼らの声は一体となって響き渡った。
「そうだ!奈理子は私たちのものだ!」
「奈理子を独占するなー!」
と、水都市民たちは結束して、メロン男に対して力を示した。水都市民の奈理子愛に胸が熱くなる綾香。しかし、奈理子にはライムという彼氏がいることは彼らには絶対に知られてはならないと思った。
「ファンクラブの会長はそう言ってるが、どうする、奈理子?」
メロン男の問いかけに、
「ごめんなさい、会長さん…奈理子はもう、身も心もメロン男様に捧げました…せめて、奈理子の恥ずかしい姿で我慢して下さい…」
と奈理子は自ら股を広げ、成好に白いパンツを見せつけた。奈理子は自らの身をさらけ出すことで、メロン男に忠誠を誓った。
「そんなの僕たちの奈理子ちゃんじゃない!」
と叫びながらも、成好の視線は奈理子のシミが広がるクロッチに釘付けになっていた。成好は、彼女の変わり果てた姿に驚きとともに、その姿に惹かれていく自分自身を感じていた。
「奈理子…」
と、綾香はその光景に目を逸らそうとしたが、そのとき、遠くの空に黄色い光が近づいてきたのを目撃した。その光は強烈で、広場にいるすぐれる人々の視線を引きつけた。
水都の心臓部、広大なタワー前広場。夕日が橙色の影を落とす中、黄色い光が広場に降り注ぎ、その場所には勇敢に立つ少女ヒロイン、ドリームキャンディの姿が現れた。
「メロン男!」
と彼女が声を張り上げる。彼の名前を呼ばれたメロン男は、愛する奈理子を抱え上げたまま立っていた。
「奈理子さんを弄ぶのはやめなさい!」
ドリームキャンディは正義の眼差しで命じる。
だが、その訴えに応じたのはメロン男ではなく、奈理子だった。
「ドリームキャンディ、私はメロン男様と共にいることを選んだの。お願いだから分かって!」
染みパンを見せつける奈理子の声には確かな決意がにじんでいた。
ドリームキャンディは心の中で悔しさを感じていた。
「奈理子さんはメロン男に操られているんですよ。目を覚ましてください!」
しかし、奈理子の心の中には違う想いが渦巻いていた。
「違うわ。みんなが私を見ること、それが私の幸せなの。もっと恥ずかしい私の姿を見てって思うの!」
実は奈理子の本心だった。
これ以上奈理子と話をしても無駄と悟ったドリームキャンディは、メロン男へと問いかけた。
「なぜ、奈理子さんの心を弄ぶの?」
しかし、それに対し声を張り上げて答えたのも奈理子だった。
「私はメロン男様が好きなの!私のメロン男様への思いを分かってくれないのなら、たとえドリームキャンディでも許さないわ!」
彼女の手には、変身の力を持つアイマスクが握られていた。そして、眩い光の中、彼女はミラクルナイトへと変身。メロン男の腕から降り、広場の地面に立った。
広場には、正義のヒロイン、ミラクルナイトとドリームキャンディが対立していた。その姿を目の当たりにした市民たちは息を呑み、その壮絶な対決を見守っていた。
ドリームキャンディは接近戦に持ち込むことで、ミラクルナイトのミラクルウイングやフェアリーシールドの利用を封じ込める策を取った。広場の石畳は二人の戦いでひび割れる音を立てながら、お互いの技が繰り出される。
しかし、ミラクルナイトの攻撃は予想以上に単調で、ドリームキャンディの動きに全く追いつけていない。チョップ、キックと続く攻撃も、ドリームキャンディには容易く避けられてしまった。
やがてドリームキャンディは、ミラクルナイトの背後に周り、優れたテクニックで彼女をジャーマンスープレックスで地面に叩きつける。その衝撃でミラクルナイトは一瞬で失神し、白いパンツの濡れたクロッチを市民に見せつけるように無防備な姿のまま広場の中央で固まってしまった。
「そんなにパンツを見て欲しいのなら、暫くそうしてなさい!」
とドリームキャンディは、ミラクルナイトの天を向いた尻をパーンと叩きながら冷たく呟いた。
「次はメロン男、あなたの番よ!」
とドリームキャンディが宣言すると、周りの市民の息遣いが荒くなる。誰もがその次の対決に胸を高鳴らせていた。
実力差がありすぎて呆気なく終わってしまったミラクルナイトとドリームキャンディの戦い。広場に集まった市民たちは、驚愕と同情の視線でミラクルナイトの無様な姿を見つめていたが、すぐにその注目は、新たな戦いが始まろうとするドリームキャンディとメロン男に向けられた。
メロン男は深いため息をつき、しっかりと足元を固める。この次の戦いで彼がどのような手を打つのか、誰もがその瞬間を待ち望んでいた。
広場が緊迫の空気に包まれる中、メロン男は自信に満ち溢れた態度でドリームキャンディに立ち向かう。
「ドリームキャンディ、君では私を倒すことはできない」
と彼の言葉は周囲の市民にも聞こえるほど響き渡る。
ドリームキャンディの目が一瞬、きらりと光った。彼女は手にキャンディチェーンを握りしめ、メロン男に一気に襲い掛かった。細く、長いキャンディチェーンが次々とメロン男に打ち込まれる。手応えはある。しかし、驚くことに、彼はその攻撃を何気なく受け続けていた。
ドリームキャンディの懸命の攻撃が途絶えると、彼女の息は荒くなり、一時的に膝をついた。
「何故、攻撃が私に通用しないか分かるか?」
メロン男の声が高らかに響く。
「どうして…」
ドリームキャンディの声は震えていた。
「甘さが取り柄のドリームキャンディ。だが、その甘さはその甘さはキャンディなどという人工的に作られた紛い物の甘さ…」
メロン男は目を細め、彼女を見下ろす。
「だが、私は違う!。糖度が高く味、香、形と三拍子揃い、更に歯ごたえもジューシー!まさしく果物の王様、クラウンメロンだ!キャンディごときが私に敵うわけがない!」
彼の言葉がドリームキャンディの心に重く響く。
その言葉はガーンとドリームキャンディの頭を叩き続ける。ドリームキャンディは深く息を吸い込んだ。彼女はまだ諦めるつもりはなかった。
「ならば、これならどう!」
ドリームキャンディの体が突如、虹色の光に包まれる。
「キャンディシャワー!」
彼女の両掌から、虹色の甘い光線がメロン男に向けて放たれた。その光は広場を満たし、市民たちも息を呑んでその結果を待ち構えていた。
水都タワー前広場は、一時の戦闘の余韻と、過ぎ去った緊張感で埋め尽くされていた。そこに立っているのは、メロン男の力の前に敗北したドリームキャンディと、気絶したままのミラクルナイトだけだった。
メロン男のメロンシールドには驚きの声が広場に響き渡る。強力なキャンディシャワーを、メロンシールドは濃厚な甘いメロン香りで何も無かったかのように打ち消してしまったのだ。その不可解な力に、ドリームキャンディは瞬時に自分の不足を痛感した。
「ドリームキャンディ、今日はこれくらいで勘弁してやる。奈理子、また会いに来るぞ」
メロン男の声は余裕と狡猾さを併せ持っていた。その背後には、彼が真摯に守りたいもの、奈理子の存在が感じられた。
残された二人のヒロインは、彼の去った後の静寂の中、それぞれの思いにふけっていた。ドリームキャンディは、ミラクルナイトの顔を見つめた。その目は、完全に自分だけの世界に浸っているように見えた。
「大谷さん、早く新しい仲間を連れて来て…」
ドリームキャンディの瞳には涙が浮かんでいた。彼女は、大谷と凜との絆を思い返しながら、新たなる力の必要性を強く感じていた。それは、新しい仲間との絆が、次回の戦いでの彼女たちの勝利をもたらす鍵となることを予感させるものだった。
夕焼けの水都タワー前広場。戦闘の余韻が漂い、風には勝者の余裕と敗者の悔恨が混ざり合っていた。中心には、メロン男に圧倒されたミラクルナイトと、力不足を痛感していたドリームキャンディがいた。
ミラクルナイトの意識は漂っていた。まんぐり返しの体勢のまま、彼女の瞳は虚空を見つめていた。
「メロン男様…奈理子は恥ずかしさに耐えてます…」
という言葉が、彼女の口から漏れてきた。しかし、そのうっとりとした世界も束の間、瞬時の刹那、ミラクルナイトは現実に引き戻された。
彼女の眼前に、自らの濡れたクロッチが映る。反射的に目を凝らし、自分の露わになった部分を意識すると、彼女の頬は瞬く間に紅潮した。
「きゃ~!」
緊急を要する状況に、ミラクルナイトはもがきながら、横に倒れ込んだ。そして、
「もう、こんなのいやぁ~」
と言葉を発した。その声は、純粋な恥じらいと、深い屈辱が入り混じったものだった。
綾香を始めとする仲間たちが、泣き崩れるミラクルナイトの周囲に駆け寄り、手を差し伸べて慰めの言葉をかけていた。彼女たちの表情には、友情と共感が溢れていた。
一方、ドリームキャンディは少し離れた場所で、冷めた瞳でその一幕を見つめていた。彼女の中には、メロン男との戦いの余韻が残り、今後の戦略に悩んでいた。
「奈理子さん、しっかりしてよ」
と心の中でミラクルナイトに向ける思いと、メロン男を倒す術がないドリームキャンディには絶望が交錯していた。この現実にどう立ち向かっていいのか、答えを見いだせないでいた彼女の眼には、次なる戦いへの決意と疲労が滲んでいた。
(第69話へつづく)













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