ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第4章「仮面の案内人」
鄙比田温泉郷の外れにある「不知坂(しらずざか)」は、地元の人間でさえあまり近づかない場所だった。 古い石段が山腹へと続き、上には廃れた神社がぽつねんと建っている。
そこは、かつて胡桃と弟・ライムがよく遊びに訪れていた ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第3章「故郷と名湯」
朝霧の立ち込める鄙野の町並みに、鐘の音が静かに響いていた。
それは旧街道沿いに建つ禅寺「白蓮山永照寺」の鐘であり、まだ観光客も目を覚まさぬ早朝の鄙野に、ゆるやかで清らかな気配をもたらしていた。
佐笠胡桃は ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第2章「魔界の残響」
魔界の夜は、地上のそれとは違う。天と地の境が曖昧で、空は永遠に沈んだ茜色を保ち続け、地は鼓動のように微かに揺れていた。古びた玉座の間、ひときわ高く積まれた絨毯の上に、幼い少女の姿が一人、座していた。
プリンセス・コマリ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第1章「蘇る影」
秋の訪れは鄙野に静かに忍び寄る。街道沿いに並ぶ黒塀の旅館街、その軒先には赤提灯が灯り、濡れた石畳に淡い光を落としていた。細く長い路地を風が抜け、どこか懐かしい木の匂いと湯気が鼻先をくすぐる。佐笠胡桃は、その細道を歩いていた。 ...
