ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第16章「裏切りの温もり、誓いの決闘」
──私は、ここでしか満たされない。
薄暗い客室。障子越しに湯けむりが揺れ、淡い月明かりが白い肌を撫でる。
「胡桃、もっとこっちに来なよ」
低く甘い声に誘われるまま、胡桃は浴衣の帯を緩めた。 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第15章「夜風、熱しやすく冷めやすく」
鄙比田温泉郷。 古びた木造旅館が軒を連ねるその地で、一軒だけ小洒落た宿があった。 「つづれ湯本亭」。明治の面影を残す数寄屋造りの外観とは裏腹に、館内は和モダンの空気に包まれている。
胡桃はその玄関に、ぽつんと立って ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第14章「仮面の呼び声」
夕暮れの鄙野。 商店街の裏通りに、倒れ伏す魔物の残骸が転がっていた。
「……やったな」
「……ま、当然でしょ」
ミルキーナイトとプリティ・ストーム、ふたりの少女が並び立つ。 魔物の撃退は ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第13章「帰還、そして風の名は」
鏡の中の自分は、ひどく痩せて見えた。
青ざめた頬、泣きはらしたような目、肩でずり落ちかけた戦衣。
胡桃は、敗北を重ねていた。
コマリシャスとタンポポタイの残した魔物たちは、夜な夜な町に現れ、 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第12章「風は、再び」
空は晴れていた。けれど、胡桃の心は曇っていた。
「ミルキー・シュート!」
無数の光弾が、町はずれの斜面に群がっていた小型魔物を一掃する。その光の中心に立つミルキーナイトの表情は、冷たい。
「…… ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第11章「別れと覚醒」
朝焼けの色は、あまりに優しくて、残酷だった。
胡桃は、裸のままベッドの上でシーツに包まりながら、隣で眠るレオの寝息を聞いていた。
「……こんな朝があるなんて、思ってなかった」
誰にも言えなかっ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第10章「恋という異変」
ミルク色の曇天が鄙野の空を覆っていた。
肌寒さを感じる朝、胡桃は大学の教室にいても、黒板の文字が目に入らなかった。
(……レオ、何してるんだろ)
何度も自分に言い聞かせていた。“あの人は軽い ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第9章「夜の路地、爪痕」
それは、レオとの出会いから三日後の夜だった。
胡桃は一人、町外れの商店街の裏路地を歩いていた。
祭りの後の寂しさが残る通りには、まだ屋台の名残と提灯の骨組みが置かれている。
(あれから、カス ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第8章「揺れる心、軋む絆」
鄙野の駅前通りに、小さなステージが設けられていた。
秋の観光祭。手作りの屋台が軒を連ね、特産品の焼き栗やミルクまんじゅうの香りが漂う。
その一角、ギターを鳴らす青年の姿に、胡桃は思わず足を止めた。 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第7章「炎の記憶」
秋の夜が深まり、鄙野の町は静寂に包まれていた。だがその静けさは、胡桃の胸の内には届かなかった。
寧々との再会と別れから数日。町の人々の警戒は高まり、胡桃の耳にも「また戦いがあるのか」という囁きが届き始めていた。 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第6章「集う者たち」
鄙野の空に、不吉な羽音が響いた。
竹が軋むような高周波。それは、風でも鳥でもない。
遠くの山裾から飛来した黒い影が、町外れの小学校跡地に着地すると、大地が小さく震えた。
「ミミミ……やっぱり田 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第5章「再臨、守護神」
鄙野の町に、異様な風が吹き荒れていた。
天気予報にはなかった突風。町の案内看板が軋み、紅葉の葉が空高く舞い上がる。
だが、ただの風ではなかった。
それは“刃”だった。
「キュイ ...
