DUGA

ミラクルナイト☆第107話

御祖紗理奈は、隣県の鄙野から水都に戻ってきたばかりだった。彼女の任務は、鄙野の若者をスカウトして、水都製薬の子会社に連れてくることであった。田舎の鄙野には、都会の水都に憧れる若者が多く、人材集めは比較的容易だった。

紗理奈が連れ帰った若者たちは、勅使河原が代表を務める水都製薬の子会社に採用される予定だった。紗理奈の後任として鄙野に派遣されるのは、勅使河原の新しい愛人であると噂される一之木多実だった。多実は元信用金庫の職員で、真面目で堅実な印象の女性だ。紗理奈は勅使河原が若く頭の弱そうな女性、例えば元愛人である女子大生の風間凜のようなタイプを好むと思っていたが、多実の選出により、勅使河原の好みが読めなくなった。

紗理奈は、凜が勅使河原に捨てられ敵に回ったことを知っていた。執務室で勅使河原の話に集中していなかった紗理奈に、渦巻が注意を促す。

「聞いていますか?」

という彼の言葉に、

「はい、しばらく休暇をもらえるんですね」

と紗理奈が答えたが、渦巻は

「話はきちんと聞いてください。休暇は、セイクリッドウインドかドリームキャンディとの手合せをした後です」

と訂正した。

「凜さんと戦いたいです」

と紗理奈は言った。子供であるドリームキャンディとの戦いには気が引けた。勅使河原は紗理奈の要望に応じ、

「もう凜は私と関係ない。『凜』でいい。君も一度は実戦を経験しておくべきだ。何か質問はあるか?」

と言った。紗理奈は

「モチノキ男が遊んでいる奈理子という女の子は、もうミラクルナイトには変身できないのですか?」

と奈理子のことを尋ねる紗理奈に、勅使河原は

「奈理子はモチノキ男に任せている」

とだけ答えた。紗理奈は水都の守護神ミラクルナイトと一度は手合せをしてみたかったが仕方がないと思った。

渦巻は、

「セイクリッドウインドは神出鬼没です。凜だと思って舐めてかからない方がいいですよ」

と油断しないよう紗理奈に忠告し、勅使河原はサボテン男を紗理奈に付けることを決めた。

「無理はするな」

という勅使河原の言葉に、紗理奈は自分の能力を試す機会として凜との戦いを受け入れ、執務室を後にした。


水都中学三年A組の教室で、ホームルーム中の奈理子は窓際の席で外をぼんやりと眺めていた。モチノキ男にアイマスクを奪われて以来、彼女はミラクルナイトに変身できなくなってしまった。しかし、モチノキ男は執拗に奈理子を狙い、彼女をまるで玩具のように思っているようだった。

奈理子は勇気を出してモチノキ男に挑むも、敗れて気を失ってしまい、その間に何をされたのか思い出せなかった。目を覚ました時には、トリモチで口を塞がれ、路上に打ち捨てられていたのだ。ミラクルナイトである自分の弱さと不甲斐なさが奈理子を苦しめていた。

ホームルームが終わり、放課後が始まると、奈理子は席を立って図書館に向かった。もう十一月だ。高校入試まではあまり時間はない。奈理子は不安と期待が入り混じった複雑な気持ちを抱えながら、今日もモチノキ男の手に落ちるのではないかと思いつつ、勉強に集中しようと心に決めた。


グフグフハンバーガーの店内で、紗理奈は新たに知り合った男性と会話を交わしていた。

「おんそさりな…。変わった苗字だな」

と紗理奈の自己紹介を受けた男が口にした。男は

「俺は手黒。水都製薬メキシコ支社から勅使河原さんに呼ばれて日本に帰って来た」

と名乗る。紗理奈は『手黒』も変わった苗字だと思いながらも口には出さず、

「サボテン男の手黒さん、貴方は実戦経験はあるの?」

と彼の経歴に興味を持ちつつ、実戦経験について尋ねる。手黒は

「メキシコは治安が悪いからな。命懸けの喧嘩はよくやった」

とメキシコでの危険な体験を話し、自信満々の様子を見せた。若くして海外勤務をしているので、実際に優秀な男なんだろうと紗理奈は思った。手黒はスーツ姿だが、逞しい体をしている。紗理奈は、頼りになるかもしれないと思いながら手黒の自信に満ちた表情を眺めていた。

「サソリ女の実力、見せてもらうぞ」

と手黒が紗理奈に言ったその時、店には若い女性が一人で入ってきた。紗理奈はすぐに彼女が凜であることを認識した。紗理奈は凜の顔を知っているが、凜は勅使河原の部下に過ぎない紗理奈のことは知らないはずだ。

凜は少し離れた席に座った。凜は店員と親しげに話し、常連であることがうかがえた。

海外生活が長い手黒は凜のことを知らない様子で、

「女子大生かな?やっぱり日本の女の子は可愛いな」

と、彼女の可愛らしさに注目していた。

紗理奈は、手黒に

「日本では女の子をジロジロ見ない方がいいよ」

とアドバイスし、彼に注意を促した。勅使河原が愛人にした女だけあって、凜はスタイルが良いい。この女、セイクリッドウインドと自分は戦うのだと紗理奈は気持ちを引き締める。そして、紗理奈は手黒に

「テグロン」と呼び掛ける。

「テグロン?」

と手黒。

「『サボテン男の手黒さん』は長いから『テグロン』にします。この店を出たら仕掛けましょう。セイクリッドウインドは私がやります。ドリームキャンディがやって来たときはお願いします」

と紗理奈は提案した。紗理奈はこの計画を通じて、自らの実力を試すことを期待していた。


グフグフハンバーガーを後にした紗理奈と手黒。

「さあ、サボテン男に変身してセイクリッドウインドを誘き出して」

と紗理奈は手黒を急かす。

「おいおい、お前が殺られそうになったら助けるのが俺の任務だぞ」

と手黒は呆れる。考え込んだ紗理奈は

「じゃ、一人じゃ恥ずかしいから一緒に変身しよ」

と手黒の手を引き路地裏に連れて行く。

「仕方ないな」

と従う手黒。

誰もいないことを確認し、紗理奈はサソリ女に、手黒はサボテン男に変身する。

「おっ、なかなか色っぽいじゃないか」

とサボテン男。

「日本では女の子をジロジロ見るなって言ったでしょ」

とサソリ女。

「女の子って言う年かよ」

とサボテン男がからかう。サボテン女は、二十二歳の凜は女の子であるが、二十四歳の紗理奈は女の子ではないというサボテン男の基準が不満だった。サソリ女は右半身が外骨格で覆われ、腹部は露出している。彼女の左脚もビキニから太股と美脚が露出し、右手の鋏と後頭部から三つ編みのように伸びた先端の毒針で武装している。

「鋏と毒針。いかにも危険な女って感じだな」

とその感心する手黒。一方、全身に棘を生やし、サボテン型の棍棒を手にしているサボテン男に姿を、

「貴方もかなり棘々しい姿ね」

とサソリ女が頼もしそうに見つめる。しして、

「行くわよ。思う存分暴れてね」

とサソリ女が促す。

「主役はお前だということを忘れるなよ」

とサボテン男が応じる。二人の怪人は夕方の買い物客で賑わう商店街に現れ、その異様な姿はすぐに注目を集めた。サソリ女とサボテン男は、それぞれの特徴を活かしながら、セイクリッドウインドを誘き出すために商店街を練り歩く。彼らの目的は明確で、彼らの力を試す絶好の機会となるだろう。

サソリ女とサボテン男の変身は、彼らの能力と恐ろしさを示し、周囲の人々に衝撃を与える。これにより、水都市のヒロインたちがどのように反応するか、次の展開が期待される状況となった。


商店街に響き渡る町内放送でのサボテン男とサソリ女の出現に、人々は大混乱に陥っていた。

「奈理子ちゃん、早く来てくれー!」

「奈理子ちゃん、助けてくれー!」

と奈理子の名が叫ばれる。

「奈理子ってすごい人気ね」

と感心するサソリ女。しかし、商店街の人気者である奈理子は、変身アイテムであるアイマスクをモチノキ男に奪われているためミラクルナイトに変身することができないのだ。代わりにセイクリッドウインドが登場した。

「早かったな」

と驚くサボテン男。サソリ女は当然という顔をしていた。セイクリッドウインドである凜は、商店街のグフグフハンバーガーにいたのだ。

セイクリッドウインドは、二大怪人に向けて怒りを露にする。

「奈理子を襲うかと思ってたら、商店街を襲うなんて…。アンタたち何を企んでんの!」

と叫ぶ。サソリ女は冷静に

「何も企んではいないわ。強いて言えば裏切り者の風間凜を倒すことね」

と答える。いきなり本名で呼ばれたセイクリッドウインドは狼狽え、

「風間凜って誰よ?」

ととぼけるが、サソリ女は

「貴方の正体は街の人達には秘密にしてるの?」

と笑う。

「うるさい!」

とセイクリッドウインドが扇型の武器ガストファングを振る。突風がサソリ女を襲い、

「うわ!」

と吹き飛ぶサソリ女をサボテン男が素早く受け止める。

「手を貸そうか?」

とサボテン男はどさくさに紛れてサソリ女の尻を触る。

「触らないで!」

サソリ女はサボテン男の手を払うと、

「ちょっと油断しただけよ」

と言い、再び戦闘態勢を整える。

この緊迫した状況下で、セイクリッドウインドと二大怪人の間で激しい戦いが始まる。戦いがどのような結末を迎えるのか、商店街の人々は恐怖と興奮の入り混じった感情で見守っていた。


商店街の一角では、セイクリッドウインドとサソリ女の激しい戦いが繋がっていた。サボテン男と商店街の住民たちが、息をのんでその場面を見守っていた。

サソリ女は巧みにサソリの能力を駆使し、鋭い鋏と毒々しい毒針で攻撃を仕掛ける。その毒針は風を切り裂き、セイクリッドウインドに向けて飛んでいく。しかし、セイクリッドウインドは風を操り、巧みにそれらの攻撃を避けていた。

「うるさい!」

とセイクリッドウインドは扇型の武器ガストファングを振り回し、強力な突風でサソリ女を押し返す。だが、サソリ女は機敏に身を翻し、攻撃をかわしていく。

戦いは激しさを増し、セイクリッドウインドは次第に息を切らし始めた。その瞬間、サソリ女が一瞬の隙を突いて突進し、セイクリッドウインドに毒針を突き刺そうとした。ピンチの瞬間、突如としてドリームキャンディが現れる。

「セイクリッドウインド、大丈夫?」

と叫びながら、ドリームキャンディはキャンディチェーンを振り回してサソリ女を牽制する。セイクリッドウインドはホッとした表情を浮かべ、ドリームキャンディの登場に救われたことを感じていた。ここで、戦いは一時的に中断されることとなった。


サボテン男がセイクリッドウインドとドリームキャンディの前に出る。そして、

「ちょうど二対二になったし、ここで合体技だ」

とサソリ女に声を掛ける。

「合体技?」

と首を傾げるサソリ女。サボサソリ女とサボテン男は今日が初対面なのだ。合体技の特訓などしていない。サボテン男が

「サソリ女、前を向いて俺の膝の上に乗れ!」

と叫ぶ。サソリ女はサボテン男が何を企んでいる分からなかったが、凄い技があるのかもしれないと思い

「はい!」

と中腰になったサボテン男の膝の上に飛び乗った。サソリ女の両膝をサボテン男が両手でガッチリと支える。

「両手を広げバランスをとれ!」

サボテン男がサソリ女に指示を出す。何が起こるのか警戒するセイクリッドウインドとドリームキャンディ。大の字に体を反らすサソリ女。

「これが組体操サボテンだ!」

と得意気に宣言するサボテン男。

商店街の人々の前で繰り広げられたサボテン男とサソリ女の奇妙な合体技は、思わぬ方向へと進んでいった。『組体操サボテン』というサボテン男のアイデアは、周囲を呆気にとらせた。セイクリッドウインドは噴出した笑いを抑えることができず、

「キャハハハ…!」

と大声で笑いながらサソリ女を指差した。

商店街の住民たちも、この予想外の展開に苦笑いを浮かべている。一方で、ドリームキャンディは、この奇妙な行動が何を意味しているのか理解できずに困惑した。

「何ですか、それ?」

と首をかしげながら、サボテン男とサソリ女の行動を眺める。現代の小学校では、組体操は危険だとして禁止されているため、小学生のドリームキャンディはそれが何なのか分からない。

セイクリッドウインドに大笑いされたサソリ女は

「離して!」

とサソリ女はサボテン男から飛び降り、

「何させるのよ!」

と激怒し、サボテン男に対して不満を爆発させた。サボテン男は平然と

「一度サボテンをやってみたかったんだ」

と満足気に語り、その様子にセイクリッドウインドは更に笑いを増した。

「見事な合体技だったわ!シャシホコとか倒立するやつもやってよ」

と挑発するように言う。

サソリ女は、セイクリッドウインドの大笑いに憤怒し、

「風間凜、貴方は絶対に許さない!」

と強い殺意を抱きながら、セイクリッドウインドに対峙する。その瞬間、戦いの空気は一変し、商店街は再び緊張に包まれた。ここまでを

商店街はまるで大舞台のように変わり、サソリ女の怒りとセイクリッドウインドの挑発がさらなる戦いを予感させた。サボテン男は苦笑いを浮かべながらも、事態の深刻さを理解し、再び戦いの準備に入る。ドリームキャンディも緊張の面持ちで、セイクリッドウインドのそばに立つ。

サソリ女は鋏を振り回し、セイクリッドウインドに迫る。サボテン男も棘を駆使して攻撃の手を緩めない。一方、セイクリッドウインドとドリームキャンディは絶妙な連携で応戦する。この戦いは、ただの勝負以上のものを意味していた。それは、正義と悪、そして友情の物語だった。

商店街の住民たちは、息をのんでこの戦いを見守っている。子供たちはドリームキャンディに憧れ、大人たちはセイクリッドウインドの勇姿に感動する。この戦いが、水都の未来を左右する大きな出来事になることを、誰もが感じ取っていた。


奈理子は帰宅途中に、商店街にサボテン男とサソリ女が出現したことを伝える校内放送を聞いた。敵が自分を襲ってこなかったことに安堵しながらも、寂しさを感じていた。奈理子の心は複雑な感情で満たされていた。敵に襲われなかった安堵感と、ヒーローとして戦うことのできない寂しさが混在していた。彼女は自らを奮い立たせ、商店街へと足を進める。そこではセイクリッドウインドとドリームキャンディがサボテン男とサソリ女と激しく戦っていた。奈理子は隠れて、その戦いを見守るしかなかった。商店街の人々は戦いに熱中し奈理子には気付かない。

「俺に毒を掛けろ!」

サボテン男の指示で、サソリ女は彼に毒を掛ける。毒を浴びたサボテン男が、

「これぞ真の合体技、毒トゲの雨!」

彼は毒を含んだトゲを空中に射出した。毒トゲの雨がセイクリッドウインドとドリームキャンディに降り注ぐ。

奈理子は二人がやられたと思い、

「あぁ…」

と声を漏らすが、セイクリッドウインドが巧みにガストファングでこれを防いだ。しかし、戦況は依然として不利であった。

奈理子は二人助けに行きたいが、今はミラクルナイトとして戦うことができない。

「私が変身できたら…」

と奈理子が呟いたとき、

「奈理子もあの戦いの輪に入りたいか?」

その緊張の最中、奈理子の耳元でモチノキ男の声が響いた。彼は奈理子のアイマスクを振りながら、彼女をからかうように言った。

「返して欲しいか?」

という彼の言葉に、奈理子は心を揺さぶられる。

「きゃあ~!」

とドリームキャンディの悲鳴が聞こえた時、奈理子は決断した。

「お願い、返して」

と彼女はモチノキ男に懇願する。

「どうしようかなー」

とモチノキ男はスカートの上から奈理子の尻を撫でる。モチノキ男は油断していると思った奈理子は、大人しくモチノキ男に従った。モチノキ男は奈理子のスカートのホックを外し、彼女の白いショーツを露わにした。

「今日は白か。奈理子は本当に白が好きなんだな」

とモチノキ男はショーツに顔を近付ける。しかし、奈理子はこの瞬間を逃さなかった。彼女は素早く動き、モチノキ男の手からアイマスクを奪い取る。ついに、奈理子は自分のアイデンティティの象徴であるアイマスクを取り戻した。

今、奈理子はミラクルナイトとして再び戦うことができる。彼女の心には再び希望の光が灯った。商店街の人々の前で、

彼女はアイマスクを装着し、ミラクルナイトへと変身した。その瞬間、奈理子の姿は美しく輝くヒロインへと変貌を遂げた。ミラクルナイトとしての力と自信が奈理子の中で甦る。彼女は戦いの場へと駆け出し、サボテン男とサソリ女に立ち向かう。

セイクリッドウインドとドリームキャンディは奈理子の変身に驚き、同時に安堵する。ミラクルナイトの参戦により、戦いの流れは変わり始める。ミラクルナイトは敏捷に動き、サボテン男とサソリ女の攻撃をかわす。彼女の戦い方は、以前とは一味違っていた。過去の敗北が彼女をより強くしたのだ。

商店街の住民たちは、再び現れたミラクルナイトに声援を送る。子供たちは彼女の勇姿に憧れ、大人たちは奈理子の強さに感動していた。この戦いは、水都の未来を守るための重要な一歩となるのだった。


「奈理子ちゃん頑張れ〜!」

商店街の誇りであるミラクルナイトの姿に商店街は沸き立っていた。力尽きかけていたセイクリッドウインドとドリームキャンディも奈理子の勇姿に力を得て立ち上がる。

「水都の平和を乱す者は私が許さないわ!」

と宣言するミラクルナイトは水色の光弾を放つが、

「そんなものには当たらないわ!」

サソリ女はそれを巧みに避けて接近する。しかし、サソリ女の攻撃を目前にしたとき、

「ぎゃ!」

と悲鳴を上げたのはサソリ女だった。突然の白いトリモチがサソリ女を捕らえた。

その登場者はモチノキ男。

「久しぶりだなサソリ女。しばらく見ない間に、いい女になったじゃないか」

彼はサソリ女に親しげに言葉を投げかけ、サソリ女の太腿に目を向ける。

「いやぁ~」

と藻掻くサソリ女の代わりに

「何をする、モチノキ男」

と、サボテン男がモチノキ男に抗議するが、モチノキ男は

「奈理子は俺の玩具だ。お前たちは手を出すな」

と宣言し、怒りを露わにする。

トリモチに拘束されたサソリ女が

「貴方が奈理子に逃げられたからでしょ…。私は風間凜との戦いを邪魔されたのよ!」

とモチノキ男に抗議する。セイクリッドウインドはサソリ女に対して、

「さっきから私に突っかかってきてるけど、アンタ誰?」

と問うが、それに対してサソリ女は、

「貴方たちの誰かと戦うなら、裏切り者のナメコ姫、風間凜と戦うのがマシと思っただけよ!」

とセイクリッドウインドの正体を明かす。それは、ミラクルナイトと商店街の人々にとって衝撃の事実だった。セイクリッドウインドが風間凜であり、以前はミラクルナイトの敵ナメコ姫であったことを知らない商店街の人々にどよめきが起こる。ミラクルナイトも

「セイクリッドウインドはナメコ姫だったの?」

と口にする。混乱するセイクリッドウインドに代わり、ドリームキャンディが

「奈理子さん、セイクリッドウインドは…」

と言いかけたが、ミラクルナイトは

「私はナメコ姫のことは嫌いじゃなかったから、ナメコ姫がセイクリッドウインドとして味方になってくれたら嬉しいよ」

とセイクリッドウインドを受け入れる態度を示す。

その間に、サボテン男がサソリ女の太腿を撫でながら

「俺に任務はサソリ女の護衛だ。彼女は連れて帰る。トリモチを取り除け」

とモチノキ男に言った。

「触らないで!」

とサボテン男を怒るサソリ女だが、モチノキ男は

「サソリ女も捨てがたいが、俺には奈理子がいるからよかろう」

とにトリモチの拘束を解く。サソリ女はモチノキ男に

「お前なんか、ボコボコにやられてしまえ!」

と怒りをあらわにしながら、サボテン男に抱かれ去って行った。

モチノキ男はそんなことには気にも留めず、奈理子に向かって手を広げる。

「奈理子、もっと可愛がってやるから俺のところに戻ってこい」

と彼は言うが、ミラクルナイトは

「嫌よ!」

は断固として拒否する。商店街の戦いは、モチノキ男とミラクルナイトの戦いへと移行していく。商店街の人々はこのドラマチックな展開に心を奪われ、ミラクルナイトを応援する声が高まる。ミラクルナイトはモチノキ男に立ち向かい、水都の平和を守るために戦う決意を固める。


商店街は熱気に包まれていた。ミラクルナイトはモチノキ男に向かって怒りをぶつける。

「よくも今まで散々恥を掻かせてくれたわね!」

と彼女は叫ぶ。しかし、モチノキ男は冷ややかに笑い、

「奈理子もドリームキャンディもパンツ争奪戦は楽しんでいたはずだ」

と挑発する。ミラクルナイトは憤慨し、

「楽しかったはずないでしょ!」

と反論する。そこに、

「私たちも一緒に戦いますよ」

とドリームキャンディが支援を申し出る。セイクリッドウインドも頷く。しかし、ミラクルナイトは

「モチノキ男は私が倒すわ!」

と断固たる決意を見せる。

商店街の人々は

「奈理子ちゃん、頑張れー!」

と彼女を熱烈に応援する。

モチノキ男は

「弱いミラクルナイトが一人で俺に勝てると思ってるのか?」

とミラクルナイトを嘲笑う。ミラクルナイトは怒りをあらわに

「ミラクルナイトは負けないわ!喰らいなさい!」

と掌から水色の光弾を放つ。光弾は次々とモチノキ男に命中するが、光弾はモチノキ男のトリモチに吸収されていく。

「あぁぁ…」

渾身の攻撃が通用せず絶望の呻きを漏らすミラクルナイト。

「ミラクルナイトに変身しても弱いのか、奈理子」とモチノキ男は嘲る。そして、

「次はこっちの番だ。ほれ!」

白いトリモチを放つモチノキ男。

「フェアリーシールド!」

ミラクルナイトは掌から淡い水色の光の防御壁を展開しトリモチを受け止める。しかし、フェアリーシールドに張り付いたトリモチはフェアリーシールドを侵食し始めた。

「そんなバリアじゃ俺様のトリモチは防げないぜ」

とモチノキ男。トリモチがミラクルナイトを襲う。恐怖に怯えたミラクルナイトが

「いゃあ!」

と尻餅をつき悲鳴を上げたとき、セイクリッドウインドがガストファングでトリモチを吹き飛ばし、ドリームキャンディがミラクルナイトを救い上げる。ドリームキャンディは

「奈理子さん、私たちをもっと頼ってください」

と優しく言い、セイクリッドウインドも

「一緒にモチノキ男を倒そう」

とミラクルナイトに呼びかける。ミラクルナイトは彼女たちの手を握り、

「ナメコ姫、ドリームキャンディ、力を貸して」

と力強く呼びかける。ドリームキャンディは

「もちろんです!」

と答え、セイクリッドウインドは

「今はナメコ姫じゃないよ」

と微笑む。

商店街の人々は声援を送り、三人のヒロインが力を合わせてモチノキ男に立ち向かう。ミラクルナイト、セイクリッドウインド、ドリームキャンディの絆が強まり、共に戦う決意を固める。商店街の空気は期待と希望で満ち溢れ、この歴史的な戦いの行方に全員の目が釘付けになっていた。


商店街の空気は緊迫していた。ミラクルナイトは決然と掌から水色の光弾を放ち、モチノキ男に対抗する。光弾は一つまた一つとモチノキ男に向かって飛んでいくが、彼の粘着性の高いトリモチがそれを次々と吸収していく。

それでも、ミラクルナイト、ドリームキャンディ、セイクリッドウインドが力を合わせ、モチノキ男に立ち向かっていった。ミラクルナイトは水色の光弾を放ち、ドリームキャンディはキャンディチェーンを振るい、セイクリッドウインドはガストファングを操る。モチノキ男は余裕の表情でこれらの攻撃を受け止める。商店街の人々が緊迫した雰囲気の中でこの戦いを見守っていた。

戦いは激しさを増す中、ミラクルナイトのピンチが訪れた。彼女は力を振り絞って攻撃を続けるが、モチノキ男のトリモチが彼女の動きを制限し始め、ミラクルナイトは徐々に劣勢に追い込まれていく。ドリームキャンディとセイクリッドウインドは必死に彼女を助けようとするが、モチノキ男の圧倒的な力の前に二人も苦戦を強いられる。ミラクルナイトは孤立無援の中、敵の圧力に押し潰されそうになりながらも、最後の力を振り絞る。


ミラクルナイトの悲鳴が商店街に響き渡る。

「あぁ…」

という彼女の声が、戦いの緊迫感を高ていく。ミラクルナイトは、モチノキ男によってトリモチでスカートを剥ぎ取られ、純白のショーツ姿にされてしまっていた。その姿で座り込む彼女に、ドリームキャンディが

「奈理子さん、恥ずかしがっている場合じゃありません!」

と叱咤激励する。

この危機的状況で、セイクリッドウインドは重大な決断を下した。

「あの姿にはなりたくないけど…正体バレちゃたしいいか」

とつぶやき、ナメコ姫の力を解放する決意を固めた。彼女の姿が徐々に粘液に覆われ始める。

モチノキ男は、セイクリッドウインドの異変に気づき、素早くトリモチを放つ。しかし、セイクリッドウインドを覆うゼラチン質の粘液は、トリモチを弾き返した。

「何だ??」

と困惑するモチノキ男。周囲のミラクルナイト、ドリームキャンディ、そして商店街の人々も同様に驚愕していた。

粘液の中から現れたのは、恐怖のナメコ姫。ミラクルナイトは

「ナメコ姫!」

と驚き、商店街の人々も

「セイクリッドウインドは本当にナメコ姫だったんだ!」

と声を上げる。ナメコ姫は

「奈理子を苛める奴は私が許さない!」

と宣言し、モチノキ男に向けてヌルヌルを放った。


気品溢れるナメコのお姫様の登場に、商店街からは大歓声が沸き起こる。モチノキ男はナメコ姫の放ったヌルヌルによってまともに動けず、足元を滑らせながら転がり回っていた。怒り狂うモチノキ男が

「裏切者のくせに薬の権を使うのは卑怯だぞ!」

と抗議するが、ナメコ姫は優雅に腕を組み、

「私の薬をどう使おうと私の勝手でしょ」

と高慢に言い放った。

その後、ナメコ姫は

「奈理子、トドメを刺しなさい」

と呆然とするミラクルナイトに指示を出す。ドリームキャンディは、ナメコ姫になった途端に態度が大きくなった凜の変化に苦笑いしつつ、

「奈理子さん、リボンストライクです」

とミラクルナイトを励ます。ミラクルナイトは力強く頷き、光り輝く両手を高く掲げ、リボンストライクの体勢をとった。

転がりながらも

「ヌルヌルだけが取り柄のナメコ姫ごときにこの俺様が…」

と悔しがるモチノキ男に向けてリボンストライクを放つ。モチノキ男は

「奈理子のパンツでもっと遊びたかった…」

と最後の言葉を残し、消滅していった。

ミラクルナイトは感謝の意を表し、

「ありがとう、ナメコ姫。今までずっとセイクリッドウインドとして、私を助けてくれてたんだね」

とナメコ姫の手を両手で握った。ナメコ姫は

「今回はモチノキ男を倒すためにナメコ姫の姿になっただけで、私はセイクリッドウインドだから…」

と照れ臭そうに語る。ドリームキャンディは

「敵だったときはメチャクチャ嫌な奴だったけど、味方になったナメコ姫は心強いですね!」

と元気に言い、ナメコ姫はドリームキャンディの頭を軽く叩いて

「帰るよ、キャンディ」

と言った。ドリームキャンディは嬉しそうに

「はい、ナメコ姫」

と応える。去っていくナメコ姫とドリームキャンディを見送るミラクルナイトと商店街の人々。ミラクルナイトはスカートを穿いていないが、それがすでに当たり前の光景になってしまったかのように、誰もそのことを指摘する者はいない。商店街は平穏を取り戻し、ミラクルナイトの活躍に感謝の声が上がるが、ミラクルナイト自身は自らの無力さと戦い続けなければならない運命に、複雑な心境を抱いているのであった。


勅使河原の執務室で、手黒から商店街での戦いについての報告がなされていた。渦巻はモチノキ男の敗北に驚きを隠せず、

「凜を始末しなかったのは誤りでした。直ぐ様、凜へ刺客を送りましょう」

と勅使河原に提案する。しかし、勅使河原は沈黙を守り、内心では凜を見直していた。勅使河原は凜にナメコの薬を与えた張本人で、彼女の変身後の姿に興味を持ち始めていたのだ。

「紗理奈は使えそうか?」

と手黒に問う勅使河原。サソリ女の紗理奈は初めての実戦でまだ能力を完全には使いこなせていなかった。手黒は

「紗理奈はサソリの能力を十分に使いこなせていませんが、ミラクルナイトが相手なら勝機はあるでしょう。ただし、セイクリッドウインドやドリームキャンディとの戦いでは危険です」

と手短に報告した。

勅使河原は静かに

「紗理奈は手黒に預ける。サソリの能力を使いこなせるように育てろ」

と命じた。手黒は内心で紗理奈が実戦向きの性格ではないと感じていたものの、勅使河原の命令を受け入れる。

手黒が執務室を出た後、勅使河原は渦巻に対して

「刺客を送るのは凜ではなくこの女だ」

と一枚の写真を見せる。

「この女は?」

の渦巻の問いに勅使河原は

「新聞記者だ。バカな議員がコイツを消してくれと泣きついてきた」

と説明する。

「マナコ男を差し向けましょう。報酬はミラクルナイトと遊ぶ権利を与えることでよいですか?」

と渦巻。頷く勅使河原。ミラクルナイト、奈理子の知らないところで新たな事件が起きようとしていた

第108話へつづく)

あとがき