DUGA

ミラクルナイト☆第242話

或る或る天国。天野妙華は、穢川研究所の若手幹部・手黒との通信を終えた。彼女の眉間には、深刻な皺が刻まれていた。

「一花お嬢様を襲った男の私物は研究所がすべて引き取る。男に関するデータはすべて破棄せよ」

一方的な指示。痴漢から始まったくだらない事件で、なぜ、或る或る天国のトップである自分が、若造の手黒に責められなければならないのか。妙華の怒りは、沸騰点に達していた。彼女は部屋を歩き回り、大理石の小物を壁に叩きつけた。派手な音と共に、粉々に砕ける。

「どうしました、妙華様」

部下がぞろぞろと部屋に入って来た。

「ああ…いえ、何でもないわ」

「怒っていると、美人が台無しですよ」

「今の私に余計なお世話よ!」

と怒鳴りかける妙華。その怒りに目を覚ましたかのように、部屋のテレビが光を放ち始めた。それは水都のローカルニュースだった。画面には、市役所前の広場で、市民にチョコレートを配る、野宮奈理子の姿が映し出されている。
世間では、バレンタイン商戦の真っ只中。ミコールの、バレンタイン・イベントのようだった。

「なぜバレンタインに、女子の下着のキャンペーンを?」

妙華は、一瞬、疑問に感じた。だが、画面に映る、愛想を振りまく可愛らしい奈理子の姿を見て、更に怒りがこみ上げてきた。

「…奈理子…ミラクルナイトめ…」

妙華は、奈理子のことが好きではない。ミラクルナイトには、これまで何度も邪魔をされてきた。ファンに囲まれていい気になっている奈理子の姿は、妙華の神経を逆なでした。
鄙野で遊んでいるファンユイを水都に呼び寄せるよう、部下に命じる。

「ファンユイ…」

その名を、妙華は、呟いた。彼女は、カンフーの達人。腹癒せに、ファンユイに奈理子を襲わせ、懲らしめてやる。そう決意を固めた妙華の顔に、狂気的な笑みが浮かんだ。


鄙比田温泉の公営浴場。紗理奈とファンユイ。湯気の立ち込める桧風呂の中で、二人は向かい合って腰を浸けている。

「え〜!ファンユイも水都に帰るの?!」

紗理奈は、がっかりした声を上げた。鄙野での、唯一の、友人の、去るのは、寂しい。

「お仕事アルヨ。終わったら鄙野には帰ってクルネ」

ファンユイは、湯舟の中でゆっくりと腕を伸ばして言った。

「何のお仕事?」

紗理奈が、興味深く尋ねる。

「それは秘密アルネ」

ファンユイは、くすりと笑った。その笑みには、いつもと違う鋭さが混じっていた。

「紗理奈は、鄙野が、好きじゃないアルカ?」

ファンユイが、不意に、尋ねた。

「嫌いじゃない…。でも、水都の方が便利で楽しいよ。お店も多いし、美味しいものもたくさんある。今ちょうどバレンタイン前だから、普段食べないような美味しそうなチョコレートがたくさん売ってるよ」

「C国では、バレンタインは"恋人の日"で、恋人がいない人には関係ないアルネ」

「へ〜、そうなんだ。水都にチョコレート買いに行きたいなぁ…」

恋人がいない紗理奈は閃いた。チョコレートから魔物を作って、彼氏がいるくせにいつもファンにチヤホヤされる奈理子を懲らしめてやろう。コマリシャスなら、喜んで魔物を作ってくれるはず。

「急に考え込んで、どうしたアルカ?」

「何でもないの。ファンユイ、水都は怪人とか魔物が出るから、気を付けてね!」

「ミラクルナイトがいるから大丈夫アルヨ」

湯船から上がる二人の背中に白い湯気が立ち上る。ファンユイの心には、すでに次のターゲットであるミラクルナイトの姿が浮かんでいた。


コマリシャスの本拠地であるアパート前の原っぱ。

「コマリシャス、すっごいの作ってね!」

紗理奈が拳を握りしめる。

「うん。すっごいの作るよ、紗理奈!」

コマリシャスが、呪文を唱え、地面に魔法陣を出現させる。

「何故、チョコレートなのだ?」

「コマリシャス様は甘いものがお好きなのだよ」

フーセンバターケンとタンポポタイが、魔法陣を見守る。

「さあ、出ておいで。新しい、私の下僕ちゃん!」

コマリシャスの言葉とともに、現れたのは、チョコレートとクルミの合成魔物チョコクルミ。
チョコレートの体は、甘い香りを放ち、クルミの硬い殻は、まるで甲冑のよう。その見た目は可愛らしいが、力は強い。その力を試すために、フーセンバターケンが殴りかかると、チョコクルミはフーセンバターケンを軽く一撃で吹き飛ばした。

「すごい…!」

紗理奈は目を輝かせる。

「これで、奈理子を懲らしめてやる!」

チョコクルミは、紗理奈の言葉を理解したかのように大きな体を揺らした。

「コマリシャス様、ミラクルナイトは水を操ります。この魔物は水には耐性はありますか?」

タンポポタイが心配そうに尋ねる。

「大丈夫。この魔物は、チョコレートの魔法で水を弾くようにしたんだよ」

タンポポタイは、コマリシャスの策略に感心した。


水都タワー前広場では、ミコールのバレンタインイベントが行われていた。奈理子は、街頭での握手会を行っていた。奈理子自身が、"可愛いバレンタインのプレゼントです♡“と主張しているかのような、チョコレート色のドレスにリボンを巻いたようなあざと可愛いコスチューム。長蛇の列は、どこまでも続いていた。
そんな中、奈理子ファンが、一人、また一人と、液体状のチョコレートを浴びせられ、倒れていく。

「チョコレートが欲しければ、私がいくらでもくれてあげよう」

と、現れたのは異形の魔物、チョコクルミ。

「いくらバレンタインだからって、男の人に無理矢理チョコレートをかけるのは許せない!水都の守護神、ミラクルナイトが許さないんだからッ!」

奈理子は、アイマスクを手にチョコレートクルミの前に立ち塞がる。

「ミラクルチェンジ!」

と、勢い込んで、彼女は高く跳躍し、水色の光に包まれて変身する。

「おおっ!今日はジャンプしながらの変身!」
「今日も奈理子ちゃんのパンツは白だ!」

光が収まると、そこには純白の天使、ミラクルナイトがいた。

ビシッ!とチョコクルミを指差し、

「水都の平和を乱す者は、ミラクナイトが許しません!」

キリッ!と睨みつけるミラクルナイト。その瞬間、風が、ふわりとミラクルナイトのスカートを舞いあげた。

「奈理子ちゃんの凛々しい表情&パンチラ、最高!」
「可愛いし、カッコイイぞ、奈理子!」

街頭のファンの歓声が、より高くなる。

「水都の守護神、パンツを見せて私の心を迷わそうとしても無駄だぞ」

「そんなつもりはありません!」

赤面してスカートを押さえるミラクルナイト。その仕草にの可愛らしさに、さらに歓声が上がる。

甘いカカオの香りが風に乗り、街中に広がっていく。ミラクルナイトは、その甘い誘惑に、一瞬、意識を遠のかせる。そんな自分を、彼女は摇り起こす。

「甘い香りに油断しちゃダメだって、あたし!」

ミラクルナイトは、両腕を前に突き出し、掌から放つ水色の光弾で、チョコクルミに攻撃を仕掛ける。

「シャインブラスト!」

だが、光弾は、チョコクルミのチョコレート状の体に吸収されてしまい、跡形もなく消えていく。チョコクルミは、何もなかったかのように、ミラクルナイトに一歩近づく。その動きは、予想外に、滑らかだった。

「甘い誘惑ほど危険なものはないのだよ、水都の守護神」

チョコクルミは、穏やかな口調で、呟く。その声に、ミラクルナイトの心は、さらに乱される。

「ふざけないでっ!」

ミラクルナイトは、その言葉を振り払うように、高く跳躍し、キックを放つ。

「えい!」

しかし、その蹴りは、クルミの殻のような硬い装甲で受け止められ、甲高い音を立てて弾かれた。

パンチラキック、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
白いパンツが眩しいっ!」
「純白の天使、サイコー!」

ミラクルナイトのパンチラに、大喜びの奈理子ファン。
着地の際、ミラクルナイトは、足元の地面がベタついていることに気づく。チョコクルミが地面にばらまいた”カカオコート”だった。足を取られたバランスを崩す彼女のプリーツスカートは、風に舞い、その下の純白のショーツをさらけ出した。甘い香りと、ファンの大声援。ミラクルナイトは、顔を真っ赤にして、必死に体勢を立て直そうとした。

「その、純白パンティがご自慢のようなだな」

チョコレートクルミが、ニヤリとする。

「いやらしい目で見ないでよッ!」

ミラクルナイトは、チョコレートクルミの視線に悪寒を感じ、慌ててスカートを押さえた。

(また、エッチなことをされる…かも)

期待と恐怖で、ミラクルナイトの胸が高鳴る。

「水都の守護神の純白パンティ、私がチョコレート色に染め上げてくれよう」

チョコレートクルミは、掌を地面につき、その場で回転を始める。その回転とともに、地面に広がっていたカカオコートが、渦を描いてミラクルナイトの足元に集中する。

「ショコラ・クラッシュ!」

巨大なチョコとクルミの塊が、ミラクルナイトのスカート目がけて一直線に突進してくる。圧倒的な重量と、甘い香りに挟まれて、ミラクルナイトは、逃げ場を失う。ミラクルナイトはとっさにジャンプ、そして、股を開いてショコラ・クラッシュの直撃を避ける。巨大な塊は、彼女の股の間を掠めていった。

「きゃあああああっ!」

悲鳴とともに、ミラクルナイトは、股間をチョコレートの波に、微かに擦られた。

「あぁん…ッ」

甘ったるい液体の温もりが、彼女の白いショーツのクロッチを通して感じる。その可憐な体は、股間を押さえたまま、地に落ちた。それでも、懸命に白い翼ミラクルウイングを羽ばたかせ、何とかカカオコートの沼からは脱出できた。

「ああ、なんて美しい…守護神が、チョコレートに染まっていく姿は…」

「染まってないわッ!ちゃんと避けたし!」

ミラクルナイトは、四つん這いになり、頭を上げてカカオコートを睨みつける。
そのとき、ミラクルナイトの後方でざわめきが起こった。


「ああっ!奈理子ちゃんの純白パンティにウンスジが?!」
「まるで、ウ◯コを漏らしたようだ…」

四つん這いでお尻を突き出した態勢では、ミラクルナイトのミニスカートは奈理子のショーツを完全に隠すことはできない。奈理子ファンが目にしたのは、チョコレート色に染められた、奈理子のショーツのクロッチだった。

「え…?ちっ、違う!お漏らしなんか、してないわッ!」

ミラクルナイトは、奈理子ファンの反応に慌て股間を確認する。

「チョ…チョコレートが…」

彼女は、自分のショーツのクロッチが、ショコラ・クラッシュの際に受けた、微かな衝撃で、チョコレート色に染まっていることに気づいた。その汚染は、まるで、汚らしい烙印のようだった。

「これが、あなたの本当の欲望なのですよ、守護神様」

チョコレートクルミが、穏やかな口調で、言い放つ。

「嘘っ!」

ミラクルナイトは、その言葉を否定するように、立ち上がり、水色の光弾を放つ。

「えいッ!」

だが、光弾は、チョコレートクルミのチョコレート状の体に吸収されてしまい、跡形もなく消えていく。彼女の攻撃が、まるで、この魔物を、より強くするかのようだった。

「甘い誘惑ほど危険なものはないのですよ、水都の守護神様」

チョコレートクルミは、穏やかな口調で、呟く。その声に、ミラクルナイトの心は、さらに乱される。その甘い香りは、彼女の抵抗をも溶かすようだった。

「ミラクル…クロスチョップ!」

ミラクルナイトは、空中に飛び上がり、チョコレートクルミに向かって突進する。だが、その動きは、予想外に、滑らかだった。チョコレートクルミは、ミラクルナイトの突進を、軽く受け止め、彼女の体を抱きしめた。

「観客の皆様が、チョコレート色に染まった純白パンティを見たいようですから、もっと見せてあげましょう」

「やめてッ!」

ミラクルナイトは、必死に抵抗するが、チョコレートクルミの力は、強く、彼女の体を動かすことはできなかった。彼女の体が、チョコレートクルミの両腕で、股を広げられた、ゆっくりと、抱え上げられていく。

「汚された純白の天使だ!」
「ウンコ漏らした奈理子ちゃんも可愛いよ!」

ファンの歓声が、さらに高まった。

「漏らししてないッ!うぅ…みんな、見ないでぇ…」

ミラクルナイトは、屈辱に顔を真っ赤にして叫ぶ。だが、その声は、歓声にかき消されていた。チョコレート色に染まったクロッチが、衆人の目に晒される。

「ああ…なんて美しい…あそこの画面にも、守護神の美しい姿が映っていますよ」

チョコレートクルミが、感嘆の声を上げる。その声は、ミラクルナイトの耳に、甘毒のように響いた。タワー前広場の大型ビジョンには、開脚状態で抱え上げられるミラクルナイトの姿映し出されていた。彼女は、もう、何も言えなかった。

「チョコレートクルミさん、汚された股間を晒されている奈理子ちゃんの素顔が見たいです!」
「奈理子ちゃんのアイマスクを外してください!」

無慈悲な奈理子ファンの要望が飛ぶ。

「お願い…もう、やめて…」

ミラクルナイトは懇願する。だが、チョコレートクルミは、その声を聞き入れなかった。彼の指が、ミラクルナイトのアイマスクに触れる。その指先のチョコレートの粘液が、彼女の頬に伝った。

「いやっ!」

アイマスクがゆっくりと外されていく。その下に隠されていたのは、屈辱と恐怖で涙に濡れた野宮奈理子の顔だった。

「やめて…」

彼女の、小さな声は、ファンの狂気的な歓声に、消えていった。

「おおおお!見えるぞ!奈理子ちゃんの素顔だ!」
「泣き顔が最高にエロい!」
「奈理子ちゃん、泣き顔も可愛いよ!」

ファンの声は、まるで、悪魔の囁きだった。
水都の守護神ミラクルナイトは、水都市民の期待を裏切ることはできない。市民が望むのであれば、奈理子の意思に関わらず、期待には応えなければならない。ミラクルナイトは、涙を流しながら羞恥に耐えるしかなかった。

盛り上がる奈理子ファン。その中には、鄙野から水都に帰還したファンユイ・チュンの姿もあった。

「相変わらずミラクルナイトは弱いアルナ。兄は、本当にこんなクソザコに負けたアルカ…?」

ファンユイが呟いた。彼女は、奈理子ファンに紛れて戦いを見ていたのだ。

「ん?あれは…」

ファンユイは遠くの空から、オレンジ色の光が、タワー前広場に向かって来ているのを見た。

「チョコレートクルミさん、奈理子ちゃんが、本当にお漏らししていないか、確かめたいです!」
「そうだ、奈理子ちゃんがウンコ漏らしてないか、直接、見て確認しないと分からない!」

奈理子ファンの要望はエスカレートする一方だ。チョコレートクルミは、満足げに頷くと、ミラクルナイトのショーツに、その指を近づける。

「あぁ…奈理子の恥ずかしいところ…見ないでぇ…」

そう口にしながらも、ミラクルナイトはファンに見えやすいように、自ら股を広げた。水都の守護神の悲しい性だった。チョコレートで汚れたクロッチは、奈理子の愛液で濡れている。
チョコレートクルミの指先が、彼女のクロッチの内側に差し込まれ、ずらそうとする、その瞬間だった。
オレンジ色の巨大な光が、タワー前広場に着弾。その中ながら現れたのは、

「奈理子さんをイジメる者は、中学生戦士ドリームキャンディが許しませんッ!」

それは、まるで、神の裁きのようだった。ドリームキャンディが、ミラクルナイトの眼前に現れた。

「キャンディ…来てくれたの…でも…」

虚ろな目でドリームキャンディを見つめるミラクルナイト。奈理子ファンの熱い期待と視線に酔っていたミラクルナイトは、もっと恥ずかしい姿を皆に見てもらいたかったのだ。

「奈理子さん、小さい方はよくお漏らししますけど、今日は大きい方までお漏らししたんですか?」

ドリームキャンディは、チョコレートと奈理子の愛液で汚れた彼女の股間に冷たい視線を向けた。

「うっ…お漏らししてないってば…ッ」

ミラクルナイトは、ドリームキャンディの無神経な言葉に、さらに、屈辱が増した。

「貴女が、守護神の手下其の一、ガキンチョさんですね」

チョコレートクルミが、冷たく言うと、ミラクルナイトのスカートを剥ぎ取った。

「あぁ…なぜスカートを…?」

ミラクルナイトは、戸惑った。今の状態でもパンツ丸見えなのに…

「もっと見てもらいたいようですから、私が抱え上げなくても見えるようにしておきました」

チョコレートクルミは、そう言って、

「返してあげますよ」

と、ミラクルナイトをドリームキャンディに向かって放り投げた。

「あぁ…」

投げられたミラクルナイトを、ドリームキャンディは無言で受け止める。

「キャンディ、ありがとう」

「白いパンツに、茶色い汚れは目立ちますね。お漏らししたことが丸わかりです」

「…お漏らしじゃないのに…」

ミラクルナイトは、羞恥に顔を背けることしかできなかった。

「魔物は私に任せて、奈理子さんは、下がっていてください」

ドリームキャンディは、チョコレートクルミと対峙する。

「守護神の手下の、お手並み拝見といきますか」

チョコレートクルミは、チョコレートの腕を振る。

「スイートアロマ!」

強烈な、カカオの香りが、広場一帯を覆う。甘い香りは、ドリームキャンディの戦意さえも奪っていく。チョコレートクルミは、その隙に、”ナッツボム”を、ドリームキャンディに向けて投げつける。

「きゃっ!」

ドリームキャンディは、ナッツボムを回避するが、砕けた殻とチョコ片が、彼女の足に絡みついた。

「くっ…甘ったるい匂い…足が…動かせない…」

「女の子は、甘いものには弱いのですよ」

チョコレートクルミは、ドリームキャンディに、ゆっくりと、近づいていく。

「私も、甘いものは得意ですけどね。キャンディシャワー!」

甘い七色の光が、タワー前広場に振り注ぐ。甘ったるい香りが、さらに広がる。

「ななっ!何だコレは?!」

カカオコートが、キャンディシャワーによって、溶かされていく。

「次は、こっちの番ですよ」

ドリームキャンディは、腰のキャンディベルトを外した。

「甘いものは、甘いもの。キャンディチェーン!」

ドリームキャンディの手に、キャンディを連ねた鞭、キャンディチェーンが姿を表す。

「この私が、甘いものに負けるわけがないっ!」

チョコレートクルミは、ドリームキャンディに向かって突進する。

「それッ!」

キャンディチェーンが、チョコレートクルミの胸に命中し、チョコレートクルミの体を覆うチョコレートを飛ばした。だが、その衝撃は、クルミの殻に弾かれてしまった。

「”クルミシェル”に、そんな鞭は効きませんよ」

チョコレートクルミは、クルミの体を露わにしてニヤリとする。

「クルミの殻なら、叩き潰すまでです。ロリポップハンマー!」

ドリームキャンディは、キャンディチェーンをロリポップハンマーに変形させた。

「キャンディ、頑張って!」

ドリームキャンディとチョコレートクルミの戦いを、拳を握り締めて見守るミラクルナイト。そこに、

「奈理子さん、大丈夫ですか?!」

ミコール社員が駆け寄ってきた。奈理子は、ミコールのイベントに参加していたのだ。

「ショーツを汚してしまって、ごめんなさい…」

ミラクルナイトは、ミコール謹製"奈理子のショーツ"をチョコレートで汚されたことを詫びる。

「とんでもない。多くの人に"奈理子のショーツ"を見てもらいました。これ以上の宣伝効果はありません」

「はぁ…そうですか…」

ミラクルナイトは、スカートを脱がされたままの姿。下はショーツ1枚だけの姿だ。
奈理子ファンもミラクルナイトを取り囲み、ミラクルナイトを囲んで撮影会が始まった。ローアングルで奈理子のショーツを接写する。泣き顔の奈理子は、よりエロ可愛く、奈理子ファンを恍惚させた。

「股間だけ茶色だと、やっぱりウンコ漏らしたように見えるよな」
「もっと、足を広げて、ウンスジをよく見せて」
「キャンディが来てくれなかったら、今頃、奈理子ちゃんはどんな目に遭わされていたかなぁ」
「パンツ、濡れてるよ。奈理子ちゃん、パンツを見られただけで感じちゃったの?」

「うぅ…」

ファンの言葉に、ミラクルナイトは、恥ずかしさのあまり顔を歪める。

「お待たせしました。特製キャンディ、どーぞ」

ドリームキャンディは、ロリポップハンマーを振り下ろし、巨大なハート形のキャンディをチョコレートクルミに叩きつけた。

「何だこれは…!」

チョコレートクルミは、甘い香りに、さらに戦意を削がれる。

「これは、私のオリジナルキャンディ。甘いだけじゃない、辛いんです」

キャンディの中から、唐辛子の粉が、噴き出す。

「ぐっ…!辛いッ!」

チョコレートクルミは、唐辛子の粉を浴びて、体をかきむしる。

「見えました。クルミの殻に、ヒビが入った瞬間を」

ドリームキャンディは、ロリポップハンマーをキャンディチェーンに戻し、ヒビの入った殻に、キャンディチェーンを巻きつける。

「これで、終わりです」

「まだ…終わらせない…ッ!」

チョコレートクルミは、最後の力を振り絞り、”ハートトラップ”を放つ。ハート形のチョコが、ドリームキャンディに、くっつく。

「エッ?!」

ハートチョコに、両腕を拘束されたドリームキャンディ。

「甘い…匂い…」

甘い香りに、ドリームキャンディの意識が遠のいていく。

「負けない!今よ!」

ドリームキャンディは、最後の力で、キャンディチェーンを振る。チェーンは、ヒビの入ったクルミの殻に、まさしくの如く食い込み、粉砕した。

「ああ…」

チョコレートクルミは、粉々に砕け散った。

「やった…!キャンディ、すごい…!」

ミラクルナイトは、戦闘から解放されて、安堵のため息をつく。だが、彼女の周りを取り囲む奈理子ファンは、まだ消えていなかった。

「キャンディは凄いな。でも、可愛さならば、奈理子ちゃん、全然負けてないよ」
「チョコレートよりも、チョコレートと奈理子ちゃんのお汁で汚れた"奈理子のショーツ"が欲しいな」
「奈理子ちゃんのパンツ、触りたい…」

可憐なミラクルナイトの姿に、奈理子ファンは、見る、撮るだけでは我慢できなくなってきた。

「奈理子さんに、触ってはダメですよ。撮影だけです」

ミコール社員が間に入り、無防備なミラクルナイトをガードする。

「奈理子ちゃんのパンツ、僕も欲しい」

「はい、どうぞ。奈理子さんのパンツの代わりに、飴あげます」

ドリームキャンディが、奈理子ファンにキャンディを差し出した。

「飴…ありがとう、キャンディ…」

飴を受け取った奈理子ファンは、口に入れた。

「美味しい…なんだか、幸せな気分になった気がする…」

「夢がたっぷりつまった、ドリームキャンディの特製キャンディです」

ドリームキャンディは、ドロップ缶を振った。

「キャンディ、僕にもちょうだい!」
「俺も!」

奈理子ファンは、ドリームキャンディに群がっていった。その場に、スカートを脱いだミラクル汚パンツ姿のミラクルナイトが一人、ポツンと取り残された。


「奈理子さん、スカートを失くしてしまいましたが、その姿のままで、イベントは続けましょう。皆さんも喜んでいますし」

ミコール社員は、何の躊躇もなく、スカートのないミラクルナイトに、イベントを続けるよう指示する。

「え…?でも、変身を解除しないと、パンツが…元の衣装に戻らないと…」

「問題ありません。奈理子さんは、"奈理子のショーツ"のイメージキャラクター。それが、奈理子さんの商品価値です」

「うぅ…」

屈辱と、使命感の間で、ミラクルナイトは揺れる。だが、彼女は、水都の絶対ヒロインだ。

「わ…わかりました。イベント、続けます」

ミラクルファンが、再び、列を作る。彼らの視線は、ミラクルナイトの、チョコレートで汚れたショーツに、注がれている。

「奈理子ちゃん、頑張って!」
「汚れたパンツも可愛いよ、奈理子ちゃん!」
「もっと、股を開いて握手してよ」

ミラクルナイトは、涙を浮かべながら、笑顔で市民にチョコレートを配る。その姿は、水都の絶対ヒロインとして、彼女の運命だった。

「兄…」

ファンユイは、そんな奈理子の姿を見て、兄がミラクルナイトに負けた理由を、少し、理解した気がした。


「奈理子さん、よく頑張りましたね」

イベント終了後、ミコール社員が、彼女の肩に手を置いた。

「今日のパンツ、大事にしてくださいね」

「は、はい…」

新しいショーツに穿き替えたミラクルナイトは、チョコレートで汚れた自分のショーツを、大事に抱きしめる。

「では、お疲れ様でした」
ミラクルナイトは、ミラクルウイングを広げ、飛び去っていった。


水都公園。

「ごめんね、遅くなって…」

ベンチに座るライムの前に舞い降りたミラクルナイトは、へとへとだった。変身を解除して、あざと可愛いフリフリのバレンタインイベントの衣装に戻る。

「大変だったようだな、SNSはスカート穿かずにチョコレートを配る奈理子の話題で持ちきりだ」

ライムが、笑顔で出迎える。

「ライム…」

奈理子は、ライムに抱きしめられた。

「今日の戦い、動画で見た。ファンの視線に耐えて、よく頑張ったな、奈理子」

「うん…ありがとう、ライム」

奈理子は、ライムの優しさに、嬉しくなって、涙を浮かべる。

「イベントの後にチョコレートを買うつもりだったんだけど、時間がなくて…」

奈理子は、申し訳なさそうに、ファンに配ったものと同じチョコレートをライムに差し出した。
それを見て、ライムはニヤリとした。

「チョコレートは他にあるだろ、奈理子。今日のパンツ、どうした?」

「え…?」

奈理子は、驚いて、ライムを見上げる。

「動画で見た。チョコレートで汚れた、奈理子のパンツ」

「そ、それは…」

「俺は、それでいいよ」

「え…?ライム…?」

「ああ。俺が奈理子の大切なチョコレート付きパンツを貰ってやる」

ライムは、奈理子のショーツを、欲しそうな目で見つめる。

「うぅ…うん…」

奈理子は、赤くなった顔を隠すようにライムの胸に顔を埋めた。

「じゃあ、早速、脱いでくれよ」

「ええっ!?!?」

奈理子は、ライムの突然の要求に驚いて一歩後ずさる。

「奈理子、パンツくれ」

ライムは奈理子に近づき、彼女のスカートの下に手を入れようとする。

「や、やだっ!」

奈理子は、必死に抵抗するが、ライムの力は強く、彼女のチョコレート色のフリフリスカートの裾を、持ち上げられた。

「真っ白じゃないか。新しいパンツに穿き替えたのか?」

「あ、当たり前でしょ…」

「元のパンツはどこだ?」

「え…と…」

奈理子は、戸惑う。

「俺に奈理子のマン汁が染み込んだチョコレートをあげたくないのか?」

「うぅ…」

「どこかに隠したんだな」

ライムは、奈理子のイベント衣装をのぞき込み、ポケットに隠してないか触ってチェックする。

「いやぁ~くすぐったい」

「あったぞ」

ライムは、スカートのポケットから、チョコレートで汚れたショーツを発見した。

「や、やだっ!」

奈理子は、奪い返そうとするが、ライムは軽くあしらう。

「今年のバレンタインは、奈理子のチョコレートパンツだな」

ライムは、そのショーツを、嬉しそうに眺める。

「見てろよ。俺が、奈理子のパンツを奇麗にしてやる」

「き、きれいにって、どうやって…?」

「こうだよ」

ライムは、ショーツの汚れた部分に、自分の鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、舌をつけた。

「やっ!やだっ!やめてぇっ!変態ッ!」

奈理子は、顔を真っ赤にして叫ぶ。だが、その声は、公園の静けさの中で、空しく響いた。

第243話へつづく)

あとがき