ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第13章「帰還、そして風の名は」
鏡の中の自分は、ひどく痩せて見えた。
青ざめた頬、泣きはらしたような目、肩でずり落ちかけた戦衣。
胡桃は、敗北を重ねていた。
コマリシャスとタンポポタイの残した魔物たちは、夜な夜な町に現れ、 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第12章「風は、再び」
空は晴れていた。けれど、胡桃の心は曇っていた。
「ミルキー・シュート!」
無数の光弾が、町はずれの斜面に群がっていた小型魔物を一掃する。その光の中心に立つミルキーナイトの表情は、冷たい。
「…… ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第11章「別れと覚醒」
朝焼けの色は、あまりに優しくて、残酷だった。
胡桃は、裸のままベッドの上でシーツに包まりながら、隣で眠るレオの寝息を聞いていた。
「……こんな朝があるなんて、思ってなかった」
誰にも言えなかっ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第6章「集う者たち」
鄙野の空に、不吉な羽音が響いた。
竹が軋むような高周波。それは、風でも鳥でもない。
遠くの山裾から飛来した黒い影が、町外れの小学校跡地に着地すると、大地が小さく震えた。
「ミミミ……やっぱり田 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第5章「再臨、守護神」
鄙野の町に、異様な風が吹き荒れていた。
天気予報にはなかった突風。町の案内看板が軋み、紅葉の葉が空高く舞い上がる。
だが、ただの風ではなかった。
それは“刃”だった。
「キュイ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第1章「蘇る影」
秋の訪れは鄙野に静かに忍び寄る。街道沿いに並ぶ黒塀の旅館街、その軒先には赤提灯が灯り、濡れた石畳に淡い光を落としていた。細く長い路地を風が抜け、どこか懐かしい木の匂いと湯気が鼻先をくすぐる。佐笠胡桃は、その細道を歩いていた。 ...
寧々と隆の修学旅行
修学旅行二日目の朝、寧々は期待と不安を胸に秘めながら、鄙野の探索に臨んだ。重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い町並みを歩きながら、彼女の心は隆のことでいっぱいだった。一日目は何事もなく無事終わった。鄙比田温泉の旅館に宿泊した昨夜 ...
