ミラクルナイト☆第74話
カオリの瞳は、自身が開発に関わった新しい薬の効果に対する期待で輝いていた。彼女は鉄山の元へ駆け寄り、わくわくした声で話し始めた。
「遂に、クワガタの薬が完成したのよ。誰か適任者、紹介してくれない?」
しかし、鉄山は眉をひそめて苦笑いを浮かべた。
「俺の知り合いに薬代払える奴はいないぞ。」
カオリは焦りを感じながらも、希望を捨てきれずに言った。
「少しなら値引きするから、誰かいないの?クワガタはカブトムシの永遠のライバルでしょ。早く決めないと、あの勅使河原に取られてしまうわ。」
鉄山の目には、一瞬だけ考え込む色が浮かんだ。
「それはツシマヒラタか?」
彼はカブトムシ男として、その言葉の重さを痛感していた。
カオリは少し驚きながら答えた。
「普通のノコギリクワガタよ。」
鉄山は顔をしかめた。
「ノコギリは弱いぞ。何でツシマヒラタにしなかったんだ。アレはカブトムシよりも強いんだぞ。ツシマヒラタが無理だったにしても、少なくとも普通のヒラタで薬は作るべきだったな」
カオリはショックを受けて言葉を失った。
「えー、ノコギリクワガタって弱いの?でもあの姿、水牛のようでかっこいいと思うのだけど。」
鉄山は苦笑しながらも語り始めた。
「ノコギリは、気性が荒いチンピラのようなものだな。」
カオリは考え込んでしまったが、鉄山は優しく慰めた。
「でも、カブトムシやヒラタには負けるが、クワガタだからそれなりには強さがあるだろう。」
暗転した部屋の中心で、勅使河原は渦巻からの報告を黙然と聞いていた。重厚な椅子に深く腰掛けて、彼の目は深い闇を宿していた。ホヤ男という、彼の信頼を一身に受けていた部下が敗れたという事実は、彼にとって大きなショックだった。
「セイクリッドウインドというミラクルナイトの新しい仲間が出てきました。」
渦巻が静かに言葉を続ける。
勅使河原の目が細まった。
「また新しいヒロインが…ミラクルナイト、ドリームキャンディと続き、今度はセイクリッドウインドとはな。」
「我々の戦力も増強が必要だ。」
勅使河原の声は低く、深い決意を感じさせた。
突如として、彼の目に光が灯った。
「教授から、クワガタの薬が完成したとの一報が入った。」
渦巻は目を輝かせながら返答した。
「クワガタなら、カブトムシ男の対抗馬として期待できます。」
「カオリに先を越されるわけにはいかん。」
勅使河原の声は、更に冷たく響いた。
「渦巻、薬を購入できる者を探せ。そして、クワガタの名に恥じない戦士を見つけ出せ。」
渦巻は頭を下げ、きっぱりと答えた。
「承知しました。適任者のリストアップを急ぎます。」
勅使河原の目は、さらに狭まる。
「急げ。」
部屋には、2人の男の決意と、緊張が満ちていた。
カオリと勅使河原がクワガタの薬を巡り争っている頃、奈理子は都会の喧騒から離れたネットカフェの狭い個室でライムに膝抱っこされていた。そこは奈理子とライムにとって、他人の目を気にすることなく、安心して過ごせる場所となっていた。
暗い部屋の中、パソコンの画面だけが明るく光を放っている。映し出されているのは、動画投稿サイトに誰かが投稿した商店街でのある日の奈理子。メロン男との出会いにより、彼女はメロメロの表情をしていた。動画の奈理子が自分のパンツについて熱く語っている。
「この白いパンツは奈理子の清純さの証か…」
ライムは笑いながら指先で、今の奈理子が穿いている白いパンツを撫でる。彼の指先は、クロッチの布越しに奈理子の柔らかさや繊細さを感じ取っていた。
「清純どころか奈理子の白いパンツはいつも汚れてるけどな」
とライムは誂う。
奈理子は恥ずかしげに笑いながら、
「うるさいな、他の動画を見せてよ」
とライムに頼む。しかし、彼は動画の中のミラクルナイトの様子に引き込まれていた。動画の奈理子はミラクルナイトに変身し、ドリームキャンディとの戦いが繰り広げられていた。そして、ミラクルナイトはドリームキャンディにコスチュームを脱がされてしまった。
「ドリームキャンディ、彼女も酷い奴だな」
とライムの声が低くこだまする。
しかし、その後のシーンに、奈理子は我慢できずにパソコンの画面を消してしまう。彼女の頬は真っ赤になっており、心の中で小さく嘆息を漏らしていた。
「ねえ、ライム。今年もプールに行かない?」
奈理子は話題を変えようとした。その言葉に、ライムの瞳には去年の夏の思い出が浮かんでいた。
「あの時の奈理子は可愛かったな」
と彼は微笑む。奈理子は彼をじっと見つめて、
「今も可愛いでしょ?」
と言った。
パンツを撫でていたライムの指が、奈理子の中に入ってくる。2人は互いの目を見つめ合いながら、今この瞬間の幸せを感じていた。外の世界で何が起きようとも、この瞬間は2人だけのものだった。
水都市、それは美しき都であり、その中心に立つ水都中学に通う奈理子。彼女の表の顔は一見普通の中学生、だがその実、彼女はこの都を護るミラクルナイトという別の顔を持っていた。
彼女の姿を探すファンたちは、学校の門前や商店街の路地で彼女の姿を待ちわびていた。その純真な瞳に会い、サインを求め、短い時間だけれど彼女との交流を楽しんでいた。だが、その程度の接触では満足できない者たちもいた。彼らは高額な変身薬を手に入れ、ミラクルナイトの敵として彼女に迫った。敵として彼女に挑むことで、間近で彼女の姿を堪能することができると考えたのだ。
ゲジゲジ男やハンミョウ男も、そのような者たちの中の一人だった。彼らは敗北してしまったが、ミラクルヒップストライクというミラクルナイトの幸せな必殺技を受けた瞬間、彼らの表情には短いながらも至福の喜びが浮かんでいた。
日暮もそのような幸せな技を受けたいと熱望していたが、彼は奈理子に敵意を持って近づくことをためらっていた。その日暮が、ある夏の日、ネットカフェから出てくる奈理子の姿を目撃する。夏休みということもあり、登下校時以外での彼女の姿に、彼の胸は高鳴った。だが、隣には奈理子の手を握る男子の姿があった。
日暮の心は狂い、彼女の後をつけ始めた。彼はその幸せそうな彼女の姿を目の当たりにするたび、裏切られた気持ちで心が満たされていった。彼の純粋だった愛情は、徐々に闇の感情へと変わっていった。
夕方、緑豊かな水都公園。彼女と彼氏らしき男との甘い別れを目の当たりにした日暮は、何かを決意したようにその場を後にした。
そして、公園の陰から、日暮の姿はゆっくりと変わり始める。その体は変身薬の力で変わり、彼は「セミ男」としての姿になった。彼の目には、奈理子に制裁を下すという冷徹な意志が光っていた。
夕暮れの水都公園。ヒグラシの鳴き声が空気に響き渡り、一日の終わりを知らせるかのようだった。木々の間からこぼれるオレンジ色の光が、公園内を幻想的に照らしている。
「奈理子ちゃーん!」
という清らかな声が響き、一人の少女が満面の笑みで奈理子に手を振った。その横には、優しい表情の母親らしき女性が立っていて、奈理子に軽く頭を下げた。
「奈理子ちゃんですよ~」
奈理子は微笑みながら応える。彼女が街で人々と触れ合う姿は、まるで親しみやすい隣の家のお姉さんのようだった。彼女の仲間たちとの時間は大切で、市民たちもそれを察知しているのか、ライムや学校の友達と一緒にいるときは遠慮して声を掛けることは少なかった。だが、彼女が一人になると、まるでバリアが解除されたかのように市民は彼女のもとへと集まってくる。
奈理子が子供たちや市民とのふれあいを楽しんでいる時、公園の片隅で何かが起こった。突如として上がる悲鳴。その音に反応して、奈理子の瞳は一瞬で真剣なものに変わった。空から何かが接近してきているのを感じ取り、目を上げると、巨大な蝉のような姿が彼女に向かって飛んでくる。
しかし、それはただの蝉ではなかった。セミ男だ。
彼は力強く地面に着地し、奈理子の前で豪快にポーズを取る。その瞳には熱い怒りと狂気が宿っていた。
「奈理子、ファンの心を踏み躙った罪は体で償って貰うぞ!」
と彼は大声で叫ぶ。
その突然の出来事に、奈理子は一瞬動きを止めた。しかし、彼女の瞳には、セミ男との戦いへの覚悟と、水都市民を守るための決意がしっかりと刻まれていた。
変身中のミラクルナイトは、まるで出来の悪い漫画のように、全ての防御を失ってしまう。その瞬間を見逃さぬ敵の前での変身は、彼女にとって最も危険な行為だった。ドリームキャンディとセイクリッドウインドの到着を待つ間、奈理子は時間稼ぎをしなければならなかった。
「私が何をしたっていうの?」
と、奈理子はセミ男に堂々と問うた。
セミ男の怒りの瞳が炎を放ちながら、
「ファンがいるにも関わらず影でコソコソと男と付き合っている」
と非難する。
「コソコソなんてしてないわ!」
奈理子は力強く反論。
「私に彼氏がいることなんて、学校のみんなも知ってるのよ。堂々とデートしてるもの!」
と続けた。
「煩い!男を作ることはファンに対する裏切りだ!」
セミ男は声を上げ、怒りの頂点に達しつつあった。
「ファンでいてくれることは嬉しいけど…」
奈理子は少し動揺しながらも、立場を明確に伝える。
「私はただの中学生。芸能人のアイドルじゃないの!」
その時、彼らの間に一人の青年が割って入った。
「君も奈理子のファンなら、奈理子ちゃんの恋を暖かく見守ってやれよ」
と、彼は心からの言葉を投げかけた。
セミ男が不機嫌そうに
「誰だ、お前は!」
と怒鳴ると、青年は落ち着いた声で
「僕は水都大学の奈理子私設ファンクラブ会長、成好だ」
と名乗った。
奈理子の瞳には驚きと共に、感謝の光が灯った。
「会長さん…」
成好は奈理子に向かって、優しく語りかける。
「奈理子ちゃん、ファンの中には変な人もいるから、気をつけるんだよ。」
「はい。ありがとうございます、会長さん!」
と、奈理子は感激の笑顔を成好に向けた。
しかし、その和やかな瞬間も束の間。奈理子と成好のやり取りに激高したセミ男が、
「どけ!」
と叫びながら成好を弾き飛ばし、奈理子に迫るのだった。
水都公園の夕暮れ、奈理子の声が震えながら
「会長さん!」
と高く響き渡った。その声の背後で、セミ男が急に彼女を押し倒していた。泥と草の匂いが鼻を突く中、奈理子は必死にセミ男を突き飛ばそうとしたが、その小さな手と力では到底彼の圧倒的な力には敵わなかった。
セミ男は彼女の首筋に顔を寄せ、夢中で匂いを嗅ぎながら、得意気に
「いい匂いだ」
とつぶやいた。奈理子の目には涙があふれ、
「臭い嗅がないで!」
と泣きながら彼を拒絶した。
「ネカフェで男と何してたんだ!」
セミ男の質問は、奈理子の秘密を暴こうとするような響きを持っていた。
「そんなのあなたに関係ないじゃない!」
と、奈理子は怯えながらも反論した。しかし、セミ男の顔はさらに歪み、
「関係ある。俺は奈理子を愛してるからな!」
と情熱的に宣言した。彼の手が、彼女のミニスカートに伸びてきた。
「いやぁぁ〜!スカートを脱がさないで!!」
奈理子の声は絶叫となり、既に泣き叫ぶ彼女の姿は、公園の市民たちの目にも触れられるところにあった。
「奈理子ちゃんから離れろー!」
「奈理子ちゃんを苛めるなー!」
と、公園の市民たちの声が一斉に上がった。しかし、それは逆にセミ男の怒りを煽り立てる結果となった。
スカートを脱がされる奈理子。幸いにもネットカフェを出る前に、濡れてしまった白いパンツは替えたので、洗剤の香りがする綺麗な淡いピンクのパンツだった。
その瞬間、黄色と緑色の明るい光が空から舞い降り、セミ男の前に立ちはだかった。それは、ドリームキャンディとセイクリッドウインドだった。
「奈理子さんから離れなさい!」
ドリームキャンディの声が、力強く、公園中に響き渡った。
水都公園が夕暮れの色に染まり、その中での一騒動は市民の目を引きつけていた。ドリームキャンディとセイクリッドウインドの姿を見ても微動だにしないセミ男の冷徹さは、彼が持つ深い闘志を物語っていた。
「お前らはお呼びじゃない。さっさと帰れ」
とセミ男は、彼女たちの存在を嘲笑するように言った。そして、
「奈理子が俺の手の内にあることを忘れるなよ」
と呟くと彼の目の端に映る奈理子を突然、背後からガッチリと抱え上げた。奈理子の形の良いふとももが左右に開き、セミ男の手によって空中で支えられていた。
「ちょっと!こんなポーズさせないでよ!!」
奈理子の声は、明らかに恥ずかしさと怒りで震えていた。セミ男が持ち上げる姿勢で、奈理子は両手で必死にピンクのパンツを隠そうとした。
セミ男の冷たい声が再び響く。
「奈理子は恥ずかしい姿を見られてるのが好きなんだろ」。
彼女は瞬時に反論した。
「そんなことない!」
瞳に涙を浮かべ、奈理子はセミ男を鋭く睨んだ。
しかし、セミ男はまるで子供が好きなおもちゃを見つけたかのように、彼女の怒った表情を楽しんでいる様子だった。
「怒った顔も可愛いぞ、奈理子」
と言いながら、彼は彼女の唇に自らの唇を近づけようとした。
「いやぁぁー!」
奈理子はその唇を避けるために両手を振り上げたが、その動きが彼女のピンクのパンツを完全に露出させてしまった。周囲の市民の間には驚きとどよめきが走った。
ドリームキャンディとセイクリッドウインドは奈理子を人質にされたため、動きを封じられていた。セミ男の計算高さと、奈理子の窮地を前に、二人はどうするかの策を練っていた。
水都公園の夕暮れは一段と濃くなり、蒼い空の下、奈理子とセミ男の戦いが続いていた。セミ男の声が嗄れるほどに響いた。
「カブトムシ男やメロン男には自分からキスしたじゃないか!奈理子ファンの俺にもキスさせろ!!」
しかし、奈理子は堂々とした声で拒否する。
「いや!絶対にいゃぁぁ!」
セミ男の瞳は熱く燃え上がり、彼の欲望の炎は奈理子を囲むかのように燃え続けていた。
一方、セイクリッドウインドがドリームキャンディにアドバイスを送った。
「キャンディチェーンで奈理子を奪えない?」
しかし、ドリームキャンディは顔をしかめて考え込んだ。
「う〜ん…セミ男は奈理子さんの太腿しっかり掴んでるし…」
セイクリッドウインドは決意の眼差しで言った。
「じゃ、私がセミ男を吹き飛ばすから、その隙に奈理子を奪って。」
言葉通り、彼女は扇子型の武器、ガストファングを手にした。ドリームキャンディも同じ意気込みで、鞭状の武器、キャンディチェーンを握りしめた。
まるで映画のクライマックスのような瞬間、奈理子の抗議の声
「やめてー!」
が響き渡る中、セミ男の口元が彼女の唇に迫っていた。しかし、その刹那、強風が公園を包み込んだ。セミ男と奈理子の体が宙を舞うように浮かび上がり、セミ男の腕の力が瞬時に弱まった。
そのチャンスを逃さず、キャンディチェーンが煌めく光と共に奈理子の体を巻き上げ、ドリームキャンディが彼女を確実にキャッチした。
「奈理子さん、変身してください。一緒にセミ男を倒しましょう!」
とドリームキャンディの声が公園に響き渡った。
奈理子はその呼びかけに応えるかのように、アイマスクを高く掲げ、力強く頷いた。夕暮れの公園に、新たな戦いの幕が切って落とされた。
公園の中心で、夕暮れの空を背にしての戦いが続いていた。突如として奈理子の体が水色の光に包まれ、それは一瞬の出来事だった。彼女の姿は変わり、水色の守護神ミラクルナイトとして新たに現れた。
その美しい白と水色のコスチューム、揺れる黒髪に愛らしい白いリボン、そして勇敢な姿に、水都市民からは歓声が湧き上がった。公園内に広がるその声は、公園の外まで響き渡った。
ミラクルナイトはその場の中心で倒れていた、セミ男に弾き飛ばされた水都大学奈理子私設ファンクラブ会長、成好の元へと駆け寄った。
「大丈夫ですか、会長さん?」
と心配そうに声を掛けるミラクルナイトに、成好は笑顔で返答した。
「僕は大丈夫だよ。それより、今年の学祭にゲスト参加をお願いできるかな?」
その一言に、ミラクルナイトの顔がほんのりと紅潮した。
「スケジュールが合えば、喜んで行かせて頂きます。」
と微笑んで返事をする奈理子。
しかし、この穏やかな瞬間を邪魔するかのように、セミ男の怒りの声が空間を裂いた。
「俺を無視するな、奈理子!」
その声の先には、セミ男の怒りに満ちた瞳があった。
「あんたの相手はこれからたっぷりしてやるよ。」
とセイクリッドウインドが割って入る。三人のヒロイン、ミラクルナイト、ドリームキャンディ、そしてセイクリッドウインドは、セミ男を囲むように立ち位置を取った。
「3人がかりとは卑怯だぞ!正義のヒロインなら、正々堂々と一対一で戦え!」
とセミ男は挑発する。しかし、ドリームキャンディは容赦なく、キャンディチェーンを振るいながら言った。
「奈理子さんに嫌がらせをする怪人相手に、卑怯も何もないわ!」
その言葉の後、公園にはセミ男の鳴き声が響き渡った。それはただの鳴き声ではなく、猛烈なヒグラシの超音波として、三人のヒロインを襲った。公園は再び、戦いの渦の中に取り込まれていった。
公園は再び戦いの渦の中へと引きずり込まれた。セミ男の超音波は激しさを増して、3人のヒロインを襲った。周囲の水都市民もその影響を受け、その痛烈な鳴き声に体をくねらせていた。
「俺が欲しいのは奈理子だけだ。セミの鳴き声を止めて欲しければ、奈理子、一人で俺と戦え。」
とセミ男はミラクルナイトに向かって言う。
一人のヒロイン、ミラクルナイトが額に汗を滴らせながらも冷静に答えた。
「分かったわ…セミの鳴き声を止めて。」
周囲の空気は一変し、超音波が消え去った。しかし、その静寂の中、セミ男の野放しの視線がミラクルナイトの姿を貪るようにさ迷っていた。彼女のミニスカートから覗く太腿と細い脚に焦点を当てているセミ男の視線に、ミラクルナイトは思わず顔を赤らめ、手でスカートを抑えた。
「ヘヘっ、奈理子の生脚、いただきまーす!」
セミ男のその一言とともに、彼は一気にミラクルナイトの元へと躍り寄った。しかし、彼女もまた反応は鋭く、素早くミラクルウイングを広げて空へと飛び上がった。
「奈理子のパンツ丸見えだー」
と下から見上げるセミ男。慌ててスカートを股に挟んでパンツを隠すミラクルナイト。
そして、セミ男も羽根を広げ負けじと空に舞い上がると、彼女の背後から、その華奢な体に抱きついた。
「ミラクルナイトになっても奈理子の体はいい匂いだ」
とセミ男。抱きつかれたミラクルナイトはされるがままだ。
「奈理子さん、しっかりして!」
と、地上からドリームキャンディの声が響いた。さらに、セイクリッドウインドも力強く叫んだ。
「恥ずかしがってる場合じゃないでしょ!」
セミ男はニヤリと笑い、ミラクルナイトの反応を楽しむ様子だった。
「アイマスクで悶える奈理子、色っぽいな。」
「悶えてなんかない!」
ミラクルナイトは声を震わせながら反論した。そして、右腕に力を集中させ、一気に
「ミラクルパーンチ!」
と叫びながらセミ男の体を強烈に打ち付けた。セミ男はその衝撃に耐え切れず、大地へと落ちた。
ミラクルナイトは空から降り立ち、セミ男の倒れた姿を冷ややかに見下ろす。
「私のファンだって言うけど、あなたは許せない!」
彼女の目には、ただのファンとは違うセミ男の異常さをしっかりと捉える決意が燃えていた。
光と風に舞うスカート、そして露わになる瞬間のピンクのパンツ。水都公園の戦いの最中に、繊細な一幕が繰り広げられていた。ミラクルナイトは優雅に地上に降り立ったが、それを待っていたセミ男の攻撃に対し、彼女も怒りの反撃を試みる。
「何でファンを殴るんだ!」
とセミ男はミラクルナイトを怒鳴りつける。
「ファンだからって私に何をしてもいいっことにはならないでしょ!」
とミラクルナイトも怒る。ミラクルナイトの右ハイキック。しかし、セミ男はミラクルナイトの右脚を受け止め、奈理子のパンツを目で楽しむとミラクルナイトの左脚を払う。セミ男の予想外の動きに、ミラクルナイトは一瞬のうちにバランスを崩してしまう。セミ男は倒れるミラクルナイトのスカートを素早く剥ぎ取ってしまった。
この光景は水都市民にとっても見慣れたもの。毎回のようにミラクルナイトのスカートが敵に脱がされるシチュエーションは、不思議な魅力を放っていたのだ。
ドリームキャンディとセイクリッドウインドはそれを見ながら興味深げに囁いた。
「あぁ、今日も奈理子さん、スカート脱がされちゃった…」
「恒例行事になってるみたいだけど、それでも毎回驚くわ…」
セミ男は興奮してミラクルナイトのスカートの香りを吸い込む。
「奈理子のパンツを守っていたスカートもいい匂いだー。」
それを目の当たりにしたミラクルナイトの怒りは、これまでの戦いの中でも類を見ないほどのものだった。
「あんただけは絶対に許さない…」
彼女のピンクのパンツが露わになった姿で、セミ男へと突進し、
「これでも喰らいなさい!」
と叫び、特技のミラクルヒップストライクを放った。
セミ男の顔面に直撃するその股間アタックに、彼は幸せそうな表情を浮かべながらも、
「奈理子のパンツもいい匂い…」
と言葉を残し、日暮れの姿に変わっていった。その後、彼の耳に残ったのはミラクルナイトの怒りと羞恥に満ちた声だけであった。
夕暮れの水都市公園、敗れ去ったセミ男を忘れ、市民はミラクルナイトの勝利に声援を送っていた。彼らの中には、ミラクルナイトの姿を記録するためのカメラを持つ成好も含まれていた。彼女の姿が彼のレンズを通して見えたとき、ミラクルナイトは明るく微笑みながらポーズを決めた。白いリボンとレースの飾りがあるピンクのパンツは、夕日に照らされ水都の空の下で特別な輝きを放っていた。
ドリームキャンディとセイクリッドウインドはその姿を見ながら、軽く談笑していた。
「奈理子さん、スカート脱がされるときは恥ずかしがるのに、脱がされたあとは平気なんですね」
とドリームキャンディが不思議そうな顔をしている。
「恥ずかしさが快感に変わってくるんじゃないの。みんな奈理子のパンツを楽しみしてるし」
とミラクルナイトの姿についてセイクリッドウインドが述べた。
ドリームキャンディは彼女の言葉に笑みを浮かべ、
「まだわからないことが多いですね」
と彼女に返した。
一方、都市の片隅で、別の事件が動き始めていた。勅使河原は、カオリを出し抜き、クワガタの能力を持つ新しい薬の売却の話を進めていた。
「カオリが悔しがる姿が目に浮かぶな」
と彼は1人で邪悪な笑顔を浮かべていた。奈理子とその仲間たちが次に直面する強敵の影が、ゆっくりと大きくなっていくのだった。
(第75話につづく)
(あとがき)













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