ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第11章「別れと覚醒」
朝焼けの色は、あまりに優しくて、残酷だった。
胡桃は、裸のままベッドの上でシーツに包まりながら、隣で眠るレオの寝息を聞いていた。
「……こんな朝があるなんて、思ってなかった」
誰にも言えなかっ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第10章「恋という異変」
ミルク色の曇天が鄙野の空を覆っていた。
肌寒さを感じる朝、胡桃は大学の教室にいても、黒板の文字が目に入らなかった。
(……レオ、何してるんだろ)
何度も自分に言い聞かせていた。“あの人は軽い ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第9章「夜の路地、爪痕」
それは、レオとの出会いから三日後の夜だった。
胡桃は一人、町外れの商店街の裏路地を歩いていた。
祭りの後の寂しさが残る通りには、まだ屋台の名残と提灯の骨組みが置かれている。
(あれから、カス ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第8章「揺れる心、軋む絆」
鄙野の駅前通りに、小さなステージが設けられていた。
秋の観光祭。手作りの屋台が軒を連ね、特産品の焼き栗やミルクまんじゅうの香りが漂う。
その一角、ギターを鳴らす青年の姿に、胡桃は思わず足を止めた。 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第7章「炎の記憶」
秋の夜が深まり、鄙野の町は静寂に包まれていた。だがその静けさは、胡桃の胸の内には届かなかった。
寧々との再会と別れから数日。町の人々の警戒は高まり、胡桃の耳にも「また戦いがあるのか」という囁きが届き始めていた。 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第6章「集う者たち」
鄙野の空に、不吉な羽音が響いた。
竹が軋むような高周波。それは、風でも鳥でもない。
遠くの山裾から飛来した黒い影が、町外れの小学校跡地に着地すると、大地が小さく震えた。
「ミミミ……やっぱり田 ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第5章「再臨、守護神」
鄙野の町に、異様な風が吹き荒れていた。
天気予報にはなかった突風。町の案内看板が軋み、紅葉の葉が空高く舞い上がる。
だが、ただの風ではなかった。
それは“刃”だった。
「キュイ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第4章「仮面の案内人」
鄙比田温泉郷の外れにある「不知坂(しらずざか)」は、地元の人間でさえあまり近づかない場所だった。 古い石段が山腹へと続き、上には廃れた神社がぽつねんと建っている。
そこは、かつて胡桃と弟・ライムがよく遊びに訪れていた ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第3章「故郷と名湯」
朝霧の立ち込める鄙野の町並みに、鐘の音が静かに響いていた。
それは旧街道沿いに建つ禅寺「白蓮山永照寺」の鐘であり、まだ観光客も目を覚まさぬ早朝の鄙野に、ゆるやかで清らかな気配をもたらしていた。
佐笠胡桃は ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第2章「魔界の残響」
魔界の夜は、地上のそれとは違う。天と地の境が曖昧で、空は永遠に沈んだ茜色を保ち続け、地は鼓動のように微かに揺れていた。古びた玉座の間、ひときわ高く積まれた絨毯の上に、幼い少女の姿が一人、座していた。
プリンセス・コマリ ...
ミルキーナイト~胡桃・21歳~☆第1章「蘇る影」
秋の訪れは鄙野に静かに忍び寄る。街道沿いに並ぶ黒塀の旅館街、その軒先には赤提灯が灯り、濡れた石畳に淡い光を落としていた。細く長い路地を風が抜け、どこか懐かしい木の匂いと湯気が鼻先をくすぐる。佐笠胡桃は、その細道を歩いていた。 ...
寧々と隆の修学旅行
修学旅行二日目の朝、寧々は期待と不安を胸に秘めながら、鄙野の探索に臨んだ。重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い町並みを歩きながら、彼女の心は隆のことでいっぱいだった。一日目は何事もなく無事終わった。鄙比田温泉の旅館に宿泊した昨夜 ...
