ミラクルナイト☆第207話
鄙野の冬空はどこか重たく、風も冷たい。枯れた草がざわりと揺れる音が、沈黙の中でやけに耳につく。
鄙辺神社──かつては町の人々に親しまれていた小さな神社。だが、今では参拝客の姿も無く、鳥居は苔むし、鈴の紐は風に吹かれてかすか ...
ミラクルナイト☆第206話
放課後の水都女学院高校。クラシックな校舎の廊下に、制服姿の野宮奈理子の足音だけが微かに響いていた。
「……はぁ……」
どこか上の空の表情。ロッカーを開けると、ハンカチやノートがバラバラと落ちた。拾い上げようとし ...
ミラクルナイト☆第205話
放課後の校舎を、奈理子はひとり歩いていた。
水色のセーラー服の襟を、乾いた風がかすかに撫でる。季節は確かに秋なのに、奈理子の胸の奥には、蒸れたような熱と不安が燻っていた。
「奈理子さーん、バス停まで一緒に帰りま ...
ミラクルナイト☆第204話
水都女学院高校──十月の昼下がり
秋風の匂いを含んだ風が、教室のカーテンを柔らかく揺らしていた。
昼休みの教室は、明るく、穏やかで、そして、静かだった。
「……」
窓際の席に座る野宮奈理 ...
ミラクルナイト☆第203話
穢川研究所・地下実験棟 ――「生誕の間」
青白い蛍光灯の下、密閉された培養槽の中心で、蠢く黒い影。
透明な液体の中でくるくると泳ぐそれは、やがて浮かび上がり、四肢を広げて大きく背を反らした。
「……始ま ...
ミラクルナイト☆第201話
■鄙比田温泉・夕暮れの露天風呂
穏やかな夕暮れ。
山間にある鄙比田温泉の湯けむりが、涼やかな風にたなびいている。
遠くでホトトギスが鳴き、風に揺れる湯のれんをくぐって現れたのは、
白いバスタオル ...
ミラクルナイト☆第200話
午後四時過ぎ、水都女学院高校の白壁の校門を抜け、制服の夏服姿の奈理子はいつもの坂道を歩いていた。
白い日傘を差し、軽やかに揺れる水色のプリーツスカート。蝉の鳴き声が、10月とは思えぬ陽射しを強調する。
「うぅ〜暑い ...
ミラクルナイト☆第199話
【水都郊外・穢川研究所 地下第六指令室】
白い花嫁装束の残滓をまだ纏うかのような風情で、柚月は静かに九頭の前に膝を折った。
「……申し訳ありません。『花嫁の罠作戦』は、ミラクルナイトの予想外の根性により失敗しま ...
ミラクルナイト☆第197話
朝の水都女学院高校、秋の澄んだ空気に包まれた校舎の中庭には、朝日を浴びて光る噴水の水飛沫。制服姿の乙女たちが三々五々登校していく中、正門からゆっくりと現れたのは、制服の襟を丁寧に整えた奈理子だった。
「奈理子さん!登校した ...
ミラクルナイト☆第196話
穢川研究所 地下戦闘作戦室 ― 九頭の執務室
低い照明の下、静かに香るのは乾いた薬品と微かに湿った青苔の匂い。壁に張り巡らされた蔓のような実験配線の中、九頭は白衣の襟元を整えながら書類の山を前にソワソワと落ち着きがなかった ...
ミラクルナイト☆第195話
水都郊外、穢川研究所・社長室。
革張りの重厚な椅子に背を預ける一人の男。
その目は眼前のガラス越しに見える工業都市の煙を睨みつけていた。
──合同会社穢川研究所・社長、勅使河原宗一郎。
老獪さと ...
ミラクルナイト☆第194話
「……また、負けちゃったのね……」
畳の上に正座して、プリンセス・コマリシャスは小さな手にハンカチを握りしめていた。魔法陣の水晶玉が、ミラクルナイトのドヤ顔とミラーグモダンの爆散シーンを映し出している。
「み、 ...
