ミラクルナイト☆第244話
或る或る天国。
一花拉致事件の捜査は、教団は無関係と言うことで一段落付いた。市警上層部に信者が多数おり、テレビや新聞にとって教団は重要な広告主であるためマスコミの追及も厳しくはない。だが、その代償は大きい。市警にもマスコミ ...
ミラクルナイト☆第238話
鄙比田温泉の夜は、深く、静かだった。湯けむりが、月明かりを受け、幻想的な光景を織りなしていた。その光景を、柚月と紗理奈とファンユイは、居酒屋のテラスから眺めていた。テーブルの上には、焼き鳥と、刺身と、地酒の徳利が並んでいた。
ミラクルナイト☆第233話
一月の冷たい風が窓の隙間から忍び込む。暖房器具はコタツ一つ。その熱気に顔を載せた魔界のプリンセス、コマリシャスが幸せそうにため息をついた。
「じいやのぜんざいは世界一だよ」
「お褒めにあずかり光栄でございます」 ...
ミラクルナイト☆第220話
無機質な白い壁に囲まれた研究室。机に広がる数々のデータシートを前に、篠宮=ブナシメジ男は項垂れていた。
「……私の策が……。トウモロコシ男まで失ってしまうとは……」
深い落胆の声を漏らす篠 ...
ミラクルナイト☆第207話
鄙野の冬空はどこか重たく、風も冷たい。枯れた草がざわりと揺れる音が、沈黙の中でやけに耳につく。
鄙辺神社──かつては町の人々に親しまれていた小さな神社。だが、今では参拝客の姿も無く、鳥居は苔むし、鈴の紐は風に吹かれてかすか ...
ミラクルナイト☆第205話
放課後の校舎を、奈理子はひとり歩いていた。
水色のセーラー服の襟を、乾いた風がかすかに撫でる。季節は確かに秋なのに、奈理子の胸の奥には、蒸れたような熱と不安が燻っていた。
「奈理子さーん、バス停まで一緒に帰りま ...
ミラクルナイト☆第204話
水都女学院高校──十月の昼下がり
秋風の匂いを含んだ風が、教室のカーテンを柔らかく揺らしていた。
昼休みの教室は、明るく、穏やかで、そして、静かだった。
「……」
窓際の席に座る野宮奈理 ...
ミラクルナイト☆第203話
穢川研究所・地下実験棟 ――「生誕の間」
青白い蛍光灯の下、密閉された培養槽の中心で、蠢く黒い影。
透明な液体の中でくるくると泳ぐそれは、やがて浮かび上がり、四肢を広げて大きく背を反らした。
「……始ま ...
ミラクルナイト☆第202話
穢川研究所・最上階 社長室
分厚い絨毯に重厚なデスク。豪奢な空間を飾るのは、一枚の絵画――白衣をまとった異形の生物が、街を焼く光景。
その絵を背に、穢川研究所社長・勅使河原が革張りの椅子に沈み、鋭い視線で部下たちを ...
ミラクルナイト☆第200話
午後四時過ぎ、水都女学院高校の白壁の校門を抜け、制服の夏服姿の奈理子はいつもの坂道を歩いていた。
白い日傘を差し、軽やかに揺れる水色のプリーツスカート。蝉の鳴き声が、10月とは思えぬ陽射しを強調する。
「うぅ〜暑い ...
ミラクルナイト☆第199話
【水都郊外・穢川研究所 地下第六指令室】
白い花嫁装束の残滓をまだ纏うかのような風情で、柚月は静かに九頭の前に膝を折った。
「……申し訳ありません。『花嫁の罠作戦』は、ミラクルナイトの予想外の根性により失敗しま ...
ミラクルナイト☆第198話
場所は、穢川研究所の最奥。薄暗いガラス張りの観察室の中で、かつてのぷるぷるとした弾力を完全に失い、スカスカに乾ききったスポンジのような姿で横たわるコンニャク男が、保管カプセルの中で静かに眠っていた。
「……プルプル感を失っ ...
