ミラクルナイト☆第230話
穢川研究所・白い管制室。
年末特有の静けさが、装置音だけを際立たせている。
「今月は、ここまでだ」
九頭はそう言って、モニターを一つ閉じた。
「年末はノイズが多すぎる。
祝祭、警備 ...
ミラクルナイト☆第227話
―対シグマ戦略会議―
ストーブの熱がじんわりと部屋を温める夕暮れ。
応接室には緊張と甘い香りと、奈理子の柔らかい気配が混じっていた。
「シグマ……あの人、何者なんでしょうね」 ...
ミラクルナイト☆第226話
放課後のチャイムが鳴り響くと、教室の窓から淡い夕陽が差し込んだ。
制服の水色のセーラーが橙色に染まり、
カーテンの影がゆらゆらと教室の床を揺らす。
「すみれちゃん、バス停まで一緒 ...
ミラクルナイト☆第219話
放課後、奈理子は呼び出されて凜と並んで椅子に座っていた。
「凜さん……?」
ミコール社員の一人が思わず声を上げる。
「私は、奈理子の保護者です」
凜は堂々と答えた。
ミラクルナイト☆第207話
鄙野の冬空はどこか重たく、風も冷たい。枯れた草がざわりと揺れる音が、沈黙の中でやけに耳につく。
鄙辺神社──かつては町の人々に親しまれていた小さな神社。だが、今では参拝客の姿も無く、鳥居は苔むし、鈴の紐は風に吹かれてかすか ...
ミラクルナイト☆第205話
放課後の校舎を、奈理子はひとり歩いていた。
水色のセーラー服の襟を、乾いた風がかすかに撫でる。季節は確かに秋なのに、奈理子の胸の奥には、蒸れたような熱と不安が燻っていた。
「奈理子さーん、バス停まで一緒に帰りま ...
ミラクルナイト☆第204話
水都女学院高校──十月の昼下がり
秋風の匂いを含んだ風が、教室のカーテンを柔らかく揺らしていた。
昼休みの教室は、明るく、穏やかで、そして、静かだった。
「……」
窓際の席に座る野宮奈理 ...
ミラクルナイト☆第203話
穢川研究所・地下実験棟 ――「生誕の間」
青白い蛍光灯の下、密閉された培養槽の中心で、蠢く黒い影。
透明な液体の中でくるくると泳ぐそれは、やがて浮かび上がり、四肢を広げて大きく背を反らした。
「……始ま ...
ミラクルナイト☆第200話
午後四時過ぎ、水都女学院高校の白壁の校門を抜け、制服の夏服姿の奈理子はいつもの坂道を歩いていた。
白い日傘を差し、軽やかに揺れる水色のプリーツスカート。蝉の鳴き声が、10月とは思えぬ陽射しを強調する。
「うぅ〜暑い ...
ミラクルナイト☆第199話
【水都郊外・穢川研究所 地下第六指令室】
白い花嫁装束の残滓をまだ纏うかのような風情で、柚月は静かに九頭の前に膝を折った。
「……申し訳ありません。『花嫁の罠作戦』は、ミラクルナイトの予想外の根性により失敗しま ...
ミラクルナイト☆第197話
朝の水都女学院高校、秋の澄んだ空気に包まれた校舎の中庭には、朝日を浴びて光る噴水の水飛沫。制服姿の乙女たちが三々五々登校していく中、正門からゆっくりと現れたのは、制服の襟を丁寧に整えた奈理子だった。
「奈理子さん!登校した ...
ミラクルナイト☆第195話
水都郊外、穢川研究所・社長室。
革張りの重厚な椅子に背を預ける一人の男。
その目は眼前のガラス越しに見える工業都市の煙を睨みつけていた。
──合同会社穢川研究所・社長、勅使河原宗一郎。
老獪さと ...
