ミラクルナイト☆第210話
朝の冷え込みが少しずつ肌にしみるようになった十一月。
まだ陽も登りきらない頃、水都神社の森の木々からは、ひんやりとした朝靄が薄く流れていた。
「……今日も、良い一日にできますように ...
ミラクルナイト☆第209話
🥖魔界パン工房「クネクネベーカリー」――
地鳴りとともに、黒紫の煙が立ちこめる奇怪な空間。
天井から吊られた無数の発酵生地袋が、グルグルと揺れながらふくれ上がっていた。
壁という壁には、小麦粉とバターが ...
ミラクルナイト☆第208話
商店街、老舗蕎麦屋「大黒庵」の座敷に、いつもの面々が顔を揃えていた。
「さーて、今年も秋祭りが近づいてきたぞい!」
蕎麦屋の店主、黒田が威勢よく口火を切る。
「去年はちょっと地味だったからねえ。今年 ...
ミラクルナイト☆第207話
鄙野の冬空はどこか重たく、風も冷たい。枯れた草がざわりと揺れる音が、沈黙の中でやけに耳につく。
鄙辺神社──かつては町の人々に親しまれていた小さな神社。だが、今では参拝客の姿も無く、鳥居は苔むし、鈴の紐は風に吹かれてかすか ...
ミラクルナイト☆第200話
午後四時過ぎ、水都女学院高校の白壁の校門を抜け、制服の夏服姿の奈理子はいつもの坂道を歩いていた。
白い日傘を差し、軽やかに揺れる水色のプリーツスカート。蝉の鳴き声が、10月とは思えぬ陽射しを強調する。
「うぅ〜暑い ...
ミラクルナイト☆第198話
場所は、穢川研究所の最奥。薄暗いガラス張りの観察室の中で、かつてのぷるぷるとした弾力を完全に失い、スカスカに乾ききったスポンジのような姿で横たわるコンニャク男が、保管カプセルの中で静かに眠っていた。
「……プルプル感を失っ ...
ミラクルナイト☆第195話
水都郊外、穢川研究所・社長室。
革張りの重厚な椅子に背を預ける一人の男。
その目は眼前のガラス越しに見える工業都市の煙を睨みつけていた。
──合同会社穢川研究所・社長、勅使河原宗一郎。
老獪さと ...
ミラクルナイト☆第193話
黄昏が落ちきった鄙野の外れ、苔むした鳥居がぽつんと立つ旧神社の奥――
そこには、コマリシャスが描いた六芒星の魔法陣が青白く脈打ち、まるで心臓のように波打っていた。
「……いよいよ、ね」
魔法陣の縁にしゃ ...
ミラクルナイト☆第189話
澄み切った青空。
噴水の水音が響く、中庭のテラス席。水都女学院の制服に身を包んだ少女たちが、ティーセットを囲んでいた。
「ほんとうに、購買のクロワッサンってすぐ売り切れてしまうのね……っ」
奈理子がハン ...
ミラクルナイト☆第186話
奈理子の部屋・日曜の朝──
「……んぅ……」
学園祭の翌日。日曜の朝。
奈理子の部屋に差し込む朝日が、白いレースのカーテンを柔らかく透かしていた。
大きな伸びをして、布団の中でゴロリと寝返り ...
ミラクルナイト☆第184話
水都テレビ・生放送スタジオ──
「さあああああッ!今夜のスペシャルゲストはこの人ぉぉぉっ!!
白くて可憐で、でもスカートはよくなくす!
“水都の守護神”こと、ミラクルナイトーーー!!」
カメラが ...
ミラクルナイト☆第183話
「奈理子さん、見た!?昨夜のSNS!もうすごいバズってたよ!」
「う、うん……ちょっとだけ、見たよ……」
すみれにスマホの画面を突き出され、奈理子は苦笑いを浮かべた。
昼休みの教室。水色のセーラー服の裾 ...
